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ユリ・ゲラー (Uri Geller)

スプーンや鍵を曲げたり、止まった時計を動かしたりすることで、20世紀で一番有名になった超能力者。

SRI(Stanford Research Institute、スタンフォード研究所)の二人の科学者ラッセル・ターグとハロルド・パソフが1974年にNature誌に発表した論文にも登場する。

しかし、多くの懐疑論者はゲラーは超能力と称して手品をやっていただけだと考えている。超能力について肯定的な研究者の間でも、人間の思考が物質に与える効果は微弱だと考えるのが現在の主流になっている。

パソフの研究やリモート・ビューイングを肯定的に紹介しているニューエイジの啓蒙書「フィールド 響きあう生命・意識・宇宙」にもユリ・ゲラーは登場しない。

しかし、日本における超心理学の第一人者、石川幹人氏は著書「超心理学 封印された超常現象の科学」の中で「超心理学者のあいだでさえもゲラーの評価は二分され、実態はわからずじまいとなっている」としている。

どうやら石川氏はゲラーの大ファンのようだ。

最近のユリ・ゲラー

iPhone6が曲がった理由

 ゲラー氏は「2つの理由が考えられる」と話す。「新型iPhoneはあまりにも薄く平べったいので、物理的な力がかかると曲がりやすくなっている」。だが、「アップルが発売までに徹底的なテストを行ってきたはずで、それが理由だとは考えにくい」という。

 

 もう一つは「購入した1000万人の興奮がエネルギーとなって超能力を呼び起こし、それがiPhoneを折れ曲げた」。ゲラー氏はこれがはるかに真実味のある理由だと考えている。

 

 「アップルは自分を広報担当者として雇い入れるべきだ」とゲラー氏。

 もっとも、ゲラー氏自身はブラックベリー派で、これからもブラックベリーへの忠誠心は変わらないとしている。

なんでアップルがブラックベリー派の自称超能力者を雇わなくちゃいけないのか? ちなみに「iPhone6は曲がりやすい」というのもデマのようだ。

 Consumer Reports誌は、米Instronの試験機を使い、両端を固定した端末に上からか荷重をかける3点曲げ試験を行った。その結果、iPhone 6 Plusは、90ポンド(約41kg)の負荷で曲がり始め、110ポンド(約50kg)でケースが本体から分離した(写真)。これに対しiPhone 6は、70ポンド(約32kg)で曲がり、100ポンド(約45kg)でケースが分離した。曲がりやすいと指摘されている大型のiPhone 6 Plusは、iPhone 6よりも強度が高いという結果になった。

Apple社は9月26日にハフポストUS版を含むメディアに対して長文の声明を寄せ、実際に新型iPhoneが曲がったという顧客からの報告は9件だけであり、「きわめてまれ」な事例であると述べた(リンク先によると、同社は出荷前に厳しいテストを行っており、「3点曲げテスト、移動繰り返し衝撃テスト、ねじれテスト、ユーザー調査」などを行っていると述べている)。

ゲラー来日(2014年)

ユリ・ゲラーは健在かもしれんが、超能力が健在かどうかは知らん。

 今でもゲラー氏のもとには、日本のファンからメッセージなども寄せられるといい、「当時から非常に大きな驚きだった。この歳になっても日本に応援してくれる方がいるのはすごいこと。日本政府が助けてくれというなら、いつでも来ますよ」と笑顔を見せた。最後には関係者の自宅のカギを手に取って曲げてみせるなど、終始ご機嫌でステージを後にした。ゲラー氏は28日まで滞在予定。

日本政府は国民の税金をこれ以上無駄なことには使わないように。

以下の記事のほうが、ゲラーの発言内容に詳しい。

もう止めるヤツがいないから、言いたい放題といった感じだ。

 ゲラー氏は「貧しい生まれでいつも成功したいと思っていた。5歳の時に、家でスープを飲んでいたらスプーンが突然、曲がってしまった。そして6歳の時、家の向かいにあったアラブ風の庭園で遊んでいると、光る球体が現れて私の額に向けて光が当たった。それから不思議な能力が備わった」と超能力のルーツを明かす。

6歳の時のときに「光る球体」から「額に向けて光が当たった」あとに「不思議な能力が備わった」のね。

それなのに、「5歳の時に、家でスープを飲んでいたらスプーンが突然、曲がってしまった」のか。つまり、スプーン曲げは「不思議な能力」によるものではないと?それなら、納得だ。

「実は最近になってBBCのドキュメンタリーで明らかにされたが、私は40年以上、世界平和に向けて米国の情報関係の仕事をしていた。多くは明かせないが、私が超能力番組などで騒がれることが、本当にやっていた仕事のカムフラージュになっていた」

「騒がれること」がカムフラージュになる?? テレビ番組なんか出ないほうがよっぽど目立たないわけで、そんなんカモフラージュちゃうやんけ。

 ゲラー氏は核兵器を研究するローレンス・リバモア国立研究所で数々の実験を行い、科学者たちを仰天させたという。

ゲラーのなにに「仰天」したのだろう?その科学者たちは超能力に関する研究報告をしているのかな?論文があれば読んでみたいなぁ。

 さらに「昔、米国がロシアに核兵器廃棄のサインをさせたがっていた。米国からロシアの高官を説得してくれと頼まれ、外交委員会のトップであるアル・ゴア元副大統領とロシアに行った。私が『署名しろ、署名しろ』とテレパシーを送ったら、相手がサインした」というエピソードも明かした。

いやー、どうしてもサインしなくちゃいけない理由が他にあったのかもしれませんね?なんで自分のテレパシーのおかげだと思うのでしょうか?

イスラエルで広報活動

[エルサレム 23日 ロイター] - スプーン曲げで有名なイスラエル生まれのユリ・ゲラーさん(67)が、祖国イスラエルの市民にミサイル攻撃や地震などから身を守る方法をPRする広報活動に出演している。

超能力はあまり関係ないようだ。

NHKスペシャルに登場

一方、「生まれ変わり」や「テレパシー」の中には、最先端の科学をもってしても、いまだメカニズムが解明できない謎も残る。科学者たちはその難題にも果敢に挑み、最先端の「量子論」を駆使するなどして、合理的な説明を目指している。先端を極める科学者たちは、「説明不能な超常現象」に新たな科学の発展を予感しているのだ。“超常現象”への挑戦を見つめ、科学の本質に迫る知的エンターテイメント。

これはNHKBSプレミアム「超常現象 第2集 秘められた未知のパワー」の再編集版らしい。

サイトトップの画像は折れたスプーンを手にするユリ・ゲラー。今更彼のような手品師がこういう番組に登場するのに、なぜ「超常現象に挑戦する科学者たち」は怒らないのだろう?NHKはゲラーの売名行為に加担していることになる。

番組の内容は以下のようなものだった。

1.ユリ・ゲラーの自宅訪問
スプーン折ってみせるシーンから始まる。これが超能力なのだろうか?ナレーションによると「真相はやぶの中」とのこと。かなり楽観的な見解。インチキを排除できないのであれば、それは科学ではない。いまだにゲラーが「超能力の第一人者」みたいな感じで登場するのだから、この分野はもう先が知れている。

2.幽霊屋敷
イギリスのマーガム城を「最新鋭の測定機器」を使ってSPRが調査。

生き物は恐怖を感じると体温が低下するとのこと。これば別に超常現象ではない。

電磁波の測定。8.3V/mという数字が出てきた。なにを測っているのだろう?

脳を磁気で刺激すると幻覚が見えるらしい。マーガム城で発生している「電磁波」が幻覚を引き起こすほど強いものなのかはっきりしない。またその発生源についても言及はなし。

そもそも「幻覚を見る」って超常現象なのか?幻覚を見るにはいろいろな理由があるだろう。 本当に電磁波が原因なのか?

Society for Psychical Research (SPR)というのは由緒正しい団体らしいのだが、この番組を見る限りは胡散臭いゴースト・ハンターのようにしか見えない。

3.生まれかわり
ほとんどの事例は幼児期健忘による「偽りの記憶」。ところがそれでは説明できない事例がある。オクラホマ州のライアン君登場。前世はハリウッドで無名の俳優だったらしい。

「出演していた映画には銃がたくさん入ったクローゼット」があったとの証言。男優だったらギャング映画に出ることもあるだろうし、ギャング映画なら銃がたくさん出てきてもおかしくはない。

「住所にロックかマウントが入っていた」との証言。実際にRoxburyという高級住宅街に住んでいたので一致とのこと。Roxだけど?知り合いに「ファイブ上院議員」がいたと言う証言。実際に「アイブス上院議員」と知り合いだった。ダジャレか?

「偽りの記憶」では説明できない事例が世界中で44例あるらしいが、どれもこのようなレベルなら、信ぴょう性は低い。

人間の記憶や意識というものは脳の中の神経細胞の織りなす物理的構造に由来するはず。脳が病気やけがで損傷すればそういうものは消える。非物質的な状態で個人の意識や記憶が保持され、しかもそれが時空を超えて新生児の脳に転写されると考えなければならない理由はまったくない。

4.テレパシー
家族や親しい友人同士を被験者にする実験。一人が点滅する画像を見る。もう一人がfMRIという装置に入って、脳の活動が測定される。点滅画像と同期して脳活動が低下するらしい。これは不思議な現象だけど、2重盲検にはなっていないようだ。画像をまったく見ない場合をコントロールとして同時測定すべきだろう。

5.乱数発生装置
乱数発生装置が人間の意識に反応すると言う話。ディーン・ラディン登場。

2001年9月11日の同時多発テロのとき、世界40ヶ所の乱数発生装置の出力が偏った。11日から偏りが大きくなり数日間にわたり正常値からはずれていたとのこと。いつ異常が終わったかは述べられず。

電波の通じない砂漠の真ん中で行われるバーニングマンという7万人が参加するイベントで検証。巨大な人形に火を付けたときに乱数発生器に異常があったとのこと。

9.11以降も地震などの大災害はあったわけだが、それについての言及なし。乱数発生器を電磁波から遮断しても電源からのノイズはあるだろう。超能力云々を言う前に、「完璧な乱数発生装置は製造できるか?」という問題に取り組むべき。そうでなきゃ、原因がなんなのかわからない。

定量的な比較もなし。9.11とバーニングマンじゃ規模が違いすぎると思うのだが、乱数発生器の偏りに強度的な違いはあったのだろうか?

5.量子論とブライアン・ジョゼフソン登場
そもそも脳のあいだに量子もつれが存在するという根拠がない。量子もつれがあったとして、それがテレパシーになるのか?原理の説明が一切なし。こうした主張に対しては「量子ナンセンス」だという批判もある。残念ながら、ジョゼフソンは超能力研究で一切顕著な成果を上げていない。

マレーシア航空機の捜索

行方不明になったマレーシア航空機のリモート・ビューイングによる捜査の依頼があったと、ゲラーがツイートしたらしい。なにかあるとすぐ売名行為を展開する。

記事によると、1992年にゲラー氏は、誘拐されたハンガリー人モデルのHelga Farkasの捜索を依頼され、ゲラー氏は彼女が健康的な状態で生きて発見されると透視したが、その後彼女は誘拐犯に殺されていたことが判明したとのこと。

この件について、以下の記事によると、József Csapóとその共犯者のBenedek JuhászがHelgaを身代金目的で誘拐するものの、大騒ぎになったので殺害してしまう。Csapóは1998年に殺人で有罪になるが、彼女の遺体は見つかっていないとのこと。

BBCのドキュメンタリー

英紙デイリー・ミラーやベルファスト・テレグラフなどによると、話題の番組は7月21日夜にBBCで放送された「The Secret Life Of Uri Geller(ユリ・ゲラーの秘密生活)」。

彼がスパイになるきっかけとなる出来事があったのは、両親の離婚でキプロスへ引っ越した13歳のとき。ほとんどの利用者がイスラエル人だったという、新たな父親が経営していたホテルで考古学者と名乗る1人の宿泊客に出会った彼は、「心を読んで」その客がイスラエルのスパイだと見抜いたという。言い当てられて驚いた男性に、ユリ・ゲラーが続けてスプーン曲げを披露すると、彼の才能に惚れ込んだ男性はスパイ活動の協力を依頼。

スプーン曲げがきっかけでスパイになった?

世界的に有名な存在となりつつあった当時も、彼の力に魅力を感じていたイスラエルのモサドや米国のCIAといった諜報機関から「密かに声を掛けられていた」(英紙サンより)という。

彼が行ったのは、遠く離れた場所からソ連の情報を透視したり、スパイに近付いて考えを変えさせたりといった、いわゆる“念力”を使った活動だ。

念力で考えを変えさせた?

あるとき「中南米最大の盗聴センター」とされたメキシコのソ連大使館に対するスパイ活動で、大使館から出て来たKGB職員が持っていたフロッピーディスクの情報を消すように指示された彼。飛行機に乗った職員の後ろの席に座り、何時間も念じ続けて情報を消したという。

フロッピーディスクの情報を消した?

BBCがドキュメンタリーを制作したからといって、こういう話に信ぴょう性があるとは限らない。超能力スパイとしてユリ・ゲラーが役に立つとは到底思えない。

島を買う

その他

Nature誌の論文

1974年にNature誌に掲載された問題の論文は「感覚遮断された状況下での情報伝達 」(文献1)である。この論文は3部構成になっていて、第一部の「グラフィカルな題材の遠隔認知」がユリ・ゲラーの超能力の実験に関してであり、第二部「自然な対象の遠隔視」は遠隔視に関するもの、第三部「EEG実験」は脳波計を使った実験に関するものである。よって、ここでは第一部について取り上げる。この論文に対するNature誌編集部のコメントと論文の第二部についてはリモート・ビューイング(遠隔視)の項目を参照してください。

なお、ユリ・ゲラーが科学的研究に協力したのは、これが最初で最後のようである。(つまり、再現性が確認されていない) また、ユリ・ゲラーと言えば、スプーン曲げだが、この論文ではこれについての実験は報告されていない。ゲラーはSRIでも金属を曲げる技を披露したが、超常現象を実証するような正しく制御された実験として成立しなかった。(つまり、手で触れずに曲げることはできなかった) この論文では次のような3つの実験が報告されている。(匹箋離を隔てた所で描かれた絵を透視する。2重の封筒内に入れられた絵を透視する。6眤粟修糧△涼罎膿兇蕕譴織汽ぅ灰蹐量椶鯏てる。それではこれらの実験を見ていこう。

絵を透視する実験

これは壁や距離を隔てた所で誰かが描いた絵をゲラーが透視するという実験だが、その絵はお世辞にもうまいと言えない。(ターゲットとして描かれた絵もゲラーの透視した絵も) ラクダの絵をゲラーは馬の絵と透視しているが、間違えても仕方なかろうというレベルだ。この実験は次のように行われた。

13枚の絵について7日間の実験が行われた。実験が始まる前に、ゲラーは視覚的、聴覚的、電磁的にターゲット領域にある素材と人物からは隔絶される。ゲラーの隔離後、ターゲットが選ばれ描かれる。ゲラーには誰がどのようにターゲットを選んでいるかという情報は知らされていない。ターゲットは次のようにして選ばれた。

  • 実験1〜4:辞書をランダムに開き、絵にすることのできる最初の言葉を選んだ。
  • 実験5〜7、11〜13:ゲラーが隔離された後に、実験グループ外のSRIの他の研究者によって選ばれたターゲットを使った。
  • 実験8〜10:特定の仮説を試す目的のために製作されたたくさんのターゲットの中から任意に選ばれた。

ゲラーのすべきことは、ペンと紙を使って、ターゲット領域で描かれた絵を再現することだった。なお、「辞書をランダムに開く」というのは、稚拙なやり方であり、このような脆弱さはターグらの実験技能のなさを示し、論文だけでは明らかでないその他の失敗を侵している可能性もあると、論文の審査員から指摘されている。

実験1から10までは、EEG実験用に開発されたシールド・ルームが使われた。その壁は2重の鋼鉄の壁でできており、冷蔵庫式の内と外の2重の扉が付いていた。その部屋の内と外はインターフォンでつながっていたが、内から外への一方通行の会話しかできないようになっていた。ターゲットの絵は描かれてシールド・ルームのそばに運ばれてきてからは、その内容について実験者は語らなかった。実験4と5以外はゲラーがシールド・ルームの中に入ったが、実験4と5についてはターゲットがシールド・ルーム内に入れられた。ゲラーが内部に居る時は、通常ターゲットは隣接する部屋の距離にしておよそ4メートルのところに置かれた。ただし、実験3では475メートル離れた事務所、実験8では7メートル離れた部屋にターゲットが置かれた。

実験11から13については、SRIのコンピュータ施設のある工学棟で行われた。これらの実験では、コンピューター室から54メートル離れた2重の銅スクリーンでできたファラデー・ケージの中にゲラーは入れられた。実験11ではコンピュータのスクリーン上にターゲットが描かれ、実験12ではコンピュータのメモリーにターゲットが記録された。実験13でもスクリーン上にターゲットが描かれたが、ディスプレイの出力を下げて目には見えないようにした。

これらのうち、実験5から7の3つについてゲラーは透視を拒否した。つまり、13回中3回失敗した。実験5ではゲラーがSRIに到着する前に、ターゲットの絵をシールド・ルーム内に閉じ込め、それを描いたグループはその場を離れた。実験6と7では、ゲラーをEEG測定装置につながれてが、ゲラーはなかなかじっとしていないので、EEG測定をうまく行うことができなかった。

こうして得られた10組のターゲットと透視絵をバラバラにして、2人の部外者のジャッジに見せ、それらを一致させることができるかで、ゲラーの透視能力を判定した。ゲラーが1つのターゲットについて複数の絵を描いた場合は、それらをまとめて1つにした。2人のジャッジは10枚のターゲットと透視絵を、一つも間違えることなく正確に一致させることに成功した。これは10000000回に3回の割合でしか起こらないことである。

なんでユリ・ゲラーをシールド・ルームでわざわざ電磁遮断しなくてはならないのかというと、(超能力の正体は電波だというのか?) これはどうやら懐疑派のJoseph Hanlon博士が次のような批判をしているからのようだ。イスラエルでゲラーを見つけてアメリカに連れて来たAndrija Puharich博士は医療電子機器の専門家で、歯の中に隠すことのできる超小型の無線機を開発しており、ゲラーはそれを利用しているのではないか? このようなHanlon博士の批判に備えておくためターグらはゲラーを電磁遮断したようである。ただし、ジェイムズ・ランディとデイビッド・マークスらはそんなややこしいハイテク機器を使わなくても、ゲラーのトリックは説明できると考えている。

封筒の中身を透視する実験

日常的な物体の絵100枚が準備され、2重の封筒に黒い厚紙と一緒に入れられた。これを20枚一組に分けて3日間の実験が行われたが、ゲラーは自分の描いた絵をどの封筒とも関連付けることができなかった。1日につき12枚程度の絵をゲラーは描き、それが100枚全部の絵のどれかと関連があるだろうと感じた。1日につき2枚程度はその日の20枚の絵と関連させることができた。しかし、この実験で得られた絵は、偶然以上の一致を示さなかった。つまり、実験は失敗だった。

金属箱の中のサイコロを透視する実験

大きさ約2センチのサイコロを約7.6×10×13センチの鋼鉄製の箱に入れ、実験者の一人が激しく振り回した後に机の上に置いた。そして、ゲラーがサイコロのどの面が上向きになっているかを書き記した。実験は10回行われ、このうち2回をゲラーはパスした。残りの8回すべてについてゲラーは正しいサイコロの目を当てた。この時出たサイコロの目は、2が3回、4が1回、5が2回、6が2回であった。8つの目すべてを偶然で当てる確率はおよそ100万回に1回の割合である。

Natureの論文に対する反証

この実験の反証をするのはけっこう難しい。なぜなら、実際どのように実験が行われたのか、部外者には詳しいことはわからないからだ。さらにユリ・ゲラーは厳密に制御された科学的実験には応じないので再実験のしようがない。文献3によると、ゲラーは1978年にSunday Times紙(12月10日と17日)上で「今、私は怒りとフラストレーションで(科学的実験に対して)ドアを閉じた。残りの人生をギニー・ピッグ(モルモット)として過ごすつもりはない」と宣言している。

しかし、どのように実験が行われたか推測することはできる。懐疑論者のジェイムズ・ランディとデイビッド・マークスらがどのように考えたかを中心に見ていこう。(文献2と3)

封筒の中身の透視について

この実験は失敗に終わっているので反証する必要はない。しかし、どういうことか、よそではゲラーは時々封筒の透視に成功していたりする。そのトリックとしては、明かりで透かして中身を見ているのではないか?などと考えられるわけで、SRIで失敗した理由は、単純に、封筒に黒い厚紙が入れられていたからなのかも知れない。また、次のような手順のトリックも使っていたようだ。ーりにいる人の注意をよそにそらす。△修隆屬防筒を破いて中身を見る。C羶箸鮓世づてる。ぜ分で封筒を破いて、その時初めて破いたように見せる。ッ羶箸鮗りに見せて、透視成功の宣言をする。β梢佑調べようとする前に封筒を捨てる。当然、こういった行為はSRIではできなかっただろう。

金属箱の中のサイコロの透視について

これについて、ランディとマークスは、隙を見て中を覗いただけだろうと推測している。なぜなら、その箱には鍵が付いていなかったからだ。この批判に対しては、箱のふたを開けるためにゲラーが箱に触れたかどうかが重要な点になる。J. L. Wilhelmの著書「The Search for Superman」(文献10)では、「ラッセル・ターグによると、‘ダウジングする時のように’ゲラーは時々箱の上に手を載せたが、彼はそれを持ち上げることはしなかった」ということだ。しかし、持ち上げたかどうかなど誰も問題にしていない。また、Wilhelmによると、「ある時は、彼のモーテルの部屋で実験が行われ、ゲラー自身がサイコロを振った」などという話もある。さらに、実は実験は10回より多く行われていたのではないかという話もあり、どこまでちゃんと制御された実験だったのか疑問が残る。

他人の描いた絵の透視について

この実験についても、マークスとランディは、ゲラーが覗き見したか、彼の助手のシピ・シュトラング(Shipi Shtrang)もしくはその妹のハンナ(Hannah)がゲラーにヒントを送っていたのではないかと考えている。シピとハンナはゲラーに同行してSRIに来ていた。ゲラーの超能力のステージショーで、シピらは観客席に座り、透視の実演の際にゲラーにサインやジェスチャーでヒントを送っていたとされる。(なお、ゲラーはその後、ハンナと結婚している)

この実験に使われたシールド・ルームは完全に密閉された部屋ではなかったのだ。文献3にその見取り図が掲載されているが、この部屋の壁には、ケーブルを通すために直径約11センチの穴が開いており、マジックミラーになった二重のガラス窓もついていた。さらに、内から外への一方通行の会話しかできないと論文には書かれていたインターフォンも、実は両方向の会話が可能だった。ターグらの著書(文献6)にもそのことがはっきりと書かれており、普段はルーム内からの音声が聞こえるが、ボタンを押すと外からの通話も可能となる、とのこと。

成功した実験のうち、6回はこれらの穴や窓やインターフォンが通じた隣接の部屋にターゲットが置かれたのである。さらに、1回の実験はかなり長時間のものだったので、途中でゲラーはコーヒーを取りに、シールド・ルームの外に出ていたという話(実験4)もあり、常に隔離されていたわけではないようだ。また、工学棟で使われたファラデー・ケージの銅スクリーンは、外が透けて見えるものであった。どういうファラデー・ケージだったのかわからないが、そのスクリーンは細い銅線を網目状に編んだもの(銅メッシュ)を使用していたようだ。

ゲラーは3回透視に失敗している。(パスした) それらは、ゲラーがSRIに到着する前に、ターゲットの絵をシールド・ルーム内に閉じ込めた実験5と、ゲラーがEEG測定装置につながれていた実験6と7である。この3つの実験はどれもズルがしづらい実験であったと考えることもできる。密閉された誰もいない部屋におかれた絵については、誰もゲラーにサインを送ることはできないし、EEG測定装置につながれていれば、ゲラーも自由に動き回って覗き見することもできない。(ゲラーはなかなかじっとしていようとしなかったようだが) しかし、実験3と8では、ターゲットの絵はシールド・ルームから離れたところに置かれ、直接覗くことはできなかったので、必ずしもズルが簡単な実験だけに成功しているわけでもない。

成功した実験については、それぞれにマークスとランディがコメントしているので、それを次に見ていこう。(実際に描かれた絵をここに掲載できないのが残念である。文献6によると、ターゲットの絵を描くのに、プロのアーティストであるJean Mayoなる人物に手伝ってもらったとのことだが、「プロ」の意味を考えさせられてしまうような絵である)

  • 実験1:「爆竹」 辞書で選ばれた単語は「導火線」(fuse)であったが、描かれた絵は「爆竹」(fire cracker)であった。それは「トムとジェリー」等のアメリカアニメに出てくるダイナマイトのような絵であったが、「fire cracker」という文字も筆記体で添え書きされていた。これに対するゲラーの透視結果は2枚示されているが、それらには、コケシのような人物、首の長い動物、太鼓、ペンなどの絵が描かれており、「キリン」「ドラム」「音」「ペン」「ヘビ」等の文字も書かれてある。ランディの推理によると、覗き見しているゲラーにシピが「うるさい音がして耳をふさぐ」といったようなジェスチャーを送っていたのではないか?とのこと。コケシのような人物の頭の横には携帯電話のようなものが描かれているが、ランディによると、これは耳の中に入っていく雷だそうだ。
  • 実験2:「ぶどう」 辞書で選ばれた単語は「房」(bunch)であったが、描かれたのは「ぶどう」であった。ゲラーは、この透視を見事に成功させている。ターゲットには24個のブドウの粒が描かれていたが、ゲラーはその数さえ当てている。(24という数字まで逆さまに書かれてある) しかし、マークスとランディは、単にゲラーが覗いていた穴からよく見えるところにこの絵が置かれていただけだろうと推理している。
  • 実験3:「悪魔」 辞書で選ばれたのは「農家の人」(farmer)であったが、うまく描けなかったので「悪魔」に変更された。(ターゲットに「devil」の文字あり) しかし、この絵は悪魔に見えない。(絵を使った実験をするのなら、ちゃんとした絵が描ける人を連れて来い!) 中川いさみの漫画の登場人物のような兄ちゃんが三つ又の槍を持ったような絵である。このニイチャンには、鬼のような2本の短い角と、先の尖がったシッポも生えており、ちょっとにやけているように見える。これに対するゲラーの透視結果は3枚示されているが、「悪魔」は透視できていない。花や太陽のようなもの、りんご、地球、ナシやキュウリのようなものが描かれており、「神」(god)という文字も書かれてある。ただし、どういうわけか「三つ又の槍」だけは透視できている。しかし、この「槍」はかなり雑に描かれてあるので、あわてて描き足したように見える。この実験では、ターゲットは475m離れた別の部屋に置かれたので、覗き見することはできなかったであろう。実験終了後にゲラーが描いた3枚の絵をターグらがターゲットと比較している時に、隙を見て、こっそりすばやく三つ又槍をそのうちの一枚にゲラーが描き足したのであろうと、マークスやランディらは考えている。
  • 実験4:「太陽系」 これもあまりうまくない絵。「moon」「sun」などの添え書きがある。ゲラーの透視は成功しているが、なぜか流れ星や宇宙船といった余計なものまで描かれてある。文献6によると、映画「2001年 宇宙の旅」に登場した「モノリス」も描かれてあるそうな。「宇宙」といった言葉が、インターホンを通じて囁かれた可能性がある。
  • 実験8:「ラクダ」 ターゲットには大きなヒトコブラクダと、それとは逆さまに小さなフタコブラクダが描かれてある。ゲラーの透視結果は「馬」だった。この実験では、7メートル離れた部屋にターゲットが置かれたので、ゲラーがそれを直接覗き見することはできなかった。おそらくターゲットを見たシピか誰かが、それを間違って「馬」とゲラーに伝えてしまったのではないか。
  • 実験9:「橋」 ターゲットに描かれたのは「ゴールデンゲートブリッジ」のようなつり橋で、その下を船が航行している。ゲラーの透視結果は窓のような黒い四角が3つ描かれた上にアーチ状の線を3本描いたような橋であった。橋に違いはないが、ターゲットとはあまりに違うため、これも「橋」という言葉をヒントに書かれた可能性がある。
  • 実験10:「カモメ」 この透視にもゲラーは成功している。カモメかどうかはわからないが、明らかに「鳥」である。なお、なぜだかわからないが、ターゲットの絵に「URI GELLER」と書かれてある。

これ以降の実験はコンピュータを使って、シールド・ルームの外で行われた。当時のコンピュータは現在の家庭用パソコンと比べてもかなりちゃちいものだったので、そのモニターも白黒の簡単な画像しか映せなかった。

  • 実験11:「凧」 透視に成功しているが、歪んだ4角形に対角線を引いたような凧の絵であり、凧糸と尻尾は透視できていない。よって、誰かが指でこういった図を示して、ゲラーにヒントを与えた可能性が示唆されている。ゲラーは透視結果に満足したようで、「URI Geller」とサインまでしている。Nature誌に掲載された絵は文献1、2、3、6、10で見ることができるが、おもしろいことにこの絵だけ、文献によってバージョンが異なるものが存在する。ランディとマークスの著書である文献2と3ではバージョンが同じで、凧の絵の下に、マジックで黒く塗りつぶしたような跡がある。ところが、文献10では明らかに凧ではない変な模様のものが描かれてある。Natureの論文(文献1)では、この部分は切り取られていて見ることができない。同様にターグらの著書(文献6)でも、この部分は切り取られている。どうやら、ターグらは重要性の低いデータは切り捨てたり、実験後に手を加えてもかまわないと考えていたようだ。
  • 実験12:「教会」 ゲラーはいくつかの絵を描いているが、屋根の上に十字架の付いた「教会」に一番近いものは、逆さまにしたワイングラスのようなもの。
  • 実験13:「矢の刺さったハートマーク」 ゲラーは「矢」を透視することには成功しているが、ハートマークの透視には失敗している。

ここまで見てきてわかることは、ターゲットはどれもジェスチャーや単語一つでヒントを出せるような簡単なもので、実験のやり方もかなりいいかげんなものだったということだ。また、Natureの論文には、すべての実験結果が示されていないのではないか?という疑惑がある。実験後のシールド・ルームは失敗して捨てられた絵でいっぱいだったとの目撃証言がある。また、実験8では「馬」以外の絵も描いているらしいのだが、このことは論文には記載されていない。つまり、うまく当たった結果ばかりを選んで論文に載せている疑惑があるのだ。

ユリ・ゲラーとYouTube

ゲラーは、2007年にYouTubeに超能力検証ビデオの削除を求めた。これに対し、市民団体の電子フロンティア財団(EFF)はその行為を著作権法の乱用として、訴訟を起こしている。(文献4と5) ゲラーが根拠のない著作権の申し立てをしたというのは、Rational Response Squadという団体のBrian Sapientなる人物がアップロードした動画に対してであった。その結果、Sapient氏のアカウントは一時凍結され、その動画は2週間ほど見られなくなった。しかし、この動画のうち、ゲラーが著作権を所持しているのはほんのわずかだけであり、引用の範囲で公正なものであったと電子フロンティア財団(EFF)はみなしている。EFF所属の弁護士Marcia Hoffmanは「ユリ・ゲラーは、他人が彼の超能力に疑問を持つことが気に入らないかもしれない。しかし、法律を乱用することによって公的な批判を抑圧することは許されない。動画の公開が彼の著作権を侵害していないのであれば、その使用を妨害することはできない。これは単純なことだ」と述べている。EFFは、著作権の侵害はなかったという宣言的判決と損害賠償、および、今後この動画にゲラーが法的措置を取ることの禁止を要求している。(文献4と5)

この事件のせいか、今ではユリ・ゲラーとジェイムズ・ランディに関するビデオを多数インターネット上で見れるようになった。ここではそのいくつかを紹介しておく。(ゲラー以外のビデオについては「ジェイムズ・ランディ (James Randi)」の項目を参照のこと)
(*注:ここに書かれていることは、英語のヒアリングに基づいているので、本や記事の訳よりどうしても不正確さが残るということを御了承ください)

James Randi exposes Uri Geller and Peter Popoff

このビデオでランディは以下のような超能力のタネ明しをしている。

  • 鍵やスプーンをまげる もともと曲がっている鍵を、見せ方によっては今そこで曲がっていくように見せることができるとして実演している。ゲラーの場合、その場で曲がっていくのを見たという証言は少ない。ターグらの著書の文献6を見ても、実際その場で曲がったのを見たとは書かれていない。ならば、あらかじめ曲げておいたのを見せていると考えるのが一番合理的な解釈であろう。
  • 絵の透視 絵の透視にはさまざまなやり方がある。ここでは、絵が描かれている最中に後ろを向いて目を手で覆った場合のトリックをランディは紹介している。手の中に鏡を入れておいて、覗き見する方法だ。その他にも、次のようなトリックが使われるようだ。ヽ┐魃す敷居をわざと低くしておいて、鉛筆のうしろの先端の動きを読んで、何を描いているか想像する(ペンシル・リーディング)、答えが紹介された後に、いそいでその絵を写してあたかも透視したようにみせかける、「幾何学的な図形を2つ重ねて描いてください」と注文をつける。するとたいていの人は○の中に△、もしくは△の中に○を描くので、よい確率で当てることができる。しかし、これらの方法では単純な絵しか透視できない。
  • Johnny CarsonのTonight Showのエピソード マジシャンだったこともあるJohnny Carsonがホストのテレビのトークショーにユリ・ゲラーがゲストで出演したとき、ランディはゲラーがトリックを使えないようにCarsonに助言した。超能力に使う道具はすべて番組スタッフが用意し、ゲラーとその付き人には近づけないようにしておいた。このビデオでは、複数の金属製の小さな缶のうち、どれに中身が入っているか透視する超能力にゲラーが挑戦しているようだが、結局うまくいかなかった。このパフォーマンスにはいくつかのトリックが考えられるようだが、一番簡単なのは、ある程度重たいもの(ボールベアリングや磁石、水など)が入れられた場合である。机ごと全部を揺すってみると、ゆれ方の違いからどれに入っているかわかる。当然、気づかれないように揺すらないといけないので、このパフォーマンスでは、何も入っていないと思われる缶から取り除いていき、その際に残りの缶を揺するというトリックも使われるようだ。角砂糖のように軽いものや紙にくるまれたボールベアリングの場合には、ゲラーは成功していない。 

このビデオの最後の3分の1程度は、神の奇跡で悪魔を追い払い、癌などの不治の病気を治すことができると主張する、Peter Popoffという名のテレビ伝道師(televangelist)の心霊治療(faith healing)についてのデバンキングである。詳しいことは「ジェイムズ・ランディ (James Randi)」の項目を参照。

James Randi 1980s

ランディとゲラーに関する1980年代のテレビ番組の45分間のビデオクリック。音声の状態は良くないので聞き取りにくい。ゲラーのインタビューも聞き取りにくいが、「マジシャンは帽子からウサギを取り出すような人たちだ。私はマジシャンではない」「マジシャンは私の超能力のすべてを真似ることができる。わたしよりもすごいこともやってのけるが、それはトリックだ。私のはそうではない。このジレンマのせいで超能力を信じることができない人がたくさんいる」などと言っている。

また、自分の超能力は地球外知的生命に授かったと言っている様だ。ゲラーが研究室でスプーン曲げの実験に失敗したのは、その宇宙人が超能力をあまり公にしてほしがっていないからだと主張しているようである。ゲラーの子供の頃の写真も紹介され、5歳のときにスプーンを曲げたそうだ。成人してイスラエル軍に参加したときには、他人が何か言う前に何を言うかわかるようになったという。そんなゲラーは、今では超能力ショーで大成功を収め、大きな一軒家に妻のハンナと息子といっしょに暮らしている。このビデオでは、他人の描いた絵の透視を行っているが、トリックは明かされていない。

ゲラーは超能力でコンパスを動かすパフォーマンスもしている。しかし、コンパスなど小さな磁石さえ隠し持っていれば、簡単に動かすことができる。ランディには「口の中に隠しているのだろう」と言われたことがあるせいか、このビデオでゲラーは両手だけでなく口も広げて、何も隠してないことをアピールしている。しかし、磁石なんてどこにでも隠せる。小さな金属片を近づけてもコンパスを揺らすことができるので、ターグらでさえ、コンパスの実験は超能力の証拠とは言い難いとしている。(文献6)

ゲラーは超能力否定派の中には、とんでもなくバカバカしい主張をするものもいると反論している。なんでもゲラーのテレパシーは歯に埋め込まれた無線の受信機によるものだと主張した人がいたらしい。この装置を使うと「歯で聞く」ことができるそうな。

ランディに関しても昔の写真が紹介されているが、青年の頃のように見える写真は一枚だけで、その他はどれも我々がよく知る「ヒゲのおじいちゃん」の写真だ。ランディが得意とするのは脱出術であり、ミルク缶の中からの脱出やナイアガラの滝の上に吊るされた状態での拘束服からの脱出などが紹介されている。ランディがゲラーの真似をして、スプーンを折る、客の考えている言葉を当てる、コンパスを動かす、時計の時間を変える、などのパフォーマンスを行っている講演が紹介されている。

このビデオには、ゲラーとランディ以外の人もたくさん登場する。超能力肯定派としては、ゲラーをアメリカに連れてきたAndrija Puharich博士のインタビューを見ることができるが、音声が悪いので何を言っているのか聞き取れない。Charles T. Tart博士もちょっとだけ登場し、「ランディは超常現象について自分の考えを公に述べているが、彼は科学者ではなく、証拠を示せるような立場ではない」みたいなことを言っている。否定派としては心理学者のRay Hyman、SF作家のアーサー C. クラークなどが登場する。

ゲラー以外の事柄でこのビデオに取り上げられているのは、火渡りの儀式や空飛ぶ円盤などである。しかし、ここで紹介されている円盤の動画はどう見ても紐で吊られたオモチャにしか見えない。コンピュータ解析の結果ニセモノではないと結論されたそうだが…

かなりの時間を割いて紹介されているのは、いわゆる「心霊手術」である。これは、メスなどの手術用具を使わず手だけで行われる手術のことで、漫画「ブラック・ジャック」にも登場したことがあるが、最近はとんと噂を聞かない。ランディはスリランカの医学生の前でイカサマ心霊手術のデモンストレーションを行って見せている。

このビデオのクライマックスでは、ランディの仕掛けた「プロジェクト・アルファ」が紹介されている。この計画では、二人の若いマジシャン、Steve Shaw(芸名:Banachek)とMichael Edwardsがワシントン大学のマクドネル超能力研究所(McDonnell Laboratory for Psychical Research)に送り込まれた。そして、研究所スタッフに、ShawとEdwardsは自分達に超能力があると思い込ませることに成功する。彼らがマジシャンであることが暴露されるまで、研究は3年間続いた。その間、彼らは、金属を曲げたり念写やテレパシーなどの実験をやってみせたが、研究スタッフは誰一人それが手品であることを見抜けなかった。(文献7) 暴露の2年後の1985年にマクドネル研究所は閉鎖された。(文献8)

The Truth about Uri Geller

これは、ジェイムズ・ランディ教育基金(JREF)のサイト内のページで、ゲラーに関するビデオをダウンロードできる。ビデオは3つあるが、そのうちの一番トップのものは、上記のYouTubeのものと同一であり、PBSのNovaスペシャル「Secrets of the Psychics」という番組の録画であることがわかる。二番目はイスラエルでのテレビ番組のビデオクリップである。ゲラーはまたコンパスを動かす超能力を行っているが、このビデオの中にトリックが写っているらしい。0:57の部分を注意して見よ、とのこと。3番目のビデオは同じ場面をさらに詳しく見たもの。左手の親指に何かはめているように見える。4番目にはYouTubeへのリンクがあり、ゲラーの行ったコンパスのパフォーマンスと同じことを、ランディが行っている。ただし、タネ明かしはここでは示されていない。(どこかに磁石か金属片を隠しているのだろう)

James Randi Exposes Uri Geller (part 1 / 4)

このビデオではランディがゲラーの鍵を曲げる超能力のトリックを暴いている。ランディの前の台には「CALTECH」と書かれてあるので、これはカルフォルニア工科大学での講演の一部なのかもしれない。ここでデバンキングされているのはイタリアのテレビ番組だそうな。ゲラーは自分で鍵を曲げるだけでなく、観客にもやってみるように勧めている。しかし、これだけ人がいると、なかにはもともと曲がった鍵を持っているのに、この時まで気づかなかった人がいる可能性がある。ランディによるとゲラーは「鍵を手の力だけで曲げるのは不可能だ」などと言いながら、鍵を両手で曲げるしぐさを2回行っている。ところが、鍵をちょっとだけ曲げるのは、意外と簡単で、このしぐさこそがトリックだそうだ。このしぐさの直後、ゲラーは鍵の先端を徐々に持ち上げることによって、その瞬間にまさに鍵が曲がっていくように見せかけている。よく見ると最初から鍵の曲がった角度は変わっていない。

James Randi Exposes Uri Geller (part 2 / 4)

ここでランディがデバンキングしているのは、スイスのテレビ番組らしいのだが、これを見てもトリックはよくわからない。まずゲラーは色々ある金属製の食器の中から何を曲げるか選んでいる。彼が選んだのは、アルミ製の柄杓のようなもので、「プラスチックのようになっていく!」などと言いながら、これをゲラーは指でこするだけで真っ二つに折っている。ランディによると、この柄杓のような食器はもともと番組が用意したもののなかにはなかったそうだ。どこかからこの柄杓は現れ、よく見るとこの柄杓にはもともと割れ目が入っていたらしい。

James Randi Exposes Uri Geller (part 3 / 4)

ここでは絵の透視のトリックが暴露されている。こういった透視の実演でゲラーは後ろを向いて目を手で覆うというパフォーマンスをよく行う。この際、手の中に鏡を隠しているというトリックが暴露されたことがあったが、ここではもっと単純なトリックを使っている。後ろを向くフリをして、すぐにちょっとだけ振り返って指の間から絵を見ているのだ。相手は絵を描くことに集中しているので、それに気づかない。ただ、いつまでも覗いているとバレてしまう可能性があるので、またそっと後ろを向かないといけない。そのため、その後に描かれたものは透視できないのだ。

James Randi Exposes Uri Geller (part 4 / 4)

ここでもゲラーはスプーンを曲げる実演をしている。2回スプーンを曲げるトリックを行っているが、最初のトリックはわからない。2度目のトリックはスプーンを持ってゲラーが立ち上がって歩く際に、両手でスプーンを持っていることらしい。わざわざ両手で持つ必要はない。この際に力をかけて一度目以上にスプーンを曲げているのだ。

Uri Geller Reaches a New Level of Lame

おそらく今まで見たうちで最悪のスプーン曲げのパフォーマンス。これはイスラエルのテレビのモーニングショーのビデオクリップだそうだ。スプーンは相手に渡す前から既に曲がっているようだ。最初からスプーンの中心をゲラーは握っており、それを番組ホストに渡してあっという間に曲げてしまう。しかもS字型に曲げられている!!あまりに陳腐なのでジョークだとも考えられるが、本気なのだろうか?番組出演者の会話の内容を是非知りたい。「Randi Unmasks Uri's New Definition of "Lame-o"」ではランディの解説を見ることができるが、ランディも相当あきれている様子。

その他のユリ・ゲラーの超能力

その他のユリ・ゲラーの有名な超能力として、止まった時計を動かす、というものがあった。ゲラーは自分の目の前にある時計を動かすだけでなく、テレビの視聴者の家に止まった時計があれば、それも動かすことが出来ると主張した。これは、ぜんまい仕掛けの時計が主流だった1970年代ならではの超能力で、デジタル時計が主流の21世紀の現代では出来ないであろう。ゲラーが動かせたのはあくまで「止まった時計」であって、完全に「壊れた時計」は動かせなかった。ぜんまい仕掛けの「止まった時計」の中には、完全にぜんまいが伸びきってないものもあった。そういった時計は、揺すったり暖めたりするなど、何かのきっかけで動き出すことがあったのだ。

イカサマ超能力者のトリックを厳しく暴く、超能力肯定派のゆうむはじめ氏は平成元年9月12日にユリ・ゲラーのステージショーを観賞し、翌日ゲラーと会見した。その結果、「ユリ・ゲラーは真正の超能力者に違いない」という信念が「全くもって覆されてしまったのである」と自著(文献9)の中で告白し、以下のように述べている。

つまりわたしの見たかぎりに於いては、彼が『手品』を演じていたに違いないと思われる演技が、数多く見受けられたからである(ステージ上で演じられたものは全部といってもいい)。それもかつて、J・ランディーらから指摘があったような、その通りのやり口で演じられるのだからして、唖然とさせられたのは言うまでもない。

ゆうむ氏が言及しているゲラーの超能力とそのトリックは次の通り。

  • コンパスを動かす: ランディは口の中に磁石を隠していると指摘しているが、案の定、ゲラーが頭を近づけるとコンパスは動いた。
  • 手の中に握り締めた種を瞬時に発芽させる: これについては、種を床に誤ってばら撒いてしまうマネをして、その隙に手品的な「すり替え」を行うという指摘があったが、ゲラーはまったくその通りの手順で演じた。
  • 黒板に文字で書かれた「色」をあてる: 観客の中にブロック・サインを送る「サクラ」がいるとの指摘があったが、その指摘を裏付けるように、「色」は英語で書かれた。
  • 客が黒板に描いた絵をあてる: 客が絵を描いている間、ゲラーは目をつむらずに、ステージの隅で、1メートル四方の板を衝立代わりに持っているだけだった。その間、ゲラーは観客にいろいろ語りかけ、隙をみて覗き見しているようであった。

ただし、ゆうむ氏はこういったゲラーの「どうぞ疑ってください」と言わんばかりの演技を「本当の超能力を隠蔽するための陰謀ではないか?」と考えているようだ。CSICOPもランディも超能力を隠蔽する陰謀に加担し暗躍していると、ゆうむ氏はみなしている。これはUFOビリーバーがよく主張する「宇宙人が地球に来訪していることを隠蔽するために、政府が胡散臭い情報をわざと流布させている」という「陰謀論」となんら変わらないのだが…

ユリ・ゲラーの超能力は、21世紀の最新のマジックを見たことのある我々からすると、非常に地味なものに見える。ゲラーは2006年に日産のコマーシャルでスプーンを曲げてみせているが、これはCGだ。しかし、1970年代において、彼のパフォーマンスは大きな超能力ブームを引き起こした。今後もさらに高度な手品を超能力と称する第二第三のゲラーが登場する可能性はある。


参考文献

  1. Information transmission under conditions of sensory shielding 」 RUSSELL TARG, HAROLD PUTHOFF, Nature 251, 602 - 607 (18 Oct 1974) Letter
  2. The Truth about Uri Geller」 James Randi著、Prometheus Books
  3. Psychology of the Psychics」 by David F. Marks, Richard Kammann, Prometheus Books
  4. Spoon-Bending 'Paranormalist' Illegally Twists Copyright Law」 Electronic Frontier Foundation
  5. ユリ・ゲラー氏、「著作権法を曲げた」と訴えられる」 ITmedia News 2007年05月09日 18時40分
  6. Mind-Reach: Scientists Look at Psychic Abilities」 Russell Targ and Harold E. Puthoff, Hampton Roads Publishing Comany Inc.
  7. Pseudoscience and the Paranormal」 2nd edition, Terence Hines, Prometheus Books
  8. SCIENCE WATCH; PSYCHIC LAB TO CLOSE」 The New York Times, Published: August 27, 1985
  9. Mr.マリック超魔術の嘘 トリックの全貌を公開!!」 ゆうむはじめ著、DATAHOUSE BOOK 044、(株)データハウス
  10. The Search for Superman」 John L. Wilhelm, Pocket (July 1, 1976)
  11. イギリスの懐疑団体「Bad Psychics」のサイトの「Uri Geller」の項目に行くと、ユリ・ゲラーに関する資料がたくさんおいてあり、YouTubeなどのビデオクリップへのリンクも豊富にある。