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地震雲

地震予知

FAQ 2-13. 地震雲」 

日本地震学会

質問:地震前に地震雲が現れるという話をよく聞きます。本当でしょうか?

 

回答:地震研究者の間では一般に、雲と地震との関係はないと考えられています。地震の前兆としての「雲」に関する研究は,過去に何度か発表されたことがあるのは事実で,雲と地震の関係が皆無であると断言はできません。しかしながら,過去の報告例は大地震の前にたまたま特異な雲の形態をみたことで,地震と特異な雲の形態を結びつけてしまうケースが圧倒的に多いのではないかと考えられています(その一方,地震が起きなかった場合には雲のことを忘れてしまいます)。

 

雲はその場の大気の状態や付近の山岳などの地形次第で、人間の目にはときに無気味な姿や謎めいた形となって、さまざまに現れます。従って、例えば竜巻状や放射状や断層状に見えたとしても、 それが地震前兆なのかどうかを疑う前に、低気圧が接近中だったり近くに存在していないか、前線はないか、気圧の谷が上空を通過していないか、高さによって風向が食い違っていないかなど、 まず気象の面から十分に検証することが大切です。 FAQ2-10もご覧下さい(S,K)。

「地震前に地震雲が現れる」というのが興味深い。最大のエネルギーが放出されるのは地震の起こる瞬間なわけで、地震直後に空になにか異常があってもよさそうだが、そうした観測の報告例はないようだ。「地震前にのみ現れる」というのはウソのように都合のいい話だ。

地震雲についての雑感」 

石渡 明(東北大学東北アジア研究センター) 日本地質学会

地震雲という語は,戦後の高度成長期に奈良市長を14年務めた鍵田忠三郎によって創始されたが,その思想は古代から東洋に続く観天望気の経験論の延長上にある.鍵田の思想は,「地震は地球の病気,大気と大地は一体,自然に帰る,衆生済度」などのキーワードで捉えることができる.鍵田(1983)は,雲で地震を予知することと,大都会の生活を捨てて「自らの生活を正し自然生活に戻ること」が地震災害を防ぐ唯一の方法だと述べている(p. 150).しかしこれは,「地震雲」が認識可能になったのは通信の発達(都市文明の恩恵)によるという,彼が同じ本の中で述べていることと矛盾するように思う.また、彼は市長在職中に多額の税金を滞納し、この負の遺産は後に市長になった彼の二男を辞職に追い込んだというから(毎日新聞2004年12月25日奈良版),彼が「自らの生活を正し」たかどうかも疑問である。私は,漢方的な観天望気の重要性・有用性を認めており,個人の科学研究の出発点は,思い付き,思い込み,思い違いであっても構わないと考えている.地震雲の研究は日本で生まれた「草の根」的な学問であり,誰かが突破口をみつければ客観的な科学になって世界に貢献する可能性があるが,まだその域に達していないように思う.地震雲は,全天曇り,雨や雪,雲のない快晴,夜間の場合は観測が困難だが,高層大気の「電子の雲」の電波観測は天候や昼夜によらず可能でデータの客観性が高く,公的な地震予報につながる可能性がある.しかし,地震の前にそのような電子の雲ができるメカニズムは地震雲と同様に不明である.地質学では,大気の変化と地質現象(特に火山活動や風化過程)との関連を昔から研究してきたが,地下深部での岩石の破壊・変形現象も地質学の守備範囲であり,今後はその電磁気学的,放射化学的な側面も研究すべきだと思う.

地震雲は存在しません」 

2012年03月23日, 横浜地球物理学研究所 YOKOHAMA GEOPHYSICS RESEARCH LABORATORY

阪神淡路大震災(1995年1月17日)の直前に撮影された1枚の写真が、「地震雲」をとらえたものとして非常に有名になっています。写真家の杉江輝美氏が撮影したもので、1995年1月9日の17時ころ、神戸の垂水港から明石大橋に向かう方向に見えた雲です。

 

夕景に、煙のようなひと筋の雲が立ち上っているように見え、渦を巻いているように見える写真です(こちら)。

 

あまりこのような雲を見慣れていない方には、奇妙な雲に思われるかも知れません。ですが、これは明らかに飛行機雲です。

 

 

このような形の雲を地震雲だとする方々は、飛行機雲との違いとして以下のような根拠を主張します。

 

(1)垂直方向に伸びている

(2)飛行機雲は10分以内に消えるが、地震雲は消えない

(3)渦巻き状を呈している

(4)高度が5000mほどと低い

 

しかし、いずれも簡単に却下できます。

 

(1)飛行機の航跡の真下から見ると、飛行機雲は垂直方向に立ちのぼるように見えます。

(2)水蒸気量が多いときには、飛行機雲は10分以上消えないことが普通です。

(3)飛行機雲は、形成直後から渦巻き状になることが多々あります。

(4)飛行機雲は短距離の国内線が飛行する高度5000m前後でも形成されます。

最近の動き

東日本大震災に便乗する自称地震予知研究者

  「【大至急回してください】現在、名古屋の上空に地震雲が発生しています。気象庁によるとこの1週間は警戒が必要とのことです。大至急回して1人でも多くに知らせましょう」

 

2013年5月20日、ツイッターでこんな投稿が相次ぎ出回った。

この日、名古屋を始めとする東海地方では、空全体に細長い帯状の雲が、並行に連なる光景が見られた。これは地震雲支持者の間では「肋骨状形地震雲」と称され、発生後短期間で地震が発生する「危険な」雲なのだといい、ツイッターなどでは若年層を中心に怯える声が立て続けに上がった。

しかし、6月6日現在、愛知県では20日以降震度1以上の地震は1度も起こっていない。「予知」は、空振りに終わったと言っていいだろう。

「地震雲」は本当に当てになるのか。ここ最近で地震雲がネットで騒ぎになった主要な例を挙げてみよう。なお、地震雲が観測されてから実際に地震が起こるまでは、早ければ直後、遅くても1週間以内とされることが多い。

 

 2012年5月12日:東京上空で複数の地震雲が目撃される

 2012年5月28日:静岡で「超スーパー地震雲が発生」との写真がツイッターで1000RTされる

 2012年6月26日:「地震雲の第一人者」が、7日以内に東京で震度6〜7の地震が起こると予想したと夕刊紙が報じる

 2012年8月29日:M7〜8の地震が4〜5日以内に起こる地震雲が東京で、アマチュア研究者によって観測される

 2012年10月13日:千葉県を中心に大型の地震雲が見られ、ネットが騒然となる

 2013年1月10日:東北〜関東で10日以内に地震発生の可能性があると、地震雲研究者が夕刊紙で「警告」する

 2013年2月9日:東北から中部地方の広範囲で地震雲が目撃される

 2013年3月18日:神奈川県などで「竜巻型」の地震雲が見られツイッターが騒然となる

 

「ハズレ」がほとんどだ。こうしてみると、あまり騒ぎすぎる必要はなさそうだ。

東日本大震災後には、連動して大きな余震が起きる可能性を専門家が指摘して注意を呼びかけているわけで、「今なにか言っておけば当たるかもしれない」という期待のもとに、便乗型のインチキ予知が横行しているのだろう。

5月20日の件に関しては、Naverまとめの「【注意】名古屋の上空に 地震雲が発生したと話題 5月20日【画像】」(更新日: 2013年05月20日)も参照。こうした連中の多くはただ騒ぎたいだけなのだろう。とりあえず、ここに集められた画像のような雲(波状雲と呼ばれる雲だろう)による地震予知はあてにならないということがわかる。

なお、J-Castニュースの記事は2012年5月から2013年3月の予知しか取り上げていないが、以下のように東日本大震災直後から地震雲による予知騒動はあった。

フライデー2011年4月1日号

フライデー2011年4月1日号には、『池袋上空に地震雲!「次は東京なのか」』という記事が掲載され、東京都文京区の主婦、竹村友見氏が3月12日に池袋(サンシャインシティビルの上のほう)で撮影した地震雲が紹介されている。「日本地震予知協会」(サイト:雲に聞こうよ)代表の佐々木洋治氏はこの雲を「竜雲」とし、『阪神・淡路大震災の時に兵庫県で観測されたものに酷似している』としている。(飛行機雲のようにも見える)

また、埼玉県に住む地震雲ウォッチャーの諸川賢一氏が2月27日帰宅途中に撮影したという地震雲も紹介されている。(これは飛行機雲にしか見えない)はたして、埼玉県上空で見た雲で東北地方太平洋沖地震の予知が本当にできるのであろうか?

おもしろいことに、諸川氏は2004年10月23日、新潟県中越地震の直前に見た地震雲について「飛行機雲のような地震雲が一直線に西に向かっていたので、『あ、地震雲だ』と思った」と述べており、地震雲が飛行機雲によく似ていることに気づいているようだ。どうやって地震雲と飛行機雲を区別するのだろう?

佐々木氏は地震雲発生のメカニズムについて、『地震が起きる前に地殻の岩石が破壊され、電磁波が出る。大きな断層から電磁波が噴き出してくるのです。その電磁波によって雲ができる。電磁波がたくさん出てくると、震源地に向かってレーザー光線のように直線型の雲ができる場合もあります。電磁波の問題だから、風は関係ありません』と述べている。

地震の前に岩石が破壊されるというのは本当だろうか?岩石が壊れると電磁波が発生するのか?そんな現象が観測されたことはあるのだろうか?どういうメカニズムで電磁波によって雲が生じるのだろう?電磁波がたくさん出ているのであれば、それを直接観測することはできないのだろうか?

そもそも「レーザー光線のような直線型の雲」は本当に飛行機雲ではないのか?飛行機雲でないというのなら、まず発生原因が飛行機でないということを証明するべきだろう。つまり、直線型の雲が自然に発生するまで観察すればいい。そういう観察が記録されたことはあるのだろうか?

なお、佐々木氏は「巨大彗星がすべての地震の原因だった」(徳間書店, 1997年)という本も出版しており、日本地震予知協会のサイト内のページ「なぜ彗星と地震なのか」によると、以下のような壮大な独自(トンデモ)地震理論を展開している。

 突発的な磁気突出がある。これは、電波を乱す磁気嵐として地球にあらわれる。これも、太陽のバーストが激しくなるから起こる現象だ。

 

 この突発的な※太陽バーストはなぜ起きるのだろうか。私は彗星が太陽にもたらすエネルギーに原因があるのではないかと思う。野辺山の太陽データの記録をみると、太陽のバーストが起きている時必ず、彗星が近日点の近くに来ているのだ。このことから、彗星が太陽の近日点に接近すると、太陽のバーストが起きると考えられる。そして、約300〜900km/秒の太陽風にのって磁気エネルギーが地球にもたらされる。この磁気は、地球の磁気圏にそって、地球の南北より内部にとり込まれる。この時、南極・北極にオーロラが激しく発生する。

 

 地球内部に入った磁気は、地球の回転によって生じる地磁気にまとわりつく。しかし、余計な磁気は地球の回転速度にとって不都合であるから、放出するために磁気透明体のマントルをすり抜けて、地殻の下に集中する。この磁気エネルギーは、マントルやマグマを活発にさせ膨張させるので、地殻が押しあげられる。この押しの力による歪エネルギーと、膨張から冷えに向かう過程で生じる歪エネルギーの二つが、地殻に体積状態で蓄えられてゆく。これが地震のエネルギーとなる。このエネルギー解放(地震・噴火)のトリガーとして、機械的なもの(天体の引力・気圧変化)と、量的なもの(太陽から大量に供給されるモノポール流量)がある。

もしも、ここで「モノポール」とされるものが「磁気単極子」だとすると、磁気単極子はまだ発見されていない。

「雲に聞こうよ」の「>>> 過去の地震雲 <<<」を見ると、佐々木氏は「熊のジョン」、「プラズマ雲」、「双極ブリッジ」等といった名称を付けて、様々な雲を地震雲とみなしている。(案の定、飛行機雲にしか見えない雲を地震雲としている) これならば、日ごろいろいろな雲の写真を撮っておき、地震が起きたときだけ写真を公開すれば、いくらでも予知に成功したことにできる。

さらに興味深いことに、佐々木氏は晴天も地震の前兆にしているようだ。たとえば、『更新日 2006.11.09 17:00』では、『11月8日、9日と連続の雲一つない青空。緊張状態です。広域地震に警戒』としている。

上出孝之氏による予知

 地震雲の第一人者が、首都圏震度6の大地震を警告している――。

 政府の地震調査委員会は11日、今年1月1日を基準に、日本周辺で起きる地震の発生確率を計算した結果を発表した。それによると、東南海地震の今後30年以内の発生確率は、昨年の70%程度から「70〜80%」に上昇。関東大震災と同タイプの地震も確率がアップした。10日には、気象庁が昨年1年間の有感地震が3139回と発表している。3・11以前の約1.8倍。緊張状態は続いているし、不気味な予測も出た。

 3・11直前の三陸沖地震を的中させた北陸地震雲予知研究観測所の上出孝之所長が「5日の正午から午後4時に灰色の大きな帯状の地震雲を観測しました。1月10日から7日以内(+2日)に東北(岩手、宮城、福島)でM6.5(±0.5)、震度5〜6の地震が起きる可能性がある」と予告しているのだ。

 上出氏によると、地震雲は、「地震が起こる前に岩板に強い力が加わり、電磁気が発生することで、プラスイオンが電磁気とともに上昇し、水蒸気に影響を及ぼしてできる」という。30年以上の継続観測の結果、10年は35回中30回、11年は54回中46回と高い的中率を誇っているだけに気になる。

「8日の午前11時30分〜午後4時に白い帯状の地震雲が発生している。このことから1月10日から11日以内(+2日)、東北から関東(福島、茨城、千葉)でM6(±0.5)、震度5〜6の地震が発生する恐れがある。同日の午後3〜4時にも、別の白い帯状の地震雲が出ていて、1月10日から11日以内(+2日)、関東(茨城、千葉、神奈川)でM5(±0.5)、震度4の地震が起きるかもしれない」と見通した。

 用心に越したことはない。

『3・11直前の三陸沖地震を的中させた』との記述に注目。どうやら上出孝之氏が「的中させた」のは、東北地方太平洋沖地震そのものではなく、その直前(2011年3月9日11時45分頃)に起きたM7.3の三陸沖地震のようだ。2日しか違わないのだから、東北地方太平洋沖地震を当てたことにしてしまえばいいのに、こういうところは妙に律儀なようだ。

『地震雲は、「地震が起こる前に岩板に強い力が加わり、電磁気が発生することで、プラスイオンが電磁気とともに上昇し、水蒸気に影響を及ぼしてできる」』とのことだが、ここで言う「電磁気」っていったいなんのことだろう?

6月25日から7日間以内に関東地方でM7以上、震度6、7規模の地震が起こる。

 

きのう(25日)、こんな予想を出したのが北陸地震雲予知研究観測所の上出孝之所長だ。上出氏は地震雲の研究の第一人者。30年間もライフワークとして観測を続けている。

 

その上出氏がきのう、見たのが空いっぱいに広がる地震雲だ。

 

「きのう(25日)の午後から白い放射状の地震雲が空一面に出ているのです。実は2、3日前にも地震雲は出た。そのときは関東地方、とりわけ千葉、茨城県あたりで、M5・5程度、震度4、5程度の地震が1週間以内に起こると予測しました。この雲がもっと大きくなり、東京方面を指している。そこで、緊急の予測を出したのです」(上出氏)

 

地震雲予知のメカニズムは「地震が起こる前に岩板に強い力が加わり、電磁気が発生、プラスイオンが電磁気とともに上昇し、水蒸気に影響を及ぼす。それが地震雲になる」(上出氏)というものだ。いまひとつ、よく分からないが的中率は高い。

 

2010年は35回中30回、2011年は54回中46回的中。上出氏は地震を予知すると自治体に情報を送っている。大学の先生による予知は数年以内の確率くらいしかわからない。それだけに上出氏の予知が気にかかる。

一部で日刊ゲンダイの記事が話題になっていたので、検索してみたら阿修羅掲示板にそれらしきものがあった。まあ、ゲンダイなので記事の信ぴょう性は低い。

『6月25日から7日間以内に関東地方でM7以上、震度6、7規模の地震が起こる』と「地震雲の第一人者」である北陸地震雲予知研究観測所の上出孝之所長、が「緊急警告」していたらしいが、もちろん予知ははずれた。

記事によると、「2010年は35回中30回、2011年は54回中46回的中」とのことで、ちょっと信じられない的中率を上出氏は誇っている。この数字を否定する根拠はとくにないが、鵜呑みにする必要もない。(どうせなにかトリックがあるのだろうと考えるのが妥当だろう)

2013年1月の予知については以下のような検証も行われている。

 さて、問題の予知は大きく分けて次の3つがありました。

 

(1)1月10日〜19日に東北(岩手、宮城、福島)でM6〜7、震度5〜6の地震が起きる。

(2)1月10日〜23日に東北から関東(福島、茨城、千葉)でM5.5〜6.5、震度5〜6の地震が起きる。

(3)1月10日〜23日に関東(茨城、千葉、神奈川)でM4.5〜5.5、震度4の地震が起きる。

 

 検証では気象庁の地震データベースを使います。結論からいいますと、(1)と(2)は当たりませんでした。この期間に当該の地震は起きていません。一方で(3)はひとつ当たりました。1月22日に千葉県沖で起きたM5.1の地震により、茨城県で震度4の揺れが観測されたのです。

 

 しかし、ここでひとつ疑問が浮かびます。震度4やM4.5以上の地震というのは、どれくらい珍しいものなのでしょうか? そこで昨年1年間に茨城県で起きた震度4の地震回数を調べてみました。結果は21回です。月平均では毎月2回弱ほど震度4の地震が起きていることになります。(M4.5以上の地震は25回)

 

 今回の予知では期間が約2週間もありました。もともと毎月のように震度4やM4.5以上の地震が起きている地域なのですから、当たった予知というのも、実はそれほど珍しいことを当てたわけではないということがわかります。

 

 記事にあった「10年は35回中30回、11年は54回中46回と高い的中率を誇っている」というのも、こういった実は珍しくない地震を含んでいるからなのかもしれません。

たとえ、3回中1回当たっていたとしても、その的中率は33.3%である。35回中30回なら85.7%、54回中46回は85.2%と自己申告の的中率のほうが圧倒的に高い。

上出氏については以下のような記事もある。

この記事はなかなかツッコミどころ満載である。

地震雲の観測を始めて30年になる北陸地震雲予知研究観測所・所長の上出孝之さん。上出さんによれば「黒っぽい雲」「雲が空の全面を覆う」「放射状の雲」「雲が長時間出ている」というのは、地震の兆候だという。

 これまで、2004年の新潟県中越地震の際も、10時間ほど放射状の地震雲を観測し、大地震を予測した。長時間雲が出ているのは、大地震の危険な兆候なのだという。

「黒っぽい雲」や「雲が空の全面を覆う」、「雲が長時間出ている」も「地震の兆候だ」だそうだが、これだと曇りの日が続けば、地震が起こるということになってしまいそうだ。

これに対し、上述の佐々木洋治氏は、晴天も地震の前兆とみなしているようで、人により言うことがバラバラだということがわかる。地震雲による予知はあてにならない。

 この地震の予知以上に、上出さんを一躍有名にしたのは、3.11の予知だった。震災の2日前に発生した3月9日のM7.2の地震を、石川県・小松市内上空の雲の形から判断した。

「地元の新聞にその写真を送って警告を促しました。場所は北海道と予知したので、これは外れていましたが、日にちと規模はぴったり当たって注目されました。

ここでも当てたのは「震災の2日前に発生した3月9日のM7.2の地震」ということになっている。しかも「石川県・小松市内上空の雲の形から判断した」とのことで、三陸沖の地震を石川県の雲で予知したというのはちょっと信じられない話である。小松市で見かけた雲で、東京や北海道で起こる地震を予知できるとは思えない。

ところが、「場所は北海道と予知した」なので、三陸沖とは場所が全然違う。客観的に言ってこれはハズレだろう。場所がハズレてても日時が合っていれば、当たりにしてしまうようだ。

 また3.11のときは、私が住んでい松市上空に、空をふたつに割ったような見るからに気味の悪い青黒い巨大な断層形地震雲が出ていて、3月1日より10日以内に東北地方に大きな地震が起こると予知。しかし、規模に関しては、あんなに大きな地震になるとは思いませんでした」(上出さん)

「東北地方太平洋沖地震」については「あんなに大きな地震になるとは思いませんでした」と呑気なことを言っており、日本周辺における観測史上最大の地震の規模すら予想できていない。

 上出さんは雲と同時に月や虹にも注目している。

「大きい地震が起きるときは、月が赤くなる。また、一般的な住宅の屋根すれすれにかかる低い虹も地震発生の兆しです。赤い色の月を見たら、海に近い場所では津波に気をつけてほしいです」(上出さん)

赤い月や低い虹も「地震発生の兆し」というのはどういう理屈なのだろうか?これも「電磁気」や「プラスイオン」の効果なのだろうか?

上出氏は以下のようなものを「地震雲」とみなしているようだ。

こちらのページでは地震雲博士として知られる上出孝之氏が分類した8種類の地震雲形状をベースに、地震雲の特徴や形を紹介しています。

地震雲に関する情報は研究中のものですので、正しい情報ではない可能性があります。

上記の画像は、上出氏の著書「わかりやすい地震雲の本」(北國新聞社 (2005/08))からのものらしい。飛行機雲ぽいものをはじめ、いろいろなものが「地震雲」とされている。本当にこれらの雲から地震予知ができるのだろうか?

結論を言うと、上出氏のみが高確率で予知を的中させているのは不自然である。同様の方法で誰でも予知を的中できるようにならなければ、科学ではない。そもそも上出氏の85%という高い的中率がどうやって算出されたものなのか、その詳細がわからない。また、石川県・小松市上空の雲から日本全国の地震が予知できる等、上出氏の主張は信ぴょう性が低い。

週刊誌はこうした自称地震予知の専門家をもてはやすのをやめるべきだろう。