オーラ写真
「オーラ写真」というと普通は「キルリアン写真」のことを思い浮かべる。S. D. Kirlianがオーラのようなものを写真撮影できると主張したのが、1930年代後半のことである。キルリアン写真については再現性のある実験ができ、詳細な科学的検証がなされており論文も出ている。 たとえば、 「Image modulation in corona discharge photography」(文献1)。キルリアン写真は被写体に高電圧をかけておかないと撮影できないので、その正体は「コロナ放電」であるとされている。よって「キルリアン写真」と呼ぶよりは、この論文の表題にあるように 「コロナ放電写真(corona discharge photography)」 と呼んだ方が、誤解が少ない。 ここで「放電」とは、高い電圧をかけておくと、本来は電気を通さない気体などの絶縁体を通じて電気が流れることを言い、その際、発光を伴うことがある。コロナ放電ではごく微量の電流しか流れない。冬場、静電気で帯電したセーター等も暗闇で放電すると光って見えるが、あれと似たようなもの。
また、キルリアン写真のパターンに大きな影響を与えるのは、空気中の水蒸気であることもわかっている。生きているものでなくても「キルリアン写真」は撮影することができ、文献1では、木片を濾紙でつつんだものの「キルリアン写真」も撮影している。
なお、インターネットを検索するとわかるが、「キルリアン写真」以外の「オーラ写真」も存在する。(ゲームセンターに「オーラ写真機」が置いてあったりすることもあるらしい。これはプリクラの一種?) そういったオーラ写真の1つの体験記を「デイリーポータルZ」の「「気」を映像化する〜「オーラ写真」体験レポート」で読むことができる。このオーラ写真では、職業の向き不向きが診断できるそうだが、その職業のリストの中には、スカイダイヴァー、ハングライダー、未開地ガイド等といったユニークなものも含まれているようである。
このレポートによると、「人体からの電磁波信号をバイオフィードバックしている」とのことだが、手のひらをセンサーに直接当てていることから、電極により皮膚の電気抵抗を測っている可能性もあると思われる。「心の道具屋 Mind Craft」の「PCオーラ・メーター」によると「手足の電気抵抗を測定して、なんらかのルールで色に変換し、「オーラカラー」とする商品はいくつかあります」とのこと。カメラの場合、2重露光により「オーラ」を人物像の上に重ねるとこもできると考えられる。
以前、大阪大学菊池誠教授のブログ「kikulog」でオーラ写真が話題になった時、アメリカでは、オーラ写真を批判するような団体は、オーラ写真機の販売会社に訴えられて負けていました、というような内容の書き込みがあった。(「MBSのVOICEで批判特集」の49番目の書き込み) これに対する菊池先生の回答は「オーラ写真なら大丈夫ですよ。訴訟になった場合、最後は販売側が「オーラの実在」を証明しなくてはならなくなるはずです。」であった。
参考文献
1. 「Image modulation in corona discharge photography」 J. O. Pehek, H. J. Kyler, D. L. Faust, Science 194, 263-270 (1976)
2. 「デイリーポータルZ」の「気を映像化する〜オーラ写真体験レポート」
3. The Skeptic's Dictionary 日本語版の「キルリアン写真 Kirlian ``photography''」の項目
4. The Skeptic's Dictionary 日本語版の「オーラ auras」の項目
5. 「心の道具屋 Mind Craft」の「PCオーラ・メーター」の項目