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セシウム (東日本大震災)

東日本大震災・デマ・風評被害・陰謀論

生物濃縮について

魚介類

当初、水産庁は「放射性物質は魚介類の体内では濃縮されない」としていたが、まずヨウ素が検出され、次いでセシウムも検出された。

 福島県は28日、飯舘村の新田川(にいだがわ)で捕れたヤマメから国の暫定規制値(1キロ当たり500ベクレル)を大きく超える1万8700ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。昨年4月にいわき市沖で捕れたコウナゴの1万4400ベクレルを超え、海を含め魚からの検出値では最高となる。県は関係漁協に新田川本流・支流全域でヤマメを捕獲したり、食べないよう自粛を要請した。4月のヤマメ漁解禁の前に試験採取したもので、流通していない。【乾達】

政府は20日、食品衛生法の暫定規制値を超える放射性物質を検出したとして、福島県で水揚げされる コウナゴ(イカナゴの稚魚)の出荷停止と摂取制限を同県に指示した。原子力災害対策特別措置法に基づく魚介類の出荷停止措置は初めて。福島県では既に全域で出漁を自粛しており、市場には流通していない。福島県で水揚げされるコウナゴは年間約8700トン(08年)で、全国の約14%を占める。厚生労働省によると、福島県いわき市沖で18日に採取したコウナゴから、規制値(1キロ当たり500ベクレル)の約29倍にあたる1万4400ベクレルの放射性セシウムを検出した。これ以外にも7日と13日に採取したコウナゴの2検体から規制値を超える放射性物質を検出していた。茨城県沖で採取したコウナゴ2検体からも規制値を超える放射性物質が検出されているが、直近2回の検査では規制値を下回っており、モニタリング検査を継続するという。

 福島第一原発から約70キロ南にある茨城県北茨城市沖で採ったイカナゴ(コウナゴ)から高濃度の放射性ヨウ素が検出されたことを受け、水産庁は5日、水産物の放射性物質検査を強化することを決めた。茨城県のほか、千葉、神奈川両県と東京都で、品目を広げて5日から1日おきに調べる。

 水産庁は「放射性物質は魚介類の体内では濃縮されない」としてきた。しかし高濃度で検出されたことから、専門家に再度分析を依頼することも決めた。魚介類についてヨウ素の基準がないため、鹿野道彦農林水産相は5日、食品安全委員会に設定を求める考えを示した。

 水産物はヨウ素の暫定基準値が決まっておらず、食品安全委員会と厚生労働省が近日中に設定する見込み。野菜は1キロあたり2千ベクレルで、この数字を軸に協議されている。政府は設定を受け、4080ベクレルが検出されたイカナゴの出荷を止める方針だ。農林水産省は出荷停止を受け、茨城県に出漁の停止を求める。

 イカナゴは浮き魚と呼ばれ、放射性物質の影響をより受けやすいとされる底魚や海藻とは生息地域が異なる。農水省が専門家に尋ねたところ、網で漁獲される際に海面近くの海水で汚染された可能性が高いという。

 

 農水省は「茨城県沖では現在、本格的な漁は実施されていない」としている。農水省は「放射性物質は魚介類の体内では濃縮されない」としてきたが、高濃度の検出を受け、専門家に再度分析を依頼する。(大谷聡)

 茨城県11漁協でつくる「茨城沿海地区漁業協同組合連合会」対策本部は5日、北茨城市沖で4日に取れた大津漁港のコウナゴから放射性セシウムの暫定規制値(1キログラム当たり500ベクレル)を上回る526ベクレルが検出されたと発表した。魚介類から規制値を超えるセシウムが出たのは初めてで、本部は当面の出荷停止を決めた。また、経済産業省は5日、福島第1原発の高レベル放射性汚染水が約6万トンにのぼると発表。海水汚染解消のめどが立たない中、風評被害への漁業者や小売業界の苦悩が深まっている。【鈴木敬子、原田啓之、太田圭介】

魚介類によるセシウムの濃縮

農林水産省は当初「放射性物質は魚介類の体内では濃縮されない」としていたが、少なくとも、セシウムの濃縮に関しては日本語の論文がある。

この論文の表1を見てみると、平均の濃縮係数(生物中濃度/海水中濃度)が記載されている。イカやタコでは濃縮はないようだが、大きいものはカツオやブリで122倍の値を示している

この論文は水産庁の「魚介類についてのご質問と回答」のページで公開されている平成23年3月29日に開催した勉強会の資料「水産生物における放射性物質について」(PDFファイル)でも引用されている。よって水産庁はこの論文の存在を知っているはずである。

ところが、水産庁のこのページでは、

セシウムは、カリウム(野菜や果物に多く含まれる)と同じように、魚の口から入り、えらや尿から出て行きます。このため、たとえ放射性セシウムが魚の体内に入っても蓄積しません。

とされていたが、その後、以下のように書きかえられた。

カリウム等の他のミネラルと同様に、海水中や餌中に含まれる放射性セシウムは魚の体内に取り込まれ、その後徐々に排出されていきます。

これまでの研究によると、海産魚の放射性セシウムの濃度は、周囲の海水中の放射性物質の濃度の5〜100倍に濃縮(食物連鎖による影響を含む)することが報告されており、海水中の放射性物質の濃度が上がれば高くなり、逆に、下がれば徐々に排出されて50日程度で半分程度に減少することが分かっています。

このため、水産物中に含まれる放射性物質の調査に加えて、海水中の放射性物質の濃度のモニタリングが重要です。

なお、淡水魚については、海産魚に比べて放射性物質の排出に要する時間が長いことが知られています。淡水魚についても、広く放射性物質の調査を行います。

なお、ATOMICAの「放射性核種の生物濃縮 (09-01-04-02)」の「表3 海産生物の濃縮係数」を見てみると、魚類の軟組織で、ヨウ素の濃縮係数は28倍、セシウムは46倍となっている。

 石丸教授によると、海水中の放射性物質が魚類に濃縮されていく割合(濃縮係数)は、海水の濃度を1とするとヨウ素で約10倍、セシウムで約5〜100倍。水銀やPCB(約360〜100万倍)に比べるとかなり小さい。放射性物質は魚のえらや尿から排せつされるためで、「魚肉中のセシウム濃度は約50日で半分程度に減る。現状程度の汚染であれば、蓄積していくとは考えにくい」という。

 

 国立水俣病総合研究センター顧問の滝澤行雄・秋田大名誉教授も「魚は怖い、食べないなどといたずらに騒がず、正確な情報を得てほしい」と呼びかける。体内で代謝・排せつされる作用を考慮した半減期を「生物的半減期」という。滝澤さんによると、セシウムは1歳未満で9日、9歳で約40日、30歳以上だと約70〜90日。「体内に摂取しても代謝や排せつにより約2〜3カ月で半分になり、2〜3年も経過すると無視できるレベルに下がる」と話す。

 

 セシウムの人体への影響を知る上で参考になるのが、1986年の旧ソ連のチェルノブイリ原発事故だ。広範囲に飛び散った放射性物質の量は広島に落とされた原爆の約500個分といわれるが、現地調査をした山下俊一・長崎大教授は「ヨウ素で子どもの甲状腺がんが増えた以外に、放射性物質の影響でがんが増えたというデータはない」と話す。

 

 セシウムの規制値は日本とEU(欧州連合)で大きな差がある。4日に茨城県北部沖で水揚げされたコウナゴは暫定規制値(1キログラムあたり500ベクレル)を超える放射性セシウム137が検出され販売できなくなったが、EUならば流通していた。規制値が1キログラムあたり1250ベクレルと日本の倍以上に緩いためだ。

石丸教授とは、東京海洋大学 石丸 隆 教授のことである。セシウムの生物濃縮は約5〜100倍で、水銀やPCBの約360〜100万倍に比べるとかなり小さいということが、セシウムは「魚介類の体内では濃縮されない」という判断の根拠になったようだ。

以下の文献も参照。

安井至氏による解説

ここでは、以下の記事について考察している。

この記事では、海洋生物環境研究所の御園生淳研究参与が「海水に漂う放射性物質は時間がたてば濃度は薄まるが、生物の体に蓄積して逆に濃くなる」と説明しているが、安井至氏は、これは熱力学的にあり得ないと批判している。海水と魚介類の体内についても化学平衡論と同様な考えが成立する。つまり、海水中よりも魚介類の体内のほうがセシウム濃度は高いと予想されても、セシウムも新陳代謝により体内から排出されるので、海水中の濃度が下がれば、体内の濃度も徐々に下がっていくはずである。

安井教授が引用しているのは、以下の論文。

エラからセシウム排出

 魚が海水から取り込んだ放射性セシウムを体外に出す仕組みを、東京大の金子豊二教授(魚類生理学)らが突き止めた。エラにその出口があり、出口をつくる遺伝子もわかった。魚からセシウムを早く取り除くのに応用できるという。

 体に取り込まれた放射性セシウムは徐々に排出され、海の魚の場合は約50日で半減することが知られている。それがどのように排出されているのかは、わかっていなかった。

 金子教授らは、セシウムはカリウムと性質がよく似ているため、同じ経路をたどると考えられることに着目し、モザンビークティラピアという魚で調べた。その結果、体内の余分な塩分を排出するエラの「塩類細胞」からカリウムが出ていることを確かめた。

福島沖試験操業でセシウム不検出

 福島県漁連は15日、14日の試験操業で水揚げした魚介類3種について、生とゆでた加工品いずれの検査でも放射性物質は不検出だったと発表した。18日の会議で検査態勢などを再確認し、20、27日に市場への出荷を前提に漁を行う予定だ。

 

 相馬市沖でヤナギダコ、ミズダコ、シライトマキバイ(ツブ貝)を取り、計16検体を調査した。新妻芳弘専務理事は「販売再開にはまだ困難はあるが、大きな一歩になった」と話した。【泉谷由梨子】

クロダイ

 独立行政法人水産総合研究センターは10日、福島県沖で昨年とれたクロダイ37匹を調べたところ、東京電力福島第一原発から37キロ離れたいわき市沿岸の魚から、1キロあたり1万2400ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。1匹だけ突出した数値だったため、汚染時期などを詳しく調べる。

 

 昨年10、11月に原発南側の海域でとれたクロダイを同センターが調べた。その結果、11月17日に仁井田川河口でとれた1匹が、一般食品の基準値(1キロあたり100ベクレル)の124倍の濃度だった。このほか、426ベクレルと197ベクレルの2匹が基準値を超えていたが、残りは基準値以下だった。

 

 クロダイは福島、宮城両県で出荷が制限されているほか、茨城県北部で操業自粛の対象となっているため、今回調査した海域から出荷されることはないという。

マグロ

 【ワシントン=中島達雄】東京電力福島第一原子力発電所の事故後に取れた太平洋のクロマグロを日本人が1年間食べ続けても、被曝ひばく量は小さく、「心配は不要」とする研究成果を米ストーニーブルック大のチームがまとめ、3日、米科学アカデミー紀要(電子版)に発表した。

 

 研究チームは、2011年4月に日本周辺で取れたクロマグロに含まれる放射性物質の量を目安に被曝量を推定した。

 

 日本人が1年間に食べる1人当たりの魚介類の量(平均約60キロ・グラム)をもとに、この量のクロマグロを食べた場合、福島原発事故で放出された放射性セシウムによる年間被曝量は0・032ミリ・シーベルトと推定。北米大陸を飛行機で1回横断した際の宇宙放射線による被曝量の約0・04ミリ・シーベルトと同程度だとわかった。

アイナメ

 東京電力は15日、福島第1原発の港内で捕獲されたアイナメから、1キロ当たり74万ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。食品基準値の7400倍で、原発事故後に捕獲された魚で最も高い。

 アイナメは2月21日、1〜4号機の取水口付近で捕獲された。この場所は、事故直後に高濃度汚染水が流出し、拡散を防ぐため「シルトフェンス」と呼ばれる水中カーテンで区切られた内側という。これまでは51万ベクレルが最大だった。

植物

キノコ

 埼玉県農林部は21日、滑川町の農産物直売所で販売していた原木シイタケから、放射性セシウムが国の規制値(1キロ・グラムあたり100ベクレル)を上回る110ベクレルの濃度で検出されたと発表した。

 山梨県は23日、同県鳴沢村で採取された野生キノコ「ショウゲンジ」と「シロナメツムタケ」から、食品衛生法の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超える360ベクレルと150ベクレルの放射性セシウムが、それぞれ検出されたと発表した。

 県内で野生キノコから国の定める一般食品の基準値を超える放射性セシウムが出たのは初めて。

 県によると、県内の直売所や市場で販売されているとみられる。県は当面、鳴沢村の野生キノコ採取や出荷を自粛するよう呼び掛ける。

 栃木県は6日、日光市で採取した野生チチタケから国の基準値(1キログラム当たり100ベクレル)を大幅に超える3万1千ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。同市の野生キノコは既に出荷制限されており、県は採取して食べないよう呼び掛ける。

 

 厚生労働省によると、野生キノコでは昨年9月に福島県棚倉町のチチタケで検出した2万8千ベクレルを上回り最高値となる。栃木県は「土壌からの吸収が大きいと思うが、周囲の樹木に残る放射性物質の影響も考えられる」としている。〔共同〕

アシタバ

 東京都は11日、伊豆大島(大島町)産のアシタバから、国の規制値(1キロ・グラム当たり100ベクレル)を超える122ベクレルの放射性セシウムが検出されたとして、同町と東京島しょ農業協同組合に対し、出荷と販売の自粛を要請した。

 

 都が8日に同町で生産された生葉を採取して調査したところ、6検体のうち1検体が規制値を超えた。都産業労働局は「なぜこの時期に大島で規制値を超えたのか、地形や土壌を調べる必要がある」としている。

 

 都によると大島町のアシタバ生産量は年間約132トン、出荷額は約2500万円。

山菜

 県は四日、大田原市で三日に採取したタケノコから国の食品中の基準値(一キログラム当たり一〇〇ベクレル)を超える一四〇ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表、四日付で同市に出荷自粛と出荷済みの商品の自主回収を要請した。

 また、塩谷町で二日に採取した野生の山菜コシアブラからも一七〇〇ベクレルの放射性セシウムを検出。県は四日付で同町に出荷自粛を要請した。

お茶の葉

 茶の新芽(茶葉)から検出される放射性セシウムは、古い葉や枝、幹に吸収された後に移行したもので、土壌からはほとんど吸収されないことが、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の野菜茶業研究所の比較実験で明らかになった。

 

 同様の推定はこれまでも知られていたが、同研究所によると、実験で裏付けられたのは初めてという。15日に京都府宇治市で開かれる研究発表会で報告する。

 

 実験は放射線を出さない同位体のセシウム133を使い、一番茶を採取した後の今年6月に実施。

まだ新聞報道しか見ていないが、「古い葉や枝、幹に吸収された後に移行したもの」の部分がよくわからない。「土壌からはほとんど吸収されない」のであれば、「古い葉や枝、幹」にあるセシウムは最初どこから来たのだろう?実験の詳細については今後検索する予定。

動物

ニホンジカ

 福島第1原発事故を受けて実施している放射性物質検査で埼玉県は23日、秩父市で捕獲された野生のニホンジカの肉から基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超える820ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。県は、県内全域で野生ニホンジカの出荷自粛を要請する。

 

 県によると基準値を超えたのは21日に秩父市浦山で捕獲された野生のニホンジカ。県は23日までに秩父市周辺の野生のイノシシとニホンジカ計11検体を検査した。県内で捕獲されるニホンジカは年間約1500頭で、一部は市場に流通する可能性もあるという。

 

 文部科学省が昨年11月に行った航空機によるモニタリング調査で、秩父市浦山周辺は1平方メートル当たり300キロベクレルの比較的高い値を計測。県は、落ち葉や草に沈着した放射性物質をニホンジカが継続的に食べた結果、体内に蓄積されて高濃度になった可能性があるとみている。

ミミズ

 東京電力福島第1原発事故で一部が警戒区域に指定された福島県川内村のミミズから、1キログラム当たり約2万ベクレルの放射性セシウムが検出されていたことが、6日わかった。

 

 森林総合研究所(茨城県つくば市)の長谷川元洋主任研究員(土壌動物学)らが調査、3月17日から大津市で開かれる日本生態学会で発表する。

 

 原発事故で放出された放射性物質が森林の落ち葉に付着し、分解された落ち葉を含む土を餌とするミミズに取り込まれたとみられる。ミミズは鳥やイノシシといった野生動物の餌になるため、長谷川さんは「食物連鎖を通して他の生物に蓄積する恐れがある」と話している。

 

 長谷川さんらは昨年8〜9月に川内村(同原発から20キロ)、大玉村(同60キロ)、只見町(同150キロ)の国有林でミミズを採取し測定。それぞれ5匹の平均で、川内村で1キログラム当たり約2万ベクレル、大玉村で同約1000ベクレル、只見町で同約300ベクレルのセシウムを検出した。

 

 ミミズを取った場所で土壌のセシウム濃度を調べたところ、川内村が1平方メートルあたり約138万ベクレル、大玉村が同約8〜12万ベクレル、只見町が約2万ベクレルで、土壌汚染の度合いが大きいほどミミズのセシウム濃度が高かった。(共同)

この記事によると、1平方メートルあたり約138万ベクレルの川内村のミミズから1キログラム当たり約2万ベクレルの放射性セシウムが検出されたとのことなので、もともと高濃度汚染地帯のミミズだから、高濃度に汚染されているという当然の現象が起こっているような感じで、生物濃縮による濃縮率はあまり高くなさそうだ。

セシウムの吸着

ゼオライトによるセシウムの吸着

 東電は、海水の汚染対策として、セシウムを吸着する性質がある鉱物「ゼオライト」を詰めた土のう(1個約100キロ・グラム)を10個準備し、2号機、3号機の取水口付近にそれぞれ投入すると発表した。ゼオライトは吸着力が高く、猫用トイレの砂などに使われる。水中カーテン(シルトフェンス)、鉄板設置に続く海洋汚染対策となる。

ゼオライトは猫用トイレの砂などに使われているとのこと。

 東電によると、17日に2、3号機の取水口付近に投入した土嚢のうち2袋を19日に引き上げ、放射線量を測定した。その結果、土嚢の放射線量は毎時0・65ミリシーベルトで、周辺よりも0・1ミリシーベルト高かった。

 東電の研究では、ゼオライト1キログラム当たり、セシウム6グラムを約30時間で吸着できたという。東電はゼオライト100キログラムの詰まった土嚢10袋を海に投入しており、今後も引き続き効果を確認する。

『周辺よりも0・1ミリシーベルト高かった』とのことなので、あまり濃縮はされていないような感じだが、1キログラム当たり6グラムの吸着というのは、けっこうな量なのかもしれない。

こちらは「天然のゼオライトなど数種類の鉱物や化学物質を混ぜてある」粉末。『水に溶けた放射性のヨウ素やセシウム、ストロンチウムなどを、効率良く捕まえて沈殿させる』可能性があるとのこと。

 2台の装置で1日約140トンを処理し、セシウムを2〜3割除去する。

 縦横2・3メートル、高さ2・1メートルの装置には、約2トンのゼオライトという鉱物を詰めており、鉱物の微細な穴にセシウムを吸着させる。

 愛媛大学農学部の逸見彰男教授(65)=環境産業応用化学=の研究グループは12日、放射性セシウムを吸着する人工ゼオライトを開発し、福島県南相馬市などで実証実験を始めたと発表した。福島第1原発事故による放射能汚染地域の除染に有効といい、2年以内の実用化を目指している。

 

 人工ゼオライトは、石炭火力発電所から生じる石炭灰から生成。消臭剤や水の浄化に利用されてきた。ゼオライトは放射性セシウムを吸着する働きがあり、逸見教授らは昨秋、人工ゼオライトを生成する際に鉄化合物をまぜて磁気を帯びさせることに成功。この人工ゼオライトをまいた放射能汚染土壌を磁石を使って仕分け、除染された土壌と、セシウムを吸着したゼオライトとに分けることを可能にした。

 

 1キロ当たり数千〜1万ベクレルの汚染土壌を同500ベクレル以下に、農作物では同20ベクレル以下に下げられると見込んでいる。国が定める農作物を含め、一般食品の基準は同100ベクレル以下。

プルシアンブルーによる吸着

プルシアンブルー(紺青)は、放射性セシウム137の体外への排出促進剤として使用されている。

 チームは、青色顔料の一種「紺青」の主成分「フェロシアン化鉄」に、セシウムを吸着する働きがある点に着目。汚染水にこの顔料を混ぜ、遠心力で分離した後、セシウムとともにフィルターでこし取るシステムを開発した。

日本でも「ラディオガルダーゼ」として承認されている。

トウモロコシ芯の活性炭

 トウモロコシの芯で作る活性炭がセシウムを吸着する高い効果がある、との研究結果を岩手県環境保健研究センターと岩手大の共同グループが23日までにまとめた。東京電力福島第1原発の事故で農作物のセシウム汚染が問題となる中、研究グループは「土壌に混ぜて利用すれば、汚染防止の効果が期待できる」と話している。

 

 トウモロコシの芯を焼いて作る活性炭は、農地に含まれる有害金属や農薬などを吸着する作用がある。環境浄化が専門の県環境保健研究センターの佐々木陽上席専門研究員(59)によると、中国・大連の赤土で栽培されたトウモロコシの炭は鉄分を多く含み、特に吸着効果が高いという。

その他

 農地の土壌に含まれる放射性物質の除去や低減に向けた民間提案型の実証試験で、一定の効果が認められたのは事業に選定された7件のうち、1件にとどまった。県が12日、試験結果を発表した。

 最も効果があったのは、シグマクリエイト(東京)が提案した物質「アドバンスクレー」。3回の実験の平均で1キロ当たりの放射性セシウムは、黒ボク土が107ベクレル、非黒ボク土が9・3ベクレルを示し、無処理の土壌に比べ黒ボク土で32ベクレル、非黒ボク土で6・3ベクレル下がった。

 放射性物質の除去に効果があるとされる鉱物のゼオライトに比べると、いずれの物質も効果は下回った。

 農業・食品産業技術総合研究機構の中央農業総合研究センター(茨城県つくば市)は22日、福島県内の放射性物質に汚染された農地土壌から放射性セシウムを99.9%除去できる技術を開発したと発表した。

 

 汚染土壌に無機系化合物の「高性能反応促進剤」を添加して、あらかじめ放射性セシウムを昇華しやすくした上で、小型の回転式電気炉を用いて1300度以上に加熱処理し、気体化した放射性セシウムをフィルターで捕らえる。これを冷却した後に「濃縮セシウム塩」として回収する。

その他

 県保健環境センターは2009(平成21)年4月から10年3月にかけ、金沢市太陽 が丘の同センター屋上で10日ごとに降下物を採取、濃縮乾燥した上で半導体検出器を使 いセシウム137の量を測定した。

 

 調査期間中に計8回検出されたセシウムの総量は、1平方メートル当たり0.67ベク レルだった。このうち約70%に当たる0.46ベクレルは、金沢市内で大規模な黄砂が 観測された10年3月21日を含む4日間に検出された。

 東日本大震災による福島第一原発事故に伴い、県内で3月21日〜4月4日に確認され たセシウムと比較すると、1日当たりでは約71倍に当たるが、同センターは人体に影響 がある値ではないとしている。

 福島第1原発事故で東京に降り注いだ放射性物質のセシウム137は、最大となった降雨の21〜22日に、1960年代前半まで行われた大気圏内核実験で1年間に降った量の3倍近くに達したことが25日、分かった。

 

 放射線医学総合研究所の市川龍資元副所長(環境放射能)の資料と、文部科学省の発表データを比較した。市川さんは「今のレベルなら心配することはないが、これ以上(放射性物質が)外に出ないよう、早く原子炉を冷却し、沈静化させてほしい」と話している。

 

 市川さんによると、米国、旧ソ連、英国が63年に部分的核実験禁止条約に調印するまで、米ソは盛んに核実験を繰り返した。63年に東京で確認されたフォールアウト(放射性降下物)のセシウム137は年間1平方キロメートル当たり52ミリキユリー。換算すると1平方キロメートル当たり1924メガベクレルになる。

 

 文科省によると、今月18日以降、東京で降下物として検出したセシウム137は、24時間ごとの値で最大だった21日午前9時〜22日午前9時は5300メガベクレルで、63年の1年間の約2・8倍になった。降雨で降下物が多かったとみられ、翌日以降は400メガベクレル以下に減少した。

 

 市川さんは「問題はどれだけ体に入ってくるかだ。長引くと農作物の濃度が高まりやすく、厄介だ」としている。