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プルトニウム (東日本大震災)

東日本大震災・デマ・風評被害・陰謀論


プルトニウム241

 東京電力福島第一原子力発電所事故で拡散したとみられるプルトニウム241を、放射線医学総合研究所などが福島県内で初めて検出した。

 

 文部科学省による昨年9月の調査結果では、同位体のプルトニウム238、239、240を検出していたが、241は調査対象外だった。英国の科学電子雑誌に8日、発表した。

 

 研究チームは浪江町、飯舘村のほか、広野と楢葉の両町にまたがるJヴィレッジの3か所から採取した土壌や落ち葉から、241(1キロ・グラムあたり4・52〜34・8ベクレル)を検出した。241は国内ではほとんど検出されないため、原発事故で拡散したと結論づけた。

 

 最大濃度の落ち葉が採取された場所の今後50年間の被曝線量は0・44ミリ・シーベルトと試算され、健康影響はほとんどないと研究チームはみている。ただ、241が崩壊して生じる放射性物質のアメリシウムは植物へ移行しやすいという研究もあり、「継続調査が必要だ」としている。文科省は241を調査から外した理由について、「検査に時間がかかるため、同じベータ核種のストロンチウムを優先した」と説明している。

その他のプルトニウム同位体

 文部科学省は30日、東京電力福島第一原子力発電所事故で周辺地域に拡散したとみられる放射性物質のプルトニウムとストロンチウムの土壌汚染状況をまとめた地図を公表した。

 

 プルトニウムは、福島県双葉町、浪江町と飯舘村の計6か所の土壌から検出され、国の調査では初めて原発敷地外から見つかった。同省は、「プルトニウム、ストロンチウムによる被曝線量は非常に小さいため、除染対策はセシウムに着目していくのが適切」と話している。

 

 調査は今年6〜7月、原発周辺の100か所の土壌を採取して行われた。東西冷戦時代の大気圏内核実験で日本に降下した放射性物質を同省が事故前10年間に測定した値と比較した。

 

 プルトニウムが見つかった6か所はいずれも警戒区域、計画的避難区域だった。原発事故で放出されたプルトニウム238の最大値は、浪江町の1平方メートル当たり4ベクレル。これは過去の測定の最大値8ベクレルの半分だった。同省の試算によると、今後50年間の被曝線量は0・027ミリ・シーベルトだった。他の5か所は0・55〜2・3ベクレルで、最も遠い検出地点は、原発から約45キロの飯舘村だった。

 

 一方、原発由来のストロンチウム89、90は45か所で検出された。このうち半減期の長いストロンチウム90の最大値は双葉町の同5700ベクレル。過去の最大値(950ベクレル)の6倍に相当する。50年間の被曝線量の試算は0・12ミリ・シーベルトだった。ほかに、950ベクレルを超えたのは7か所あった。

東日本大震災に被災した東京電力福島第1原発の敷地で、微量のプルトニウムが検出された。

 土壌から見つかったプルトニウムは1キログラム当たり1兆分の1グラムレベル。微量で、極めて高い分析能力でやっと検出できる程度という。出光教授は「現時点で健康影響を心配する必要はない。ただし、強い放射線を出す水が立て坑にまで出ているのはショックだ」と語る。

 笠井篤・元日本原子力研究所研究室長(環境放射能)によると、プルトニウムは水に溶けにくいため、口から入っても消化管に吸収されず、体外に排出されやすい。土壌から地下水に入る心配もあまりない。しかし、発がん性があり、吸いこんで肺などに取り込まれた場合、長期的な健康影響が懸念される。

 

 笠井さんは「今のレベルでは人体への影響は考えられないが、毒性の強いプルトニウムを封じ込められなかったことが問題だ」と指摘。重い物質のため、原発から離れた場所には飛散しないとの見解もあるが、「今後外に漏れ続ければ、その時の風向きや風速によってより遠くへ飛散する懸念もあり、監視が必要だ。出す放射線を見つけにくい物質だが、燃料棒の損傷が疑われ、セシウムやヨウ素など他の放射性物質が大量に見つかる中、プルトニウムの検出も予想されていたのだから、もっと早く調べるべきだった」と話す。

 

 小出裕章・京都大原子炉実験所助教(原子核工学)は「今回土壌で検出されたのは微量で、事故発生以降、大量に放出され続けている他の放射性物質の方がはるかに影響が大きい。プルトニウム検出という一つの事象にとらわれず、一刻も早く燃料の溶融を止める策を検討し、実行すべきだ」と話す。【下桐実雅子、大場あい】

プルトニウムを排出させる薬剤

2011年7月には「ジトリペンタートカル」と「アエントリペンタート」(どちらも販売名)という点滴薬が承認される見通しである。

その他