政府・関係機関の対応 7 (東日本大震災)
東日本大震災・デマ・風評被害・陰謀論
ここでは、2012年7月下旬までの記事を集めています。
政策聴取会でまたヤラセ?
- 「電力社員の意見表明認めず=「疑念生じさせるな」と首相指示−エネ政策の聴取会」 jiji.com (2012/07/17-21:19)
政府が主催する将来のエネルギー政策に関する意見聴取会で電力会社社員が原発推進の意見を述べた問題で、政府は17日、電力会社や関連会社の社員による意見表明を認めない方針を決めた。野田佳彦首相が、首相官邸を訪ねた古川元久国家戦略担当相に「聴取会に対するいささかの疑念も生じさせてはいけない」と指示した。
聴取会で意見表明する人は、申込者からコンピューターで抽選している。22日に札幌、大阪両市で開く次回聴取会からは、当選段階で確認し、電力会社などの社員の場合は参加を断る。参加を受け付けるホームページなどで、団体組織ではなく個人として意見を述べるよう要請する。
また、枝野幸男経済産業相は18日、インターネットなどを通じたパブリックコメント(意見募集)への組織的対応を自粛するよう、電力各社を指導する。
その一方で、聴取会で意見表明する人数を現在の1会場当たり9人から12人に増やす。政府は2030年の原発比率を0%、15%、20〜25%とする三つの選択肢を示しているが、傍聴者に対するアンケート調査では、0%について意見表明を希望する回答が多い。このため札幌、大阪両市の聴取会では、増やす3人をすべて0%への意見表明に充てる。
三つの選択肢以外について意見表明を望む声もあり、28日の富山市での聴取会以降は、そうした声に対応する枠も設ける。
聴取会は来月4日まで全11市で開催予定。しかし、15日の仙台市で東北電力執行役員、16日の名古屋市では中部電力課長が原発推進の意見を表明し、批判が出ていた。
- 「仙台聴取会 騒然 発言者に東北電と原発推進団体幹部」 東京新聞、2012年7月16日 07時11分
政府は十五日、将来の原発比率について国民の意見を聴く二回目の意見聴取会を仙台市で開いた。抽選で選ばれた九人の発言者の中に、東北電力や原発推進団体の幹部二人が含まれ、「原発が不可欠」など従来通りの主張を展開し、会場から批判の声が上がった。
聴取会は、政府が提示した二〇三〇年時点の原発比率(1)0%(2)15%(3)20〜25%の三案に対し、抽選で選ばれた各三人が意見を述べる形式。この日は進行側の手違いで、0%案四人、15%案二人、20〜25%案三人だった。
このうち、原発の新増設を前提とする20〜25%案に対し、東北電力の岡信慎一執行役員(企画部長)は「会社の考え方をまとめて話したい」と切り出し、電力の安定供給などを理由に、原発は必要と自社の主張を述べた。
また、原子力推進を目的に企業や商工団体などで組織する東北エネルギー懇談会の関口哲雄専務理事(元東北電力執行役員待遇)は「政府の案は再生可能エネルギーを大きく見積もりすぎだ」と、原発の積極的な活用を訴えた。
広く国民の意見を聴くはずの会が一転、原発推進団体の会と化し、参加者からは「被災者をばかにしているのか」など非難の声が上がった。司会者が「お静かに」を連発するが、会場の怒りは収まらず、一時中断した。
会場にいた仙台市の男性会社員(35)は「推進の考えでも、一般の人の意見を聞きたかった」と憤っていた。
事務局によると、聴取会には百七十五人の参加応募があり、抽選で百三十人を選んだ。うち意見表明を希望したのが九十三人で、0%案が六十六人、15%案が十四人、20〜25%案が十三人。
これほど差があるのに、バランスを取ろうとするため、0%を支持した人はいずれも宮城県の人だったのに対し、15%と20〜25%案は東北電力関係者二人のほか、東京都の会社員二人、神奈川県の会社員一人と、いびつな発言構成となった。
岡信、関口両氏は取材に対し、会社や組織からの依頼で応募したことを否定した。
政府代表として出席した細野豪志原発事故担当相は「抽選で選ぶので仕方ない。福島で開催するときは一般の県民の声が聞けるよう選び方を考えたい」と話した。
- 「エネ政策聴取会:中部電課長も発言 原発推進、会場騒然」 毎日新聞 2012年07月16日 21時38分(最終更新 07月16日 22時07分
今後のエネルギー政策について、政府が国民から直接意見を聞く第3回意見聴取会が16日、名古屋市内で開かれた。抽選で選ばれた発言者9人のうち1人が中部電力の課長職社員で、原発推進を主張。15日の仙台市での聴取会でも東北電力幹部が原発推進の立場で発言しており、2日連続の電力社員の発言に不満が噴出し、会場は一時騒然となった。
発言したのは中部電の原子力部に所属する課長(46)。「個人としての意見」と断った上で、「福島の原発事故による放射能の影響で亡くなった人は一人もいない」「(政府は)原子力のリスクを過大評価している。このままでは日本は衰退の一途をたどる」と持論を展開。会場から「中部電の回し者か」「またやらせか」などと批判の声が飛んだ。
こういうバカげたことをやり続けると、誰も政府や電力会社の言うことを信用しなくなる。その結果生じる弊害について、政治家や官僚はもっと真剣に考えるべきである。
「東電、原発説明会で賛成派に社員ら動員」
2012年7月7日 09時09分 (中日新聞)
2003年に経済産業省原子力安全・保安院が福島県内で開いた住民説明会で、東京電力が、自社や下請け企業の社員に出席を求めたり質問票への記入方法を指示したりするなどの「やらせ」行為をしていたことが、国会の福島第1原発事故調査委員会の報告書で分かった。
東電はこれまで、原発関連の住民説明会での「やらせ」はなかったと説明してきたが、国会事故調は「本件は明らかに行きすぎた行為」と批判した。
問題の説明会は、03年3月27日、福島県大熊町で、大熊町と双葉町の住民356人を対象に開かれた。前年に発覚した東電の自主点検記録改ざん問題を受け、保安院が調査した結果を伝える目的だった。
報告書は、この1週間前の新潟県柏崎市での住民説明会で、原発反対派の発言で議事が混乱したため賛成派を動員することにした、としている。
東電社員には、説明会で配られる質問票への記入方法を示した紙を配り、協力会社の社員135人にも出席を要請したという。
保安院の資料によると、出席者から「東電は一生懸命やっている。保安院はどう思うか」と質問があり、保安院の担当者が「評価できる」と答える一幕もあった。
東電は取材に「事実関係を調査中」と回答。保安院原子力安全広報課の担当者は「昔の話でよく分からない」と話した。
「米の放射線測定、活用せず=入手の保安院、文科省−住民避難に影響か・福島原発事故」
時事ドットコム (2012/06/18-19:31)
東京電力福島第1原発事故直後の昨年3月17日から19日にかけ、米国が航空機を使って実施した原発の半径約50キロ圏の放射線測定(モニタリング)結果を、経済産業省原子力安全・保安院と文部科学省が入手しながら公表せず、避難計画の策定にも反映されなかったことが18日、分かった。測定結果は同23日に米国が公表したが、福島県飯舘村など北西方向に汚染が広がる様子が示されており、住民避難に影響を与えた可能性がある。
保安院の山本哲也首席統括安全審査官は18日の記者会見で「適切に共有されなかったのは遺憾」と陳謝。文科省の渡辺格科学技術・学術政策局次長は「避難に使う発想はなかった。地上のモニタリングは綿密にやっていて必要なデータは提供しており、不手際とは考えていない」と述べた。
事故でも原発売上増
- 「原発売上高、日立が大幅増3600億円の目標」 中国新聞, '12/6/14
日立製作所は14日、2020年度の原子力事業の売上高目標を3600億円とする計画を発表した。11年度の実績は約1600億円で大幅な拡大を目指す。東京電力福島第1原発事故の対策支援や海外での原発受注の推進などで売り上げ増を見込んでいる。
東京都内で開いた事業説明会で、電力や鉄道など主要7事業の15年度の売上高目標を公表した。このうち原子力に関しては二酸化炭素(CO2)の排出量抑制や新興国を中心に伸びる電力需要への対応で、今後も原発が有効なエネルギー源になるとし、従来計画と同じく20年度で11年度比倍増の目標を掲げた。
日立は「東日本大震災後も原発の建設計画を継続する国が多数ある。世界で38基を受注するこれまでの計画は実現できる」としている。
原子力事業の具体的な方針では、震災で被災した福島第1原発4号機の使用済み燃料プールから燃料を取り出す作業や、建屋の遠隔除染などを中長期的に支援。また原発事故を反映し、安全性を高めた次世代原発の技術開発も進める。
海外では、既に優先交渉権を得ているリトアニアでの原発新設計画を中心に展開。21年の運転開始を予定しており、同国と最終契約に向けた作業を進める。事業規模は4千億円とみられる。
7事業の15年度の目標は、主力の情報・通信システム事業が2兆3千億円(11年度実績は1兆7642億円)、電力システムが9500億円(同8324億円)、鉄道システムは3200億円(同1396億円)などとしている。
「東電、06年にも大津波想定 福島第一、対策の機会逃す」
朝日新聞デジタル, 2012年6月13日7時15分
福島第一原発事故が起きる前の2006年、東京電力が巨大津波に襲われた際の被害想定や対策費を見積もっていたことが、朝日新聞が入手した東電の内部資料でわかった。20メートルの津波から施設を守るには「防潮壁建設に80億円」などと試算していた。
津波対策をめぐっては、04年のスマトラ島沖大津波を受けて06年、国が東電に対策の検討を要請したほか、08年には東電が福島第一原発で最大15.7メートルに達すると試算したが、いずれも対策はとられなかった。早期に実施された試算はことごとく生かされず、事故を回避する機会は失われた。
資料は、原子力技術・品質安全部設備設計グループ(当時)で05年12月から06年3月の間に行われた社内研修の一環で作られた。
福島1300人が告訴
- 「【福島1300人が告訴】東電会長や原子力安全委員長ら33人を地検に」 47NEWS, 2012/06/11 14:38
東京電力福島第1原発事故で被ばくの被害を受けたとして、福島県民らでつくる「福島原発告訴団」の約1300人が11日、東電の 勝俣恒久 会長や原子力安全委員会の幹部ら計33人について、業務上過失致傷などの容疑で福島地検に告訴状を提出した 。
33人は勝俣会長や 清水正孝前社長ら東電幹部、原子力安全委員会の班目春樹委員長、福島県立医大の 山下俊一副学長ら。
避難中や原発での作業中に亡くなったり、被ばくしたりした人についても、業務上過失致死傷の疑いで告発。
告訴・告発状によると、東電や国は、地震の多い日本で原発を運転するに当たり、事故を予防する措置を怠り、福島第1原発を襲う津波の危険性がたびたび有識者から指摘されていたにもかかわらず、今回の事故を発生させた責任があると指摘。
緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の情報が公開されず「安全」と虚偽の説明を繰り返し「住民の避難を遅らせたことで被ばく被害を拡大させた」としている。
(共同通信)
- 「被告訴・被告発人目録」 2012年6月12日火曜日
「子どもの放射線量目安 不手際認める」
NHKニュース, 6月12日 6時31分
東京電力福島第一原発の事故を受けて、文部科学省が学校の屋外活動を制限する放射線量の目安を年間の積算で20ミリシーベルト未満とし、保護者などから批判が相次いだ問題で、文部科学省は、当時の対応を検証する報告書の案で「保護者の立場に立って、不安に真摯(しんし)に応える姿勢が十分ではなかった」と不手際を認めていることが分かりました。
しかし、なぜ20ミリシーベルトより低い目安に設定できなかったか、詳しい経緯は検証されておらず、専門家は、検証が不十分だと指摘しています。
福島第一原発の事故を受けて文部科学省は、去年4月、学校の屋外活動を制限する放射線量の目安を海外の専門機関が原発の非常事態の収束後は住民の被ばく量の上限を年間1ミリシーベルトから20ミリシーベルトにするよう勧告していることを参考に20ミリシーベルト未満にすると発表しました。これに対して、保護者などから子どもに20ミリシーベルトは高すぎるという批判が相次ぎ、文部科学省は、1か月後に子どもが受ける放射線量を年間1ミリシーベルト以下を目指すと発表し、事実上修正しました。
これについて、文部科学省が当時の対応を検証した報告書案では「説明不足などで、20ミリシーベルトを子どもたちの許容限度として定めたかのような誤解を招いたことは反省すべきだ」としたうえで「保護者の立場に立って、不安に真摯に応える姿勢が十分ではなかった」と対応の不備を認めていることが分かりました。
しかし、当時、目安を低くすべきだという意見が原子力安全委員会の委員や専門家から出ていたにも関わらず、文部科学省でこうした意見がどう考慮されたかや、なぜ20ミリシーベルトより低い目安にならなかったのかなど詳しい経緯は明らかにされていません。
福島第一原発の事故を検証した民間の事故調査委員会の北澤宏一委員長は「科学的な放射能の影響と社会的、経済的な影響を考えてどういう議論を経て20ミリシーベルトに決まったのか明らかにされていない。今後の教訓にするためには組織内部だけでなく、外部の目も入れて検証すべきだ」と指摘しています。
「美浜原発40年超容認の意味問う声 実質判断は新組織設置後に」
福井新聞 (2012年6月7日午前7時11分)
関西電力美浜原発2号機(福井県美浜町)について経済産業省原子力安全・保安院が40年超の運転を容認する方針を決めた。しかし、政府は原発の運転を原則40年に制限する原子炉等規制法の改正案を国会に提出し、例外として延長を認める基準も不明なまま。運転延長の扱いは新たな規制組織の発足後に検討され、政府が2号機の再稼働を認めるかは未知数だ。現行法に沿って保安院が方針を出したものの「この手続きに何か意味があるのか」(県関係者)との声さえある。
奥さんは放射性物質
- 「原子力機構:サイトで「奥さんは放射性物質」 指摘で削除」 毎日新聞 2012年06月05日 10時56分(最終更新 06月05日 11時26分
「奥さんは『放射性物質』」。独立行政法人・日本原子力研究開発機構(茨城県東海村)の核燃料サイクル工学研究所のウェブサイト上で、放射線・放射能を夫婦げんかに例えて説明し、女性を「放射性物質」と表現していたことが分かった。市民から「例えが適切ではない」との指摘が電話で多数寄せられ、同機構は4日、ウェブサイト上から説明資料を削除。今後、資料が作成された経緯の詳細について聞き取り調査を行うという。
削除された資料はイラスト付き。「放射線・放射能を夫婦げんかに例えた場合」として、夫に対し怒りをあらわにする女性に吹き出しを付け、「奥さんの怒鳴り声が『放射線』」「怒鳴り声を上げてしまうような奥さんの興奮している状態が『放射能』」「怒って興奮している奥さんそのものが『放射性物質』」と表現していた。
機構によると、08年に東京・神奈川・千葉・埼玉・茨城の16歳以上の市民を対象に原子力専門用語の理解度調査を実施した結果、「若年層や女性の理解度が低い」として、夫婦げんかの例えを用いるに至ったとみられるという。【杣谷健太】
- 「お詫びと訂正」 平成24年6月5日, 広報部長, 独立行政法人日本原子力研究開発機構
リスクコミュニケーション活動の紹介において、「放射線・放射能を夫婦げんかに例えた場合」とのホームページの内容に関して、昨日より、多くの方々から「不適切な表現である」などのご指摘・ご批判をいただきました。
この内容を閲覧された方々に、ご不快の念を抱かせたことなどに対しまして、心からお詫びを申し上げます。
当該ホームページの内容は、現在、見直し・訂正を行っております。
当該内容を掲載するに至った経緯などは、以下の通りです。
原子力機構といたしましては、原子力・放射線に関する情報を専門家とは異なる一般の方々からの視点で分かりやすく作成、発信することを目的に、核燃料サイクル工学研究所において、一般の方々にも参画いただき「メッセージ作成ワーキンググループ」を組織して、2004年8月から活動を継続しております。
掲載しておりました内容は、2010年度の活動において作成したものの一つです。
また、これらの活動にあたり「社会調査」も行っており、2008年に、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県及び茨城県在住の、16歳以上で原子力関係者以外の方々を対象に、原子力の専門用語についてご存じか否か、用語の意味するところについてよく理解をしていただいているか否か、さらに原子力利用に対するご意見などを調査(有効回答数1,190人;男性603人、女性587人)したものも参考にしています。
この度のご指摘などを踏まえ、今後とも、ホームページの内容につきましては、より良い内容になるよう改善に努めて参ります。
「電源喪失対策の不要理由「作文を」安全委が要請」
(2012年6月4日20時03分 読売新聞)
東京電力福島第一原子力発電所事故の原因となった全交流電源喪失について、国の原子力安全委員会の作業部会が1992年、新たな対策が不要である理由を「作文」するよう、東京電力と関西電力に要請していたことが4日、わかった。
作業部会が両社の作成した文書などを基に「全交流電源喪失による炉心損傷確率は低い」と結論をまとめたため、原発の安全設計審査指針は見直されなかった。安全委事務局は両社とのやり取りに関する文書を公表せずに放置していたが、国会事故調査委員会の指摘で判明した。
作業部会は、海外の原発で長時間の電源喪失への対策が義務づけられたのをきっかけに91年に設置。有識者の専門委員5人のほか、東電や関電などが協力者として参加した。会議は非公開だった。
「東電値上げ「出来レース」か 経産省が事前にシナリオ」
朝日新聞デジタル, 2012年6月1日6時58分
経済産業省が、東京電力から家庭向け電気料金の値上げ申請を受ける前の4月に、あらかじめ「9月1日までに値上げ」という日程案をつくっていたことがわかった。東電は7月1日からの値上げを申請したが、経産省は審査に時間がかかることまで計算し、申請から認可、値上げまでのシナリオを描いていた。
朝日新聞は、経産省資源エネルギー庁が庁内の関係者向けに4月につくった「規制電気料金認可に係るスケジュール等について(案)」という文書を入手した。値上げが妥当かどうかを審査する経産省が、東電の申請前から、値上げを延期したうえで認可するという「出来レース」を組み立てていた可能性があり、審査体制が適正かどうかが問われる。
経産省は5月11日に東電の値上げ申請を受け、有識者による電気料金審査専門委員会で審査している。これを踏まえ、経産相が値上げを認可するかどうかを判断し、関係閣僚会議を開いて正式に認可する。実際の審査は少しずれているが、文書の日程案通り、値上げは8月以降の見通しになっている。
核燃サイクル「秘密会議」
- 「核燃サイクル:秘密会議問題 原子力委員長、厳重注意 細野担当相「秘密会議は不適切」」 毎日新聞 2012年08月31日 東京朝刊
核燃サイクル政策の見直しを巡り、内閣府原子力委員会が原発推進派だけを集めた「勉強会」と称する秘密会議を開いていた問題で、細野豪志原発事故担当相は30日、「中立性、透明性、公正性の観点から不適切だった」として、近藤駿介委員長と鈴木達治郎委員長代理を口頭で厳重注意した。近藤委員長は給与1カ月分(105万5000円)、鈴木代理は半月分(46万5500円)を自主返納する意向を示した。しかし、結果に影響はなかったとして、6月に政府に報告した決定文は修正しなかった。
原子力委は、核燃サイクルの将来の選択肢を公開で議論する小委員会とは別に、電気事業連合会などの推進派だけを集めた非公開の「勉強会」を昨年11月〜今年4月に計23回開催。今年6月、2030年の原発比率が15%の場合は使用済み核燃料の再処理と地中処分との併用が最適などとする決定文を政府に報告した。
内閣府の検証チームは今月6日、「(秘密会議によって)結論が影響を受けた可能性も否定できない」と指摘。同委は30日の臨時会で対応を協議したが、決定文は見直さないと決めた。政策決定過程の透明性や公正性を保つため▽委員長を含む委員3人以上が会合する際は概要メモを残す▽決定文案に対するコメントを事前に民間事業者に求めない−−などの対策をとるという。
また、内閣府原子力政策担当室の幹部職員3人について、秘密会議で原発推進側に公開前の資料を配るなど文書管理が不適切だったとして、松元崇事務次官が同日、口頭で厳重注意した。【阿部周一】
- 「核燃サイクル:秘密会議問題 メール削除 司会役、隠滅の疑い」 毎日新聞 2012年07月27日 東京朝刊
内閣府原子力委員会が原発推進側だけで「勉強会」と称する秘密会議を開いていた問題で、司会役だった内閣府原子力政策担当室の職員(当時)が、パソコンから大半の関連メールを削除していたことが関係者の話で分かった。内閣府が設置した検証チームなどが2回にわたり関連資料の提出を要請した後に実行しており、意図的な隠滅の疑いがある。事態を重視した検証チームは、内閣府のサーバーからメールを復元する作業に乗り出した。
この元職員は山口嘉温(よしはる)・上席政策調査員(当時)。秘密会議問題発覚後の事務局(原子力政策担当室)態勢見直しに伴い、6月末に内閣府を退職して7月1日付で出向元の「日本原子力発電」に戻った。
最初に資料提出を求めたのは、原子力政策担当室の中村雅人参事官。6月上旬、同室職員に対し、自主的にパソコンを調べ関連するメールを発見次第提出するよう指示した。
2回目は後藤斎(ひとし)・副内閣相をトップとする検証チームが要請。6月14日、秘密会議に出席していた近藤駿介・原子力委員長や原子力委員4人▽原子力政策担当室▽経済産業省・資源エネルギー庁▽文部科学省▽電力会社の各職員らにメールを含む全関連資料の提出を求め、秘密会議の実態解明を進めている。
- 「核燃サイクル秘密会議:「もんじゅに不利」シナリオ隠蔽」 毎日新聞 2012年06月19日 02時30分(最終更新 06月19日 03時01分)
内閣府原子力委員会が原発推進側だけを集めて開いた「勉強会」と称する秘密会議で3月8日、使用済み核燃料を再利用する核燃サイクル政策の見直しを検討していた原子力委の小委員会に提出予定の四つのモデルケース(シナリオ)について議論し、このうち高速増殖炉(FBR)推進に不利なシナリオを隠すことを決めていたことが分かった。「表」の小委員会の会議には三つのシナリオしか提出されておらず、秘密会議が核心部分に影響を与えていた実態が一層鮮明になった。
核燃サイクルは使用済み核燃料を再処理し燃料として再利用する。再利用の際、高速中性子で核分裂を起こす原子炉を総称して高速炉(FR)といい、このうち元の燃料よりも多くの燃料を生み出す「もんじゅ」のような炉をFBRと呼ぶ。
毎日新聞は四つのシナリオが記載された文書を関係者から入手した。シナリオ1は全使用済み核燃料を再処理し(全量再処理)FR実用化を目指す。シナリオ2は一部を再処理し残りを貯蔵しつつFR実用化を判断するための研究開発を行う(実用化留保)。シナリオ3は一部を再処理し残りを捨て(直接処分)FR実用化を中止。シナリオ4は再処理せずすべて捨て(全量直接処分)FR実用化は中止する=チャート図。シナリオ1、2ならば、もんじゅ関連の研究開発を続行できるが、3と4は中止を意味する。
3月8日の秘密会議に四つのシナリオが提示されると、参加者は「小委員会の議論は全量再処理のシナリオ1や全量直接処分の4ではなく必ず真ん中(2か3)に寄ってくる。シナリオ3があると、これを選ぶ人(小委員会のメンバー)が出てくる」と発言。別の参加者が「ここは勝負どころ。シナリオ2が望ましく3はなくすべきだ」と述べ、シナリオ3を外すことを決めた。3月22日の秘密会議にも四つのシナリオが記載された文書が配布されたが、司会役が「四つにしようという話があったが三つにした」と結論だけ伝え、議論はしなかった。
- 「原子力委:04年にも秘密会議 「露見なら解散」」 毎日新聞 2012年05月26日 02時30分
使用済み核燃料を再利用する核燃サイクル推進側による秘密会議問題で、現行の原子力政策大綱(05年閣議決定)作成準備期間中の04年にも、内閣府原子力委員会が「原子力を巡る勉強会」と称する同種の会議を開いていたことが毎日新聞が入手した文書で分かった。少なくとも04年4月までに10回開催され、核燃サイクル政策について協議していた。出席した近藤駿介原子力委員長(69)は当時「表に出た瞬間にやめる」と発言したとされ、隠蔽(いんぺい)体質は8年前から続いていた。【核燃サイクル取材班】
毎日新聞が関係者から入手した文書の表題は「第2回原子力を巡る勉強会」。04年1月29日午前8〜10時に開かれた。場所は今回発覚した昨年11月〜今年4月の秘密会議と同じ中央合同庁舎4号館743会議室。近藤委員長が「表に出た瞬間に勉強会をやめる」と発言したと記載され、存在が露見すればすぐ解散する方針だった。
- 「核燃サイクル秘密会議:原子力委員長「あいさつしただけ」」 毎日新聞 2012年05月25日 02時55分(最終更新 05月25日 09時11分)
原発推進側による「勉強会」と称した秘密会議問題で、近藤駿介原子力委員長(69)は23日の取材で「調べてみないといけない」と調査する姿勢を示した。しかし自らが出席した昨年12月8日の会合は「あいさつしただけ。問題ない」と言い切り、責任は監督責任にとどまるとの見解だった。
「会議の案を作る時には専門家に聞く。資料(データ)も必要。そういう勉強会はやるんだよ」。近藤委員長は冒頭、事業者を集めて開く勉強会自体に問題はないと強調。「でも(意見を聞くような)秘密会議ってのはやらないんじゃないの」と存在を否定した。
- 「核燃サイクル「秘密会議」:まるでムラの寄り合い」 毎日新聞 2012年05月24日 02時30分(最終更新 05月24日 18時52分)
扉の向こうに信じがたい光景が広がっていた。4月24日、東京・霞が関で開かれた「勉強会」と称する核燃サイクルを巡る秘密会議。一線を画すべき国家公務員と電気事業者が談笑する様は、まるで「原子力ムラ」の寄り合いだ。参加者の手元にはなぞの文書が配られる。取材班は後に内閣府原子力委員会の小委員会で示される報告案の原案だったことを突き止めた。【核燃サイクル取材班】
- 「核燃サイクル原案:秘密会議で評価書き換え 再処理を有利」 毎日新聞 2012年05月24日 02時30分(最終更新 05月24日 02時57分)
内閣府原子力委員会が原発の使用済み核燃料の再処理政策を論議してきた原子力委・小委員会の報告案を作成するため4月24日、経済産業省・資源エネルギー庁、電気事業者ら推進側だけを集め「勉強会」と称する秘密会議を開いていたことが分かった。表紙に「取扱注意」と記載された報告案の原案が配られ、再処理に有利になるよう求める事業者側の意向に沿って、結論部分に当たる「総合評価」が書き換えられ、小委員会に提出された。政府がゼロベースの見直しを強調する裏で、政策がゆがめられている実態が浮かんだ。
「放射性物質 90万テラベクレル放出と発表 東電」 東京新聞, 2012年5月25日 朝刊
東京電力は二十四日、福島第一原発事故で大気や海に放出された放射性物質は九〇万テラベクレル(一テラは一兆)だったとの推計値を発表した。今年二月に経済産業省原子力安全・保安院が出した推計値の一・八倍で、チェルノブイリ原発事故(五二〇万テラベクレル)の五分の一に迫る。しかし、公表まで事故から一年以上もかかったのに、海への放出量の値など疑問が残る。
東電は昨春から推計に取り掛かり、原発周辺のモニタリングポストの実測値や、風向き、降水量などの気象データを基に放出量を算出した。
その結果によると、九〇万テラベクレルの大半は格納容器内が高温高圧にさらされ、配管の継ぎ目などから蒸気が噴き出すなど深刻な状態にあった事故直後の時期のもの。
放出のピークは昨年三月十六日朝から昼すぎにかけてで、一八万テラベクレルが放出された。この時に炉心の圧力が低下した3号機が発生源とみられるが、具体的な要因は不明という。
1号機が爆発した震災直後の同十二日午後には四六〇〇テラベクレルが放出。2号機から大量の白煙が上がった十五日には一六万テラベクレルの放射性物質が風で運ばれ、福島県飯舘村など原発の北西方向の広い範囲を汚染した。
「全身被ばく、最大50ミリシーベルト=福島原発事故でWHOが推計」
WSJ日本版、2012年 5月 24日 6:48 JST
世界保健機関(WHO)は23日までに、東京電力福島第1原発事故による日本国内外の住民の推計被ばく線量をまとめた報告書を公表した。全身の被ばく線量が最も高かったのは福島県浪江町と飯舘村で事故後4カ月間で10〜50ミリシーベルト、福島県のその他の地域は年間1〜10ミリシーベルト、宮城など近隣県が同0.1〜10ミリシーベルト、その他の国内は0.1〜1ミリシーベルトだった。
同事故に伴う被ばく線量を評価する国際的な調査は初めて。平常時の一般人の年間被ばく線量限度は1ミリシーベルトとされ、年間線量が100ミリシーベルトを超えると発がんリスクが高まるといわれる。
[時事通信社]
「福島第一の電源喪失リスク、東電に06年指摘」
(2012年5月15日13時47分 読売新聞)
枝野経済産業相は15日、閣議後の記者会見で、経産省原子力安全・保安院が2006年に、福島第一原子力発電所が津波によって全電源喪失に陥るリスクがあることを東京電力と共有していたことを明らかにした。
14日の国会の原発事故調査委員会で、参考人として招致された勝俣恒久会長はこの事実について、「知らない」と回答。枝野経産相は「共有されなければ、意味がない」として、会議内容の公開も検討するとした。
枝野経産相などによると、04年のインド洋大津波で、インドの原発に被害が発生したことを受け、保安院が、独立行政法人「原子力安全基盤機構(JNES)」、東電などとの合同会議を開催。福島第一原発に高さ14メートルの津波が襲来すると、タービン建屋が浸水し、全電源喪失に陥る可能性が指摘されたという。東電は08年にも国の見解に基づき、15・7メートルの高さの津波を試算していたが、対策には生かさなかった。
放射線教育の副読本
- 「東日本大震災:福島第1原発事故 放射線教育で混乱 被ばく触れぬ副読本」 毎日新聞 2012年3月22日 東京朝刊
◇福島県教委「内容通りに」/現場「リスクをどう説明」
東京電力福島第1原発事故を受け、全国に先駆けて放射線教育を実施している福島県教委が、原発事故やそれに伴う被ばくに触れない国の副読本から逸脱しないよう教員を指導していることが分かった。「原発の是非に触れるな」とも指示。学校現場では、指示通りに教えると被ばくに不安を抱く親から批判され、危険性に言及すると違う立場の親から苦情が来るといい、実情に合わない指導で混乱も生じている。放射線教育は4月から全国で始まる見通しで、同様の事態の拡大も懸念される。【井上英介】
福島県内の放射線教育は、小中学校で週1時間の学級活動を使って計2〜3時間教える形で、郡山市や会津若松市などの一部の学校で実施されている。
県教委は実施前の昨年11月以降、県内7地域で各校から教員を1人ずつ集めた研修会を開いた。参加した教員によると、指導主事から「副読本に沿って教えよ」「原発には中立的な立場で」などと指導を受けた。会場から「被ばくのリスクや原発事故を子供にどう説明するのか」など質問が出たが、何も答えなかったという。
研修を受けた教員は「副読本は放射線が安全だと言いたげで、不安に苦しむ住民は納得できない。県教委に従えば、県議会が県内の原発の廃炉を求めて決議し、県が廃炉を前提に復興計画を作ったことにも触れられない」と疑問を示す。
小中学校の教員で組織する福島県教組によると、親の間では被ばくの影響について見方が割れ、学校や教委に「放射線の危険性について認識が甘い」「不安をあおり、過保護にするな」など正反対の苦情が寄せられている。放射線量が高い地域の小学校教諭は「親の意向で弁当を持参して給食を食べず、屋外での体育を休む児童がいるが、他の親たちに批判的な空気も生まれるなど厳しい状況にある。副読本や県教委の指導は福島の現実に即していない」と指摘する。
県教委学習指導課は「大半の教員は放射線の素人で、教え方がばらついても困るので副読本に沿うようお願いしている」と話す。
副読本を作成した文部科学省開発企画課は「地域や教員によっては物足りないと感じるかもしれないが、自治体教委の要請もあり、放射線について最低限必要な知識を伝えるために作った。使うも使わないも自治体教委の自由だ。来年度も作ることになれば、意見を踏まえて充実させたい」と説明している。
==============
■ことば
◇放射線教育の副読本
文部科学省が小中高校別に3種類作り、A4判18〜22ページ。「100ミリシーベルト以下の被ばくでがんなどになった明確な証拠はない」としつつ「被ばく量はできるだけ少なくすることが大切」とし、中高生には防護や避難の一般的方法も説く。だが、福島第1原発事故への言及は前書きのみで、事故の経過や放射性物質汚染の広がりなどは書かれていない。その一方で放射線が医療や工業、学術研究で役立っていることを強調している。
福島大学放射線副読本研究会の副読本
- 「福島大学放射線副読本研究会の副読本はこちら」 EnvPlanGOTO, 共生システム理工学類 後藤 忍
- 「2012/3/27(火)」 Hal Tasaki's logW
昨日、内村さんの tweet で、
放射線と被ばくの問題を考えるための副読本
福島大学放射線副読本研究会
というものを知ったので、ざっと眺めてみた。 文部科学省が作っている「放射線と被ばくの問題を考える ための副読本(web ページ)」への批判を一つの目的として書かれたもののようだ。
ぼく自身、文部科学省の作った副読本には不満をもっている。 だから、それに対抗する、あるいは、それを補完するものを作りたいという動機には賛成だ(←ぼく自身の解説や講演は、文科省の副読本のような一連の動きへの批判であり、補完でもあると思っている。でも、できればもう一歩踏み込んでがんばりたいという気持ちは持っている)。 たしかに、この新しい副読本では、文科省の副読本や「定番の安全ですよトーク」への正面からの反論が堂々と述べられている。これは意味のあることだし、評価すべきことだと思う。 ただ、福島大学の副読本が目指しているのは、ぼくが思い浮かべている対抗策・補完策とはかなり異なっているという感想をもったのも事実だ。
もちろん、目指すところや基本の考え方が異なるのは仕方がない、というより、むしろ当然のことだろう。
それとは別に、福島大学の副読本にはかなり不正確な記述が見られるのが気になった。 放射線に関する記述を読むかぎり、執筆チームには放射線に詳しい自然科学者のメンバーがいなかったように思える。 文科省にアンチテーゼを突きつけるにせよ、やはり正確でなければせっかくの副読本の意義も弱まるとぼくは考える。
- 「「放射線の強さ」は距離の二乗に反比例する?」 放射線と原子力発電所事故についてのできるだけ短くてわかりやすくて正確な解説, 公開: 2012年3月26日 / 最終更新日:2012年3月27日
- Togetter
- 「放射線と被ばくの問題を考える ための副読本への反論」 2012/3/27
- 「放射線と被ばくの問題を考える ための副読本への反論への反論への反論」 2012/3/28