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バイオラバー

 高速水着の素材として注目を集める山本化学工業(大阪市生野区)の「バイオラバー」を使った商品を、厚生労働相の承認を受けず「がん治療や視力回復に効果がある」と宣伝・販売したとして、京都府警は20日、健康用品販売会社の店長や商品の講師計3人を薬事法違反(無承認医薬品の販売)容疑で逮捕した。いずれも「効果効能などは言っていない」と容疑を否認しているという。

 

 逮捕されたのは東京都の健康用品販売会社「壮快薬品」京都駅前店店長の吉川由美(33)=神戸市東灘区▽山本化学工業グループの販売会社「ハーキュリーズグループ」(大阪市東成区)講師、浜谷吉孝(53)=同▽同、瓜生芳文(59)=東大阪市=の3容疑者。

 

 逮捕容疑は、4月18日に京都駅前店で、身内が緑内障の府内のパート女性(44)に「バイオラバーはがん細胞を抑制し、緑内障などを治す」と宣伝し、ベスト2着を約51万円で販売。また、7月13日には、親族ががんを患っている京都市の主婦(54)に同様の説明をし、ベルトを約23万円で売ったとされる。

 

 関係者によると、壮快薬品は商品説明会やインターネットでもバイオラバー製品を販売。説明会では浜谷、瓜生の両容疑者らが講師を務めていたという。府警から8月に家宅捜索を受け販売を自粛。山本化学工業は「社員に薬事法に触れる説明をしないよう指導していた」としている。【田辺佑介】

「がんが治る」などと効能をうたい、ゴム素材メーカー山本化学工業(大阪市)が開発した素材「バイオラバー」の商品を販売したとして同社の関連会社の講師ら3人が薬事法違反容疑で逮捕された事件で、商品を紹介するパンフレットに「医療学会が承認」などの表現があり、名前が登場した日本癌(がん)学会が「承認を与えていない」として山本化学工業に掲載中止を警告していたことなどが、朝日新聞社の取材で分かった。

 

 パンフレットは、社員1人が逮捕された健康用品販売会社の壮快薬品(東京都)が開いたバイオラバー商品の説明会で8月に配られた。山本化学工業が作ったもので、同社のほか、講師2人が逮捕された同社関連会社ハーキュリーズグループの名前が刷り込まれている。「体にやさしく健康維持」などと書かれていたが、具体的な効能などは書かれていなかった。

 

 しかし、「米国、日本の医療学会におきまして承認、正式発表をさせて戴(いただ)きました」と書かれていたほか、「ASCO(米国がん治療学会) 2005年5月13日 2007年2月23日」「日本癌学会 2007年10月4日」「日本癌治療学会 2007年10月24日」「日本臨床眼科学会 2006年10月5日、7日 2007年10月12日」「日本ロービジョン学会2007年9月22日」と、5学会名と日付が列挙されていた。

 

 これに対し、日本癌学会は今年、数度にわたって山本化学工業に対し、「当学会が特定の商品の効能を認定することや承認を与えることはない」として宣伝、広告の中止を求める警告をしたという。

 

 一方、ほかの4学会も、朝日新聞の取材に「承認」の事実を否定。日本ロービジョン学会は「これを見た人が学会が承認したと思ってしまうおそれがあり、不適切な記載」、日本癌治療学会も「医療器具などに薬事効果があると承認することはない」と説明。日本臨床眼科学会は「何をもって正式発表と言っているのか分からない」、米国がん治療学会は「正式発表とは口頭での発表をいい、記載された日付でその事実は確認できない」としている。

 

 山本化学工業は、新しいパンフレットでは学会に関する表現を削除した。パンフレットを作り直した経緯については、「その理由や時期などは捜査中のためコメントを控える」としている。

 高速水着素材の開発で知られる「山本化学工業」(大阪市)の織物素材「バイオラバー」を「がんに効く」などとうたって違法に販売した事件で京都府警は5日、薬事法違反(無承認等医薬品販売)の疑いで、新たに健康用品販売会社「壮快薬品」(東京)役員の本多公浩(46)=東京都文京区湯島=と、同社員の福田緑(52)=京都府精華町=の両容疑者を逮捕した。

 

 府警によると、本多容疑者は「身に覚えがない」と容疑を否認。福田容疑者は「違法行為といわれるのだったらそうかもしれない」とあいまいな供述をしているという。

 

 逮捕容疑は、7月13日、同社の京都駅前店の女性店長(33)ら=同容疑で逮捕、略式起訴=と共謀し、同店内で開いた説明会で「バイオラバーはがんに効く」などと違法に宣伝し、京都市内の主婦(54)にバイオラバーのベルトを23万3100円で販売したとしている。

 女性店長は逮捕時に「自分の独断でやった」と供述。しかし、本多容疑者らは店舗の経営方針などの業務を統括する責任者で、府警は会社ぐるみで違法行為をしていた疑いもあるとみて、慎重に調べている。

高速水着の開発で知られる山本化学工業(大阪市)の「バイオラバー」製ベルトを「がんに効く」と宣伝して販売したとされる薬事法違反事件で、京都府警生活環境課と伏見署は5日、健康用品販売会社「壮快薬品」取締役、本多公浩(46)と同社店舗部長、福田緑(52)の両容疑者を同法違反(無承認医薬品の販売)容疑で逮捕した。

逮捕容疑は、同社京都駅前店店長や山本化学の系列会社販売員=2人とも罰金30万〜50万円の略式命令=と共謀。厚生労働相から医療機器の承認を受けずに7月13日、同店で京都市内の主婦に23万3100円で販売したとされる。

 複合特殊素材メーカー「山本化学工業」(大阪市生野区)が開発した織物素材「バイオラバー」をめぐる薬事法違反事件で、関連会社社員らが京都府警に逮捕された後も、高額製品を購入したがん患者や家族らからの相談が各地の消費生活センターに相次いでいる。「がんに効く」とうたい、がん患者や家族らの切実な思いを踏みにじる悪質商法に改めて怒りの声があがっている。

 

 大阪府消費生活センターでは先月20日の逮捕以降、バイオラバー製品の購入者から「がんに効くと信じて購入したのにだまされた。返品したい」という相談が10件相次いだ。

 

 このうち、40代女性は「がん細胞を死滅させる効果がある」と説明会で聞き、闘病中の母親のためにバイオラバーのマットやベスト、ベルトなどを約300万円で買った。母親は昨年亡くなり、「お金を返して」と訴える。

 

 30代の女性もがんになった母親のために、通信販売でマットやベストのセットを約200万円で購入。がん患者の60代の男性は折り込みチラシを見て、ベルトとマットを約18万円で買ったという。

 

 いずれも「がんに効く」というキャッチコピーにひかれたといい、センター担当者は「根拠が定かではない効能をうたった健康用品の相談は多いが、バイオラバーはそうした中でもかなり高額の部類だ」と驚く。大阪だけでなく、奈良や千葉などの各県でも相談が寄せられているという。