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EM菌と放射能

東日本大震災・デマ・風評被害・陰謀論

EM菌(有用微生物群)も参照。


ある微生物資材を土壌にまくだけで「放射性物質が除去できる」と主張する人たちがいる。現在、環境大臣政務官を務める高橋比奈子・衆議院議員(自由民主党)も、そうした主張を繰り返してきた一人だ。

 その高橋議員の発言に対して疑問の声が上がった。今年10月31日の衆議院環境委員会で、大熊利昭・衆議院議員(維新の党)がその真意を問いただしている。

 高橋議員は、衆議院議員に当選する前の2012年7月、かわさきFMで放送された番組において、EMと呼ばれる微生物資材を散布した岩手県内の施設では、土壌から放射性物質が検出されても、作物からは出てこないといった趣旨の発言をしている。高橋議員は以前から、このEM技術の普及を目的としたNPO法人、地球環境・共生ネットワーク(U-net)の運営委員などを務めていた。また、出演した番組も同法人をはじめ、EM関連団体が提供する番組である。

 EMの開発者である比嘉氏は、デジタルニューディール(DND)研究所のHPに掲載されている『甦れ!食と健康と地球環境』という連載記事で、たびたびEMが放射性物質を除去すると主張している。

 その記事によれば、放射性物質に汚染された汚泥がEMによる発酵処理で除染できるという。また、高濃度の放射性セシウムに汚染された土壌でも、EMを散布した5カ月後にはその値が3分の1以下まで低減したというのだ。さらに高橋議員がラジオで発言したように、放射性セシウム濃度の高い土壌でも作物からは検出されないのは、EM技術でつくられた堆肥が放射性セシウムの吸収を阻害したからだと主張している。これらの現象に関して、比嘉氏は放射性物質が「消滅したとしか言えない」とも断言しているのだ。

 これは単に科学的に正しいか否かの問題ではない。以前からEMの普及活動をしてきた団体はここぞとばかり、被災地にEMによる除染を浸透させようとしている。高橋議員が関わっていたU-netでは、各地のボランティア団体の協力を得てEMを大量に培養し、配布しているという。

 衆議院環境委員会の場で高橋議員は、「個人的見解とは別」とした上で、「環境省としては(EMが放射性物質を除去するという)データは承知していない」と返答した。環境省はEMの科学的データを肯定していない一方で、科学的な知見と考えを異にする議員が環境行政を左右する立場にいるという事実は変わらない。

 

 さらにいえば、EM推進派とされる議員は自民党に限らず、今回の質問をした大熊議員が所属する維新の党も含め、与野党いずれにもいると見られている。一見文句のつけようのない理念を掲げることで、政治的なスタンスに関係なく、広く受け入れられているのだろう。だが、影響力を持つ政治家には、ある程度の科学リテラシーを備えてもらいたい。

「福島県のEM活用団体数は、震災前に比べ、約2倍増と突出しています。彼らは、福島県農林水産部が行った実証実験の結果を基に、“EMで作った堆肥を使用すれば、土壌内の放射性物質が農作物へと移行することを防ぐ効果がある”“EMが放射性物資の放射能を消去する”と喧伝しています。しかし、このデータを検証すると、作物への放射性セシウムの移行防止効果はEM堆肥に含まれる交換性カリウムによるもので、EMの特殊効果によるものではないことが考えられます」

EM菌の万能ぶりがすごい

このブログエントリを見ると、せんだいメディアテ−クで開催された比嘉照夫教授講演会「EM技術による究極の放射線対策〜子ども達を守るために〜」(2012年4月8日)で、相変わらずEM菌の万能ぶりが自慢されたようだ。

  • 被災地で塩害に効くことは証明した
  • 汚染地で放射能を4分1に減らすことができた。
  • 内部被爆を確実に減らすにはEMXゴールドを飲むという方法がある。
  • 野菜をEMで洗うと効果あり。
  • 土壌のセシウムとストロンチウムはEM使用により農作物に移行せず不検出になった。
  • 畜産の餌にEMを混ぜれば内部被爆を避けれる。
  • 学校校庭にEMをまくと汚染が減ることも証明された。
  • 農林水産省にEMを大量に寄付、畜産の腐敗臭に効果大。感謝状もらった。
  • 気仙沼にEMを100万トン寄付。川に鮭が戻った。感謝状いただいた。
  • 抗酸化力に注目ベラルーシで実験1200度で焼いても死なないEMに希望。
  • 子どもが鼻血など内部被爆症状がでたのでEMXゴールド5cc飲ませてきた。症状が改善した。

あきれるほどの万能ぶりだが、なぜ効くのかという説明はなく、どうやって効果を確認したのかも詳しい説明はない。中には薬事法に抵触しそうな記述もあることに注意。

こちらには『EMを家中、身体中に使っています。EMで掃除をするとゴキブリがでないのです。3日間なまけるとゴキブリはでてきます。』というよくわかんない体験談が登場する。3日間なまけるとゴキブリが戻ってくるというのであれば、ゴキブリホイホイとかと比べてどっちが便利なんだろう?

さらに「比嘉教授講演主旨」に書いてあることがすごい。

常識では万能なものは存在しないが、EMは万能です。コンクリートにいれれば300年はもちます。石灰岩みたいに硬くなります。EM技術の万能性は様々です。安全性はミジンコで検証しています。ミジンコは動物プランクトンなので、上の生物はすべてOKです。

「EMは万能」と堂々と主張している。「コンクリートにいれれば300年はもちます」とのことだが、300年後のことがどうしてわかったのだろう?「安全性はミジンコで検証」したそうだが、なぜそれで「上の生物はすべてOK」となるのか、さっぱりわからない。

こちらでも比嘉氏自身がEM菌の放射能に対する効果を色々と述べている。

 内部被曝対策についても、すでに述べたように、EMXゴールドは絶対的な力がある。また、EM栽培農家の農産物は、土壌が1000〜3000ベクレル(土壌1kg当り)の汚染レベルであっても、すべて検出限界以下であることも明らかとなった。したがって、農地でEM活性液を10a当り1回100L、年に400〜500Lも施用すれば、土壌の放射線量が高くても、収穫される農産物は、絶対的に安全であると断定することも可能であり、決定的な風評被害対策にもなり得るものである。

内部被曝対策についても「EMXゴールドは絶対的な力がある」とのことだが、「萬寿のしずく」(旧製品名EM-X)の販売元である株式会社「熱帯資源植物研究所」では『体内放射性物質を排出する機能を『萬寿のしずく』が持っていることを弊社は確認しておりません』(「放射性物質に関するお問い合わせについて」 2011年7月28日)としている。販売元が確認していないと述べているのに、大親分である比嘉氏が「絶対的な力がある」と宣伝しているのは、薬事法対策のバイブル商法の様相を呈している。

 とは言え、生活の範囲は、このようなボランティアでも可能であるが、山林となると、手も足も出ない状況である。要は自衛隊のヘリコプターで山頂にEMを投下することである。投下されたEMは傾斜に沿って広がり、放射能をエネルギー源として増殖するため、数年では正常に戻すことも可能である。この方法は数万ベクレル程度であれば十分な対応が可能と言えるが問題は更に高濃度の汚染対策である。

EM菌は、「放射能をエネルギー源として増殖する」との記述もあるが、「放射能」をエネルギー源とするような生物は地球上では見つかっていない。

EMXと放射能

EMXの販売元である株式会社「熱帯資源植物研究所」では、以下のような「トピックス」が公開されている。

福島第一原子力発電所の事故を契機として、お客様より弊社製品『萬寿のしずく(旧製品名EM-X)』の服用により体内放射性物質が排出される可能性についてのお問い合わせを多く頂いております。

 

EM医学国際会議2002(2002年2月)発表において、上記研究が発表されており、その紀要にはEM-Xが弊社にて製造されたことが記載されています。本研究のために製品を提供した事実はありますが、研究内容並びに発表内容につきまして、弊社は一切関知しておりません。

 

体内放射性物質を排出する機能を『萬寿のしずく』が持っていることを弊社は確認しておりません。本件についてのお問い合わせに、お客様のご期待に沿うようなお答えを致しかねることをどうぞご了承ください。

 

健康飲料として、『萬寿のしずく』を基礎健康力の維持向上にお役立て頂ければ幸いです。

つまり、体内放射性物質が排出される可能性についての発表はあったが、販売元とは関係がないということ。EMX(萬寿のしずく)は「健康飲料」なので、販売元が薬効を謳うことはできないということだ。

比嘉氏は光合成のメカニズムを理解しているのか?

以下のエントリを読む限り、とても理解しているとは考えられない。むしろ、シロウトを騙すためにデタラメを書いているとしか思えないような内容である。

このページの図は、紅色光合成細菌の光捕集色素蛋白質複合体、いわゆるlight harvesting complex II (LHII)のリボン・ダイアグラム(ribbon diagram)。以下の本からのコピー。

この図について比嘉氏は以下のように述べている。

 これまで、三次元(3D)波動については、「有害なエネルギーを三次元(3D)のヘリカル構造によって使えるエネルギーに変換し、触媒的に有用なエネルギーを賦与する作用」として説明を試みてきた。その三次元(3D)のヘリカル構造の代表格が図1に示されるように、光合成細菌のらせん状の光(エネルギー)伝達系である。

そもそもエネルギーに有害も無害もへったくれもない。エネルギーはどう利用するかによって、人間から見て主観的に有害にも有用にもなりうる。

また、この図の「らせん状」は「光(エネルギー)伝達系」ではなくて、蛋白質のアミノ酸骨格のαヘリックス構造である。αヘリックスは光合成系以外の蛋白質にも存在する一般的な構造で、とくに光を吸収する役割を担うものではない。

光合成系で光捕集や光エネルギー伝達を担うのは、クロロフィルバクテリオクロロフィルカロテノイド等の生体色素である。比嘉氏がこれらの生体色素についてまったく言及していないのは奇妙である。

光捕集色素蛋白質複合体にはさまざまな構造のものがあり、LHIIはバクテリオクロロフィルが環状になっていることで有名だが、光捕集アンテナ分子が、らせん状に配列したものは知られていない。

LHII中の光捕集色素分子の配列については、たとえば以下のページを参照。

ここのFigure 1では18個のバクテリオクロロフィルB850(赤)と9個のB800(緑)が環状に配列している様子がわかる。なお、黄色い細長いものがカロテノイド(ロドピン・グルコシド)で9個ある。

このページのトップの図のように、光エネルギーは環状に連なったバクテリオクロロフィル(B850)を媒介して伝達される。

 微細なマイクロコイルは電磁波や静電気や放射線等を転換し、無害化したり、有用なエネルギーに転換する機能性を有することが明らかとなっている。すなわち、カーボンマイクロコイル、カーボンナノチューブ、フラーレン等々であるが、その機能は図1の右側のように三次元(3D)構造がマグネット的役割をはたすために生じるものである。

電磁波や放射線と静電気が同列に扱われているのも意味不明。静電気は電磁波ではない。いったい何をどうやって何に「転換」してるのやら。ちっとも「すなわち」ではない。

カーボンナノチューブフラーレンは基本的に人工の化合物であり、生体系にその存在が確認されたことはない。「マイクロコイル」がらせん状のカーボンナノチューブのことを言っているのであれば、そのようなものも生体中には存在しない。

磁石(マグネット)が電磁波を引き付けるわけではないし、紅色光合成細菌の光捕集色素蛋白質複合体に磁石的なものは存在しない。

 光合成細菌は、カーボンマイクロコイルよりも更に微細なマイクロコイル状となっており、紫外線を照射すると急激に増殖する性質を持っている。また、粘土に十分に混和し1200℃でセラミックス化しても、そのセラミックスから光合成細菌を取り出す事が可能である。EMが放射能汚染対策に効果が認められるのは、EMの中心的役割を果たしている光合成細菌のこのような性質によるものである。

光合成細菌がどのような波長の光を吸収するかは、紫外可視吸収スペクトルを測定すればわかることである。LHIIの場合、2種類のバクテリオクロロフィル(B800とB850)が800 nmと850 nm付近の近赤外部に吸収極大を持つ。また、バクテリオクロロフィルのSoret帯やカロテノイド等が400 nmから600 nmにかけての光も吸収する。

よって、とくに紫外線のみを吸収しているわけではない。また、放射線のうちガンマ線は紫外線よりもさらに波長が短い電磁波であり、ベータ線は高速の電子(または陽電子)、アルファ線は高速のヘリウム4原子のことなので、電磁波ではない。

よって、これらの説明はまったく意味をなしていないので、『EMが放射能汚染対策に効果が認められるのは』、『光合成細菌のこのような性質によるものである』という結論を導くことはできない。

また、1200℃で熱したら、有機物からなる生物である光合成細菌は燃えてなくなってしまうので、『そのセラミックスから光合成細菌を取り出す事』などできない。ただのデタラメである。

土壌中のセシウムには効果なし

 福島県は17日、民間から提案された三つの資材について、土壌中の放射性セシウムの作物への移行を抑える効果を調べ、いずれも有効であると発表した。「EMオーガアグリシステム標準たい肥」と「囲炉裏灰」は塩化カリウムを上回る効果があり、「微粉ハイポネックス」の効果は塩化カリウムと同等だった。

ほんとにそうなのだろうか?

これを見てみると、「コマツナへの移行係数」が無処理の場合0.0060であるのに対し、一番小さくなっているのは囲炉裏灰の0.0005ではあるが、「EMオーガアグリシステム標準たい肥」も0.0007となっており、対照:塩化カリウムの0.0023よりも小さい。

ところが、一番効果のあった囲炉裏灰の資材施用量が1,100kg/10a、対照群である塩化カリウムが48kg/10aであるのに対し、「EMオーガアグリシステム標準たい肥」は5,000kg/10aも投入している。添加量が統一されておらず、EMが一番多く投入されている。

つまり、資材施用量を考慮すると単純計算で、EMよりも囲炉裏灰のほうが4.5倍以上の効果があることになる。

また投入成分も酸化カリウム(K2O)が194.5kg/10aとEMが一番多く、対照:塩化カリウムの資材施用量48kg/10aよりも多い。(塩化カリウムについては、投入成分の酸化カリウムが43.8kg/10aとなっているが、これは、投入成分を酸化カリウムとして換算すると43.8kg/10aになるということらしい)

土壌中のカリウムの濃度が高いほど、放射性セシウムが植物へ吸収される量が少なくなるということが知られている。(たとえば、「放射性セシウムに関する一般の方むけのQ&Aによる解説」(社団法人日本土壌肥料学会)のQ7を参照) EMで移行係数が小さくなったのは、EM自体の効果ではなく、EMに含まれるカリウムの効果である可能性が高い。

カリウム濃度を一定にして比較実験をしないと、EM自体の効果を調べたことにはならない。

また、別紙表1の収穫後土壌の放射性Cs濃度(乾土)を見てみると、「EMオーガアグリシステム標準たい肥」は合計で9,833±420Bq/kgであるので、無処理の合計9,851±425Bq/kgと同じである。つまり、EMには土壌中の放射性セシウムを減らす効果はない

参考リンク

どんどん上がる耐熱温度

1200℃でも大丈夫

んなわけない。

 EMは、光合成細菌を中心に、乳酸菌や酵母等々の抗酸化機能を持つ微生物の複合共生体である。その主要菌である光合成細菌は、粘土と混和し、1200℃の高温でセラミックス化しても、そのセラミックスから取り出すことが可能である。想像を絶するこの耐熱性は、光合成細菌がガンマ線やX線や紫外線をエネルギー源とし得る機能性を有するからである。そのため、外部被曝はもとより、内部被曝の放射能を無害な状態に変換していると考えられたが、我が国の放射線に関する実験規制は、かなり厳しいため、将来の課題だと考えていた。

典型的な胡散臭い文章。まず、1200℃だと、たいがいの有機物は燃えてしまうだろう。セラミックスから取り出すことが可能だというのなら、ぜひ見てみたい。たしかに「想像を絶する耐熱性」であるが、信憑性はない。いったいどの「光合成細菌」の話をしているか知らないが、ふつうはクロロフィルバクテリオクロロフィルカロチノイド等で可視光を吸収し、光合成を行っている。ガンマ線やX線をエネルギー源とするなどという話は聞いたことがない。そもそもどうやって「放射能を無害な状態に変換している」か説明がない。生物に「核変換」は起こせないので、おそらくそんなことは起こっていないのだろう。放射線に関する実験規制云々を持ちだしているのは、きちんとした検証をしていないことについての言い訳に過ぎない

以下の記事も参照。

2000℃でも大丈夫

なんか際限なく耐熱性が上がっていくようだ。

 水質浄化に働く“EM菌”。酵母菌、糸状菌、光合成細菌など自然界に存在する有用微生物群(Effective Micro−organisms)の総称で、淀川や道頓堀をはじめ全国的にも太田川(広島)や阿瀬知川(三重)など菌を用いた河川浄化の事例が報告されている。

この記事に以下のような記述があったため、ネット上で批判が噴出した。

 ○…「地球上で最初に生まれた生物が光合成細菌。2000度でも死にません」。図解に子どもたちが真剣なまなざしを向ける。子どもたちが授業でこしらえた元気玉を学校周辺に投入し、その下流の水質が改善されたというデータが胸を躍らせる。東大阪では、10年来の環境教育が好評で「子どもたちが遊べる川に」という地域の願いに後押しされ「次から次へといい人にめぐり合えた。運がいい」と笑顔を見せる。

2000℃で死なない生物は地球上に存在しない。理由は簡単だ。生物を作っている物質は有機化合物だ。実は「有機化合物」という言葉自体が「生物のオルガニックな(精妙で人工的に真似できない)機能によって作られた」という意味で,その昔に付けられたのである。その有機化合物はそんな高温ではすべて分解してしまうからだ。鉄でさえ,1538℃で融けて液体になるのだ。

 環境教育に一役かいたいという気持ちはわかるけど、インチキを広めてはいけない。2000℃で死なない菌など存在しない。それどころか、大抵の有機物は分解されて低分子量のガスになる温度だし、無機材料でもこの温度で保つものは少ない。

 

 ところで、ここを見に来た方は、最近、レトルト食品や缶詰や瓶詰めを食べただろうか。密封した保存食を作るには、適切に調理した材料を容器に入れて封をした後加熱して内部を滅菌している。だから、長期保存しても中で菌が繁殖したりせず、安全に食べられる。2000℃というのは、このての保存食品の容器が焦げて炭になったり溶けたり壊れたりする温度である(鉄の融点が1535℃、アルミニウムの融点が660℃くらい、ガラスの転移温度が350℃〜950℃)。そんな温度にしなくても雑菌が死滅してくれるから、私達はレトルトや缶詰を安全に利用できている。

たばこの火がだいたい900ºC、ガスバーナーを使った激しい炎の温度が1700ºCほどである。鉄でも1538ºCで融ける。

 

もちろん、このような温度ではクマムシや納豆菌は燃えつきて死んでしまう。EMが2000ºCでも死なないということは、少なくとも細胞を構成している分子の融点が2000ºC以上ということであり、これは地球上の生命体でないことは明白である。

 

EMこそ、地球に侵略にやってきた、宇宙最強のエイリアンである可能性が極めて高い。

耐熱温度上昇の経緯

まとめると、EM菌の耐熱温度は、 700℃ http://bit.ly/LeozEu →800℃ http://bit.ly/Lekm3A →1200℃ http://bit.ly/j1PT7A →2000℃ http://bit.ly/K6NTqi と上昇を続けている様ですw

以上のように、EM菌の耐熱温度は際限なく驚異的に上昇しているようだ。

上記のブログエントリで、比嘉照夫氏の著書「地球を救う大変革」1〜3巻の一部が引用紹介されている。これによると、2巻目に以下のような記述があるらしい。

高温乾熱殺菌を繰り返し行なってもあらわれるので、もっと温度を上げようということで700℃まで上げてみました。700℃というと鉄が溶けはじめる温度ですが、それでもそのセラミックスのなかの細菌は復活したのです。

さらに以下のような記述もあるらしい。

 光合成細菌のなかには、1000℃以上でも情報を失活しないものがいます。したがって地球には1000℃くらいの高温の頃から微生物がいたとしか考えられないのです。

700℃なのか1000℃なのか、ちょっとはっきりしないが、もともとそういう大雑把な話なのだろう。今のところ確認できる比嘉氏自身が述べている耐熱温度で一番高いものは、1200℃のようだ。たとえば以下のリンクを参照。

その光合成細菌を粘土に混和し、1200度以上の高温でセラミックス化しても、その情報は失活せず、そのセラミックから生きた状態で再度光合成細菌を取り出すことができる超スーパー菌である。さらに重要なことは、紫外線やガンマ線を当てると増殖されるという性質をもっている。この超スーパー菌である光合成細菌は、自然界では、水田やドブの底などに棲む典型的な嫌気性細菌で、酸素が大嫌いである。このような性質をもつ光合成細菌を大量に培養して土壌に散布しても、酸素が普通の状態で存在すれば、たちまちにして失活し、他の好気性微生物の基質(エサ)となって、まったく増えないという泣き所がある。とは言え、その結果、土壌中の有用な放線菌が増えるため、あながち無駄ではないが、光合成細菌の実用化の壁となっていた。

EM・X GOLDは殺菌されている?

ところが、EM・X GOLDについてのFAQの5番目のQ&Aには以下のようなものがある。

製造の過程で加熱殺菌処理を行っています。

驚異的な耐熱性を有するEM菌も加熱殺菌処理できちゃうようなのだ。当事者は矛盾を感じないのだろうか?それとも、「殺菌してもその波動は消えてない」みたいなトンデモ理論なのだろうか?

*追記*
その後、このQ5は書き換えられており、2013年5月の段階では、Q14「製造段階で加熱していますが、微生物が死んでしまっているのではないですか?」、またはQ4「熱を加えて飲んでもいいとありますが、EMX GOLDの中の微生物が死んでしまいませんか?」となっている。

その答えは『EMX GOLDは生きた微生物による健康への効果をねらったものではなく、微生物(EM)がつくり出した成分によって健康力を高める飲料水です』といったもので、「EM菌は殺菌できるのか?」という矛盾を回避しようとしているようだ。

『強力なストレスに耐え抜く力のある有用成分』とのことだが、この「有用成分」が具体的にどのような物質なのかは書かれていない。

「チェルノブイリへのかけはし」

上記のように「チェルノブイリへのかけはし」というサイトでEM菌が取り上げられているが、以下のように薬事法を軽視するような記述がある。

 言葉に気をつけなければ、薬事法で逮捕される。逮捕が怖いのではなく、活動ができなくなることが残念なだけ。「放射能に効く」とかそういうことを言ってはいけない「しばき」が私たちにある。

(「しばき」ってなんだろ?「しばり」の間違いかな?) さらに、こうした主張に賛同するようなコメントもある。

断じて野呂さんの活動を阻害することがあってはならない。薬事法という名の規制、注視していきたいと思います。

野呂美加さんは、自分が薬事法であぶない立場に立たされるかもしれないという危険を感じながらも、それでも、子供達を救いたいという純粋な強い溢れんばかりの愛でEMのことを書いてくださっています。

こうした考えは独善的であり、賛同できない。「日本政府は信用できない」からといって、安直に「法律を破ってもいい」ということにはならない。

さらにこのページには、なぜEM菌が放射能に効くのか、以下のような記述もあるが、ほとんど意味不明である。

 さて、本当に「EM菌が放射能に効くの?」と聞かれれば私は自分の経験からイエスといいます。でもそれは「放射能を分解するのではない」ということ。『放射能によって破壊された環境に活力をとりもどし、私たちの免疫機能を守ってくれている』という言い方が優等生的な答えでしょうか?それじゃ何もわからん。市町村や保健所のパンフレット的解説。

 どういうこと?これは説明がむずかしい。「微生物が放射能を抱き込んで放さない、寝かせる」というふうにしか説明できない。今の科学レベルでは。

 光合成細菌など放射能のエネルギーを自分のエネルギーに転換できる菌たちは、放射能にDNAを切られながらもおそろしいほどのDNA修復能力を持っている、ということ。

まず、「自分の経験からイエスといいます」としているが、これは『統計的に「効く」ということを示すことができない』というだけのことなのだろう。また、「微生物が放射能を抱き込んで放さない、寝かせる」というのは、意味不明でなんの説明にもなっていない。つまり、なぜ効くのか?という根拠もきちんと示すことができていない。

  京大、東大からEM菌は目の敵にされているし(琉球大発が気に入らないらしい)、そのパッションたるや、約20年前は大変なものだった。京大あたりの先生が頭ごなしに(ここが肝心)、「そんなもの放射能に効くわけない」というのを聞くと、私はうれしくなる。なぜなら縁起がいいからだ。

まあ、たとえこれがほんとに「縁起がいい」話だったとしても、それは単にそれだけのことであって、本質的にはなんの根拠にもなっていない。そもそもEMの主張がなんだかおかしいということに気づくには、東大や京大を出ている必要はない。

ベラルーシの部屋

当時の私が最初に聞かされたのは「EM菌をまくと放射能がなくなり土壌改良される。水源も汚染がなくなる。」ということでした。それでいろいろな資料を翻訳させられました。

 結論から言うと、EM菌がベラルーシ国内の放射能汚染地域の土壌改良に使われてはいない、ということになります。

 実験は行われたのですが、私が知っている限りではうまくいきませんでした。

 それは沖縄生まれのEM菌が、寒冷地であるベラルーシの土壌ではうまく活動しなかったからです。

 EM菌はさまざまな微生物を配合したものです。微生物ですから温度と湿度の条件が大事です。EM菌は温度が15度以上でないと活動しません。ところがベラルーシは乾燥気候なうえに、夏でも水温が15度を越えることがめったとない、という地域です。

 そのためEM菌はうまく活動せず、結局ベラルーシ国内での土壌・水質汚染改良としては、この方法は立ち消えになってしまいました。(あくまで私が知っている範囲内のことですが、本当にベラルーシ国内で大々的にEM菌をまいて土壌改良をしたと、聞いたことが一度もありません。)

 

 その後EM菌を子どもたちに飲ませて、体内放射能を減らすほうに支援の方向が変わりました。しかしやはり人間が口にする物ですから、法律などの規制もありなかなか日本からベラルーシへ輸出する、ということが難しく(スピルリナと同様、薬局で販売するとなるととても高価になったでしょう。)一般ベラルーシ人のためには浸透しませんでした。

スピルリナ

こちらのページでは、薬事法違反の容疑で逮捕者も出た「スピルリナ」について『排出能力が高いようです』と紹介している。スピルリナについては震災に便乗するトンデモを参照。

「かけはし」をめぐるTwitter上の騒動

Togetterにまとめられている騒動に関しては「モヒカン族 (ネット用語)」(Wikipedia)が参考になるかもしれない。ネットユーザーが増えるたびに、古参の理系ユーザーと、ネットに不慣れな一般人ユーザーの対立が起こり、さまざまな掲示板やミクシイ内でも同様な現象は繰り返し観測されてきた。今回は、ツイッターの普及と震災・原発事故が重なり、このような事態になったのだろう。

その他

EM菌と放射性物質の論文は8万ほどある?

グーグルスカラーでEM菌と放射性物質の論文は8万ほどある。 Effective Microorganisms radiation http://bit.ly/jKbZm0

常識的に考えて、そんな膨大な数の論文があるわけがないので、ぐーぐる・すから〜先生への質問の仕方が間違っているのだろうとすぐに察しが付く。

まず言っておくと、ネット検索で8万ほど結果が引っかかったからどうだと言うのだろう?いくらたくさんの論文が検索にかかったとしても、その中身を精査していなければなんの意味もない。数だけで「たくさんあるぞ。すごいだろ!!」というのはだたの誇大広告にすぎない。

そもそも、キーワードが「Effective Microorganisms radiation」だけでは、その個々の言葉が入ってる文献を検索しているだけなので、EM菌とは全く関係のない文献がたくさん検索にかかっている。

また、「radiation」の意味は「放射性物質」ではなく「放射」なので、これだけではいったいなんの放射の話をしているのかもわからない。検索結果をちょっと見てみると「 near-UV radiation」(近紫外放射)だったり、「infrared radiation」(赤外放射)だったり、「solar radiation」(太陽放射)だったり、放射性物質とは関係のない文献が検索に引っかかっているのがわかる。

そこで、「"Effective Microorganisms" radiation」として検索しなおしてみると、結果の数は8万から一気に131まで減ってしまう。しかし、これでも「radiation」の意味はもとのままだし、「Effective Microorganisms」も「有効な微生物」とそのままの意味で使われているだけかもしれない。

放射性物質とEM菌について述べた論文が実在すると言うのであれば、「こういう内容の論文があります。その結論はこういうものです」というふうに、論文を特定して議論をしなくては、ほとんど意味がない。

なお、@Ani2525こと御堂岡啓昭氏については以下のリンクも参照。

これもEM?

 胎内市は9日夜、放射性セシウムが検出され一時保管している堆肥(たいひ)を除染して販売する方針について、同市宮久にある仮置き場の周辺住民に説明会を開いた。6月までに除染の実験を終え、本格作業に取りかかりたいという。堆肥は県外の民間業者に販売する予定。

 市の説明によると、新潟大の元教授らが設立した社団法人「微生物応用研究所」(新潟市)と今月2日、実験の委託契約を結んだ。除染方法は堆肥に微生物を混ぜてセシウム濃度を下げる。2カ月かけて10トンを実験する。契約額は約500万円。実験結果を受け、本格作業に取りかかる。

 市が保管している堆肥は約1200トンで、国の暫定許容値(1キロ当たり400ベクレル)を下回る約330ベクレルが検出された。堆肥センターの敷地内に一時保管の倉庫を建設した。全量を除染するには約半年間かかるという。

 説明会には約10人が参加。住民からは「実験だけで、具体的な実績はないのではないか。見切り発車はしないでほしい」などと、より詳しい説明を求める声が上がった。市は今後も実験結果の報告などで住民説明会を開く予定。【小林多美子】

はっきりとは書いてないが、これもEM菌だろうか?

 胎内市で製造された堆肥から国の規制値を下回る放射性セシウムが検出された問題で、胎内市は、微生物を使って放射性セシウムの濃度を下げることが可能か調べる実験を行っていたが、12日の市議会で市が目標としていた数値には下がらなかったと報告した。

 

 実験は胎内市が民間の社団法人に委託して行った。「光合成細菌」と呼ばれる微生物が入った溶液を堆肥に混ぜ、放射性セシウムの濃度の変化を調べた。これまで、福島県の土壌などで行われた実験でセシウムの濃度が低くなった事例があるというが、メカニズムは解明されていない。

 胎内市は12日、市議会に対し実験の結果を報告した。それによると、1キロあたり21ベクレルから29ベクレルまでの7つのサンプルで実験した結果、17日後に、放射性セシウムの濃度が最大32パーセント低くなったことが確認されたという。しかし、市が目標としていたゼロに近い値にはならなかった。

 市は、放射性セシウムの濃度がゼロに近くなった堆肥を販売したい考えだったが、実験結果が目標に達しなかったため、改めて今後の対応を検討する方針だ。

ゼロになるというのは到底あり得ないし、「放射性セシウムの濃度が最大32パーセント低くなった」というのも、なんらかの理由で「薄まった」(一部がどこかへ拡散してしまった)と考えるのが妥当だろう。

その他

清瀬市市議会議員とEM菌

清瀬市市議会議員鈴木たかし氏が、EM菌に肯定的なブログエントリを書いている。

サン興産業

比嘉教授はEMにより放射能の除染が可能だと主張しております。比嘉EMでは可能かもしれませんが、弊社が確認出来るサイオンEMを含む他EMでは不可能、又は可能性があっても誤差の範囲内の効果なのかと考えています。放射能除染に関して多くのお問い合わせがありましたが、サン興産業は先の様にお返事しております。

EM訪問販売

昨日、もうちょっとでお昼という時間に電話が鳴った。

 

電話に出てみると、早口でまくし立てる営業の男の言葉

 

「EM菌で放射能を除染します、一回5万円で年に数回菌を撒けば

 

放射能は消え去ります」

 

思わず笑ってしまった。

岡山博

Togetter