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トランプの科学

 【ワシントン=川合智之】トランプ米政権の科学技術政策に、研究者らの懸念が広がっている。宇宙開発で実現可能性の薄い目標を掲げる一方で、ワクチンへの懐疑を表明するなど、科学的証拠を無視した発言を続ける。地球温暖化にも否定的で、関連する研究成果の公表は停止された。世界中の頭脳をひき付け、米国の国力の源泉となってきた科学に、逆風が吹き付けている。

経済界からの期待感こそ非常に大きいトランプ新大統領ですが、前政権が力を入れてきた気候環境、ヘルスケア、そしてLBGTの各問題に関する情報をホワイトハウス公式サイトから削除するなど、選挙前からの主張を政府に持ち込むことも忘れてはいません。そして、特に気候変動の問題に取り組む科学者たちは、これに対する大規模なデモを準備しています。

気候変動

[26日 ロイター] - トランプ大統領が気候変動に関する情報発信や研究などを制限したことに抗議し、環境保護庁(EPA)や米航空宇宙局(NASA)など多くの当局がツイッターに非公式アカウントを開設した。

 

ツイッターでは、気候変動に懐疑的なトランプ氏への懸念を表明。新たに開設された国立公園局の非公式アカウント「@AltNatParkService」は、「トランプ大統領が私たちをフェイク(嘘の)ニュースと呼ぶのを待ちきれない」とした上で、公式のツイッターアカウントを奪うことはできても、「自由時間を取り上げることはできない」と投稿した。

 

「@RogueNASA」は「NASAの非公式『抵抗』チーム。NASAの公式アカウントではありません」と自己紹介。「科学や気候に関するニュースや事実、REAL NEWS、REAL FACTS」を発信するとしてフォローを呼び掛けた。

[ワシントン 24日 ロイター] - トランプ米政権は、環境保護局(EPA)に対し、気候変動に関するページを同局のウェブサイトから削除するよう指示した。EPAの職員2人が24日、匿名でロイターに明らかにした。

インターネット・アーカイブがインターネット検閲の強化に備えてカナダに新サーバー構築を計画するなど、次期トランプ政権に備えてさまざまな取り組みが行われています。環境問題もその1つで、「温暖化はない」という姿勢を見せるトランプ氏がこれまでの気象データを削除しかねない、ということから、図書館や大学、個人プログラマーまでが、過去の気象データの保存に取り組んでいます

反ワクチン

[シカゴ 10日 ロイター] - 暗殺された故ジョン・F・ケネディ元米大統領のおい、ロバート・F・ケネディ・ジュニア氏が10日、トランプ次期大統領の要請に基き、ワクチンの安全性を再検証する諮問委員会を率いることに同意したと明らかにした。

 

同氏は環境活動を手掛ける弁護士で、ワクチンに懐疑的な立場をとっている。このためワクチンの専門家らは、同氏が率いる諮問委の設置により、小児期のワクチン接種と自閉症に関連性があるとする説に信ぴょう性を与えてしまう恐れがあるとして強く批判している。

 

この説は1998年に医学誌ランセットに掲載されたが、その後に間違いと判明。ランセットは掲載を撤回し、後に多数の研究でワクチンの安全性が確認されている。

 

ケネディ氏は、ニューヨークでトランプ氏と会談した後、記者団に「トランプ次期大統領はワクチン政策に疑問を持っている」と語った。

なお、MMRワクチンと自閉症の関連について、1998年にLancet誌に発表されたWakefieldらの論文は、単なる「間違い」ではなく捏造であるとされている。以下のリンク等を参照。