政府・関係機関の対応 2 (東日本大震災)
東日本大震災・デマ・風評被害・陰謀論
ここでは、2011年4月9日から6月17日までの記事について集めています。
「2・3号機もメルトダウン 東電データで裏付け」
asahi.com, 2011年5月17日6時12分
圧力容器の底には制御棒や計測機器を外から通すための数多くの貫通部がある。メルトダウンした核燃料が圧力容器の底にたまり、その熱の影響で機器が溶けるなどした結果とみられる。3号機内の汚染水からは、原子炉内の核燃料が損傷して出るテクネチウムなどの放射性物質も確認されていることから、溶けた燃料がさらに圧力容器から格納容器内に落ちた可能性もある。
東電は会見で「プラント全体の事象を追いかけられておらず、評価できていない」と明確な判断を示さなかった。
「ベント・注水に難航…福島第一の経過、東電資料に詳細」
asahi.com, 2011年6月16日15時0分
東電は中央制御室に残っていたデータを分析し5月に結果を公表したが、ベントと注水の経過については、経済産業省原子力安全・保安院に報告したうえで、6月15日の会見で公表する予定としていた。しかし、複数の関係者によると、公表について官邸側の了承が得られず、会見直前になって見送られたという。
復興策の具体化進まず
- 「復興策 具体化進まず」 2011年6月13日 読売新聞
東日本大震災の発生から3か月がたったが、政府による復興策の具体化は、菅首相の進退をめぐる政争に振り回されつつある。(芳村健次)
復興策が具体化しないのは、政争だけが原因なのだろうか?たとえば、復興策もままならないうちから、夢のような構想を以下のように披露する総理には本当に責任はないのだろうか?
- 「「自然エネルギー庁」構想を披露=菅首相、看板政策に意欲」 時事ドットコム(2011/06/12-18:15)
菅直人首相は12日午後、ソフトバンクの孫正義社長、元サッカー日本代表監督の岡田武史氏らを首相官邸に招き、自然エネルギーの普及に関する懇談会を開催した。
首相は席上、「『自然エネルギー推進庁』をつくって専門家を集めれば、(今後)10年どころか、もっと早い時期にやれる。省庁横断的に進める何らかの仕組みを急いで検討する」との考えを示した。自然エネルギー普及に関しては「首相という立場でやると同時に、生きている限りしっかりと取り組む」と語った。
- 「《次の時代》(3):自然エネルギーへのうねり」 kanfullblog, 06/13(月曜日)
昨日、《次の時代》に向けての新しい試みを始めました。「自然エネルギー」のこれからを論じ合う、初の「総理・有識者オープン懇談会」です。ソフトバンク社長の孫正義さん、サッカー日本代表元監督の岡田武史さん、ap bank代表理事の小林武史さん、環境ジャーナリストの枝廣淳子さんが官邸に訪ねて来られ、海外から坂本龍一さんもビデオメッセージで参加されました。
その場で思いついたような「構想」を、人気取りで言うのはもういい加減にやめてほしい。そもそも、岡田武史氏や坂本龍一氏と懇談しなくてはならない理由が「人気取り」以外にあるのだろうか?彼らが原子力・エネルギー問題の専門家だとでもいうのであろうか?菅総理は真面目にエネルギー問題について考える気が本当にあるのだろうか?
以下の「アゴラ 言論プラットフォーム」の記事も参照。
- 「冷静かつ深みのあるエネルギー政策論を - 澤 昭裕」 2011年06月17日10:01
- 「こんな状況でソーラーに莫大な補助金を注ぎ込んでいる場合か! 藤沢 数希」 2011年06月15日23:14
- 「「原発か自然エネルギーか」というナンセンス 池田 信夫」 2011年06月14日08:52
ただし、藤沢数希氏の『日本での処理がむずかしいなら、ロシアや中国、モンゴルなど、不毛の土地が余っており原子力を国策として推進している国とビジネスをして処理してもらえばいいだろう』という発想には同意しない。放射性廃棄物を他国に押し付けることは同義的に賛同できない。日本国内で処理できないのであれば原発は廃止すべきだろう。
「2号機「とてつもない事故」寸前だった 作業員に「ここから出るのは止めません」」
Excite News, 2011年6月7日 17時09分 (2011年6月7日 17時45分 更新)
原発事故調査・検証委員会
- 「原発事故調査・検証委員会のメンバー」 (2011年6月7日12時14分 読売新聞)
メンバーに原子炉の専門家やエンジニアはいない。海外の専門家を入れずに、第3者性を担保できるのであろうか?国連大使や弁護士を集めていったい何を調査するつもりなのだろう?柳田邦男については以下のリンクも参照。
- 「壊れる日本人と差別する柳田邦男」 新・後藤和智事務所 〜若者報道から見た日本〜, 2005年6月 6日 (月)
隠す意図はなかったが、国民に示すという発想がなかった
- 「千度以上示す核物質、3月12日に検出していた」 2011年6月3日23時09分 読売新聞
東電福島第一原発から約6キロ離れた福島県浪江町で3月12日朝、核燃料が1000度以上の高温になったことを示す放射性物質が検出されていたことが分かった。
経済産業省原子力安全・保安院が3日、発表した。検出された物質は「テルル132」で、大気中のちりに含まれていた。原発から約38キロ離れた同県川俣町では3月15日、雑草から1キロ・グラム当たり123万ベクレルと高濃度の放射性ヨウ素131も検出されていた。
事故発生から2か月以上たっての公表で、保安院の西山英彦審議官は「隠す意図はなかったが、国民に示すという発想がなかった。反省したい」と釈明した。
テルルの検出は、1号機から放射性物質を含む蒸気を放出する「ベント」の実施前だった。
「津波の想定「過小評価」…IAEA報告書概要」
2011年6月1日13時54分 読売新聞
報告書は「津波の想定は過小評価だった」と指摘し、「安全対策の多重性確保」を強く求めた。事故の収束を目指す工程表については、避難住民が元の居住地で生活を再建することまで視野に入れ、より広範な計画に組み込むべきだと注文をつけた。
「東電、貞観大津波も過小評価か 4メートル未満と推定」
asahi.com, 2011年5月23日8時21分
東日本大震災の大津波の前例と指摘される869年の「貞観(じょうがん)の大津波」について、東京電力が福島県内の津波は4メートル未満と推定する調査結果をまとめていた。大津波の可能性を小さく評価する内容。22日から始まった日本地球惑星科学連合大会に発表を申し込んでいた。
「福島第1原発:政府報告書 「取材にはノーコメントを」」
毎日新聞 2011年5月22日 20時47分(最終更新 5月22日 21時23分
東京電力福島第1原発事故の経緯や教訓を国際社会に説明するため、日本政府が作成中の報告書について、報道関係者からの問い合わせがあった場合は「ノーコメント」と答えるよう、関係省庁が申し合わせていたことが22日、明らかになった。
報告書は、6月20日からウィーンで開かれる国際原子力機関(IAEA)の閣僚会議に提出するもので、今月17日に作成方針が発表された。細野豪志首相補佐官をトップとする「報告書作成チーム」が、今月末の完成を目指して急ピッチで作業を進めている。
海水注入の一時中断
もうメチャクチャ。「言った」「言わない」「聞いてないよ」と大騒ぎした揚句、現場の判断で中断はしなかったという落ち。極めてみっともない。この国に政治的指導者はいない。
- 「原発注水、海江田経産相が東電に指示していた」 2011年5月31日11時44分 読売新聞
枝野官房長官は31日午前の衆院東日本大震災復興特別委員会で、東京電力福島第一原子力発電所事故に関し、海江田経済産業相が3月12日午後6時ごろ、東電に対し「準備が出来次第、海水注入をするように」と指示していた事を明らかにした。
- 「福島第1原発:海水注入中断せず、所長判断で継続 東電」 毎日jp、2011年5月26日 15時47分 更新:5月26日 16時38分
福島第1原発1号機で地震発生翌日の3月12日、原子炉を冷やすための海水注入が一時中断したとされた問題で、東京電力は26日、注入は中断せず、継続していたことが分かったと明らかにした。
第1原発の所長の判断で続けていたという。
東電によると、福島第1原発の所長は「国際原子力機関の調査があり、国際的にもいろいろ評価することを踏まえ、事実を報告する気になった」と話しているという。
福島第1原発1号機で海水注入が継続していた問題で、東電の武藤栄副社長は記者会見で「(同原発の)吉田昌郎所長の処分を検討している」と話した。
なぜ処分が必要なのかさっぱりわからないが。
- 「福島第1原発:内閣官房にもファクス 海水注入準備」 毎日新聞 2011年5月26日 12時56分(最終更新 5月26日 13時51分)
保安院によると、海水注入について、3月12日午後3時20分ごろ、東電からファクスで保安院に伝えられた際、内閣官房にも同時にファクスで連絡されていたことを東電と官邸に確認したという。ファクスに記載されている宛先は、危機管理に関する情報を一元的に集約する内閣情報集約センターと、福島県や原発のある市町村だった。【河内敏康、比嘉洋】
- 「「東電は首相官邸にも事前ファクス」 1号機の海水注入計画で保安院」 MSN産経ニュース、2011.5.26 13:56
東京電力福島第1原発事故で1号機への海水注入が一時中断した問題で、経済産業省原子力安全・保安院の西山英彦審議官は26日、海水注入の3時間以上前の3月12日午後3時20分ごろに東電から事前報告として送られてきたファクスは、同時に内閣官房などにも送信されていたことを明らかにした。
- 「「言った、言わない」を繰り返す永田町の懲りない人々」 2011年5月26日 木曜日 河合 薫, 日経ビジネス
- 「福島第1原発:東電、海水注入は事前に通告 爆発16分前」 毎日新聞 2011年5月25日 12時21分(最終更新 5月25日 14時15分)
東京電力は25日、冷却機能を失った福島第1原発1号機への海水注入を実施することを、3月12日午後3時20分ごろに経済産業省原子力安全・保安院へファクスで伝えていたことを明らかにした。また、保安院も25日、東電から3月12日の午後3時20分に「今後準備が整い次第、消火系にて海水を注入する予定」と書かれたファクスがあり、保安院の緊急対策室で配ったと認めた。しかし「付随的な連絡だった。(内容を把握していたかは)確認できていない」としている。
- 「菅首相、注水中断への政権の関与否定 復興特別委で答弁」 asahi.com, 2011年5月23日12時5分
菅直人首相は23日午前の衆院復興特別委員会で、東京電力福島第一原発1号機への海水注入が3月12日に一時中断された問題について「少なくとも私や(官邸で協議していた)メンバーが止めたことは全くない」と述べ、政権の関与を否定した。
- 「菅首相、注水中断指示を否定=再臨界の危険性検討−衆院復興特委」 時事ドットコム、2011/05/23-13:00
東日本大震災関連の法案を審議する衆院復興特別委員会は23日午前、菅直人首相と関係閣僚が出席して復興基本法案の実質審議に入った。東京電力福島第1原発1号機への海水注入が3月12日に一時中断した経緯について、首相は「少なくとも私が止めたことは全くない。私や官房長官に報告が上がってなかった。やめろとか言うはずがない」と述べ、東電への中断指示を否定した。
また、同委員会の班目春樹委員長が海水を注入すれば「再臨界の危険性がある」と発言したと一時発表されたことに関し、班目氏は「多分、首相から『再臨界は気にしなくていいのか』という発言があったので、『再臨界の可能性はゼロではない』と申し上げた。これは確かだ」と説明した。いずれも自民党の谷垣禎一総裁への答弁。
- 「東日本大震災:福島第1原発事故 「海水注入で再臨界」 政府、班目氏発言を訂正」 毎日新聞 2011年5月23日 東京朝刊
班目氏は一時「再臨界を言うはずがない。私の原子力に関する知識をばかにしている。侮辱もいいところだ」と批判していたが、要請後、毎日新聞の取材に「(学問の世界では)ゼロでないという発言をしたという記憶がよみがえった。この発言に事務官が過敏に反応していた」と軌道修正。21日の文書の表現を「再臨界の可能性を問われ、ゼロではないとの趣旨の回答をした」と訂正することで折り合ったという。
多くの専門家は再臨界の可能性は皆無に近かったとみている。住田健二・大阪大名誉教授(原子炉工学)は「原子炉内に真水が大量に入っている状態で海水を入れても、臨界に必要な中性子の吸収量はほとんど変わらない。不純物が混ざれば、むしろ中性子が吸収されて臨界が妨げられる」と分析。「海水注入が(55分間)止まったことで、炉内の温度が上がったり、沸騰したりした可能性はあり、影響はあったと思う」と話す。【岡田英、野田武】
- 「1号機の海水注入を55分間中断 再臨界恐れ首相指示」 47News, 2011/05/20 21:28 【共同通信】
海水注入の遅れで被害が拡大したとの批判があり、専門家は「海水注入を続けるべきだった」と指摘している。
- 「海水注入が一時中断=再臨界懸念し菅首相指示−福島1号機」 時事ドットコム、2011/05/21-01:33
1号機では、3月12日午後3時半すぎ、水素爆発が発生。東電の公開資料によると、東電は同日午後7時4分から海水注入を開始した。一方、首相官邸での対応協議の席上、原子力安全委員会の班目春樹委員長が再臨界が起きる可能性を菅直人首相に進言。これを受けて首相が中断を指示し、午後7時25分に海水注入を停止した。
その後、問題がないと分かったため、午後8時20分に海水とホウ酸の注入を開始したが、55分の間、冷却がストップした。
以上のようなことを、政府関係者が明らかにしたらしい。
- 「菅総理の海水注入指示はでっち上げ」 安倍晋三 メールマガジン、バックナンバー、最終変更日時 2011年5月20日
12日19時04分に海水注入を開始。
同時に官邸に報告したところ、菅総理が「俺は聞いていない!」と激怒。
官邸から東電への電話で、19時25分海水注入を中断。
実務者、識者の説得で20時20分注入再会。
「1号機、津波前に重要設備損傷か 原子炉建屋で高線量蒸気」
47News, 2011/05/15 02:02 【共同通信】
関係者によると、3月11日夜、1号機の状態を確認するため作業員が原子炉建屋に入ったところ、線量計のアラームが数秒で鳴った。建屋内には高線量の蒸気が充満していたとみられ、作業員は退避。線量計の数値から放射線量は毎時300ミリシーベルト程度だったと推定される。
「高い放射線量、東電公表せず 3号機、水素爆発前に把握」
asahi.com, 2011年5月13日5時31分
東電の内部資料によると、3号機については、13日から、原子炉建屋内の高い放射線量のデータや水素が増えている可能性について記述があった。「二重扉内側300mSv/h(ミリシーベルト毎時)」(13日午後1時17分)、「水素がたまっている可能性が高い(1号機と同様)」(13日午後2時7分)、「二重扉北側300mSv/h以上(中は白いもやもや状態)、南側100mSv/h」(13日午後2時31分)などだ。毎時300ミリシーベルトは、福島第一原発の作業員に限って認められる年間の上限線量250ミリシーベルトと比べても非常に高い数値だが、東電はこれらのデータについて未公表だ。
「核燃料の大半溶け圧力容器に穴 1号機、冷却に影響も」
asahi.com, 2011年5月12日13時46分
東電によると、溶けた燃料が圧力容器の底に落下、その熱で制御棒を動かす棒を入れる管の溶接部などに亀裂が入り、圧力容器の底から大量の水が漏れている可能性があり、3千トンの水が行方不明になっている。
東電原子力・立地本部の松本純一本部長代理は「実際には燃料は形状を保っておらず、大半が溶けて底にたまっているとみられる。底にわずかにたまった水で燃料が冷やされていると考えられる」と説明。また、「核燃料が圧力容器の外に漏れているとは考えていないが、可能性は否定できない」とも話した。
状況は最悪と言っていいだろう。結局、東電と政府は都合の悪いことを最後まで隠蔽してきたと言われても仕方がない。
「日本の原発、テロ攻撃対策も不十分−ウィキリークスの米外交公電」
ウォールストリートジャーナル、2011年 5月 9日 8:28 JST
ウィキリークスの公表した一連の外交公電では、米当局者は日本政府側に対し、安全対策を強化するよう繰り返し促していたが、そのたびに日本側から拒否されていたという。
- 「Browse by 2011/05/07」 Wikileaks
内閣官房参与が辞任
- 「東日本大震災:小佐古・内閣官房参与の辞任表明文要旨」 毎日新聞 2011年4月30日 東京朝刊
- 「官房参与が辞任・記者会見資料を全文掲載します」 NHK「かぶん」ブログ、2011年04月29日 (金)
東京電力福島第一原子力発電所の事故への対応に当たるために、先月、内閣官房参与に任命された、原子力の専門家で東京大学大学院教授の小佐古敏荘氏が、記者会見し、「政府の対策は法にのっとっておらず、場当たり的だ」として、内閣官房参与を辞任することを明らかにしました。
「電気新聞「時評」福島第一原子力発電所〜炉心状況〜」
平成23年4月26日, 日本原子力技術協会最高顧問, 石川 迪夫
「空自機で帰京、防衛相指示で引き返す 東電社長、震災当日」
中日新聞, 2011年4月26日 13時35分
この記事によると、東京電力の清水正孝社長は、3月11日に関西出張中で、名古屋空港から民間ヘリで帰京しようとしたが、航空法の規定で夜間飛行ができなかった。そこで、東電を所管する経済産業省は、自衛隊機に清水社長を搭乗させるように要請し、清水社長は空自小牧基地の輸送機C130に搭乗し、11時半ごろ、入間基地(埼玉県)に向けて離陸した。ところが、北沢俊美防衛相が「輸送機の使用は被災者支援を最優先すべきだ」として、すでに離陸していた輸送機を空自小牧基地に引き返すよう指示した。
そのため、清水社長は事故発生当日は帰京できず、翌12日早朝に民間ヘリを利用して、東電本店に到着したのは同日午前10時ごろだった。
清水社長が当日に帰京できたとして、事態が好転したかどうかは疑問であるが、社長の帰京を遅らせたのは、経済産業省と北沢防衛相との軋轢だったようだ。(経済産業省の判断が間違っていた?)
「ベント実施の判断遅れを強調 細野首相補佐官が東電の対応を批判」
Jcastニュース、2011/4/25 21:09
上記の記事によると、「統合対策本部」が2011年4月25日夕方、東京・内幸町の東京電力本社で、初めて記者会見を開いた。
この会見で、細野豪志首相補佐官は、1号機のベントがなぜ遅れたのか、という質問に対して以下のように答えた。
「『ベントすべし』という判断は、実質的には11日の深夜、遅くとも12日の海江田大臣と東京電力の副社長が会見をした時点で、政府としては、『東京電力は腹を決めてベントをやるつもりだ』という共通認識に立っていた。ただ、なかなかベントが行われないということで、朝方、6時50分に命令に切り替えた。従って、11日夜から12日朝にかけて『ベントをすべし』という判断は、政府としては一貫して変わらなかった」
さらに、細野氏は東電の対応の遅さに対する次のような批判も述べた。
「一言だけ申し上げると、ここは東京電力なので、若干申し上げにくいが、東京電力という会社自体は、非常に電力を供給するというルーティーンワークに非常に慣れた会社であって、何か大きな判断をするということが、若干やりにくい社風だったのかなぁ、といったことは感じていた」
こうした批判に対して、松本純一・原子力・立地本部長代理は、以下のように釈明した。
「なにぶん、電源がないという状況。真っ暗な状況で現場の弁を探して、結果的にあの時間になった」
この記事を読むと、まるで東電が一方的に悪いような感じだが、電源がなければ何もできないというのも事実だ。細野氏の答弁は「ベントすべしと命令だけしておいて、あとは東電まかせ」という風にも聞こえる。これは逆に、なにもかも「東電にまる投げ」という政府の無策ぶりが露呈していると解釈することもできる。
「福島第1原発事故で対応が後手に回った真因」
樋口 晴彦、日経ビジネス、ニュースを切る、2011年4月20日
かなり納得できる分析。原子炉への海水注入のタイミングが遅れた理由として、廃炉や新規建設には莫大な費用がかかるため、東京電力が決断を躊躇した、といった批判がある。しかし、筆者は、福島第1原発事故で対応が後手に回った原因は、本質的には、電源の喪失とマンパワーの不足であると分析している。
当時、福島第1原発には約800人の人員が存在したが、実際に緊急時に戦力となる作業員は50人程度しかいなかった。これでは、複数の作業を同時並行的にこなすことは困難だった、と筆者は指摘している。
想定外の高さ約14〜15mの津波に襲われたため、地下に設置された非常用ディーゼル発電機が冠水して使用不能となり、3月11日午後4時36分に福島第1原発は電源を喪失し、緊急炉心冷却装置(ECCS)は停止した。さらに、炉内の蒸気でタービンを回す原子炉隔離時冷却系も、その注水口が電動弁であったため、数時間後にはバッテリーが切れてしまい、原子炉冷却の手段は完全に失われた。
電源喪失により遠隔操作ができず、作業員が現場で直接作業するしかなく、建物の中は照明もなかった。さらに、普段は行わない作業ばかりなので、作業計画を練ることも困難で、1つの作業を終えるのにさえ相当な時間がかかった。かくして、対策がことごとく後手に回り、燃料棒の破損等、被害を拡大させてしまったと考えられる。
「原発工程表、どういう根拠?作業員が達成に疑問」
2011年4月18日09時08分 読売新聞
ある協力会社の30歳代の男性は「3か月で放射線量が減少傾向になるとは思えない」と話す。男性は17日も作業にあたったが、原子炉建屋の周辺では依然として放射線量が高く、作業は長い人でも数時間しか行えないという。
男性によると、マスクを装着し、防護服を着るため、作業員の中には、脱水症状を訴える人が出ている。雨が降れば防護服の上にビニール製のかっぱも着る。「梅雨になれば作業効率が落ちるし、熱中症も心配。東電はどういう根拠で期間を示したのか」と疑問を示した。
- 「福島第一原子力発電所・事故の収束に向けた道筋」 平成23年4月17日、東京電力株式会社、プレスリリース 2011年
「原発推進学者が次々懺悔 「国民に深く陳謝する」」
Jcastニュース、2011/4/16 13:17
東京電力の福島第1原子力発電所の深刻な事故を受け、政府の原子力安全委員会の歴代委員長を含む原発推進派学者の重鎮たちが原発の「安全神話」崩壊に懺悔を繰り返している。特に元原子力安全委員長の松浦祥次郎氏や前原子力委員会委員長代理の田中俊一氏ら原発推進の学者16人がこのほど、異例の緊急提言を行った。
2011年4月1日、会見した田中俊一氏は「原子力の平和利用を進めて、まさかこういう事態、これほど国民に迷惑をかけるような事態は予測していなかった。結果的にこういうことになっていることについて、原子力を進めてきた人間として、国民に謝らなくてはならないという気持ちは、みんな持っていると思う」と心境を明かした。
提言に加わっていない原子力安全委員会前委員長の鈴木篤之氏(日本原子力研究開発機構理事長)も4月6日、衆議院経済産業委員会に招致され、「国民にたいへん申し訳ない。私にとって痛恨の極みだ。この事故を反省し、よく考えていかないといけない」などと反省の弁を述べている。
原子力安全委員会では、歴代OBに限らず、現役首脳も自己批判に追い込まれている。斑目春樹委員長は、やはり6日の衆議院経済産業委員会で、「今回の事故を深く反省し、二度とこのようなことが起こらないよう指導していきたい」などと弁明に懸命だった。
自分たちが「御用学者」であったことを認めたのであろうか?
「「津波にも安全」? 原発推進の副読本、記述見直しへ」
asahi.com, 2011年4月15日12時34分
高木義明文部科学相は15日の閣議後の記者会見で、原子力発電推進のため資源エネルギー庁と文科省が発行した小中学校向けの副読本の内容を見直す考えを明らかにした。副読本には原発について「大きな地震や津波にも耐えられるよう設計」と記されており、高木文科相は「今回の震災と合致していない。見直すべきものは見直す」と述べた。
副読本は小学校向けが「わくわく原子力ランド」、中学校向けが「チャレンジ! 原子力ワールド」という名称で、全国の小中学校に配布されている。インターネット上でも公開していたが、見直すまでの間、ダウンロードできないようにしたという。
過去には以下のようなアニメも製作されていたようだ。
- 「頼れる仲間プルト君――プルトニウム物語」 投稿者: chiniasobu, YouTube, 作成日: 2011/03/28
以下のリンクも参照。
- 「資料:原子力教育のための学校用副読本,その他の関連機関発行の教材」 小波秀雄, 京都女子大学 現代社会学部
- 「原発教育・事故後に改めて見る「原子力ポスターコンクール作品」」 Yuh_Fazioli、みんカラ、2011年04月22日
「「全員撤退なし」首相に伝達=福島第1の事故で−東電社長」
時事ドットコム、2011/04/13-21:23
清水社長は福島第1原発からの撤収に関し、「直接作業に関わらない人間の退避は、当然あった」と指摘した上で、「全員退避するべしと判断したというのは、事実ではない」と明言した。
レベル7に慌てる外国の原発産業
- 「福島第1原発:レベル7で国際的な推進路線に冷や水も」 毎日新聞 2011年4月13日 20時43分
【ウィーン樋口直樹】福島第1原発事故の国際評価尺度(INES)が史上最悪の旧ソ連チェルノブイリ原発事故と同じ「レベル7」に引き上げられたことを受け、国際原子力機関(IAEA)は、チェルノブイリとの違いを強調するなど警戒感をあらわにした。ロシアやフランスなど原発大国からは日本の「過剰評価だ」と指摘する声も相次いだ。背景には、国際的な原発推進路線の「後退」への危機感の強さが読み取れる。
- 「ロシア:「福島問題」の拡大を警戒 原発ビジネスの障害に」 毎日jp, 2011年4月13日 20時10分
【モスクワ田中洋之】ロシアは原子力を石油、天然ガスに次ぐ戦略的エネルギーと位置づけ、原発輸出ビジネスに力を入れている。このため福島第1原発事故で「原発アレルギー」が国際社会に広がることを警戒している模様だ。
国営原子力企業ロスアトムのノビコフ広報局長は12日、「レベル7は行き過ぎだ。深刻な健康被害は出ていない」と強調。さらに「(レベル引き上げは)日本政府に対する非難がこれ以上高まらないようにするため政治的な思惑が働いた」と指摘した。
レベル7
原子力安全・保安院は2011年4月12日に、福島第一原発の事故について、「国際原子力事象評価尺度」(INES)の暫定評価を最悪の「7」に引き上げることを発表した。しかし、この発表の時期が遅かったため、内外から不満が噴出した。
- 「枝野長官も事前に把握=レベル7引き上げ」 時事ドットコム、2011/04/13-13:16
枝野幸男官房長官は13日午前の記者会見で、原子力安全委員会が福島第1原発の放射性物質の放出量がレベル7相当量になる可能性を3月下旬に把握していたことに関し、「同委などから『可能性があると認識していた』との報告は受けていた」と明らかにした。
- 「東日本大震災:福島第1原発事故 レベル7、先月認識 原子力安全委、見直し求めず」 毎日新聞 2011年4月13日 東京朝刊
東京電力福島第1原発1〜3号機の事故の深刻度を政府が12日、国際評価尺度で最悪の「レベル7」(暫定)に引き上げたことについて「対応が遅すぎる」との批判が出ている。評価に協力した内閣府原子力安全委員会の代谷(しろや)誠治委員は同日の会見で「3月23日の時点で、放出量がレベル7に該当する可能性が高いと分かっていた」と発言。それでも経済産業省原子力安全・保安院に暫定評価の見直しを勧告しなかったことを明らかにした。
安全委は3月23日、原発から出た放射性物質の拡散予測結果を発表。その際、放出量が最大で数万テラベクレル(テラは1兆倍、ベクレルは放射線を出す能力の強さ)になるとのデータを得ていた。保安院に見直しを求めなかった理由について代谷委員は、データの精度が十分でなかったことに加え「評価するのは保安院の役割」と説明した。
安全委はまるで他人事のようなことを言っているが、これでいいのだろうか?
- 「「1カ月遅れ」に海外から批判 正確な説明求める声も」 東京新聞、2011年4月12日 22時15分
日本政府が福島第1原発事故の深刻度を発生から約1カ月後の12日になってようやく、国際評価尺度で最悪の「レベル7」に引き上げたことに対し、海外からは「対応が遅いとの批判は逃れられない」(韓国・聯合ニュース)などとの声も出た。
- 「「国は事故を過小評価」専門家から批判の声も」 2011年4月12日20時20分 読売新聞
福島第一原子力発電所の事故の国による評価は、事故発生直後の「4」が3月18日に「5」に、そして20日以上たった4月12日になって最悪の「7」に変わった。専門家からは「国は事故を過小評価しようとしてきたのではないか」との批判の声も上がっている。
- 「福島第1原発:「情報隠し」海外メディアが疑念」 毎日新聞 2011年4月12日 21時01分
米ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)は「データは現在も過小評価されていないのか。今回のレベル引き上げは、こういった点について新たな疑問を投げかけた」と指摘。韓国のハンギョレ新聞(同)も「日本はチェルノブイリ原発に次ぐ事故と分かっていながら、レベルを低めに発表していたのではないかという疑惑も出ている」と伝えた。
ただし、この記事では、つぎのように「チェルノブイリ事故とは違うという指摘」も紹介している。
英ガーディアン紙(電子版)は「チェルノブイリ原発事故は、爆発が起きた上、格納容器が無かった。チェルノブイリ事故と同じレベルに引き上げたのは行き過ぎだ」という米サンディエゴ州立大の専門家、ムラリー・ジェネックス氏の見方を紹介。韓国・聯合ニュースもチェルノブイリ事故と違って直接的な死者がまだ出ていないなどと相違点を列挙した。
以下のような記事もある。
- 「福島第1原発:「チェルノブイリ」に遠く及ばず IAEA」 毎日新聞 2011年4月13日 10時36分
同氏はさらに、福島原発からの放射性物質の外部放出量37万テラベクレル(保安院推定)と、チェルノブイリ事故の放出量520万テラベクレルを引き合いに、「両者には大きな違いがある。事故の構造はまったく違う」と強調した。
また、日本政府は、流出した放射性物質の量はチェルノブイリの約10分の1だとしているが、その漏出はまだ止まっておらず、最終的な漏出量は、チェルノブイリを上回るのではないか?との懸念も、以下のように報道されている。
- 「放射性物質の放出量がチェルノブイリ超える懸念=東電」 ロイター、2011年 04月 12日 12:15 JST
これらの批判に対し、菅総理は以下のように反論している。
- 「レベル7引き上げは専門家の判断…首相」 2011年4月12日21時15分 読売新聞
菅首相は12日、首相官邸で記者会見し、東京電力福島第一原子力発電所事故の暫定評価の「レベル7」への引き上げについて、「専門家の判断だ。何かが遅れた、(事故を)軽くみたということは全くない」と述べ、対応に問題はないとの認識を示した。
「天栄村産の牛肉 検査ミスの可能性」
2011年4月9日 読売新聞
暫定規制値を超える放射性セシウムがいったん検出されたものの、再検査で放射性物質が検出されなかった福島県天栄村産の牛肉について、厚生労働省は8日、検査に使用した容器を包んでいたビニール袋に同セシウムが付着していたと発表した。検査機関によるミスの可能性があるという。
検査の過程で、測定に使用した容器を包んでいたビニール袋に放射性セシウムの粒子が付着した可能性があるらしいのだが、どうやって付いたかはよくわかっていないようだ。以下の記事のほうがちょっと詳しく書かれてある。
- 「ビニール袋に付着 天栄の牛肉はセシウム検出されず」 2011年4月10日 福島民友ニュース
県と検査を実施した日本分析センターによると、牛肉は県食肉流通センターでクーラーボックスに入れ、日本分析センターに搬入。日本分析センターが、牛肉をプラスチック製の測定容器に入れ、ビニール袋で包み、検査機器で検査した。ビニール袋のほか、測定容器についても調査したが、放射性セシウムは検出されておらず、どこでビニール袋に放射性セシウムが付着したかは分からないという。
どうも、牧場で付着したわけではなく、検査機関に届いてから付着したようだ。
「原発事故1カ月…水失った原子炉、崩れた「神話」」
産経ニュース、2011.4.9 08:11
午前5時、保安院審議官の中村幸一郎は会見で、「1号機でベントをやる。国内では例がない」と決意を示した。原子炉内の放射性物質(放射能)と一緒に蒸気を放出するベントは東電には重い決断だった。
午前7時には菅が、後にベント作業の妨げになったと批判された視察に到着する。東電には首相に放射能を浴びせないよう配慮するような余裕はなかった。電源喪失で東電は弁を開けたくても開けられなかったのだ。ベント開始は、午後2時30分。海江田の指示から10時間が経過していた。
つまり、この記事によると、「菅総理の福島第一原発の視察がベント作業を遅らせた」という話はデマだということ。単純に、東電にはベントをただちに実行する能力が、当時なかっただけということになる。(視察はただのパフォーマンスだ!という批判は残るだろうけど)
【原発事故7場面検証】 産経ニュース
- (7)冷却装置 既存設備復旧に固執 4.9 08:38
「原子力技術者は融通がきかず、既存設備に固執しすぎる。広く知恵を借りるべきだ」。復旧作業にかかわるゼネコンの幹部は、こう苦言を呈する。
九州大の工藤和彦特任教授は「既存設備の復旧を前提として排水にこだわっていると、いつまでもイタチごっこが終わらない」と指摘し、外部に新たに冷却システムを構築すべきだと提案する。
「東電や政府には物事の先を見通す勘をもった人間がいないのではないか」
大阪大学の宮崎慶次名誉教授は、こう総括した。
- (6)汚染水 3人被曝し存在判明 4.9 08:37
「原発事故で漏水の有無をチェックするのは基本。2週間もたってから汚染水の存在が明らかになったことは理解できない。早く気づいていれば、早く手を打てた」。宇根崎博信・京都大原子炉実験所教授は、汚染水を予見できなかったことを問題視している。
- (5)燃料プール 炉を優先、放置続ける 4.9 08:36
「事故発生の初期段階から、米国から燃料プールは大丈夫なのかとの指摘があり、現場にもそう連絡していた」。原子力委員会の鈴木達治郎委員長代理は、こう明かす。
「事故発生直後から気をつけていれば、もっと早く収束できたはずだ」。鈴木氏は、東電のプール放置が復旧を大きく遅らせたと指摘した。
- (4)海水注入 「廃炉」回避 決断鈍る? 4.9 08:35
武藤副社長は3月21日の会見で、「淡水の確保が十分でなくなったときは、比較的早い段階で海水を入れることを念頭に入れてきた」と、注入の躊躇(ちゅうちょ)を否定する。
だが、内藤正則エネルギー総合工学研究所部長は今も疑念が拭えない。
「海水を入れたら何千億円も損をするという発想があったのではないか。経営のことを考えて、元通りにしようという発想では非常事態には対応できない」
- (3)ベント作業 10時間ロスで致命傷 4.9 08:34
遅れの最大の理由は、12日朝の菅直人首相の視察ではなく、電源喪失だった。東電は手作業によるベント開放に手間取ったのだ。この間に炉心溶融が進み、圧力や高熱で圧力容器や格納容器が損傷し、「閉じ込め」機能が失われた可能性がある。
「炉心溶融後にベントを行えば、放射性物質の漏出が増える。もっと早い段階で行うのが定石だ」。大阪大の宮崎慶次名誉教授は、着手も含めた対応の遅れを指摘した。
- (2)炉心溶融 「可能性ゼロ」現実に 4.9 08:33
「小さい確率の事態が全部実現すれば、炉心溶融につながることは論理的には考え得る」。昨年5月の衆院経済産業委員会での経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭院長の答弁だ。
「多重防護の考え方で設計されており、安全性は確保されている」とも語り、可能性はほぼゼロに近いと否定してみせた炉心溶融は、1年もたたずに現実となった。
原子力安全委員会は平成4年5月に電源喪失などの「シビアアクシデント」に対応できる備えを政府や電力会社に要請した。だが、「数時間後には復旧できるという考え方に基づく設計」(保安院)が見直されることはなかった。
「電源喪失で何が起きるかを想定すれば、とるべき対策があったはずだ」。宮健三東京大名誉教授は“想定外”は言い訳にならないと断じた。
- (1)電源喪失 安全とコストを天秤 4.9 08:28
「最大規模の津波を考慮してきた。想定を大きく上回るものだった」
東電の原子力担当の武藤栄副社長は、3月25日の会見で弁明に追われた。想定した津波は最大5・7メートル。実際の津波は約14メートルに達し、海面から5・5メートルの堤防をのみ込み、同約10メートルの敷地に押し寄せ、海側の発電用タービン建屋に侵入し、地下にある非常用ディーゼル発電機が冠水。1〜3号機ですべての電源が失われた。
平成21年6月に同原発の安全性について議論された経済産業省の審議会。委員の岡村行信産業技術総合研究所活断層・地震研究センター長は「約1100年前の貞観地震では内陸3〜4キロまで津波が押し寄せた」との最新の研究結果を受け、対策の必要性を強く訴えた。
だが、東電は「学術的な見解がまとまっていない」と応じなかった。岡村氏は「精度の高い推定が無理でも備えるべきだ」と食い下がったが、審議会も東電を支持した。
「過剰な安全性基準はコスト高につながり、結局、利用者の電気料金に跳ね返ってくる」
震災前に東電幹部がよく口にした言葉だ。
国の原子力安全委員会の設計指針も、「電源を喪失した場合、復旧を急げばいいという思想に基づいており、過大な防護への投資を求めてこなかった」(関係者)。