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ジェイムズ・ランディ (James Randi)

マジシャンであり、インチキ超能力者のトリックを暴露するデバンカー(インチキの暴露をする人)。「超常現象100万ドルチャレンジ」を主催する。これについては、「超常現象の謎解き」の「ランディのサイキックチャレンジ」のページに詳しく日本語で解説されている。もともとランディはショービジネスの人なので、そのデバンキングの手法はエンターテインメント的な要素が強く、テレビにもよく登場する。

ASIOSのブログ「ジェイムズ・ランディがガンを告白」(2009年07月28日)によると、2009年7月にラスベガスで開催されていた「The Amaz!ng Meeting 7」(TAM7)において、ジェイムズ・ランディがガンの治療中であることを告白したそうだ。(文献14) 

なお、超常現象100万ドルチャレンジは2010年3月6日をもって終了するというニュースが一時流れた(文献11〜13)が、以下の記事によると、その後、終了宣言は撤回され、存続することが決まったようだ。

ランディのビデオクリップ集

ランディが登場するビデオは、インターネット上のYouTubeなどで、多数見ることができるので、ここでそのいくつかを紹介しておく。なお、ユリ・ゲラーに関するものはユリ・ゲラーの項目で既に紹介してあるので、そちらを参照してください。
(*注:ここに書かれていることは、英語のヒアリングに基づいているので、本や記事の訳よりどうしても不正確さが残るということを御了承ください)

James Randi Debunks Peter Popoff Faith Healer

Peter Popoffという名のテレビ伝道師(televangelist)の信仰治療(faith healing)についてのデバンキング。神の奇跡で悪魔を追い払い、癌などの不治の病気を治すことができると主張している。伝道会場に集まった大勢の信者の名前や個人的な情報、かかっている病名を超常的な力で言い当てることができた。ところが、ランディらが会場に無線の受信機を持ち込んでみると、信者があらかじめ個人情報を書き込んだ登録カードをもとに、Popoffの妻(Elizabeth Popoff)が情報を無線で送信していたということがわかった。1987年にPopoffは破産したとのこと。

ところが、「Peter Popoff is bigger than ever」によると、20年後の現在、見事に復活している。今回は「奇跡の泉の水」というものを使った商売を行っているようだ。しかし、その仕組みはこのビデオを見ただけではよくわからない。奇跡の水自体は無料で配布されているらしい。ただ、この水を注文すると、いっしょに「神聖な死海の塩の袋」というものも送られてくる。これを$27の小切手に振りかけてPopoffに送り返さないといけないらしい。この商売はものすごく儲かるようで、納税申告によると2005年には、$2300万の収益があったようだ。Popoffは$210万の豪華絢爛な家に住み、$10万のポルシェを乗り回している。

こちらのビデオ「Peter Popoff and James Randi on 20/20」では、Popoffの新しい商売のやりかたがもうちょっと詳しく紹介されている。「奇跡の泉の水」はロシアのものだそうで、チェルノブイリの原発事故の後、その奇跡の力で多くの人を救ったということになっている。この水を取り寄せると、細かな指示が書かれた手紙もいっしょに送られてくる。その指示によると、この水と一晩いっしょに寝た後に、起床直後に飲まないといけない。空になった水のチューブに祈りを捧げ、$17を同封してPopoffに送り返さないといけない。そしてPopoffのメーリングリストに載ると、今度は$27で「死海の塩」を買えと言われる。この塩は三日間で使い切らないといけない。(成分分析を行った結果、この塩は死海のものではなかった) さらに$27で金と銀でできたブレスレットを買わないといけない。さらにさらに$200で葉っぱの切り紙を買って、チャートの上に1つずつ乗せるという儀式を行うように指示される。

なんで、こんなもんで儲かるのかさっぱりわからないが、このビデオで今度はポルシェではなくて、ベンツに乗っているところをPopoffは撮影されている。

James Randi examines Faith Healing

これもfaith healer(信仰治療師)についてのデバンキングである。前半はWalter V. Grantという名のヒーラー、後半はPopoffについてである。

GrantもPopoffと同様に会場に集まった信者の病名などの個人情報を言い当てることができたが、そのトリックはもっと単純なものである。それは、集会の始まる2時間前に集まった30人ほどの信者に事前にGrant自身がインタビューするというものである。実際に集会に集まった何百人もの人はそのことを知らないので、Grantが超常的な能力で言い当てているように見える。周りを指差して「ここにいる誰かにそのことを聞かれたか?」ともGrantは聞くが、インタビューしたのはGrant自身なので、答えは「いいえ」だ。ランディは集会後のゴミ箱からカンニング用の個人情報を書いたメモも見つけている。

また、Grantは歩くことに困難があったり、腰痛のある信者に対して、「それは片方の足が短いからだ」などと言う。そして信者の両足をそろえて持ち上げるが、その時身体の正面から横に足をちょっとずらすことにより片足が短いように見せかけている。Grantは超常的な力により短いほうの足を伸ばすことができるとしているが、単に両足の角度を変えて正面に持っていっているだけである。また、歩くことのできる人をわざわざ車椅子に乗せておいて、超常的な力でその場で歩くことができるようになったと見せかけるというトリックも使っている。

日本でヒーラーというと「癒し」というイメージがあるが、この二人のヒーラーのやり方はかなり過激だ。Popoffはインタビューに答えて、奇跡が起こるのであれば、無線を使うトリックのどこが悪い?と開き直ってさえいる。Popoffは疾患のある信者が必要とする医薬品を「神の力で、もう必要なくなった!」として舞台の上に放り投げて捨てさせてもいる。これはかなり危険な行為である。

James Randi exposes James Hydrick

James Hydrickという超能力者が、サイコキネシスで鉛筆を動かしたり、電話帳のページをめくる事ができると主張している。Hydrickは中国人の老人のもとで修行したと主張しているが、日本人の目から見ると、変な格好をしたイタイ外国人にしか見えない。ランディは、この超能力のトリックは、息を吹きかけて動かしているだけだとして、電話帳の周りに軽い発泡スチロール(styrofoam)の小片をばら撒いた。結局、Hydrickはこの状態では電話帳を超能力でめくることはできなかった。

Hydrickが登場する別のテレビ番組のビデオクリップを「James Hydrick on "That's Incredible"」で見ることができる。ここでは鉛筆を動かす技で、懐疑的な司会者に「息を吹きかける音がした」と批判されたので、司会者の手を口に当てた状態で鉛筆を動かしている。ただし、鉛筆を動かす直前に鉛筆のバランスを調整しているので、それがトリックだったとされている。英語版のwikipediaのJames Hydrickの項目によると、彼は1981年にイカサマを告白している。

James Randi in Australia

「diviner」のデバンキングに関する43分の長編ビデオを見ることが出来る。「diviner」とは、変な形の棒や針金を使って、地下の水脈や金属の位置を当てる占い師のことである。つまり、これはダウジングのデバンキングに関するビデオである。実験が行われたのはオーストラリアであり、見事ダウジングに成功した場合の賞金としてランディは$1万を用意していた。ところが、この賞金はその他の懐疑論者の協力により最終的には$4万まで引き上げられた。80〜100%の確率で地面の中に埋まっている物の位置を当てることができると信じているダウザーが、我こそはと馳せ参じている。

シドニーの郊外で驚くほど大規模な実験が行われたのがわかる。機械で地面を掘り返して、ダウザーの目の前で10本の大きなブラスチックのパイプを埋めている。水はポンプで流されると、ポンプの発生する磁場のせいでダウジングに失敗する可能性がある。そこで、水を溜めるタンクが用意され、パイプは傾斜をつけて埋められ、重力のみで水が流れるようにされた。さらに埋められた真鍮と金の延棒の位置を当てる実験も行われた。偶然であたる確率はどの実験も10分の1である。

結果は、

  • 埋められた真鍮の位置を当てることができたのは、26回中0回であった。(正解率0%)
  • 埋められた金の延棒の位置を当てることができたのは、35回中4回であった。(正解率約12%)
  • 水の流れるパイプの位置を当てることができたのは、50回中11回であった。(正解率22%)

合計で正確率は12%であった。つまり、偶然で当たるよりちょっとだけよかっただけだった。

ランディ vs シルビア・ブラウン

この件に関しては、シルビア・ブラウン(Sylvia Browne)の項目を参照

Equinox: The Secrets of the Psychics

この件に関してはThe Secrets of the Psychics (Equinox)を参照。

ランディの著書


参考文献

  1. 英語版Wikipediaの「James Randi」の項目。
  2. ジェイムズ・ランディ教育基金:James Randi Educational Foundation
  3. CNN.com Transcripts:「CNN LARRY KING LIVE」(Interview with Larry Birkhead, Aired January 26, 2007) ここでシルビア・ブラウンに関するラリー・キング・ライブでの会話の書き写しを読むことができる。(ページの下のほう)
  4. Sylvia Browne's Clock - Update」 ジェイムズ・ランディ教育基金のサイトのページ
  5. StopSylviaBrowne.com」 反シルビア・ブラウン(?)なサイト
  6. CNN.com Transcripts:「ANDERSON COOPER 360 DEGREES」(Aired January 19, 2007)
  7. CNN.com Transcripts:「ANDERSON COOPER 360 DEGREES」(Aired January 30, 2007)
  8. Follow-up to "Montel: Shawn Hornbeck Reading"」 「StopSylviaBrowne.com」内のショーン・ホーンベックに関するページ
  9. Opal Jo Jennings: Reading on the Montel Williams Show」 「StopSylviaBrowne.com」内のOpal Jo Jenningsに関するページ
  10. hasukami氏のブログ「問はず独り語り」でもCNNのアンダーソン・クーパーのシルビア・ブラウンに関する番組の要約と解説を見ることができる。2007/05/31から06/06にかけてのエントリ「生きていた死者 その1〜5」を参照のこと。
  11. The JREF Million-Dollar Challenge」 SWIFT, January 4, 2008
  12. Time is running out for paranormal prize」 Nature 451, 235 (2008)
  13. Skeptic's Dictionaryの「Randi $1,000,000 paranormal challenge」の項目
  14. The Amazing Meeting 7: intro, Bidlack/Plait/Randi, Prady」 The Lippard Blog, Tuesday, July 21, 2009