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やらせメール問題 (東日本大震災)

東日本大震災・デマ・風評被害・陰謀論

九州電力やらせメール事件

 国の原子力政策大綱策定に向け原子力委員会が05年8月に佐賀市で開いた「市民公聴会」で、九州電力が社員らに呼び掛け、参加者179人の8割超に当たる計150人に動員をかけていたことが分かった。また、発言者21人のうち7人は社員だった。九電を巡っては11年、玄海原発再稼働の是非を問う県民説明番組に賛成意見を投稿するよう社員らに求めた「やらせメール」問題が発覚。九電は「メール問題と同様の対応を公聴会で行ったと考えている。真摯(しんし)に反省する」と謝罪した。

 

 この公聴会は「原子力政策大綱(案)に対するご意見を聴く会」。国の原子力政策の指針となる大綱に、市民の声を取り入れようと05年8月18〜26日、全国5カ所で開かれた。このうち佐賀市内のホテルが会場となった22日の公聴会で、発言者21人のうち7人は九電社員とみられたため九電に確認したところ、九電側が社内調査した。

 

 調査の結果、7人は全員が社員(1人は現在OB)で、大半が佐賀支店に所属。公聴会には本店の原子力部門や広報部門から呼びかけがあり、残された記録によると、社員と関連会社社員ら計150人が参加者として記載されていた。当日の全参加者は179人で、83%は九電関係者だったことになる。

 

 発言した社員は「生活レベルを維持するには原子力が必要」「原子力以外、エネルギー問題の切り札はない」などと大綱案を支持する意見を述べていた。九電は「(会社側から社員に)発言するように指示があったかどうか調べたが、当時の内部資料には何も記載がなかった。本人たちも『覚えていない』と言っており、現時点で(指示の有無は)分からない状況」と説明している。

 

 その上で、やらせメール問題と同様の対応だったとし、「過去に開催された国のシンポジウム等において参加等を呼び掛けたことについては、イベントの開催趣旨に対して配慮を欠いた事と考えており、企業活動の透明化、組織風土の改善、再発防止に全社で取り組む」とコメントした。

 

 大綱は05年10月、以後10年程度の原子力政策の基本方針として、原子力発電で総発電量の30〜40%を維持することや核燃料サイクルを従来通り推進することなどを盛り込み、閣議決定された。

 九州電力玄海原発へのプルサーマル導入をめぐって、県が2005年に開催した公開討論会での九電のやらせをめぐり、県議会原子力安全対策等特別委は27日、当時の県原子力安全対策室副室長の田代典久氏を参考人として再招致した。

 県の内部調査で「県側が依頼した」と結論づけたシナリオ原案について、田代氏は「九電との日常的なやりとりの中で、依頼されたと受け取られるようなことがあったと思われる」と、調査内容を追認した。

 田代氏は九電への依頼について「不適切だった。誠に申し訳ない」と陳謝しつつも、職員の関与については「だれが、いつ、どのようなことを言ったかについては記憶にない」と述べるにとどめた。

 田代氏の招致は4月に続いて2度目。元室長の近藤正俊氏は出席を辞退した。当時の担当者だった県職員2人も「記憶にない」という認識を示した。

 九州電力は12日の臨時取締役会で、真部利応(まなべ・としお)社長(66)と松尾新吾会長(73)の退任を決める。トップ2人がダブル辞任することで経営刷新に取り組む姿勢を強調し、「やらせメール」問題を幕引きしたい考えだ。後任の社長には瓜生(うりう)道明副社長(62)が就く予定だが、失った信頼を取り戻すのは簡単ではない。

 

 松尾氏は相談役に退き、後任には貫(ぬき)正義副社長(66)が就く方向だ。社長と会長がそろって引責辞任するのは1951年の会社設立以来、初めてとなる。

 真部氏は昨年末の記者会見で今年度中に辞める意向を表明したが、九州経済連合会長を務める松尾氏は財界人事が混乱するのを避けるため、6月の任期満了まで続投する考えだった。

 

 だが、九電の実権は会長である松尾氏が握る。九電のガバナンス(企業統治)を厳しく批判してきた枝野幸男経済産業相も「経営の中心は会長と認識している」と指摘し、松尾氏の経営責任は免れないとの認識を示していた。松尾氏の続投に批判が集まれば、幕引きは難しくなる。

 

 昨年12月に原発がすべて停止した九電は、火力用の燃料費の負担増が1日あたり10億円を超える。電力の4割を原発に頼ってきただけに原発の運転再開が遅れるほど業績は悪くなる。これ以上、枝野氏と経営責任をめぐって駆け引きを続ける余裕はなかった。

 

 ダブル辞任で経営刷新のかたちを示し、新しい経営陣が信頼回復の取り組みを重ねて原発の早期再開に理解を得る――。九電はそんな再生シナリオを描く。経産省も、やらせ問題が収束すれば、原発事故を起こした東京電力や橋下徹大阪市長が運転再開に反対する関西電力と比べて、九電の「地元同意」のハードルは高くはないと見る。

 

 とはいえ、半年間にわたる経営陣の迷走は、原発がある佐賀県や地元住民らに強い不信感を残した。技術系の瓜生氏は火力発電部門の経験が長く、太陽光や風力といった新エネルギーの導入も担当する。火力の比重が高まるなかで当面の経営課題に対応するには適任だが、やらせ問題の反省を生かして信頼を回復できるかは未知数だ。(大畑滋生)

 

■九州電力の「やらせメール」問題の経緯

 

2010年

 

12月11日 玄海原発3号機が定期検査で停止

 

2011年

 

 1月29日 玄海2号機が定期検査で停止

 

 3月11日 東日本大震災

 

 6月21日 古川康佐賀県知事が九電幹部と面談

 

       「原発再開の賛成意見も必要」と発言

 

   26日 九電社員のやらせ投稿があった原発の説明番組を放送

 

 7月27日 九電、第三者委員会を設置

 

 9月30日 第三者委、調査報告書を九電に提出

 

       古川知事と佐賀県のやらせ関与を認定

 

10月14日 九電、国に報告書提出。県関与認めず

 

       枝野経産相が「理解不能」と批判

 

11月17日 枝野経産相、参院予算委で「今のガバナンスでは再稼働は認めない」と答弁

 

12月22日 九電、追加説明書を同省に提出

 

   26日 真部社長が記者会見で辞任表明

 九州電力は30日、11年4〜12月期連結決算を発表した。相次ぐ原子力発電所の停止に伴う代替火力発電用燃料費がかさみ、905億円の最終赤字を計上した。原発再稼働の時期が見通せないことから、通期業績見通しの公表は見送った。年間配当は、前期比10円減配の50円とした。減配は9年ぶり。

 

 最終赤字は4〜12月期として初めて。他社からの購入電力も含め燃料費が前年同期比1934億円も増加。「増加分のうち1620億円が原発停止の影響」(九電)で、原発再稼働の遅れが業績悪化に直結した。スポット購入した原油・重油代が重くのしかかった。

 

 売上高は、夏季の冷房需要の低迷や節電による電力需要減があったものの、燃料費調整制度の影響で料金単価が上昇したことから同1.2%増の1兆946億円を確保。一方、投資抑制や修繕費削減などのコストダウンを進めたが、燃料費の負担増は相殺できず、営業損益と経常損益はそれぞれ862億円、1063億円の赤字となった。

 

 眞部利應(まなべ・としお)社長は記者会見で、10円の減配にとどめた理由について「利益が多かった時は配当を抑えており、過去の蓄積から安定配当を行うため」と説明。眞部社長は電力料金の値上げは検討していないとし、通期業績見通しの公表時期は未定とした。

 

 同日開いた取締役会では、眞部社長ら全取締役の報酬を約20%、上席執行役員と執行役員は約15%をカットすることも決めた。カット期間は2月からで、終了時期は未定。役員報酬のカットは減配についての経営陣の責任の明確化と、今後も続くとみられる厳しい経営状況を踏まえ、経営合理化に向けた姿勢を内外に示す狙い。監査役の報酬も20〜15%カットする。

 

 また、豊前火力発電所(福岡県豊前市)にディーゼル発電機3台(各1200キロワット)を新たに設置し、7月下旬に営業運転を始める。廃止から運転再開に方針転換した(苅田かりた)発電所(同県(苅田かんだ)町)新2号機(37.5万キロワット、石油火力)=6月中旬営業運転予定=と合わせ、電力需要がピークを迎える夏場の供給力を確保する目的。【太田圭介、中山裕司】

 九州電力は25日、火力や地熱発電所計3か所で、社員による記録改ざんなど、内規に違反する不適切行為が新たに5件見つかったと発表した。

 

 経済産業省九州産業保安監督部は「電気事業法に抵触するものではないが、同社ではトラブルが続いており、立ち入り検査も含めて適切に指導する」としている。

 

 不適切行為が行われていたのは1984〜2007年度。火力では苓北発電所(熊本県苓北町)で07年度、タービンに潤滑油を送る予備ポンプの点検で、油圧データが実際は異常値を示したにもかかわらず、適正値を書き込んでいた。

 

 相浦発電所(長崎県佐世保市)では84年にボイラーの試験データ改ざんがあった。10〜11年には排気中に含まれる窒素や硫黄酸化物を測定する機器設定に誤りがあり、10年以上にわたって、実際より低い値を示していたことが判明。しかし担当者が上司に報告していなかった。さらに地熱の八丁原発電所(大分県九重町)では07年度、翌年度分の工事費を間違えて年度内に支払う不適切な処理が行われていた。

 九州電力は12日、社長と会長が4月1日付で交代する人事を発表した。新社長に就く瓜生道明副社長は技術系で真部利応社長の側近、次期会長の貫正義副社長は真部社長と同期入社の盟友とされ、「真部色の濃い人事」(九電幹部)。トップ2人の同時交代で経営刷新を印象付ける狙いだが、原子力発電所の再稼働や混乱した社内の統制など山積する課題を早期に克服できるかどうか、新体制の手腕は未知数だ。

 九州電力のやらせメール問題を調べた第三者委員会の郷原信郎元委員長は23日、九電からの質問状に対する回答書全文を公開した。第三者委報告書の正当性を改めて主張している。

 

 九電は質問状で「古川康・佐賀県知事の発言がやらせの発端になった」とする第三者委の認定について、「当社側が知事の発言内容を正しく受け止められず不正確なメモが出回ったことが原因で、第三者委の論理は合理性に疑問がある」などと反論していた。

 

 回答書で郷原氏は「疑問の根拠のほとんどは九電の主張に沿う九電関係者の供述で、証拠として無価値。第三者委報告書をおとしめようという露骨な意図が透けて見える」と批判した。

 

 郷原氏ら元3委員は、九電が回答を求めた期限の22日に回答書を送付。郷原氏によると、23日には九電から回答書全文を自社のホームページに掲載すると連絡があったという。

 枝野幸男経済産業相は22日の閣議後の記者会見で、九州電力が「やらせメール」に関する第三者委員会の報告書を否定している問題について、「自らのうみを出すことができる企業でなければ、原発を運転するような安心は得られない」と述べ、九電の対応を批判した上で、現在停止中の原発の再稼働は難しいとの考えを示した。

 九州電力の瓜生道明副社長は17日、都内で記者会見し、玄海原発の再稼働をめぐる古川康佐賀県知事の「やらせ」への関与について、九電と第三者委員会の見解が対立している問題で、経済産業省に再提出する報告書では「両論併記もあり得る」との考えを示した。

 九電は16日に第三者委に対し、古川知事の関与を認定した理由を示すよう求める質問書を送付。22日までに回答を求めている。瓜生副社長は第三者委の回答を待って、「極力速やかに結論を出したい」と述べた。

 枝野経済産業大臣は、九州電力がやらせメール問題で第三者委員会の提言を事実上、無視した点について改めて批判しました。

 

 枝野経済産業大臣:「(九州電力が)自ら検証したのでは信頼されない、信用されないというご判断があったからこそ外部の方に委託したのではないか。その報告についてはまず、そのまま受け止めるというのが普通の感覚ではないか」

 枝野大臣はこのように述べ、九州電力が第三者委員会に調査を依頼しながらも、その結果や提言の多くを報告書に盛り込まなかった点を改めて批判しました。また、九州電力の経営トップが交代しない限り、原発の再稼働について「地元住民の理解が得られにくい」と不快感を示しました。

 九州電力は14日、経済産業省に提出した「やらせメール」問題の最終報告書を、月内にも再提出する検討に入った。佐賀県の関わりを認めない内容について、枝野幸男経産相が強く批判したためだ。県の関わりを一転して認めるかどうかが焦点となる。

 

 枝野氏は同日、訪問先の中国で記者団に対し、報告書について「世間に対して出すということについて何を考えているのか」と述べ、再提出を求める考えを示唆した。また、九電の第三者委員会が県の関与を指摘したのに、報告書に盛り込んでいないことを「つまみ食い」「公益企業のガバナンス(統治)としてあり得るのか。大変深刻な問題」などと批判した。

 

 これを受け、複数の九電幹部は14日夜、朝日新聞の取材に「大臣に指摘された以上、修正して再提出するしかない」などと述べた。

 「やらせメール」問題に関する最終報告書を国に14日提出した九州電力の眞部利應(まなべ・としお)社長は同日、福岡市内の九電本社で記者会見した。古川康・佐賀県知事の発言が「やらせメール」問題の発端だったと同社第三者委員会(郷原信郎委員長)が認定しながらも、同社の最終報告書では知事関与に言及しなかったことについて、「いろんな人の供述から判断して無実という人にぬれぎぬを着せることはできない」と説明。従来の知事擁護の姿勢を変えなかった。

 

 第三者委は、国主催の説明番組の放送前に九電幹部と懇談した古川知事の発言が発端だったと認定していた。眞部社長は、第三者委と事実認定が異なったことには「(第三者委と)見解の相違が出てくるのはやむを得ない」と釈明した。

 

 同日の臨時取締役会では、眞部社長と松尾新吾会長の報酬100%カット3カ月など役員の処分も決めた。ただ、眞部社長と松尾会長は8月から報酬の全額を自主返納中で、処分は自主返納分までさかのぼって対象とした。眞部社長は役員の処分内容について「他産業の事例を見て軽い方ではない。重い方である」と強調。自身の続投については「多難な道のりだが課題解決に全力で取り組みたい」と意気込みを語った。【中山裕司】

 九州電力の「やらせメール」問題の舞台となった佐賀県民向けの原発の説明番組をめぐり、主催者の経済産業省資源エネルギー庁が、視聴者から募った運転再開に関するメール・ファクスの意見投稿数を、100件余り過少に公表していたことが分かった。集計上の都合と同庁は説明するが、九電の「やらせメール」分を除くと、再開反対が大きく上回っていた。識者からは「再開賛成が多くなるよう意図的にやったと疑われる行為だ」との批判が出ている。

 

 問題の説明番組は、6月26日にインターネットなどを通じて生中継された「しっかり聞きたい、玄海原発」。

 

 同庁は放送3日前に概要を公表。番組前日の同25日からメールとファクスで番組内で紹介する意見、質問を受け付けると告知した。実際には24日の午前中から投稿は届き始めた。番組終了後、投稿数は589件(再開賛成286件、反対163件、その他140件)と発表。その後、九電の調査で賛成のうち少なくとも141件が「やらせ」だったことが判明した。やらせ分を除くと、賛成は145件となり、反対がやや上回っていた。

 

 ところが、西日本新聞が情報公開請求して入手した投稿メール、ファクスのコピーを集計したところ、総数が704件あった。番組を所管する同庁原子力発電立地対策・広報室は「番組途中の午前11時11分ごろに締め切って集計した」と説明。番組では、同20分ごろから「受け付け終了」の告知が画面に表示されたが、午前11時11分以降、結果的に寄せられた115件については、集計に含まれていなかった。

 

 未集計分を本紙が集計したところ、内訳は賛成20件、反対は7割近くの76件、その他19件。九電のやらせ分を除くと実際の賛成投稿は165件、反対は239件となり、賛否の差は発表分より大きく広がる。

 

 同庁はやらせ問題が表面化しても数字を修正せず、実態とは異なる投稿数と賛否が「独り歩き」することになった。

 

 同広報室は「早めに投稿数を集計しようとしただけだ。意図的に反対数を減らそうとしたわけではない」としているが、誤解を招きかねない不透明な対応といえる。

 

 原発政策に詳しい九州大の吉岡斉(ひとし)副学長(科学史)は「国の対応は不誠実だ。九電側のやらせもあり、住民の意思がまったく無視された説明会だったことがあらためて明らかになった」と話している。

 九州電力玄海原子力発電所の再稼働を巡る「やらせメール」問題で、佐賀県の古川康知事は9日の県議会原子力安全対策等特別委員会で「やらせ」への関与を終始否定した。

 

 しかし、知事は国主催の説明番組に出演する人物の予定を事前に九電に知らせていた。一方の九電は知事をかばう姿勢を見せ続けており、両者のなれ合いの構図が、この日の知事の答弁を通じて、くっきりと浮かび上がった。

 

 6時間近くに及んだ質疑。日頃の歯切れの良い口ぶりは影を潜め、知事は慎重な言い回しに終始した。

 

 焦点となっていたメモは、知事が玄海原発2、3号機の再稼働に向け、賛成意見の投稿や県議会の工作を要請する内容だった。

  

 知事は、やらせメールの依頼や議会工作については否定。「発言が誤解され増幅された」とし、責任を取る考えはないとした。しかし、「全体としては私が話した項目通りだ」とも語り、メモが、九電幹部による全くの“捏造”でないことを認めた。

 

 知事は、国主催の説明番組(6月26日)開催に向け、担当者レベルで国と議論していたことを明かした。国の担当者も「経済界の人物も入れてほしいと県から要請された」と打ち明ける。

 

 知事は九電に対しては、「商工会議所の専務理事が参加予定」などと出演者の人選に関する情報を、番組の5日前に伝えていたという。「しゃべりすぎだった」と認めた知事は、議員から「九電は当事者。しゃべりすぎという次元の問題じゃない。常識はずれだ」と一喝されると、「より慎重であるべきだった」と反省の言葉を口にした。

 九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)2、3号機運転再開問題を巡り、経済産業省が先月26日に放送した県民向けの説明番組について、九州電力の眞部利應(まなべとしお)社長は6日夜に緊急会見し、九電側が関連会社に原発の再稼働に賛成する内容のメールを番組あてに送るよう依頼していたことを認めた。「やらせメール」の送付が同日あった衆院予算委員会の中で取り上げられ、国が調査を同社に指示した。眞部社長は「説明会の信頼を損なう結果になり、心からおわび申し上げたい」と謝罪した。

 

 眞部社長によると、番組放送4日前の6月22日、九電側から関係会社4社に「説明会の進行を見ながら、再開容認の立場で意見を発信してほしい」と依頼した。理由は「原子力の安全性、必要性に理解を広めてもらいたかった」と述べた。関連会社から何通のメールが番組に届き、紹介されたかなどは把握していないという。関連会社の社員は計2300人。

これはひどい。こういうことをやればやるほど信頼を損ねるということが理解できないのか?

  同社関係者によると、原子力発電本部の課長級社員が、上司の執行役員から番組があることを社内の原子力関係の3部署や子会社4社に周知するよう指示されたことを受けて、番組に発電再開容認の意見を投稿するよう求めるメールを発信していたことがすでに判明している。新たに、この執行役員の上司に当たる役員もこの指示に関与していたことが、関係者の話で分かった。

 

 また、九電社員らによると、これまでも原発周辺の住民向け説明会を開催する際などには、社員や関連会社の従業員らに呼びかけて、「住民」として出席するよう求めるなどしていたという。

 

 一方、課長級社員からのメールを受信した子会社4社では、社内インターネットの掲示板に掲載された文書にアクセスするなどして、少なくとも1500人がメールの内容を知っていたとみられる。このうち何人が実際に投稿したかなどは分かっておらず、各社が調査している。

 4社はいずれも原発関連の業務を受注している。4社によると、先月22日、各社とも社内の原子力担当部門の幹部らが、九電から依頼メールを受信。その内容を部下に転送したり、社内で回覧させたりしていた。

 

 原発の建設・補修などを請け負う西日本プラント工業(福岡市)の場合、九電の依頼メールとほぼ同じ内容の文書を、全社員(約2200人)がアクセスできる企業内インターネットの掲示板に掲載した。【福永方人、金秀蓮、斎藤良太】

 県幹部は放送1時間前の26日午前9時ごろ、武藤明美県議(共産)から「九電が賛成のメールを送るよう指示した文書がある。番組には八百長が仕組まれている」などと指摘を受けた。

 

 話を聞いた県幹部は「本当なら褒められた話ではない」と感じたが、実際の文書がなく、番組放送も迫っていたため、対応を取らなかった。その後も県主催の説明会が決まるなど業務に追われ、問題が発覚した6日まで九電への確認も取っていなかった。

 同社関係者によると、6月26日の県民向け説明番組が決まった後、副社長と、当時原子力発電本部長だった取締役の2人が、部下の部長(執行役員)に説明会開催を原子力部門の社員らに周知するよう口頭で求め、「よろしく頼む」などと語ったという。

 

 さらに、この話を部長から伝えられた課長級社員が番組開催4日前の同22日、子会社4社の幹部に「発電再開容認の一国民の立場から、県民の共感を得るような意見や質問を発信してほしい」とメールで発信。番組への投稿を依頼する「やらせメール」へと発展した。九電社内でも原発関係の3部署の社員に同様の趣旨のメールを送っていた。

 

 九電社員らによると、同社では以前から原発周辺の住民向け説明会を開催する際などに、社員や関連会社の従業員らに呼びかけて「住民」として出席するよう求めるなど、「やらせ」的手法が慣習化していたという。こうした習慣が、今回のメール問題の温床になっていたとみられる。

 

 一方、課長級社員からのメールを受信した4社では、社内インターネットの掲示板に掲載された文書にアクセスするなどして、少なくとも1500人がメール内容に接していた。実際に番組に投稿した人も一定数いたとみられ、各社は人数や投稿内容などを調査している。【斎藤良太、福永方人】

 説明会を放映した番組に寄せられた賛成メールの約2割が「やらせ」だったことになる。

 

 九電幹部によると、九電からの指示メールの内容を閲覧したのは、少なくとも子会社4社の約2300人と3事業所(玄海原発、川内原発、川内原子力総合事務所)の社員ら。このうち約50人が実際に賛成意見を送ったという。大半がメールによる投稿とみられる。

 

 経済産業省によると、説明会にはメール473件(賛成226件、反対119件など)、ファクス116件(賛成60件、反対44件など)が寄せられた。番組で社員らのメールが紹介されたかどうかは、わかっていないという。

 調査報告書によると、段上氏と諸岡雅俊・元原子力発電本部長(6月下旬に関連会社社長に就任)、大坪潔晴・佐賀支社長(当時佐賀支店長)の3人が6月21日、佐賀市内で会食。5日後に開かれる国主催の佐賀県民向け説明会の番組で、原発への不安の高まりから再稼働への慎重意見が中心になることを懸念し、賛成意見の投稿を増やすとの認識で一致した。

 

 段上、諸岡両氏は、中村明同本部部長(現・同本部副本部長)に番組の周知を指示。中村氏の指示を受けた課長級社員が投稿を求める指示メールを作成し、協力会社4社と社内の管理職に送信した。

 

 大坪氏は支店の部下に賛成投稿を増やすよう指示。支店の部長3人が、投稿内容の文例まで作成し、取引会社や顧客に投稿を要請した。投稿者は141人に上ることが判明し、賛成意見のほぼ半数が「やらせ」だったことが明らかになった。

自爆で壊滅状態。

例文まで出てきてしまった。(これは参考になる!?)

 ■将来的には再生可能エネルギーへ転換していくことが望ましいかもしれませんが、現段階においては、安全対策を講じながら原子力発電を運転していくことが必要であると考えます。そのことが九州経済、ひいては日本の経済維持発展に大きく寄与するものと考えます。日本全体のことを考え、九州を含む西日本が元気を出して、生産や経済を回さなければならない中、電力不足は絶対にあってはならないことです。発電所の安全対策を強化し、徹底した監視のもと、早く(九州の)原子力発電を再開すべきと強く要求致します。

 ■電力が不足していては、今までのような文化的生活が営めないですし、夏の「熱中症」も大変に心配であります。犠牲になるのは、弱者である子供や年配者の方であり、そのような事態を防ぐためにも、原子力の運転再開は絶対に必要であると思います。併せて電力会社の方には、万全な安全対策をくれぐれもお願い致します。

 ■太陽光や風力発電を否定するわけではなく、推進することも必要であると考えております。しかし太陽光や風力発電は天候に大きく左右され、利用率が大変に低いと聞いております。また、火力や原子力発電に比べて広大な面積が必要になるなど、現在の技術面・コスト面から考えますと、補助的な電源にはなっても、代替の電源となり得ることは到底無理であると思います。よって、当面は原子力発電に頼らざるを得ないと思います。

 ■科学的データに基づいて、今回の福島原発事故の事象の要因は津波であるとの国からの説明がありました。各電力会社では「緊急安全対策」に加え「シビアアクシデント対策」を実施しているとの新聞報道がありましたが、安全対策については十分に実施されており、発電を再開することについて全く問題はないと思います。国も「発電再開しても問題ない」と示しているにも関わらず、何故発電再開が出来ないのでしょうか。

 ■テレビにて「夏の電力供給力の見通し」の放送があり、電力供給の予備力が約3%しかないとのことでありました。もしも、現在稼働中の火力発電所でのトラブルや、全国的な猛暑などが続いた場合は、電力が不足し最悪の場合は停電が懸念されます。東京電力のお客様は、計画停電の実施により大混乱を招いたと聞いておりますが、そういう事態を招かないためにも、一日も早い原子力発電の再開を強く望んでおります。

 ■トヨタ自動車の豊田章男社長より、電力不足の広がりに対して「日本での物づくりは、限界を超えた」との記者団への発言がありましたが、電力不足が国内産業(生産)の空洞化に益々拍車をかけることが懸念されます。代替電源が直ちに準備できない現状では、原子力発電の再開は不可欠なものであります。

 「非常にけしからん話だ」。原子力安全委員会の委員長代理を過去務めた住田健二・大阪大名誉教授(原子炉物理学)は憤慨する。「世論誘導は原子力業界の常識だったのかもしれないが、電力会社がやるならまだしも、中立的立場をとるべき規制機関が世論誘導を促すのはあってはならない」と批判した。その上で「シンポジウムは原子力のあり方を国民が考える場なのに『そんな無理までしていたのか』と国民は感じるだろう。原発再稼働に大きなマイナスになるのは確実だ」と憂慮する。

もう、「やっぱりね」という感想以外なにもない。

 九州電力の真部利応社長が各支社を回って社員と直接対話した際、「やらせメール」問題について、「電力会社としての使命感から行ったことで、全て悪いとは言えない」などと話していたことが28日、複数の社員の証言でわかった。九電トップとしての問題意識の欠如を物語る発言で、社員から批判の声が上がっている。一方、この日記者会見した真部社長は、今回の直接対話を踏まえ、「社員の理解も得られた」と続投に自信をのぞかせた。

 

 九電によると、真部社長は8月末から1か月かけ、東京を除く8支社などを訪れ、全社員の1割以上、約2000人と直接対話した。

 

 複数の社員の話では、やらせメールの背景について、真部社長は「コンプライアンス(法令順守)というより、管理職のマネジメントの問題だ」などと説明。やらせメールを呼びかけた社員の行動を上司が掌握していなかった点が問題だとする認識を示した。

 

 さらに第三者委員会の批判を展開。「一般市民を装ってメールしたと言われているが、電力会社の社員も一般市民だ」などと述べたという。

こういう企業に原発の管理をさせることが、本当に安全なのだろうか?

 九州電力の委託で「やらせメール」問題を調査している第三者委員会(郷原信郎委員長)は、佐賀県が2005年12月に開いた原発に関する公開討論会で九電が「やらせ質問」をすることなどを、古川康知事が事前に認識していたとの見方を固めた。30日に公表する最終報告に盛り込む方針。

 

 第三者委や九電のこれまでの調査では、玄海原発(佐賀県玄海町)のプルサーマル計画に関する公開討論会の前、九電はやらせ質問や動員を計画し、九電関係者が質問するよう手配。参加者782人のうち366人、質問者18人のうち7〜8人が関係者だった。九電は事前に県と討論会の流れなどを協議し、やらせ質問の台本も作っていた。

 

 関係者によると、第三者委は九電と県の内部資料などに基づき、事前協議は複数回あったとし、知事がやらせ質問や動員を認識していたと判断。報告書では「知事が仕込み質問(やらせ質問)に気付かないのはおかしい」などの表現を検討中という。やらせを知事が少なくとも黙認していたことを認定する形だ。

 九州電力の「やらせメール」問題に関する第三者委員会の調査結果で、またも驚くべき事実が判明した。

 

 2005年のプルサーマル発電を巡る佐賀県主催の公開討論会で、県と九電が事前に進行を打ち合わせ、九電社員が農家になりすまして発言するなど巧妙な世論操作の実態が浮かび上がった。

 

 ◆周到な準備◆

 

 討論会は05年12月25日、佐賀県唐津市のホテルで開かれた。科学ジャーナリストをコーディネーターに、推進派と慎重派の学者ら6人がパネリストとして参加した。

 

 第三者委の調査結果によると、九電は討論会を成功させるため、県に対する全面的な協力体制を敷いた。事前の県との打ち合わせで質問者の配置を決め、議事録にまとめていたという。

 

 3連休の最終日で、クリスマス当日だったこともあり、来場者が少なくなることを懸念し、社員らを徹底して勧誘。その結果、約700人で埋まった会場の半数を九電関係者が占めた。

 

 6ブロックに分けられた会場で「仕込み質問者」を分散させ、それぞれに支援部隊を20人ずつ配置。プルサーマル発電の安全性を印象づけるため、最後は「推進の質問」で終わるようなシナリオを作成し、県に渡していた。「コーディネーターに質問者の着席位置を伝えておく」と記載された社内資料も残っているという。

 

 ◆7人が九電関係者◆

 

 討論会では、18人が質問に立ち、賛成派8人のうち7人が九電関係者だった。ほとんどが九電が用意した原稿を読み上げる形で発言。

 

 最初に質問した社員は手帳を見ながら、「危ない、危ないと言われて、玄海1号機が運転を開始して30年近くたつが、私の家で作っている米とか野菜が放射能の影響で売れなくなったことはない」と農家を装った。

閉鎖的な玄海原発説明会

やらせメール問題以前にも、玄海原発説明会は閉鎖的であるという批判があった。

 定期検査で停止中の九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)をめぐり、経済産業省資源エネルギー庁は23日、運転再開に理解を求めるため政府が佐賀県民向けに開く説明会の概要を発表した。会合はケーブルテレビなどで中継するが、参加者は国が選定した数人に限定、会場は非公表で報道陣の現場取材も認めない方針。広く県民の声を聞くはずの説明会の閉鎖性に、疑問の声が上がりそうだ。

 

 同庁などによると、参加県民は地元広告代理店が「偏りなく」候補者を15人ほどリストアップし、国がその中から7人程度選ぶという。国がふさわしくないと判断した候補者が除外され、恣意的に議論が進められる可能性は否定できない。

 説明会を巡っては、経産省が地元広告代理店に委託して選んだ県民7人に参加者を限定し、一方的に放送する「番組」になったことから、「国の宣伝」との批判が相次いだ。【竹花周】

こういう説明会のやり方で信頼を得られると日本政府は本当に思っているのだろうか?形だけ取り繕って、あとは自分たちの都合のいいように話を進めるという時代遅れなやり方はもうやめるべきだ。

北海道電力の「やらせ」

 北海道電力泊原発(後志管内泊村)3号機のプルサーマル計画をめぐるやらせ問題で、道が設置した第三者検証委員会(委員長・小寺正史弁護士)は22日、道の組織的関与は認められなかったとする調査結果をまとめる方針を固めた。ただ、当時の村井悟・道原子力安全対策課長(現釧路総合振興局長)については、2008年7月8日の北電との打ち合わせの際の発言が、やらせを後押しした可能性があるとの見方を強めているもようだ。検証委は23日に高橋はるみ知事に調査報告書を提出する。

 

 複数の関係者によると、検証委は高橋知事をはじめ道職員、北電社員らから聞き取り調査を行い、関係資料や電子メールなどを分析。その結果、知事、副知事、部長職ら道幹部が部下の村井元課長らに対し、北電にやらせを働きかけるよう指示した事実がなかったことなどから、組織的関与はなかったと判断したとみられる。

 北海道電力泊原発3号機のプルサーマル計画をめぐる「やらせ」問題を受け、北電の佐藤佳孝社長が26日、道議会特別委員会に同社幹部7人とともに参考人として出席した。議員からの質問は約3時間に及んだ。佐藤社長はやらせへの関与や辞任の考えを改めて否定。北電側は、定期検査で停止中の泊1、2号機の早期再稼働の必要性を訴えた。

 北海道電力泊原発3号機増設を巡り、00年に道内5会場であった「道民のご意見を聴く会」(道主催)で、北電の社員やOB、労組関係者、取引企業社員の延べ47人(実数43人)が意見陳述やアンケートへの記入などで増設賛成を表明していたと20日、共産党道議団などが発表した。後に副社長の支店長や常務になった社員も含まれている。

 

 記者会見した真下紀子道議らによると、「聴く会」会議録に記載されている賛成意見の名前を照合し、北電関係者に確認した結果、47人が北電社員らと同姓同名で、半数以上が北電社員だった。

 

 会場別では、泊村1人▽旭川市11人▽札幌市29人▽帯広市4人▽函館市2人。このうち札幌、函館会場の2人が意見陳述。7人は意見陳述の希望用紙に意見を書いて提出したものの、選ばれなかった。38人はアンケートに記入した。アンケートには5会場で202人が回答しており、北電社員らは2割弱に上る。

 

 「聴く会」は、99年に北電広報部が社員に賛成意見を出すよう文書で指示していたことが発覚したため、00年に延期されていた。真下道議は「00年でも(組織的なやらせが)行われていたことが容易に推測できる」と指摘した。

 

 北電広報部は「共産党が発表した事実については把握していない。基本的には社員が自らの意思で集会に参加することや意見を提出することは個人の思想・信条に基づくものであり、会社として制約することはできない」とコメントしている。【高山純二、田中裕之、吉井理記】

 北海道電力泊原子力発電所(北海道泊村)3号機の建設計画を巡り、2000年3月に北海道が開いた意見聴取会で賛成意見を表明するよう要請されたと住民が証言した問題で、北電は13日、働きかけたことを認めた。

 

 北電広報部によると、住民の窓口役を担っていた泊事務所渉外課員5人から聞き取った結果、「会合に出席して、推進の声を出していただくようにお願いした」ことを確認したという。ただ、働きかけた住民について、北電広報部は「日ごろの対話活動で把握している(建設に)推進意見の住民」とし、「発言内容自体は本人の意思で強要はしていない」と説明している。 

 北海道電力は26日、記者会見し、泊原発3号機(泊村)のプルサーマル計画をめぐるシンポジウムでの「やらせ」疑惑について、社員に参加と推進意見の表明を求める文書をメールで送ったと認めた。

 

 問題となったのは、2008年10月12日のシンポで、道と泊村など地元4町村の共催で岩内町で開かれた。約380人が参加した。北電によると、メールは同3日付で、現地事務所渉外課が各課に送った。

 

 北電は、メールを発送した経緯や出席した社員数、意見表明の有無などについて今後、詳細に調査するとしている。

 

 泊村の牧野浩臣村長は、取材に対し「大変遺憾。北電が安全対策をしっかり行えば、やらせなどする必要がない」と指摘した。

その他のやらせ