政府・関係機関の対応 9 (東日本大震災)
東日本大震災・デマ・風評被害・陰謀論
ここでは、2013年9月上旬からの記事を集めています。
- 「Japan to raise nuke safety check competency per IAEA review」 By Mari Yamaguchi, AP April 25 2016, The Washington Post
- 「東電 メルトダウン「判断基準あった」 福島原発事故当時」 毎日新聞2016年2月24日 19時28分(最終更新 2月24日 23時18分
東京電力は24日、福島第1原発事故当時、核燃料が溶け落ちる炉心溶融(メルトダウン)の判断基準を定めたマニュアルがあったにもかかわらず、誰も気づかなかったと明らかにした。この基準に従えば、2011年3月14日早朝には1、3号機で炉心溶融が起きたと判断できていたが、東電は当時、「判断基準がない」との説明を繰り返し、炉心溶融を公式に認めたのは事故から約2カ月後の同年5月だった。
- 「国は福島原発事故を予測? 99年に津波予測図作成」 2015/6/24 06:30、神戸新聞
浸水予測図の作成は1999年。目的について「発生頻度の少ない津波地震(の備え)は、過去の経験だけでは必ずしも十分でない」とし、当時の研究成果を踏まえた最大モデルを想定。「海岸ごとに津波対策を検討するための基礎資料」と位置付けていた。
国は当時、想定を超える津波で200人以上が犠牲になった北海道南西沖地震(93年)を踏まえ、津波対策の指針を検討。7省庁(国土庁、運輸省、建設省など=いずれも当時)は98年、過去の実例と、想定される最大規模の地震を比較し、「常に安全側から対応するのが望ましい」とする「津波防災対策の手引き」を全国の自治体に通知した。
浸水予測図はこの手引を踏まえて作成され、企業にも活用を呼び掛けた。これに対し、東京電力は2002年、過去の経験などを基に同原発の津波高の最大を5・7メートルと想定していた。
- 「焦点:福島原発汚染水、漏えいタンクに違法労働の影」 2013年 12月 10日 18:12 JST, ロイター
[那覇 10日 ロイター] -東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)福島第1原子力発電所でなお続く大量の放射能汚染水流出。その大きな原因となった貯蔵タンク漏えいの影には、廃炉現場における違法な雇用実態があった。
深刻な人手不足の中、不透明な契約で作業員たちをかき集める「人員調達網」は遠く沖縄まで広がる一方、現場では「質」を問わない性急な工事が行われていた、との指摘は少なくない。
同原発の作業員に関する労働案件を多く扱ってきた弁護士の水口洋介氏は、廃炉・除染作業での労働問題は原発事故の収束自体を阻むことになりかねないと警告、抜本的な解決策をとるべきと訴える。
同弁護士は、多くの若い作業員が賃金をピンハネされたり、事前に説明を受けずに危険に直面して、現場を去る姿は数多いと指摘、「労働者の保護が強化されないことには、廃炉作業が成功するわけがない」と強調している。
- 「福島第1原発1号機 燃料震災前破損70体 全体の4分の1」 2013年11月16日土曜日, 河北新報
福島第1原発1号機の使用済み燃料プール内にある燃料棒70体が東日本大震災前から損傷していたことが15日、分かった。プール内に保管されている使用済み燃料292体の4分の1に相当する。損傷した燃料棒を取り出す技術は確立しておらず、2017年にも始まる1号機の燃料取り出し計画や廃炉作業への影響が懸念される。
東京電力は、15日まで事実関係を公表してこなかった。同社は「国への報告は随時してきた」と説明している。
東電によると70体の燃料棒は、小さな穴が空いて放射性物質が漏れ出すなどトラブルが相次いだため、原子炉から取り出してプール内に別に保管していたという。
18日に燃料取り出しが始まる4号機プール内にも損傷した燃料棒が3体あり、東電は通常の取り出しが困難なため、対応を後回しにしている。
損傷した燃料棒は1、4号機プールのほかにも2号機プールに3体、3号機プールに4体の計80体ある。東電は専用の輸送容器を新たに製造するなど対応策を検討する。
損傷燃料が1号機に集中している理由について、東電は「1号機は当社で最も古い原発で、燃料棒の製造時、品質管理に問題があり粗悪品が多かったと聞いている。2号機以降は燃料棒の改良が進み、品質は改善した」と説明した。
1号機は東電初の原発で、1971年3月に商業運転を開始した。
- 「年1ミリシーベルト「独り歩き」 被ばくで田中規制委員長」 2013/10/23 18:48 【共同通信】, 47News
東京電力福島第1原発事故に伴う除染で国が掲げる長期目標の年間追加被ばく線量1ミリシーベルトに関し、原子力規制委員会の田中俊一委員長は23日の記者会見で「(1ミリシーベルトという数字が)いつの間にか独り歩きしている」と述べた。
除染を支援するため来日した国際原子力機関(IAEA)専門家チームのフアン・カルロス・レンティッホ団長が21日、年間1ミリシーベルトについて「必ずしもこだわる必要はない」と述べた見解を容認した形。
- 「東電が2年前に遮水壁見送り、債務超過との見方懸念か」 2013年 09月 19日 11:31 JST, ロイター
[東京 19日 ロイター] - 福島第1原発の汚染水問題への対応で、東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)が2011年6月に汚染水の拡大・流出を食い止めるため、遮水壁の建設を検討しながら見送っていたことが19日、明らかになった。
当時の菅直人内閣で原発事故担当首相補佐官を務めた馬淵澄夫・民主党衆議院議員がロイターの取材で証言した。東電の内部文書によると、工事費負担をめぐり市場から債務超過とみなされることを懸念したとみられる。
東電の広報担当者は、遮水壁を進めるとした武藤氏の発言について「当時のやり取りについては現段階で詳細は不明」と回答。その上で同担当者は、「遮水壁については検討を続け中断したことはない。ただ、技術的な課題が多く実現性は不透明だった。その費用を債務認識すると会社が債務超過に近づくとの懸念があった」と説明した。
- 「汚染水漏れ問題、民主に飛び火…政権追及に逆風」 (2013年9月19日11時44分 読売新聞)
東京電力福島第一原子力発電所事故の汚染水漏れ問題は、当時経済産業相だった民主党の海江田代表が汚染水流出を防ぐ東電の遮水壁設置先送りを容認していたことが明らかになり、同党に飛び火した。
民主党は汚染水問題で安倍政権への攻勢を強める構えだが、政府・与党からは「民主党政権の対応こそ問われる」との指摘が出ている。
民主党の大畠幹事長は18日、首相官邸で記者団に対し、海江田氏の発言について「事実関係を精査してから答えたい」と述べた。
遮水壁設置を巡る経緯については、原発事故担当の首相補佐官だった馬淵澄夫衆院議員も、同日の党対策本部の会合で海江田氏と同様の事実を公表した。
民主党は、汚染水漏れ問題を、政権攻撃の格好の狙い目と見定めていた。安倍首相が7日の国際オリンピック委員会(IOC)総会で、「状況はコントロールされている」と発言したのに対し、民主党は13日に福島県郡山市で開いた対策本部の会合で、東電フェロー(技術顧問)から「コントロールできていない」との言質を引き出した。同党は18日も菅官房長官に党対策本部がまとめた汚染水対策の申し入れ書を提出。衆院経済産業委員会の閉会中審査や次期臨時国会で政府の対応を追及する構えだ。
だが、民主党政権による遮水壁設置先送りの容認が判明したことで、同党の当時の責任が問われる事態となった。海江田氏は「当時は原子炉の冷却など優先すべき課題があり、遮水壁の設置は『中期的な課題』とした」と説明するが、党内からは、「責任追及の矛先は民主党にブーメランのように跳ね返ってくる」と危惧する声が上がった。
これに関し、菅官房長官は18日の記者会見で「当時のことについて、私どもが言及すべきではない」と述べるにとどめた。
- 「福島汚染水:各国から厳しい指摘 IAEA説明会」 毎日新聞 2013年09月17日 11時06分(最終更新 09月17日 12時01分)
国際原子力機関(IAEA)総会の関連行事として16日夕、ウィーンで開催された日本政府主催の福島第1原発汚染水漏れ問題に関する説明会で、各国の専門家から抜本対策の遅れや規制当局のあり方などを問う厳しい指摘が相次いだ。第一義的な責任は東京電力にあると繰り返す日本側の説明からは「政府が責任をもって取り組む」(山本一太科学技術担当相)との意気込みが伝わらず、責任の所在のあいまいさを印象付けた。【ウィーン樋口直樹】
説明会には、原子力政策を推進する経済産業省と、同省から独立した原子力規制委員会、廃炉に関する研究開発を行う国際廃炉研究開発機構などの担当者が出席。汚染水漏れの現状と、凍土壁の設置や浄化装置の増設などによる政府主導の解決策について、会場を埋めた100人以上の専門家らに説明した。
だが、会場からの質問は今後の対策よりもむしろ、汚染水漏れの深刻化を招いた責任を問うものだった。スロベニアの規制当局者は「汚染水問題は原発事故直後から予想できた。なぜ2年以上もたった今まで持続的な解決策を見いだせなかったのか」と、厳しい口調で切り出した。
これに対し、廃炉機構の担当者は、汚染水の漏えい部分の発見と修理に手間取っている▽原子炉建屋に流れ込む前に地下水をくみ上げて海に放出する計画が漁業関係者らの反対で困難になっている−−と説明。
経産省の担当者が「法的な責任は東京電力にあり、我々はサポーターの立場。東電には資金もアイデアもなく、2年間も良くない状況が続いてしまった」と釈明すると、会場から「責任転嫁ではないか」との失笑が漏れた。
一方、原子力規制委員会のあり方にも疑問の声が上がった。2007年に調査団を率いて訪日した仏原発安全当局者は「規制委員会の技術顧問が、問題解決を図るため東京電力にアドバイスするのは、原子力安全の責任分担をあいまいにするものだ」として強い懸念を表明。規制委員会側は「規制当局は電力事業者と一線を画すべきだが、福島第1原発事故に限り、問題の拡大を防ぐために行っている」と説明した。
- 「福島第1原発事故:菅元首相ら政府、東電幹部は全員不起訴」 毎日新聞 2013年09月09日 13時45分(最終更新 09月09日 22時06分)
東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷容疑などで告訴・告発された当時の東電幹部や菅直人元首相(66)など政府関係者ら計42人について、東京地検は9日、全員を不起訴とした。原発が津波で浸水して事故が起きることを具体的に予測するのは困難だったと判断した。告訴人のうち福島県の住民や避難者でつくる「福島原発告訴団」は処分を不服として、検察審査会に審査を申し立てることを明らかにした。
全国各地の地検が告訴状などを受理していたが、告訴・告発された関係者の多くが東京を拠点に活動していることから、東京地検が一括して処分した。
地検は、第1原発に津波が到達し、全電源が喪失して原子炉の冷却ができなくなったことが事故原因と認定した上で、東電が2008年に最大で15・7メートルの津波が想定されると試算しながら防潮堤建設などの対策を取っていなかったことの是非を検討。複数の地震や津波の専門家への事情聴取を踏まえ、「当時、東日本大震災クラスの巨大地震は想定されておらず、福島県沖の日本海溝沿いで津波地震の発生を予測した専門的知見は見当たらない」として、巨大津波の予測は困難で刑事責任は問えないと結論付けた。
津波到達後の東電幹部や政府関係者らの対応については「余震が続き原発内の放射線量が高い中の作業で、炉心損傷の回避は困難だった」と判断。原子炉格納容器の圧力を下げる「ベント」(排気)は早期実施に向けた準備が進められており、菅元首相の原発視察はベント実施に影響しなかったとした。
不起訴処分の理由は、勝俣恒久前会長(73)や清水正孝元社長(69)ら当時の東電幹部10人が「容疑不十分」、事故対応に当たった菅元首相ら当時の政府首脳は「容疑なし」とした。【島田信幸、吉住遊】
- 「安倍首相:汚染水「完全にブロック」発言、東電と食い違い」 毎日新聞 2013年09月09日 21時07分(最終更新 09月10日 01時09分)
安倍晋三首相が、7日にアルゼンチン・ブエノスアイレスで行われた国際オリンピック委員会(IOC)総会の五輪招致プレゼンテーションで、福島第1原発の汚染水問題をめぐり、「完全にブロックされている」「コントロール下にある」と発言したことについて、「実態を正しく伝えていない」と疑問視する声が出ている。
9日に開かれた東京電力の記者会見で、報道陣から首相発言を裏付けるデータを求める質問が相次いだ。担当者は「一日も早く(状況を)安定させたい」と応じた上で、政府に真意を照会したことを明らかにするなど、認識の違いを見せた。
防波堤に囲まれた港湾内(0.3平方キロ)には、汚染水が海に流出するのを防ぐための海側遮水壁が建設され、湾内での拡大防止で「シルトフェンス」という水中カーテンが設置されている。また、護岸には水あめ状の薬剤「水ガラス」で壁のように土壌を固める改良工事を実施した。
しかし、汚染水は壁の上を越えて港湾内に流出した。フェンス内の海水から、ベータ線を出すストロンチウムなどの放射性物質が1リットル当たり1100ベクレル、トリチウムが同4700ベクレル検出された。東電は「フェンス外の放射性物質濃度は内側に比べ最大5分の1までに抑えられている」と説明するが、フェンス内と港湾内、外海の海水は1日に50%ずつ入れ替わっている。トリチウムは水と似た性質を持つためフェンスを通過する。港湾口や沖合3キロの海水の放射性物質は検出限界値を下回るが、専門家は「大量の海水で薄まっているにすぎない」とみる。
さらに、1日400トンの地下水が壊れた原子炉建屋に流れ込むことで汚染水は増え続けている。地上タンクからは約300トンの高濃度汚染水が漏れ、一部は、海に直接つながる排水溝を経由して港湾外に流出した可能性がある。不十分な対策によるトラブルは相次ぎ、今後もリスクは残る。「何をコントロールというかは難しいが、技術的に『完全にブロック』とは言えないのは確かだ」(経済産業省幹部)という。
- 「汚染水:「国の関与」提言放置 原子力委が民主政権に提出」 毎日新聞 2013年09月07日 07時10分(最終更新 09月07日 10時25分)
東京電力福島第1原発の放射性汚染水対策について、内閣府の原子力委員会(近藤駿介委員長)の専門部会が2011年12月に漏えい防止や安全な保管・処理のために国の主体的関与を求める提言をしながら、政府に事実上放置されていたことが6日分かった。国が第三者機関を設け、東電の事故対策を監視、地元との対話に努めるようにも提言したが、実現していない。
原子力委幹部は「原子力を推進し厳しく批判されていたが、我々も福島原発の安全な廃炉に責任があると考えて提言をまとめた」と話す。しかし、当時の民主党政権関係者は「事故処理は東電が主体だった」「政府が提言通りしなければならない理由はない」と重視しなかったことを認める。
事故9カ月後に出された原子力委の提言に政府がもっと耳を傾けていれば、汚染水問題がこれほど深刻化しなかった可能性がある。自民党の安倍晋三政権は事故から約2年半後の今月3日、汚染水対策への国費投入や東電の作業に対する監視体制強化などの「基本方針」を打ち出したが、党内には「国の関与があいまい」と指摘する声も根強い。
提言は「東京電力福島第一原発に関する中長期的措置に関する検討結果について」と題され、原子力委の専門部会(部会長・山名元京大原子炉実験所教授)が11年12月13日付で策定、政府に提出した。
1979年3月に起きた米スリーマイル島原発(TMI)事故の対応を分析し、複数の原子炉が損傷した福島第1原発事故では、汚染水発生量がTMIの20倍程度にのぼる可能性があると想定。米政府が事故処理を電力会社任せにせず、エネルギー省や原子力規制委員会(NRC)などに責任を分担させる体制を作ったことを挙げ、汚染水を含む放射性廃棄物の長期かつ安全な管理・処理につながったと評価している。費用面でも、米政府が電力会社を主体にしつつ、「国益」を理由に汚染水対策も含む廃炉の技術・装置開発などに国費を投じたと紹介。福島第1原発でも「国が責任を認識し、関与することが重要」と強調している。
汚染水対策では、カメラや線量測定だけで漏えい場所を特定できないことを懸念。長期・安全な保管・処理方法も決まっていないとして、汚染水増量を防ぐ遮水壁整備などとともに、技術や装置開発に国内外の英知を結集するように求めている。
また、地元や国民の不安解消のため、国が第三者機関を設けて東電の作業を監視するとともに、公聴会などを開いて地元の意見を聞き、対策に反映させるべきだとしている。
- 「「まともなデータ出てこない」規制委員長、東電を批判」 2013年09月06日金曜日, 河北新報
福島第1原発の汚染水漏れ問題で、原子力規制委員会の田中俊一委員長は5日にあった規制委の定例会合で「東京電力に任せていては、まともなデータが出てこない」と述べ、東電の情報発信のやり方や内容を厳しく批判した。
田中氏は、東電が汚染水漏れでできた約20センチ四方の床面のしみについて「毎時230ミリシーベルト」と発表したことを挙げ、「表面汚染は平方センチ当たりのベクレルで表す。(東電の発表は)重さを長さの単位で示すようなものだ」と指摘。「こうした情報発信で(汚染水漏れが)国際問題化していることに政府は危機感を持ち、私も怒りを持っている」と述べた。
定例会合後の記者会見でも「汚染水が漏れたことと汚染していることは意味が違う。ただ情報を出せばよいというわけではない」と東電への苦言を続けた。
規制委は「東電の不正確な放射線計測や説明で誤解を与えている」として東電に改善を指導する方針を決定。近藤健次郎高エネルギー加速器研究機構名誉教授を技術参与に任命し5日、第1原発に派遣した。