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ホメオパシーの被害

ホメオパシー

  • ホメオパシーの被害

10人が死亡、約400人が健康被害?

 【ニューヨーク共同】「ホメオパシー」と呼ばれる代替医療で販売されている幼児向けの薬で、過去6年間に10人が死亡、約400人が健康被害を受けた可能性があるとして、米食品医薬品局(FDA)が14日までに調査に乗り出した。

 

 調査対象となっているのは、ホメオパシー薬を手掛ける米ハイランド社が製造、販売する幼児用の製品。歯の生え始めの痛みを和らげるとしているが、FDAは死亡のほかに昏睡状態、嘔吐などの報告があると指摘している。

 

 FDAは9月30日、消費者に利用の中止と廃棄を勧告する声明を発表。これを受け、米薬局大手CVSヘルスは、全ての関連商品を店舗から撤去した。

マラリアには効果なし

上記のような症例報告を見つけたので紹介しておく。この症例報告の内容は、 毎年熱帯地方でバカンスを楽しむ女性(40歳)がマラリア対策にホメオパシー薬を処方してもらったけど効かなかった、という話。

処方してもらったホメオパシー薬は2種類。
Ledum palustre 5 CH: これはフランスの薬局で普通に購入できる。
Malaria officinalis 4 CH: これはフランスの薬局では購入できないので、メールオーダーで購入した。

Ledum palustre 5 CHは毎日1粒飲むように指示され、Malaria officinalis 4 CHは出発の前日に一回分服用したらしい。Malaria officinalis 4 CHの原料がすごい。「藻、植物、蚊の抜け殻、その幼虫と卵といった不純物を含むアフリカの沼の水」!さらに「製造元はこの薬に関してなんら臨床試験を施していないので、その利用については全ての責任を拒否する」との注意書きが書いてあったようだ。

この女性はフランスにもどってから五日後に発熱(39℃)。その後、ホメオパシー薬とビタミンを取り続けたが、結局十日後に熱は41℃に上昇し、病院に行くことになる。さらに4日後に神経疾患(neurological disorders)により集中治療室に入ることになる。さらに多臓器組織不全(multiple organ system failure)を併発し2ヶ月にわたり集中治療を受けることになった。

同様な問題は、以下の英国BBC放送のニュースでも取り上げられた。

このニュースによると、去年アフリカ等のマラリア発生地帯を旅行した後にイギリスに帰国後、20人程度の人がマラリアで死亡したが、その主な原因は適正な予防をしていなかったからだ。そのうちどの程度の人がホメオパシー薬を利用していたかはわからないが、有効であることがわかっている抗マラリヤ薬があるにもかかわらず、ホメオパスがマラリアに無効なホメオパシー薬を客に薦めることが問題になっており、隠しカメラを使った潜入レポートをやっている。この件に関しては王立ロンドンホメオパシー病院理事のPeter Fisher氏も次のように述べている。

私は非常に怒っている。なぜなら、人々がマラリアにかかってしまうからだ。ホメオパシーがマラリアの予防に効くなどと考える理由はまったくない。どのホメオパシーの教科書やジャーナルを見てもそんなことは書いてない。そのような助言に従えば、マラリヤにかかってしまい、死亡する場合もあるだろう。

以下のリンクも参照。

それでも懲りないホメオパシー

オーストラリアにおけるホメオパシー幼児虐待死

などによると、シドニーに住むホメオパスのThomas Sam(42)とその妻Manju Sam(36)は、医者の忠告を無視して皮膚病を患っている生後8ヶ月の娘Gloria Thomasを連れて2週間半のインド旅行に出かけた。彼らはホメオパシーを信じていたために、従来の医療を拒み続け、シドニーに帰国後も治療を受けさせなかった。旅行から1ヵ月後の2002年5月、彼らの娘は敗血症のため、シドニーで息を引き取った。その結果、この夫婦は重過失による殺人の嫌疑を受け、オーストラリアの最高裁判所で公判が開かれた。帰国後すぐに適切な治療を受けていたならば、Gloria は一命をとりとめていた可能性もあると公訴官Mark Tedeschi氏は述べている。

9月28日、トーマス・サム(42)と妻のマンジュ(37)の両被告は、故殺罪で有罪となった。トーマス被告は最低6年最高8年、マンジュ被告は最高5年4か月、4年間保釈なしの量刑。トーマス被告は、ホメオパシー(同種療法)の効果を信じ、手遅れになるまで娘グロリア・メアリー(当時9か月)に医師の治療を受けさせなかった。

以下の文献も参照。

臭覚がなくなるという副作用のあるレメディ

以下のエントリによると、米国内で販売されていたホメオパシーのレメディ(Zicam)に対して、臭覚がなくなるという副作用があるとして、米国食品医薬品局(FDA)が消費者に使用停止と破棄を勧告した。

本来ホメオパシーのレメディはただの水か飴玉であり、副作用があるとは考えにくい。アメリカでは相当インチキな商品も出回っているということなのだろう。鼻腔内に投与するタイプのレメディがあるというのも驚きだ。

なお、Zicamの副作用は前から問題になっていたようで、上記の記事によると、販売元のMatrixx Initiatives社は2006年に340件の訴訟に対して1200万ドルを払っており、こうした訴訟は今後も増える見込みだ。ところが、Matrixx社は製品の出荷を停止したが回収は行わず、希望者にのみ代金の返却を行うということとだ。

Matrixx社の2008年度の売り上げは1億100万ドルに上り、そのうち4000万ドルがZicam製品によるもの。 Matrixx社はZicamをホメオパシー製品だとしているので、事前にFDAの認可を受ける必要がない。

文献16によると、このレメディにはグルコン酸亜鉛(zinc gluconate)が含まれていたとのこと。これに関連しては「Field of Joy」の「ホメオパシーと亜鉛」(2009-05-25)も参照。ホメオパシーのレメディはFDAの厳しい審査を受けないにもかかわらず、通常の大衆薬(FDAによる厳しい審査を受ける)と同じ棚に並んでいて、注意しないと間違えて買ってしまうこともある。審査が厳しくないということは、このような健康被害が生じる危険性も高いだろう。Matrixx社はFDAの審査をごまかすために、こうした製品をわざわざホメオパシーのレメディと偽って発売している可能性もある。

What's the harm?

What's the harm in homeopathy?」 

What's the harm?」というサイトのホメオパシーのページ。ホメオパシーによる犠牲者のリストを見ることができる。

このリストの翻訳が、以下のブログ「warblerの日記」のエントリで試みられている。

その他

靱帯断裂を悪化させたと思われる事例

事故情報

内臓疾患のある家族に、ホメオパシーの商品を買って飲ませていたら悪化し、死亡。補償を求めたい。