トップ 差分 一覧 ソース 検索 ヘルプ PDF RSS ログイン

ホメオパシーと医療ネグレクト

ホメオパシー

RAH掲示板での医療ネグレクト騒動

「ロイヤル・アカデミー・オブ・ホメオパシー」(RAH)の「ホメオパシー体験談紹介」のページにおいて、以下のような投稿があった。

現在、子供が健康相談にかかりお世話になっております。

主訴は腎臓です。2歳で発病し、2年ほど入院し、今は通院しています。10歳になりました。

病院では、免疫抑制剤がだされ、毎日飲まなくてはならず、とても疑問を感じていたところに、ホメオパシーに出会い、やってみたいと強く思い、相談会を申し込みました。3回めの相談を受けたところです。

今は病院の薬は飲ませていません。

かんじんひぞう、バーバリスをとっておりますが、調子よさそうにしています。

ただ、やはり毒だしのレメディ(抗生剤、全身麻酔、胸腺の毒だし)をとると、すごい好転反応がでてしまいます。わかってはいますが、ちょっと続けられないくらい、顔、特に目がはれてパンパン、足もむくみ、蛋白尿がでて、みているのが辛くて断念してしまいます。

尿量は減ってはいません。血尿もでていません。

なんとか乗り切りたくて、好転反応の対処のレメディを担当の先生に聞いてみましたが、ヒットせず、毒だしを断念して終わってしまいます。

むくみや蛋白尿が出たときのレメディを教えてください。

インフルエンザや、溶連菌をレメディで乗り切ることができました。

このままレメディで腎臓をケアしていきたいのです。どうぞよろしくお願いします。

 

千葉先生

まず、むくみや蛋白尿に対するレメディーですが、エイピス(Apis), アーセニカム(Ars), カンサリス(Canth)などが良いものです。既に相談会を受けていらっしゃるということで、もうこれらのレメディーは試されているかもしれませんね。

好転反応が強くてお困りということですが、そういう場合には通常レメディーと共にマザーチンキを一緒に摂り、臓器サポートをすると臓器の機能が高まり、強い好転反応が出にくくなります。 バーバーリスを取っていらっしゃるとありますが、これはマザーチンキのことでしょうか? もし、マザーチンキを既に取っているにも関わらず・・・ということであれば、担当のホメオパスにポーテンシーの変更してもらいましょう。LMポーテンシーにしてみるという手段もあります。詳しいことは担当ホメオパスにご相談されてみてください。

この書き込みがあったのは、ビタミンK不投与事件の報道直後のことだったので、ネット上は騒然となり、これはホメオパシーによる新たな医療ネグレクトではないかと、複数の人が児童相談所や警察に通報するという事態に発展した。

その結果、愛媛県警が母子を特定、無事を確認し、事態は一応の終息を迎えた。以下に、kikulogの「ホメオパシーによる児童虐待の件」から、実際に通報した人からの報告を引用しておく。

20:30愛媛県警から電話がありました。

お母さん、お子さん、主治医の先生の特定ができ、連絡を取ったところ、お子さんは無事だそうです。

お母さんが「少し大袈裟に書いたほうが『体験談』に取り上げてもらえるのではないか」と実際よりも大袈裟に書いてしまったのだそうです。

全国の人に心配をかけてしまって大変申し訳ない、と言っていたそうです。

火曜日には主治医の先生のところを受診予定とのことです。

私のところにも先程愛媛県警生活安全課より電話がありましたので報告します。

 

 RAH体験談の投稿者の確認が取れた

 主治医の氏名も確認が取れた

 当該児童は医療機関を受診済み

 投稿者は今回の件に関して、全国の皆さまをお騒がせして申し訳なかったと反省している

私のところにも、愛知県警から回答メールが来てました。

 

通報者殿

 

 警察において、調査した結果、体験談投稿者と連絡が付き、投稿にあるような深刻な病状ではなく、児童も無事であることが確認できました。

 

 通報ありがとうございました。

 

 愛媛県警察本部 生活安全部 少年課

なお、「ホメオパシー体験談紹介」のほうには管理人による以下のような追加書き込みがあった。

これによると、

ホメオパスからも勝手に判断して薬を止めるのはよくないので検査や現状把握のためにも病院に通うことは必要であると言われ、お医者さんとの相性が悪いということであれば、セカンドオピニオンで他のお医者さんに診てもらうのも一つの方法であると前回の相談会でも言われており、この点よく理解していますということでした。

とのことだが、今回のような騒動に発展した原因は、最初の投稿に、ホメオパスからこうしたアドバイスがあったという話が書かれていなかったためである。また、「このお子さんの状態を心配される投稿がありました」としており、県警が動いたことには言及していない。

この件に関しては以下も参照。

デタラメなRAHの「ホメオパシー体験談紹介」

なお、RAHの「ホメオパシー体験談紹介」のデタラメぶりについては以下のエントリを参照。

9月8日の朝日新聞の報道

上記の記事で「医療ネグレクト騒動」が取り上げられた。国学院大法科大学院の平林勝政教授(医事法)は、以下のように指摘している。

レメディーが薬品でないにせよ、症状を訴えてきた病人に、あたかもそれが効いて疾病に効果があるように勧めれば、実態は薬を処方するのと同じではないか

仮にレメディーに一定の効果があったとしても、医師による治療を受ける必要があるかどうかを判断することは、医師でないと出来ない

これに対し、日本ホメオパシー医学協会は以下のように文書で回答したそうな。

薬を処方することは医業にあたる。しかし、薬でないもの(=レメディー)をすすめることは医業にあたらない。したがって違法であるとは考えない

「ホメオパシー体験談紹介」での質問受付中止

その後、「ロイヤル・アカデミー・オブ・ホメオパシー」は、「ホメオパシー体験談紹介」で、質問を受け付けるのをやめたようだ。

突然で申しわけありませんが、今後はホメオパスからのコメントを控えさせていただきます。つきましては、ホメオパシー体験談へのご質問はご遠慮くださいますようお願いいたします。

何卒ご理解たまわり、ご協力をいただけますようお願いいたします。

なおホメオパシー体験談は、これまで通りみなさまからのご投稿をお待ちしております。今後ともよろしくお願いいたします。

「ホメオパス片上敦子's blog」の体験談

こちらは「ホメオパス片上敦子's blog」に掲載されている「体験談」だが、かなり壮絶な内容だ。高熱を出す子供を医者にも連れて行かず、レメディを与えるだけで何日も放置しているのだとしたら、これもネグレクトになるのではないだろうか?

レメディーの摂取が終わって半月ほどたったある日、朝から発熱しました。最初は風邪かと思い、ACON(アコナイト)を飲ませました。38度5分くらい熱が上がってきたのであせって!BELL(ベラドーナ)をあげました。

 

熱以外にも頭痛、吐き気、目の上の痛みを訴えていました。先生から、あまり先手先手でレメディーをあげ過ぎると、逆に熱などが長引く事もあると伺ったので、レメディーは休止し、しばらく様子を見ていました。

 

と、やはり!! 熱が一気にあがり始めました。翌朝には熱が39度後半まであがってきました。その頃から、意識ははっきりしているのに、「鬼がいる」とか、「顔が半分しか見えない」、「変な声がする」と言い始めたので、先生のアドバイスをいただいて、OP(オピウム)やSTRAM(ストロモニウム)をあげました。この日はOP、BELL、STRAM を水に溶かして取り続け、症状が治まって行きました。

 

しかし3日目になっても熱は下がらず。今度は『耳が痛い! 』と絶叫し始めました。先生からBELL、MERC(マーキュリー)の30cをリピートするようアドバイスをいただいて、間もあけずにどんどん口にいれていたら、2回目のリピートで痛みが治まりそのまま寝てしまいました(ホッ)。夜中にまた耳が痛いと泣き叫びましたが、この時も同じレメデイーで痛みが即座に治まり、本当にありがたかったです。

 

この後も熱は40度近く(40度を超えたときもありました)をキープしたまま下がらず、6日目まできました。そしてついにこの日、大量の鼻血が2回でました。その後熱がやや下がり、39度前半になってきました。この日から3日連続、大量の鼻血がでて、ひも状の血液の塊のようなものが3本もでました。

 

普段鼻血を出した事がないので、大量の鼻血に本人はもちろんのこと、親も正直びっくりしました。結局、熱が下がるまでに6回も鼻血がでました、ひも付きで。そして、発熱から9日目にしてやっと平熱へ下がりました!!

 

本人はもちろん一番苦しかったわけですが、周りも倒れる寸前でした。熱が下がった後、耳からは血が混じった黄色いねばった耳あかのような膿み?がしばらく出続けました。とても臭いがきついものでした。

 

熱が上がっている間、最初の数日は昼夜を問わず頻繁に泣き叫んで親子ともほとんど眠れませんでしたし、熱が長引くにつれて周りからの心配の声もありました。幸い、夫がとても協力的でしたので、本当に助かりました。

オーストラリアにおけるホメオパシー幼児虐待死

などによると、シドニーに住むホメオパスのThomas Sam(42)とその妻Manju Sam(36)は、医者の忠告を無視して皮膚病を患っている生後8ヶ月の娘Gloria Thomasを連れて2週間半のインド旅行に出かけた。彼らはホメオパシーを信じていたために、従来の医療を拒み続け、シドニーに帰国後も治療を受けさせなかった。旅行から1ヵ月後の2002年5月、彼らの娘は敗血症のため、シドニーで息を引き取った。その結果、この夫婦は重過失による殺人の嫌疑を受け、オーストラリアの最高裁判所で公判が開かれた。帰国後すぐに適切な治療を受けていたならば、Gloria は一命をとりとめていた可能性もあると公訴官Mark Tedeschi氏は述べている。

9月28日、トーマス・サム(42)と妻のマンジュ(37)の両被告は、故殺罪で有罪となった。トーマス被告は最低6年最高8年、マンジュ被告は最高5年4か月、4年間保釈なしの量刑。トーマス被告は、ホメオパシー(同種療法)の効果を信じ、手遅れになるまで娘グロリア・メアリー(当時9か月)に医師の治療を受けさせなかった。

以下の文献も参照。

その他

ホメオパシーに関連した医療ネグレクトの事例としては以下のようなものもある。