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「水は変わる」のお茶大提訴問題

吉岡英介氏と、国際連合大学の安井至副学長や御茶ノ水大学大学院富永研究室のHP管理人である山形大学理学部天羽優子准教授との、過去のやりとりについては「マイナスイオン」の項目を参考にしてください。

2009年3月、どういうわけか「水は変わる」のコンテンツのほとんどが消えてしまっている。(2010年に入ると、またコンテンツが増えてきているが、どれも新しいもので、古いものは残っていない)

経緯

2007年6、7月

水は変わる」というサイトを運営する吉岡英介氏(マグローブ株式会社代表取締役会長)が御茶ノ水女子大学を神戸地裁に提訴するという事態が発生した。(第一回期日は2007年7月17日) 同大学富永研究室のHPに設置されたゲストブック兼掲示板に、マグローブ社と吉岡氏個人の名誉を傷つける匿名の投稿が本年2月になされたため、弁護士を通じてお茶大にその削除を要求した。ところが、お茶大がその削除を拒否したため、吉岡氏個人を原告として、その記述の削除を求めてお茶大を提訴し、6月7日に同地裁にて訴状が受理されたとのこと。

富永研の「ゲストブック兼掲示板」内の関連ツリーとしてはこちらがある(現在、閲覧停止中)が、そのうち[24041]の天羽氏の書き込み(apj 2007-06-23 13:13)の一部を次に引用しておく。

吉岡氏の新しい商売がマルチでないのなら、悪マニさんとこ云々は誤解に基づくものになります。ですから、マルチではないことを説明してくれれば削除しますよ、という返事をしてください、と冨永教授に連絡しました。また、プロバイダ責任制限法から考えると、掲示板管理者ははっきりしているし、投稿者も(管理者に連絡すれば)確実にIPアドレスなどを開示されるはずであるので、冨永に連絡するように、が正しいでしょう、ということも伝えました。

 この返事であれば、拒否にはならないと思います。冨永教授も私も、次に連絡があった場合には再度上記のことを確認し、マルチではないので悪マニさんとこに出るおそれは相当少ない、ということが確認できたら削除しましょう、という話をしていました。

 大学側が最終的に吉岡氏に何と言ったのかは不明です。しかし、上記のことがきちんと書かれた文書が送られたにもかかわらず提訴したのだとしたら、明らかに吉岡氏のフライングでしょう。

 吉岡氏は、お茶の水大学が出した返事の全文を掲載していません。以前は、お茶の水大とのやりとりは全文公開すると言っていたにもかかわらず、実行されていません。さらにその上で、「大学が拒否」と主張しています。この部分に、ウソが混じっている可能性があります。お茶の水大が出した返事を、今のところ私個人は知る立場にありませんが、文書自体は情報公開法の対象にはなるはずなので、いずれ取り寄せて吉岡氏が真実を述べているかどうかを検証していきたいと考えています。

ここで「悪マニさん」とは「悪徳商法 マニアックス」のことである。

お茶大はこの件に関して当事者適格を持たないと予想されるため、冨永靖徳教授もしくは掲示板管理人の天羽優子氏(山形大学准教授)がいずれは訴えられる可能性がある。現時点で天羽氏は、これは大学を訴えることのみを目的とした不当提訴ではないかと考えている。富永研究室では、削除要求のあった掲示板コメントの根拠として、「磁気活水器マグローブ」(リンク切れ)の販売形態が、いわゆるマルチ商法(ネットワークビジネス)であることを示す情報、もしくは示さない情報の提供を呼びかけている。

2007年8月

8月31日付けで天羽氏は、独立当事者参加の申出を行っている。

2007年9月

平成19年9月19日(水)に「波動やマイナスイオン、機能水などを「ニセ科学」と決めつけていいのか 〜本物とニセ科学の境界を考える〜」というタイトルのフォーラムが大阪厚生年金会館で開かれた。マグローブ(株)代表の吉岡英介氏も「『ニセ科学批判者』を批判する」というタイトルの講演を行った。このフォーラムの「参加へのおさそい」には以下のようなことが書かれてある。

最近「ニセ科学」と決めつけて、波動やマイナスイオンを批判する学者が目に付きます。学者の知識と経験だけで、将来性が多いに見込める日本の技術を否定しています。しかも、批判者同士がつるんで仲良しクラブを形成しています。ブログ上での批判も許し難いですが、さらに市民講座なるものを通じて大衆を引きずり込もうと必死です。なぜ、そこまでやるのか、公費を使って何を考えているのかさっぱり理解できません。

 この現状を踏まえて、ある企業グループは損害賠償と名誉毀損で訴訟の準備をしています。とても悲しいことですが、企業の怒りは大きいようです。

 「ニセ科学」と言わせないためにも意義あるフォーラムにしたいと考えます。

このフォーラムにおける吉岡氏の講演に対する天羽氏の見解は「原告の講演 」(2007/09/19)で読める。『実際の提訴の内容とプログラムの内容が食い違っている。というか、矛盾がある』とのこと。

「オーマイニュース」(OhmyNews)の記事「続・トンデモさんの反撃始まる、が」(三田 典玄、2007-09-24、リンク切れ)に、この件に関する天羽氏のインタビュー(メールによる)が掲載された。同記者は吉岡氏にもインタビューメールを送っているが、まだ回答はないとのこと。これに対し、吉岡氏は「お茶女裁判 その5」(2007.09.30、リンク切れ)において、次のように述べている。

ところが、私のところへは三田氏からのインタビューの依頼などまったく来ていない。

そんなメールは来ていないし、確認のメールもないし、督促もない。

依頼したというなら、そのメールの送信記録を公開してほしいものだ。

 

やり方が杜撰というより、卑劣である。

 

この人の記事は、最初から予断があって一方的である。

オーマイニュースという試みそのものが全然ダメだ、ということを具現しているような記者である。

 

オーマイニュースなどどうでもいいし、依頼が来たら回答するかというと、これほど偏向した記者にはたぶん回答しないし、そもそも回答する必要性などまったくないのだが、私を支持する人々もいて、その人々が心配しているので、事実を明らかにした。

2007年11月

株式会社マグローブから富永研の掲示板に対して、いろいろと削除要求が来ている。削除されたコメントはこちらの「株式会社マグローブから圧力をかけられています(1〜3)」(2007/11/21)で読める。

まず今回削除されたのは、ステンレス鋼を使用しているマグローブがどのような腐食対策を施しているか、という議論である。さらに、マグローブの代表取締役の上森三郎を名乗る人物から削除要請があったこと、今後このような削除要請をされないようNGワードを設定する、という内容のコメントが削除された。このように今回削除されたのは、名誉毀損裁判とは直接関係のない内容のものである。マグローブ株式会社のサイトの「インターネットでの中傷に反論します」(リンク切れ)で、吉岡氏はこの件が進行中の裁判とは別件であることを認識していて、次のようにも述べている。

お茶の水女子大学は素早く対応し、学長は、サイトの責任者である富永教授にそれらの投稿を削除するように命令しました。天羽優子氏は、進行中の裁判との関係で、大学当局が萎縮したのだろうと言っていますが、本件が進行中の裁判とは別件であることは、誰の目にも明白です。

今回の決定は、学長自身が実際の投稿を見て、素早く決断したものと思われます。

私たちはお茶の水女子大学のその判断を評価します。

こうした削除要請に対し、天羽氏は次のように述べている。

マグローブ社は、企業活動であれば何でも正当化できるとでも思っているのだろうか。企業活動に対してどんな批判も許さないというのは、むしろ反社会的な態度である。さらにいうと、提訴に乗じて言論を封じようとする行為は、ある意味暴力的ではないか。

マグローブの腐食対策については、「平成19年(ワ)第1493号 損害賠償等請求事件に関する掲示板」の以下の二つのツリーで、詳細な議論が行われている。

ここで問題にされているのは、マグローブの内部構造を見てみると、接水部に四角形のステンレス(SUS304)製パイプが使われていることである。角パイプに内圧がかかると、その角の内側には大きな応力が加わり、応力腐食割れが発生しやすいとのこと。そこで、応力腐食割れ試験(たとえばJIS G0576)などの耐久試験をしっかり行っていてほしい、といった内容だ。

これに対し、マグローブ側は「マグローブの構造」(リンク切れ)で、次のように反論している。

ご注意:

最近、お茶の水女子大学の公式サイトから、マグローブを名指しして、ステンレスSUS304という材料が、あたかも水道用品として不十分で、耐久性が劣るかのような情報が発信されました。

水道協会の厳しい検査に合格している商品に対して、そのような発言をすることは、水道協会の正当性をないがしろにする行為であり、また、国立大学による一民間企業に対するそのような攻撃は、国立大学の威力を用いて民間の業務を不当に圧迫し、妨害する行為と言わざるを得ません。

よって当方より同大学の郷通子学長に厳重に抗議したところ、学長も当方の言い分をもっともだと受容し、緊急対処として学内のサイト運営ルールを省略して、学長の裁断による強権発動をもって、その発言をただちに削除しました。大学当局が、そのような書き込みは大学からの情報発信としてふさわしくない、と判断したのです。

 

類似の情報がまだいくつか散在していますが、みなさんまどわされることなく、安心してマグローブをお使いください。

しかし、『日本水道協会の試験は、浄水で1.75MPaを一分間加圧して、水漏れしなければ通りますので、応力腐食割れとは無関係』との指摘もある。([167] Name: mimon、Date: 11/29 21:12)

現在上記の「ご注意」は書き換えられており、『マグローブは、社内外でのテストの結果として、水道用品として常識的な耐用年数を持つものと考えられます』となっている。

さらに「インターネットでの中傷に反論  パート2」(リンク切れ)において、技術的な反論が公開されたが、2007年12月現在、実際に応力腐食割れ試験やウォータハンマの繰り返し試験を実施してはいないようだ。

2007年12月

水商売ウォッチングにおけるネット中傷の実態4」(2007.12.07、リンク切れ)で吉岡氏は、富永研究室のゲストブック兼掲示板における、「海星女子学院」の「海星」が「ヒトデ」とも読める、という話題([25266] mimon: 2007-11-26)を批判している。吉岡氏の批判の一部をここに引用しておく。

「私は海星女学院をヒトデ高校と呼んでいます」というゼッケンを胸につけて、海星女学院の前に立て。通る生徒全員からツバを吐きかけられるだろう。

 

いまどきの女子高生がツバを吐きかけたとしても、それほど品性下劣とは思わないが、私の文章の真意はそういうことではない。

「どんなに温和で礼儀正しい人でも、ツバを吐きかけたくなるほどのひどいことを天羽優子氏らはしているのだ」ということである。

この程度のレトリックは、誰でも理解できるごく普通の文章技法だと思うが、天羽優子氏にはまったく理解できない。あまりにダイレクトな反応なので驚いてしまう。

 

海星女学院をからかったことについては、もうひとつ、非常にスジの悪い点がある。

それは、そこがお茶の水女子大学の公式サイトだという点だ。

つまり、お茶の水女子大学が、公式に海星女学院を嘲笑したのである。

 

バカじゃないか?

お茶の水女子大学ってなんだ? 女子大だ。

女子大生ってどこから来るんだ? 女子高生からだ。

全国の女子高生よ、携帯メールで団結せよ!

 

予言:

本件はやがて、お茶の水女子大学長が海星女学院長に正式に謝罪することになる。

そして「水商売ウォッチング」はお茶の水女子大学から消える。

なお、この記事はその後、一部書き換えられ、2009年2月以降はリンク切れになっている。

天羽氏は、マグローブ株式会社、上森三郎、吉岡英介及び山形大学を被告として山形地方裁判所に提訴した。天羽氏は、お茶の水大の掲示板コメントを削除させたことに対する損害賠償請求および、山形大のblog内容を削除しなくていいことの確認(債務不存在確認)を求めている。山形大学には、削除要求のあったblog内容をそのままにしておいてほしいという不作為の請求を立てている。訴状提出は平成19年12月5日、事件番号は平成19年(ワ)第610号、第1回口頭弁論は平成20年1月23日である。

オーマイニュース」(OhmyNews、リンク切れ)において、大串富史氏の記事「不特定多数が書き込める掲示板は大学には不要?」が公開された。(2007-12-28、リンク切れ) Kikulogのスレッド「名古屋大学情報文化学部シンポジウム(12/15)」 (2007/12/5)に、大串氏が書き込みを行っているが、それによると、大串氏は吉岡氏から「大串は記者失格だ、自分とのやり取りを直接相手に送信した、係争中の案件についての自分の考えを、そのまま相手方に転送している、こんな記者はすぐクビにしろ、企画中の記事も中止しろ、これは要求です」(57. 大串富史 January 2, 2008 @23:13:34)といった内容のメールをもらったようだ。吉岡氏がこういったメールを実際に送ったことは、「水は変わる」の「オーマイニュースの取材について」(2008.01.08、リンク切れ)でも確認できる。実際に大串氏に送られたメールの内容は以下のようなものだったらしい。

送信 吉岡 2007年12月24日 11:42

宛先 大串 CC オーマイニュース編集次長 平野

件名 大串氏は記者失格です

 

平野氏へ

大串氏は、私とのやりとりを、そのままapjに送信しました。係争中の案件についての私の考えを、そのまま相手方に転送しています。こんな記者ってありますか?すぐクビにしなさい。そして、企画中の記事も中止しなさい。以上、要求します。

*************

吉岡事務所 代表 吉岡英介

こうした吉岡氏の態度を大串氏は「恫喝」として捉えているようで、ブログの「僕とオーマイニュースとに対する吉岡氏の恫喝を憂う」(2008-01-15)において次のように述べている。

僕は今回訴訟について吉岡様の言わんとしていることを最初は理解できず、メールで誤字等を指摘されなければならないような記者ですが、天羽様に吉岡様のメールの転送をもってクビだ企画中止だ、というのは、やはり形を変えた恫喝だと考えます。

 

裁判官の心証にかかわわるとか法廷闘争上不利になるとか、嘘偽りを報道されたとか、そういう時にはその点をぜひともご指摘いただければと思います。

 

一方で、そうでないのにクビだ企画中止だ、であれば、一体何を報道されたくないのかと、僕もオーマイニュースも、そして読者も考えざるを得ません。

2008年1月

天羽氏は、「水は変わる」の紙媒体とウェブ版でなされた天羽氏に対する名誉毀損を理由として、平成20年1月1日、吉岡英介氏を提訴した

これに対し、吉岡氏は「水は変わる」において、「山形大学理学部の天羽優子準教授が山形大学を訴えました」の「状況説明 1」、「状況説明 2 技術論」、「状況説明 3」(2008.01.08、リンク切れ)を公開した。天羽氏は「12月提訴の主な被告はマグローブ株式会社です」(01/09 15:25)において、つぎのような現状分析を行っている。

 吉岡氏は情報をわざとにゆがめるのが大得意のようで、私が山形大を提訴したというのを強調していますが、だまされてはいけません。

 主要な請求内容である、債務不存在確認&損害賠償請求は、マグローブ株式会社にに対するものです。

 

 大学に対する請求は、削除要求があった内容をそのままにしておいてほしいというだけのものです。これは、せっかくマグローブ株式会社を提訴しても、吉岡氏お得意のクレーム電話攻撃で大学が勘違いして「削除せよ」などということになったら、マグローブ株式会社を訴える理由が無くなってしまいますので、そうならないための請求です。つまり、マグローブ株式会社を訴えるので邪魔をしないでほしいというだけの話なんですね。

お茶大のサイト管理責任者である冨永靖徳教授が独立当事者参加の申立を行った。その「独立当事者参加申立書」が公開されたので、その一部を引用しておく。

『第3 参加人冨永の主張』のうち『2 マグローブの販売が「悪徳商法」と称するに値すること』の部分。

マグローブ株式会社のホームページに会長である原告が、商品「マグローブ」について、「家庭や産業界でマグローブを使うことで、洗剤や消臭剤が減らせたり、入浴の温度を少し下げても湯冷めしなくなったり、煮炊きの時間が短縮されたり、農産物の肥料や農薬が減らせたり、さまざまな面で省資源、省エネルギーが実現できます。」とマグローブの効能を説明している。

 しかし、参加人冨永は、水に関する研究を行っているものであり、同人の見識を前提にして、「マグローブ」の効能は、科学的根拠を欠くものであると理解している。

 特に丙2号証の「磁気活水にっけた小松菜がシャキッとなった」、「菊の花が磁気活水の方が長持ちした」、「犬が磁気活水をよく飲むと臭いが減って毛づやが良くなって元気になる」、「犬も猫も子供たちも、この水が大好きで、ジュースが欲しい等と言わなくなります。」、「美容院や理髪店ではシャンプーの使用量を減らせたり、髪の仕上がりがふっくらお風呂が気持ちよい」等の文言は明らかに不当な表示である。

 このことからして、「マグローブ」の販売についてはまさに「悪徳商法」に値するものであり、参加人冨永が削除の必要性がないと考えるのも当然である。原告は、参加人冨永に対して削除要求の通知すらしていない。

『第5 求釈明』の部分。

1 原告は、「マグローブ」の販売が「悪徳商法」ではないことを前提に主張をしていると思われる。

 そこで、同商品について「ご挨拶」というぺ一ジに記載の「マグローブの水は、生活面や健康面、産業面でさまざまな良い結果をもたらしてくれます。」について記載している効能の具体的内容を明らかにされたい。

2 1について、それを裏付ける合理的な根拠を明らかにされたい。効能をうたう商品を販売している事業者であれば当然景品類及び不当表示防止法4条2項所定の合理的な根拠を示す資料を有しているはずである。

3 「マグローブ」については、現在特許出願中と同社のホームページに記載されているが、マグローブ又は吉岡英介を出願者とする特許出願は見あたらなかった。マグローブについては、あたかも特許出願中の優良な商品であるかのごとく誤信させて商品を販売している可能性がある。そこで、特許の出願日及び出願番号を明らかにされたい。

2008年3、4月

2008/04/03、「人生100年ネット」(リンク切れ)のサイトの内容が削除され、移転先としてマグローブの公式ホームページへのリンクが貼られるのみとなった。これに先立つこと2008/03/19に富永教授の準備書面1が公開されている。この準備書面において「人生100年ネット」の内容が取り上げられていた。

「人生100年ネット」の「代表挨拶」には次のようなことが書かれていたらしい。

私たちはこの5年聞ほど,株式会社エッチアールディ(HRD)のダイポールという磁気活水器の普及活動をしてきました。5年前にその活水器に出会って,磁気が水に及ぼす不思議な力に驚き,その水が省資源,省エネルギーに役立ち,環境や健康に好い影響を及ぼすことに感動しました。このたび私たちは独自に,低価格で性能の良い新製品を開発しました。それが,ここにご紹介する「マグローブ」です。

ここに出てくる「ダイポール」とは、その効果を裏付ける資料がないとして、平成17年12月26日に公正取引委員会から排除命令(「株式会社エッチアールディほか2社に対する排除命令について」を参照)を受けた商品である。そして「マグローブ」は「ダイポール」との類似性から、これと同様に有りもしない効能を謳っているものと推定され、悪徳商法と称するに値することは明らかである、とこの準備書面には述べられている。

「人生100年ネット」には以下のような様々な効能も記載されていたらしい。

  • 「植物がよく育つ」
  • 「動物は血の巡りがよくなる」
  • 「脱臭効果がある」
  • 「結石ができにくい」
  • 「歯石がつきにくい」
  • 「ニワトリが好んで磁気活水を飲み、胃腸が整い、精神的にも落ち着いてきて、良いタマゴを生むようになりました」
  • 「病院や老人ホームのリネンを洗う洗濯工場では、磁気活水にしてから、洗剤を減らせて、柔軟剤も減らせて、仕上がりがふっくらして顧客に喜ばれて顧客が増えて、ボイラー効率も上がり、廃水処環も楽になって大幅増収増益」
  • 「中央市揚から出てくる魚の骨やハラワタから有用成分を分離する海岸立地のプラントです。プラント内はものすごい悪臭で、風向きによっては近隣の住宅地にも臭いが漂い、工場の存続があやうかったのですが、磁気活水器を取り付けることで臭いが軽減され、操業を続けることができました」
  • 「客席数30ほどの小規模なうどん屋さんでは、磁気活水にすることで、ダシがよく出る、ごはんがおいしい、肉がやわらかくなる、野菜が長持ちする、うどんの腰が強くなる、うどんのゆがき時間が短くなる、厨房の油汚れがなくなる、厨房の臭いが客席に漂うことが少なくなる、ゴキブリが減る、トイレがさわやかになる、などなど、さまざまな良いことが起こって、コスト削減、集客アップとなりました」
  • 「ある屋根付きサッカー場では、雨水をためて循環使用することで、芝生の育成をしていましたが、なかなか根付かず因っていました。そこに磁気活水器を導入することで、芝生がしっかりと育つようになって、間題が解決しました」

これらが「マグローブ」の効能として表示されているのであれぱ、それを裏付ける具体的資料を明らかにすることを富永教授は求めている。

さらに「人生100年ネット」の「2007.02.19研究開発と特許戦略」では、磁気活水器を取り付けたある牛舎と県の技術センターからの依頼で、磁気活水器を通る前の水と通った後の水、それを数日間タンクに置いておいた水、の3つのサンプルを「国立K大学のT先生」と称する人物が分析したことが述べられていた。その結果、3つの水には構造的な違いがあることを強く示唆するデータが得られたらしい。その後、マグローブとT先生は共同研究することになったようだ。

そこで、この「K大学のT先生」とは誰か、その人物の行なった分析とはどういうものか、3つの水の構造的な違いを示唆するデータの具体的な内容、を明らかにすることを富永教授は求めている。

2008年7月

冨永靖徳教授が提出した「丁第1号証」が公開された。この書面がおもしろいのは、『マグローブを通過させた水道水についてクラスターに変化が生じているか』という反証実験を行っていることである。水道水とマグローブを通した水道水について、3つの実験が行われ、つぎのような結果が得られた。

  • ラマン散乱スペクトルの比較を行ったが、変化はまったく見られなかった。
  • 赤外吸収スペクトルの比較を行ったが、変化はまったく見られなかった。
  • 表面張力の比較を行ったが、変化は見られなかった。
  • マグローブを通す前後の「水道水+2%サラダ油混合」液についても、表面張力の比較を行ったが、これにも変化は見られなかった。

このことより導かれる結論は以下のようなものである。

  1. 水のクラスターに対して、マグローブの磁気が影響を与えていないことが、振動分光学的な測定結果から明らかになった。
  2. マグローブを通した水の表面張力は低下せず、この水が油を良く溶かすかのような事実自体が認められない。

2009年2月

Archivesの「神戸の一審はとりあえず勝訴、相手方の控訴待ち」(2009/02/26)や「【平成19年(ワ)第1493号】判決主文」(02/26 15:30)によると、ようやく平成19年(ワ)第1493号の第一審の判決言い渡しが神戸であり、原告(吉岡氏)の全面敗訴となった。判決の主文は以下のようなものである。

1 原告の被告に対する請求をいずれも棄却する。

 

2 原告と参加人天羽優子の間において、別紙1電子掲示板目録記載の電子掲示板に別紙1文書目録記載の文書を書き込んだことにつき、参加人天羽優子の原告に対する170万円の損害賠償債務が存在しないことを確認する。

 

3 原告と参加人冨永靖徳との間において、別紙1電子掲示板目録記載の別紙1文書目録を掲示したまま削除しないことに対する参加人冨永靖徳の原告に対する170万円の損害賠償債務が存在しないことを確認する。

 

4 訴訟費用及び参加費用はいずれも原告の負担とする

2009年3月

原告(吉岡氏)は控訴しないということで、平成19年(ワ)第1493号の第一審の判決が確定した。

2009年7月

その後、マグローブ側は会社名と商品名だけ変えて商売を続けようとしているようだ。この指摘がなされたのは「mimonのブログ」である。すると、以前の手口同様、ブログ主に直接ではなく、その人が務めている会社に圧力をかけてきたとのこと。

2010年6月

平成20年(ワ)第5号第一審判決

2010年9月

この件に関して「水は変わる」にページが作成されている。

「東京地裁の判決 3」によると、吉岡氏は「賠償金55万円に2年半分の金利7万円ほどを加えた金額」を振込み済みとのこと。賠償金まで払っているのに、いまだに「冨永氏天羽氏の実験の欺瞞」とか言ってるとこが、吉岡氏のすごいところだろう。懲りないというかなんというか…

2010年11月

神戸の裁判の、訴訟費用確定の申立が認められて、原告に40万7690円の支払を命ずる決定が出ました。

中略

 ところで、悪徳商法関連でありがちなのが、悪徳業者が「遠隔地だから面倒がって被害者が(提訴あるいは)応訴してこないだろう」という甘い見込みにあぐらをかいているケースです。しっかり手間暇かけて対応すれば、旅費まで悪徳業者から取ることが可能になります。ですから、悪徳商法の被害者の方は、遠隔地だからとあきらめず、ぜひ、法的にきちんと対応してください。

関連リンク

天羽氏が発信している裁判情報

悪徳商法 マニアックス」の掲示板の関連スレッド

すべてリンク切れ。

オーマイニュース」(OhmyNews)の記事

2009年4月にオーマイニュースは閉鎖されたので、以下はすべてリンク切れ

Kikulogのスレッド

マグローブ側のサイト

2009年2月の敗訴を受けて、これらのサイトのほとんどは閉鎖されるか、閲覧が制限されている。