ウィリアム・ロドリゲス (911陰謀論)
ウィリアム・ロドリゲス(William Rodriguez)はWTC1倒壊の生存者で、自ら救命活動に参加した英雄でもある。その後、彼は陰謀論を支持する911真相究明運動に参加した。Rodriguez氏については以下のサイトを参照してください。
- ブログ:「ままならねーことこのうえねー」
- 「ウィリアム・ロドリゲスの物語(1)」 2007/12/4(火) 午前 6:59
- 「ウィリアム・ロドリゲスの物語(2)」:2007/12/5(水) 午前 7:19
- 「ウィリアム・ロドリゲスの物語(3)」 2007/12/6(木) 午前 6:35
- 「ウィリアム・ロドリゲスの物語(4)」 2007/12/7(金) 午前 7:28
- 「ウィリアム・ロドリゲスの物語(5)」 2007/12/9(日) 午前 5:18
- 「ウィリアム・ロドリゲスの物語(6)」 2007/12/11(火) 午前 5:18
- 「William Rodriguez」:「911Myths... Reading between the lies」
- 「William Rodriguez, Escape Artist」:To a hero of 9/11, the truth is a straitjacket. By Mark Roberts
ロドリゲス氏は2001年当時、WTC1の管理人であり、階段の清掃を担当していた。彼は各階段のマスターキーを持っていたので、かけつけた消防隊や救急隊のために非常口を解錠することができ、WTC1崩壊直前まで救出活動に参加していた。
ロドリゲス氏はこうした功績により、生まれ故郷のプエルトリコ議会から「国民英雄賞」(National Hero Award)を授与され、2002年にはホワイトハウスに招かれてブッシュ大統領と握手もしている。さらに2006年にはラテン系アメリカ人共同体支援の生涯にわたる偉業により「ラテン民族栄誉国民賞」(Latin Pride National Award)を受賞した。
ところが、彼はのちに911真相究明運動の活動家となり、2004年10月、ブッシュ大統領、チェイニー副大統領、ラムズフェルド国防長官、アメリカ合衆国(USA)、FEMA、アメリカ国土安全保障省(DHS)などを含めた156の個人と団体を、「威力脅迫および腐敗組織に関する連邦法」(RICO)に基づき、911陰謀の共謀者として告訴した。(文献1) その内容は、WTCの制御解体やペンタゴンへのミサイル攻撃といった911陰謀論のほぼすべてを網羅するようなものだった。
もちろん、有効な証拠は何一つ提出されておらず、2006年6月26日、USA、FEMA、DHSの3被告に対するロドリゲス氏の告訴を法廷は却下した。残り153の被告については、訴訟を却下してはならない根拠を示すよう、翌月まで猶予期間が与えられた。しかし、Rodriguez氏はこれに応じなかったため、同年7月17日に残りの153被告についても、訴訟が却下された。
ロドリゲス氏のサイトは「911Keymaster.Com」を参照してください。彼はもともとマジシャンになることを夢見て、プエルトリコからニューヨークにやって来た。ジェイムズ・ランディの助手を務めていたこともある。JREFフォーラムの「5th December 2006, 07:49 AM」でロドリゲスに対するランディ自身のコメントを読むことができる。
ロドリゲス氏の証言
Rodriguez氏は、旅客機がタワーに突入する以前に、彼のいたB1階より下で爆発が起こったと主張し、それはWTCを倒壊させるための爆弾であったと解釈している。しかし、911真相究明運動への参加前後で、彼の証言には一貫性がないことが指摘されている。
9/11当日の午後に録音されたCNNによるロドリゲス氏の電話インタビュー(文献2)を 「911myths…」の「Rodriguez_CNN1.avi」で聞くことができる。それは以下のようなものだった。
私は地下にいた。管理会社のための階だ。そして大きなとどろくような音を聞いた。衝突するような音ではなかった。大量の家具を動かしているような大きな音だった。そして突然、別の轟音を聞いた。そして、男が駆けてきた。われわれの事務室に駆け込んできた。彼の皮膚はすべて剥がれおちていた。全部の皮膚が。
2009年1月、911委員会の集めた資料「9/11 Commission Records」が公開され、その中にはロドリゲス氏の証言に関するノートも含まれていた。911 Mythsの「NYC Box4 William Rodriguez」でそれを読むことができるが、ロドリゲス氏が911委員会の前で行った証言は以下のようなものだった。
彼は即座に爆発はジェネレータによって生じたものだと思った。最初の爆発の直後、2回目の爆発が建物を揺すり、職場の仮天井を破壊した。これらの爆発のあとに、ひどい火傷をおったFelipe David氏が職場に駆け込んできた。ロドリゲス氏は3番目の爆発もあったとし、そのときは、爆発は地震によって生じたものだと思ったと話している。
ところが、2006年には彼の証言は以下のように変わっている。(文献3)
私は下からの大爆発を聞いた。B2かB3階だ。男が階段を登ってくるのを見た。彼の腕の皮膚は剥がれて…、垂れ下がっていた。そして別の爆発を聞いた。それは上からだった。それは最初の旅客機が建物に激突した音だった。
ロドリゲス氏の証言は以下のページでも読むことができる。
- 「Transcript of NIST Public Meeting in New York City」 February 12, 2004 (pdfファイル)
- 「William Rodriguez, a 9-11 Survivor」 By Deanna Spingola, The Conservative Voice, August 25, 2005 06:13 AM EST(リンク切れ。代わりにこちら(RenewAmerica)を参照)
- 「William Rodriguez: 9/11 Hero」 Google Video (2006年6月25日、American Scholars Symposium)
ところで、地下にいたロドリゲス氏に、いつ飛行機が90階以上の階に突入したか、その時間を正確に知ることができたのだろうか?なぜ2回目の爆発が飛行機の突入によるものであり、1回目の爆発はそれより前に起こったと判断したのか、その根拠は示されていない。
「ウィリアム・ロドリゲスの物語(2)」では、飛行機の衝突時の爆発音は、ロドリゲスのいたWTC1の地下においては聞こえなかった可能性が高い(振動は伝わったろうが)としている。Mark Robertsのサイトの「Some people near the aircraft impacts didn't hear them」では、旅客機が突入したすぐそばの階にいた人たちでさえ、衝突時の爆発音を聞かなかったという証言を集めている。
NISTの報告書や「9/11 Commission Report」(文献4)には、突入した11便のジェット燃料の一部はエレベーターのシャフトを通じて地下の階まで達したことが書かれてある。ロドリゲス氏の経験した轟音などは、エレベータの落下とジェット燃料の燃焼に関連した事象であると解釈するのが妥当である。
「ウィリアム・ロドリゲスの物語(4)」では、ロドリゲスが聞いた1発目の爆発音は、落下した貨物エレベーターが地下で起こした爆発音であり、2発目の爆発は、貨物用エレベーターを下ってきたジェット燃料と、その炎が起こした爆発であったと解釈している。
ロドリゲス氏の話に登場するFelipe David氏はエレベータの前で被害にあっており、その火傷の状態もジェット燃料が燃焼したことによると考えられる。アクション映画などの爆発では火炎が激しく燃え上がるが、あれは派手に見せるために燃料を燃やしているので、実際の爆弾の爆発とは異なる。
また、アメリカン航空11便がWTC1に突入したのは午前8時46分のことだが、WTC1が倒壊したのは10時28分のことである。1時間42分前に地下で爆発のようなものがあったとして、それがWTC1の倒壊とどう関係があるのだろう?WTC1の倒壊は旅客機が突入した階から始まっている。地下からではない。時間的にも位置的にもずれているので、ロドリゲス氏が経験したことがWTC1倒壊に直接関係しているとは考えられない。
参考文献
- 「William Rodriguez v. U.S.A.」 Rodriguez v. U.S.A. and 155 Others
- 「Airplanes Hit The World Trade Center」 CNN BREAKING NEWS, Aired September 11, 2001 - 13:30 ET
- 「The Ground Zero Grassy Knoll」 Reported by Janelle Nanos, New York News and Features
- 「9/11 Commission Report: Final Report of the National Commission on Terrorist Attacks Upon the United States」 National Commission on Terrorist Attacks, W W Norton & Co Inc (2004/8/1)