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百匹目のサル


「百匹目のサル現象」とは、“ある思い”を持つ人が増えていき、一定数以上になると、突然他の集団にまでその思いが伝播し、結果的に思いが実現するという話である。百というのはあくまで比喩であり、多くの思いが集まれば、それは一気に全体に広がるということである。

この現象はライアル・ワトソンの『生命潮流―来たるべきものの予感』が元ネタである。ワトソンは、日本の幸島で行われた河合雅雄博士の研究成果である論文を、話の根拠としている。

海外では反核運動などで、有名になった。日本ではニューエイジ活動のグルとも呼べる船井幸雄氏が、著書で取り上げたことから有名になったようだ。現在では、ニューエイジ活動・自己啓発セミナー・マルチ商法などでも引用されるエピソードとなっている。

ワトソンが参照元とした河合氏の論文には、ワトソンが主張するような神秘的な現象を支持するデータは無い。むしろ、ワトソンの主張を否定するようなデータが提示されていると言ってもよい。河合氏の論文を調査した研究者は、ワトソンの主張がワトソンの創作であることを指摘している。

河合氏へのインタビューでも幸島で「百匹目のサル現象」が起こっていないことがわかる。河合氏は「あれはライアル・ワトソンの作り話。そんな話は聞いたことがなかった」とバッサリ切り捨てた。

ワトソンは、調査者の追求に対し「百匹目のサル現象」が事実ではないことを認めた。

百匹目のサルやグリセリンの結晶化の科学的な説明として、シェルドレイクの研究があげられる場合が多い。しかし、シェルドレイク自体は、「百匹目のサル現象」を支持しておらず、「百匹目の猿の話は形態共鳴(morphic resonance)を支持するものとして語られている。しかし、私自身はこれを使ったことはない。というのは、この話の流布されている大半のバージョンは事実とはかけ離れているからだ。懐疑論者が偽りを暴くのは容易だ。」と語っている。

参考情報

【僕のおしゃべり】

【忘却からの帰還】

【幻影随想】

【懐疑論者の祈り】

【日本臨界科学研究所】

【河合博士の原論文】