ニューエイジ
ニューエイジとは何かというと、はっきりした定義はない。20世紀後半にアメリカ合衆国西海岸を中心に台頭してきた「霊性的探求」を重んじる神秘主義的思想運動とでも言うべきもの。斉藤貴男著「カルト資本主義」では、現代宗教のフィールドワーク研究の第一人者である東京大学教授・島薗進氏(比較宗教運動論)の著書「精神世界のゆくえ」を取り上げている。これによるとニューエイジに特徴的な信念や観念は次のようなリストにまとめる事ができるらしい。(いまいちよくわからない点もあるが…)
- 自己変容あるいは霊性的覚醒の体験による自己実現
- 宇宙や自然の聖性、またそれと本来的自己の一体性の認識
- 感性・神秘性の尊重
- 自己変容は癒しと環境の変化をもたらす
- 死後の生への関心
- 旧来の宗教や近代合理主義から霊性/科学の統合へ
- エコロジーや女性原理の尊重
- 超常的感覚や能力の実在
- 思考が現実を変える
- 現代こそ意識進化の時代
- 意識進化は宇宙的進化のひとこま
- 輪廻転生とカルマの法則
- 地球外知的生命(ETI)との接触
- 過去の文明の周期と埋もれた文明の実在
- 人体におけるチャクラや霊的諸次元の存在
- 水晶・音・香・場所などが持つ神秘力
- 指導霊の実在
- 体外離脱や誕生前記憶の体験による霊魂の存在の確認
- チャネラーやシャーマンの真正性
また、ニューエイジ・ムーブメントから派生した集団や現象は次のように分類・整理できるらしい。
- ヒューマン・ポテンシャル運動(心理学の知識や技法を用いて参加者の自己啓発・自己実現を目指す。日本では「自己啓発セミナー」の名で広まった)
- トランスパーソナル心理学(個人の意識は個を超えた集合的なもの、また霊的神秘的なものにつながっているとして、それに基づく心理療法的実践を追求する)
- ニューサイエンス(デカルト以来の西洋近代科学の二元論的前提を揺るがし、精神的なもの、霊的神秘的なものを自然の中に見出そうとする学問的潮流)
- ディープ・エコロジー(環境運動に霊性的な次元を導入しようとする。人間の自己実現は、自らを森や川、砂漠、山々と連帯を感じる「生態系を中心とする同一化」によってこそ可能だとする)
- ホリスティック医療運動(西洋医学が心と身体を切り離し、また部分を治そうとするのに対し、身体と心の全体の癒しと健康を目指す「全体論的」(holistic)な医療感。東洋医学やシャーマニズム的な癒しの知恵を復興させ、医療に霊性的な次元を取り戻そうとする)
- 超越瞑想(インド人マハリシ・マヘシ・ヨギがヒンズー教を継承しつつ創始した、簡略的な瞑想法による自己変容の運動)
- 仏教的瞑想・共同体(禅やチベット仏教、タイ仏教の瞑想センター、ベトナム人僧侶、ティック・ナット・ハンをめぐる運動など。アメリカではこれらは「ニューエイジの周辺」と認知されている)
- 気功・合気道(健康法や武道としてだけではなく、霊性の開発運動としての意味を持つ)
- UFOカルト(UFOの到来によって、進んだ知的生物の霊性が伝えられることを待望する集団が少なくない)
なお、ニューエイジには東洋神秘主義的なものが多く取り込まれているが、それらは実在する東洋ではなく、西洋人の頭の中にしか存在しない「脳内東洋」であることが多い。
参考文献
1. 「カルト資本主義」 斎藤 貴男 (著) 文藝春秋
2. ウィキペディアの「ニューエイジ」の項目
3. 英語版Wikipediaの「New Age」の項目