ホメオパシーに否定的・懐疑的な論文
2002年のJournal of Clinical Pharmacologyの論文
2002年の「ホメオパシーの体系的な再調査の体系的な再調査」 という論文(文献1)の結論は「現時点までに入手可能なホメオパシーの最良の臨床的証拠でも、その臨床的実施の肯定的な推奨を保障したりしない」である。つまりプラセボ効果以上の効果はないようなのである。
この論文では1997年に発表されたLindeらのメタ分析(文献2)を批判的に分析している。文献2ではホメオパシー薬はただのプラセボ以上の効果があるとしているが、プラセボよりもホメオパシーが明らかに優れているという徴候は確認できなかったとも述べている。それにもかかわらず、この論文がホメオパシーの証明であると世界中のホメオパスはみなしている。Lindeらの論文に対して6つの再分析がなされており、データの批判的な評価ではLindeらの結論は全体的に支持されていないことがわかった。
さらに11報の独立した体系的な再調査を再調査した結果、全体的に見て、ホメオパシーを強く肯定するような証拠はないことがわかった。よって全ての調査を総合すると、ホメオパシーには臨床的にプラセボ以上の効果があるという明確な証拠はないということになる。この体系的な再調査は、アボガドロ数以下に希釈されたホメオパシーのレメディが生物学的活性を保持し続けるというホメオパシーの主たる仮定に対して、大きな疑いを投げかけている。
2005年のThe Lancetの論文
「ホメオパシーの臨床効果はプラセボか?ホメオパシーとアロパシー(対症療法)のプラセボ制御した試験の比較研究」(文献3)という論文では、文献検索によって得られた110報のホメオパシーの試験と、それと同等な110報の一般的な医療の試験が分析された。大規模で良質の試験よりも、小規模の試験や質の低い試験ほど有益な治療効果を示すことより、方法論的な欠陥やバイアスの存在が示唆された。大規模で良質の試験に限定すると、ホメオパシーの効果の根拠は薄弱になるのに対し、一般的な療法には重要な効果があることに変化はない。結論は「ホメオパシーはプラセボ効果であるという見解と矛盾しない」である。
なお、アロパシーは辞書では「対症療法」になるが、ホメオパシーの創始者であるサミュエル・ハーネマンはこの言葉をホメオパシーの対義語としており、広義にはホメオパシー以外の療法を指す。ところが、18世紀後半の治療法に対して定義された言葉なので、その概念をそのまま現代の医療に当てはめると論理的に破綻する。この論文では「一般医療」のことを指していると思われるが、通常医療の方法は対症療法だけには限らない。
2006年のEuropean Journal of Cancerの論文
「癌介護におけるホメオパシー療法の有効性」(文献4)の結論は「出版されたホメオパシーに関する文献についての我々の分析では、癌介護におけるホメオパシー療法に臨床的有効性があるという十分な証拠を見つけることはできなかった」である。しかし、ここで体系的に再調査した6報の論文のうち、2報は統計的に有意な結果を示していたので、今後さらに大規模な検査の必要性を示唆している。
参考文献
- 「A Systematic Review of Systematic Reviews of Homeopathy.」 Ernst, E., British Journal of Clinical Pharmacology. 2002. 54(6):577-82.
- 「Are the clinical effects of homoeopathy placebo effects? A meta-analysis of placebo-controlled trials」 Linde K, Clausius N, Ramirez G, Melchart D, Eitel N, Hedges LV, Jonas, LANCET 350 (9081): 834-843 SEP 20 1997
- 「Are the clinical effects of homoeopathy placebo effects? Comparative study of placebo-controlled trials of homoeopathy and allopathy」 Shang A, Huwiler-Muntener K, Nartey L, Juni P, Dorig S, Sterne JA, Pewsner D, Egger M., The Lancet, Volume 366, Issue 9487 , 27 August 2005-2 September 2005, Pages 726-732
- 「Efficacy of homeopathic therapy in cancer treatment」 Stefania Milazzo, Nancy Russell, and Edzard Ernst, European Journal of Cancer, Volume 42, Issue 3 , February 2006, Pages 282-289