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ヒマワリ以外の効果 (東日本大震災)

東日本大震災・デマ・風評被害・陰謀論

光合成細菌による放射能除去

 広島国際学院大(広島市安芸区)工学部長の佐々木健教授(61)の研究グループが、微生物を吸着させたセラミックを使って土壌や水中からセシウムを回収する技術を確立した。佐々木教授は、福島第1原発事故で放出された放射性セシウムの除去にも応用できるとみている。

上記の新聞記事のように、光合成細菌については、実際に放射能除去に応用しようという研究があるが、これは科学的根拠に基づく研究なので、「結界」を作っちゃったりするEMと混同してはいけない。以下の文献などを参照。

  • 「細菌で放射能汚染を除去する ―光合成細菌とセラミックによる放射性物質の回収―」 佐々木健、原田敏彦、大田雅博、科学、66(7)、57-60 (2011)
  • K. Sasaki, et al., Jpn. J. Water Treat. Bio., 46, 119 (2010)

この手法で使用される光合成細菌は、Rhodobacter sphaeroidesのSSI株である。この細菌は自己凝集性を持つようになった変異株で、表面に多糖類や蛋白質、RNAを主体とする高分子物資を生産し、その負電荷により金属を吸着していると推定されている。

放射性物質を吸着した細菌を環境から取り除くには、細菌を多孔質セラミックに固定し、さらにセラミックの一部に鉄を焼結し、磁石によりこのセラミックを回収できるようにしている。

この件に関しては、以下のサイトで詳しく紹介されている。

菜の花

 循環型社会を目指す「菜の花プロジェクト」を始めた全国ネットワーク代表の藤井絢子さん=滋賀県=が17日、甘楽町で「菜の花が地域と地球を救う」と題して講演する。自然保護団体も活動を紹介する。

 プロジェクトは遊休農地に菜の花を植えて菜種油を作り、使用後の油はバイオディーゼル燃料に変えて車を走らせるもの。遊休農地の活用や、空気中の二酸化炭素の吸収を狙う。

 昨年3月の東京電力福島第一原発事故の後、菜の花の力に関心が高まっている。毎年開催される菜の花サミットは今年4月、福島県で開かれる。

 菜の花には土壌の放射性物質を吸収する効果があるといい、チェルノブイリ事故で被災したウクライナでは名古屋市のNPO法人が菜の花栽培に取り組んでいる。福島県でも藤井さんらが菜の花を植えた。

 「菜の花の集い」は、甘楽町白倉の町文化会館で催される。甘楽町や高崎市、みなかみ町などの団体も集まる。菜の花油や天ぷらうどん、野菜などの模擬店は午前11時半から、藤井さんの講演会は午後1時半から。入場無料。

 主催者の印刷・デザイン業、強矢(すね・や)義和さん(57)=甘楽町=は「これからはバイオエネルギーが大きな役割を占めるべきだ」と話している。

こちらの記事によると、菜種栽培でも放射能汚染の除去ができるらしい。『菜種は成長の過程でセシウムなどの放射性物質を吸収し、採取された油から汚染物質は検出されない』とのことだが、その詳細はよくわからない。チェルノブイリ原発西方のウクライナ北部ナロジチ村でも、土壌再生事業の一環として菜種が栽培されているそうな。

藻類

 理化学研究所(埼玉県和光市)と筑波大、慶大などの研究グループは水中の放射性セシウムを藻に吸着させて取り除く装置を開発した。

 

 9割近くのセシウムを吸収した実験結果も得られており、東京電力福島第一原子力発電所事故で飛散した放射性物質の除染作業への活用が期待される。今月中に福島県内の水田で実証実験を始める。

 

 新たに開発した装置は、藻を短時間で培養させるため、光を1メートル四方で厚さ約4センチの大型レンズで集め、光ファイバーを通じて送る。二酸化炭素も供給できるようにして藻の光合成を促し、セシウムの吸収量を増やす。1リットル当たり300ベクレルの汚染水3リットルを、円筒形の水槽に入れて実験したところ、3日間で9割近い放射性物質を取り除く成果があった。

この方法も「水中の放射性セシウムを取り除く」とのことなので、土壌中のセシウムをどれだけ取り除けるかは、この記事からだけではわからない。

 100分の1ミリの緑色の藻類がセシウムやストロンチウムなど放射性物質を効率よく取り除くことを、山梨大と東邦大が確認した。大量に増やすこともでき、来月に福島県伊達市の住宅地で土壌を洗ったり、建物の壁、道路に塗ったりして、除染に使えないか実験をする。

 

 この藻類は、ベンチャー企業の日本バイオマス研究所(千葉県柏市)の湯川恭啓社長が5年前にめっき工場の廃液処理施設で見つけた。単細胞で葉緑素を多く含む新種で、バイノスと名づけられた。

 

 バイノスは生命活動が活発で色々な物質を取り込むことから北里研究所の伊藤勝彦博士が除染に利用できないかと提案し、山梨大医学部の志村浩己助教らが福島県内で取った汚染水で実験した。すると、10分間で放射性ストロンチウムを8割、セシウムを4割取り除くことができた。バイノスが細胞のまわりに出す分泌物が放射性物質を吸いつけて離さないとみられる。

 

 湯川社長によると、バイノスは細胞分裂の速度が速く、培養すれば容易に増やせる。乾燥すると重さが10分の1ほどになるため、除染後の廃棄物の量を減らすことも期待できる。

 

 今後、他の企業と協力して放射性物質の汚染水処理や、農地や住宅地の除染に活用したいという。住民が簡単に使えるよう、壁や道路に、塗料のように塗りつけて乾いたらはがして、除染できないか調べる。(編集委員・浅井文和)

山梨大医学部第3内科の志村浩己助教(50)を中心とした研究チームは、藻類を使って汚染水から放射性物質を取り除く実証実験を行い、短時間で効率的に除去できることを確認した。

マツバイ

 用水路や池などに生えている水草「マツバイ」が、土壌中の放射性セシウムを効率よく吸収することを愛媛大大学院の榊原正幸教授=環境岩石学=らが明らかにした。マツバイは簡単に入手でき、薬品などを使わないため安全。福島第一原発事故の放射能で汚染された水田の除染などの有力な手段の一つになりそうだ。

 

 今回の研究は、日本地質学会の東日本大震災復興支援プロジェクトの一つ。

 

 マツバイはカヤツリグサ科の多年草で、カドミウムや亜鉛など重金属類をよく吸収する性質がある。福島県郡山市の県農業総合センターの協力で、マツバイが放射性セシウムをどの程度吸収するのかを確かめた。

(1)水田除染の切り札「マツバイ」:セシウムを効率的に吸収

愛媛大学大学院の榊原正幸会員らのグループは,水生植物のマツバイ(カヤツリグサ科ハリイ属)が水田の重金属を効率的に集積する能力に長けてることを発見し,かねてからカドミウムや亜鉛等の除去に応用する研究を行ってきました.今震災で福島県東部の土壌・水環境を汚染した放射性セシウムも,マツバイの重金属超集積性により吸収可能であろうと予想し,福島県郡山市の県農業総合センターと協力してフィールド実験を実施しました.実験では 3800 ベクレル/kg の土壌にマツバイを計5キロ植えたところ, 24 日間で最大で 1071 ベクレル/kg の放射性セシウムを吸収しており,マツバイの高効率蓄積能力が確認されました.マツバイは入手も成育も容易であることから,水田や河川の効率的な除染に役立つことが期待されます.

 田んぼの用水路などに根を張る雑草「マツバイ」が、重金属類を効率よく吸収して葉や茎に蓄積することに愛媛大大学院の榊原正幸教授(50)らが着目し、土壌改良に役立てようと研究を続けている。実用化されれば、薬品を極力使わず安く簡単に土や水の浄化が可能になるという。厄介者でしかなかった雑草が、環境対策の「優等生」としてにわかに注目を集めている。

これは2010年の記事。まだセシウムの話は出てきていない。

 昨年8月,福島県郡山市の県農業総合センターの協力で,マツバイが放射性セシウム(134Csおよび137Cs)をどの程度吸収するのかを実験しました。実験では,1キロあたり3800ベクレル(Bq/kg)の放射性セシウムを含むセンターの水田の土壌にマツバイを計5キロ移植しました。わずか27日後,マツバイは最大で同1156 Bq/kgの放射性セシウムを吸収していました。また,自生マツバイは6170Bq/kgもの放射性セシウムを吸収・蓄積していました。

これは愛媛大学の発表。

カリウムの効果

 福島市大波地区などで収穫されたコメ(玄米)から国の暫定規制値(1キロ・グラムあたり500ベクレル)を超える放射性セシウムが検出された問題で、規制値超のコメがとれた水田では、カリウム肥料の使用量が比較的少ない傾向にあることが25日、福島県と農林水産省の調査で分かった。

 

 調査は、同地区や同市渡利地区で、規制値超のコメがとれた水田とその周辺の規制値を超えなかった水田計31か所から土壌を採取して分析。県などは、セシウムはカリウムと性質が似ているため、カリウム肥料が少ない水田で代わりにセシウムを吸収したとみている。

 

 また、大波地区の7か所の土壌を調べたところ、地表から深さ5センチまでの放射性セシウム濃度が、深さ5〜15センチの土壌に比べ平均で3・6倍高かった。同地区の稲は他地区に比べ、根が浅かったことも分かっており、県は「カリウム肥料を多く与えることや、深く耕すよう技術指導することも検討したい」としている。

 農林水産省系独立行政法人傘下の中央農業総合研究センター(茨城県つくば市)などは24日、放射性セシウムで汚染された水田でも、肥料のカリウムの投入量を増やせばコメ(玄米)へのセシウム移行を大幅に減らせるケースがあるとの実験結果を発表した。

 

 研究チームは東京電力福島第一原発の事故を受け、福島、茨城、栃木、群馬の各県でイネの作付け試験を実施。肥料などの条件を変え、セシウムの移行しやすさへの影響を調べた。

 

 その結果、カリウムのうち、作物に吸収されやすい形の「交換性カリ」が土壌100グラムあたり25ミリグラム程度になるように肥料で調整すると十分な効果が得られることがわかった。またこれ以上カリウムを増やしても、それ以上の効果は期待できないという。

参考リンク

  1. 日本土壌肥料学会:「原発事故関連情報

その他

 農作物がどれだけ放射性物質を吸収するかは、土壌の性質のほか、気温や降水量など気象条件によって変化する。調査はコメのほかキュウリやトマトなど野菜を中心に少なくとも十数種類について行われる見通し。県内の複数の農地や施設で、すでに作付けされている品目ごとに行うほか、県農業総合センター(郡山市)や茨城県つくば市などにある研究施設に土壌を持ち込み、新たに栽培する品目についても調べる。