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学術誌 (東日本大震災)

東日本大震災・デマ・風評被害・陰謀論

  • 学術誌 (東日本大震災)

Nature

JAPAN EARTHQUAKE AND NUCLEAR CRISIS

日本語訳:「オンライン特集:日本を襲った大地震と核の危機」 Nature 特別翻訳記事

去る3月11日にマグニチュード9.0の大地震と大津波が日本を襲い、その後、原子力発電所で史上最悪の大惨事が発生しました。現在、日本の人々は、この大災害と闘い、悩み苦しんでいます。ネイチャーでは、この危機に関する最新情報、今回の地震の巨大な破壊力の原因分析、原子力発電所災害への対応に苦慮する日本政府、日本の研究コミュニティーが受ける影響などについて、常に最新の情報を提供しています。

Japan's nuclear crisis: Fukushima's legacy of fear

Geoff Brumfiel& Ichiko Fuyuno, 07 March 2012

Rebuilding Japan: After the deluge

David Cyranoski, 07 March 2012

Japan's post-Fukushima earthquake health woes go beyond radiation effects

Katherine Harmon, 07 March 2012

Scientists report back from Fukushima exclusion zone

Quirin Schiermeier, 24 February 2012

Nuclear energy: Nationalize the Fukushima Daiichi atomic plant」 

Tomoyuki Taira & Yukio Hatoyama, Nature 480, 313-314 (15 December 2011) doi:10.1038/480313a, Published online 14 December 2011

これは、平智之と鳩山由紀夫による記事である。「事実は、どんなに困難なものであっても、国民に知らせなければならない」や「さまざまな分野の科学者が協同して分析にあたれるように、特別な科学評議会を設置しなければならない」などといった意見には賛同できるが、この記事にはおかしな点も多々あり、すべてに賛同することはできない。

なかでも「核爆発の可能性」とはなんのことを言っているのかよくわからない。原子炉では原子爆弾のような核爆発は通常起こらない(ウラン235の濃縮率が低い)ので、なにをもって「核爆発」と定義しているのか意味不明だ。

もしなんらかの理由で燃料棒が爆発したというのなら、原子炉自体が爆発しているだろう。しかし、実際に吹き飛んだのは主に原子炉建屋のコンクリートの外壁である。そのため、原子炉内部から漏れ出した水素が建屋内にたまって、なんらかの原因で引火し、水素爆発したと考えられている。原子炉内部でなんらかの爆発があったという証拠はないのではなかろうか?

『3号機の建屋上部の鉄骨がどうやら溶けたためにねじ曲がっていること』を「核爆発」の根拠のひとつとしているようだが、爆発だけでも鉄骨が曲がることはあると考えられるので、溶融の根拠にはならない。また、3号機の爆発で発生した煙が白ではなくて「煙は黒かった」というのも核爆発の根拠にしているが、なぜ水素爆発の煙は白で、核爆発のは黒くなくてはいけないのか、その根拠ははっきりしない。

さらに、重金属元素キュリウム242が原発から最大3km離れた地点で、プルトニウム238(238Pu)が原発から最大45km離れた地点で検出されていることをもとに、『水素爆発に、重金属元素をこれほど遠くまで拡散させる威力があるのかどうかは不明である』として、核爆発の可能性を示唆している。しかし、重金属であっても原子レベルの極微量なものが軽量の塵等に付着していれば、風等によって遠距離まで飛ばされる可能性もある。重金属だから遠くまで飛ばないというのは、「鉄でできた船は水に浮かばない」というのと同レベルの主張である。

「破損した使用済み燃料棒が現場周辺に散乱している可能性があり、非常に危険である」とも述べているが、そのようなことが起こったという話は聞いたことがないし、現場写真などに「散乱した燃料棒」が写っていたという話も聞かない。

鳩山氏の結成した「Bチーム」のメンバーには、911陰謀論で有名な藤田幸久も含まれているため、こうしたよくわからない主張は藤田氏の影響なのかもしれない。とくに「水素爆発は、鋼鉄を溶かすほどの高温を発生させなかったであろう」から核爆発だというのは、911陰謀論者の論法に酷似している。911自作自演説でも「融けた鋼鉄」は、ツインタワーが「テルミット(サーマイト)によって制御爆破解体された」ことの根拠とされる。

 原発事故の真相究明には東京電力福島第一原発の国有化を――。鳩山由紀夫元首相らが15日、英科学誌ネイチャーにこんな提言を盛り込んだ論文を発表した。東電が情報開示に消極的だとして、原発を政府の管理下に置いて事故原因の解明をすべきだと主張している。

 

 論文は平智之・衆院議員との連名。国会の特別委員会が8月に事故時の手順書の提出を東電に求めたが、知的財産権などを理由に資料の大半が黒塗りにされた。手順書が全面的に公開されるまで数カ月を要したことを挙げ「原発事故に関する情報が入手しにくい」と指摘。同原発を国有化することで、データなどは原則的にすべて公開できるとした。

 

 同誌の表紙には、黒塗りの手順書と日の丸が掲載された。

朝日新聞の記事では「論文」としているが、元記事を見るとCOMMENT(コメント)と書いてあり、査読もしていないし科学的な研究報告でもないので、これは理系的な意味での論文ではない。

Critical mass」 

Nature 480, 291 (15 December 2011) doi:10.1038/480291a, Published online 14 December 2011
日本語訳:「福島第一原発事故:科学者の声を政府に」 natureasia.com

この状況は、日本が抱えている問題、それも、福島の原発事故以前からあり、日本の歴代政権のすべてが抱えていた問題と、深く関係している。それは、独立の立場から政府に強く助言する科学の声がないという問題だ。

Fukushima maps identify radiation hot spots」 

Edwin Cartlidge, News, 14 November 2011

低線量被曝の危険性に関する知識はまだ不十分」 

David J. Brenner, Nature 2011年4月5日オンライン掲載 | doi:10.1038/news.2011.206

NATURE NEWS BLOG

その他

  • In from the cold」 Nature 485, 415-416 (24 May 2012) doi:10.1038/485415b

Starting Small

英語圏の総合科学誌「ネイチャー」の福島原発事故Q&Aの日本語訳

Science

Japan Earthquake: The Aftermath

  • A Safer Nuclear Enterprise」  Sidney D. Drell, George P. Shultz, Steven P. Andreasen, Science 8 June 2012: Vol. 336 no. 6086 p. 1236
  • Radioactive Limbo」 Dennis Normile, Science 9 March 2012: Vol. 335 no. 6073 p. 1165 DOI: 10.1126/science.335.6073.1165

その他

PNAS

Journal of Environmental Monitoring

Energy & Environmental Science