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レディ・ワンダー

伝説

レディは、アメリカ・バージニア州リッチモンドに住んでいたクラウディア・フォンダ夫人が飼っていた馬で、長年、地元のバージニア州リッチモンドでは、「人の心を読むサイキック・ホース」として観光の目玉となっていた。
 この馬はクレバー・ハンスとは違い、数学に関する問題だけでなく、他のほとんどどんな問題にも答えることが出来た。(回答の際には馬用タイプライターを使って言葉を綴ったり、番号を示すこともできた)

話題はすぐに広がり、1927年には超能力研究の研究者として有名なデューク大学のジョセフ・バンクス・ライン博士とウィリアム・マクドゥーガル博士によって調査され、超能力を持つ馬として認定証まで発行されている。また博士の調査では、質問者であるフォンダ夫人が答えを知らない場合でもレディ・ワンダーは正解を答えることができたため、クレバー・ハンス事件のように質問者の動きを馬が捉えていることはないとされた。

覆された伝説

長らくこのケースは馬が超能力を持つ証拠とされていたが、1956年にミルボーン・クリストファーによる調査で真相が判明することになった。

クリストファーは自分がマジシャンであることは知らせずにフォンダ夫人の元を訪れると、夫人がレディの超能力パフォーマンスとして30年間変わらず同じ方法として用いていた「事前に答えを紙に書く」という点に疑問を持った。

そこで彼は、この紙に答えを書く際に渡される鉛筆が長いことに注目し、マジックの読心術で使うトリックの1つを用いているのではないかと推理。
 紙に鉛筆で答えを書く際、本当は「3」と書いているのだが、鉛筆の動きは「8」と書いているように見せかけてフォンダ夫人を引っ掛けたのである。(つまりこのトリックは、紙に書く際の鉛筆の動きを読むというもの)

もしレディが自分で考えるなり、テレパシーなどの超能力を使っているなりしていたのであれば、鉛筆の動きなどとは関係なく正しく正解の「3」を答えられたはずである。
 しかし実際は違った。レディが出した答えは、「3」ではなく「8」だったのである。

このことから、質問者のフォンダ夫人が答えを知らないはずの状況でも正しく答えを出せる、という長年の謎も解けた。実は「知らなかった」のではなく、事前に紙に答えを書かせる際の鉛筆の動きをフォンダ夫人が読んでいたのだ。つまり答えを知っていたのである。

あとは秘かに知ったその答えを、フォンダ夫人がいつも使っていた馬用の小さな鞭を用いてレディ・ワンダーに合図を送り、レディがそれに応じて答えを出していたことが見破られたことにより、この超能力パフォーマンスの謎は完全に解明されることになった。


参考文献