STAP細胞事件 その2
STAP細胞事件
- 理研:STAP細胞事件
- STAP細胞事件 その2
- STAP細胞事件 その3
- STAP細胞事件 その後
本論とは関係のないおかしな言説をこちらにまとめました。
STAP細胞はトンデモとして生き残っていくか?
しかし、STAP細胞は今後も疑似科学界では生き残っていく可能性がある。NATROM氏が指摘する(11:58 - 2014年4月2日, Twitter)ように、Googleで「STAP 千島学説」を検索すると、『今回のSTAP細胞発見には、半世紀以上も封殺されてきた「千島学説」の明解な立証の道を切り開いているのは、事実である』等といったSTAP細胞と千島学説を結び付けるようなエントリが複数見つかる。
- 「STAP細胞:小保方氏にメールなど170通 9割が激励」 毎日新聞 2014年04月11日 19時27分(最終更新 04月11日 20時07分)
弁護士事務所に届いたのはメール約140通、手紙とファクス計約30通。女性からが多く、「職場全員で応援しています」「小保方氏を批判している専門家の論点はおかしい」などの声があった。論文の不備を認めながらも「STAP細胞はあります」と言い切る小保方氏に、「それでも地球は回っている」の言葉で有名なイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイ(16〜17世紀)を重ねる感想もあった。
この記事を見ると、この事件が日本の科学界におよぼした打撃は予想以上のものになる可能性もある。ガリレオは木星の衛星を発見観測し、コペルニクスの地動説を支持したが、トンデモさんが自身をガリレオに例えることもよくある。
小保方氏が手記出版
小保方氏が手記を出版したそうだが、現時点でそれを読む必要はなさそうなので、ここからはあえてリンクを貼らない。
- 「小保方晴子「あの日」を読みました。」 2016/01/28
なぜ、彼女がこれほど僕の心を惹きつけ続けるのか、その理由を知りたい。それがこの手記を手に取った理由である。今、読み終えて放心しているところである。内容の詳細については各々読んでいただかなくてもいいとして、これだけは言っておく。衝撃の手記という宣伝文句は本当であった。事件については報道でなされている以上のいわば秘密の暴露はまったくないし、著者が関与したとされる疑惑は華麗にスルーされているので、なぜSTAPの騒動が起こったのかまったくわからないからだ。一方、宴席で泥酔しているうちにアメリカへの留学が決まったワンダーな経緯や、執拗に繰り返される共同研究者の若山氏が嫌なヤツであるかのような描写などどうでもいいところへの注力は白眉と言えるだろう。
真っ先に連想したのは太宰の「人間失格」だ。太宰の「人間失格」を僕は言い訳文学と捉えているのだけど「あの日」も言い訳文学のスタンダードになりうると思う。そういう文学を目指す人が皆無だから。厳しいことを言わせてもらったけれども、世間を騒がせた当事者の独りよがりな心の叫びなので、一読の価値はあると思う。貴重な時間を費やして僕だけが読んだなんて嫌だよ。今朝。書店がオープンしたと同時にこの本を手に取りレジに向かった僕にヤバい人を見るような目をした可愛らしい店員さんを忘れることができない。こうして今日という日は僕にとっての「あの日」として、忌まわしい記憶のひとつに加えられたのである。
(所要時間3時間。読破の時間含めて)
STAP細胞は真実だったのか?
- 「STAP細胞をめぐる「流言」を検討する」 粥川準二 / ライター・編集者・翻訳者, 2016.03.25 Fri
3月19日、あるウェブ媒体が「STAP現象、米国研究者Gが発表…小保方晴子氏の研究が正しかったことが証明」という記事を配信し、それに応じて「STAP細胞はやっぱりあった!」、「小保方さんは正しかったことを海外の研究者が証明した」、「STAP現象を否定したマスコミは反省しろ!」などといった発言がソーシャルメディア上に飛び交った。
結論からいうと、この記事の主旨は昨年12月12日から数日間、ソーシャルメディア上にあふれた「流言」の繰り返しであり、多くの誤解にもとづくものである(「デマ」と呼ぶ人もいる。流言とデマの区別については後述する)。
筆者は当時、この件について医療情報ウェブサイト『Medエッジ』同年12月13日付で、「その理解は誤り」であると解説した。残念ながら同サイトは終了してしまったため、同じ記事は筆者の個人ブログに転載してある。本稿ではその説明を繰り返すとともに、あらためてこの問題を整理してみる。『Medエッジ』掲載記事と内容的に重複があることをご了承されたい。
- 「小保方晴子さんの発見は真実だった!ネイチャーにマウスの体細胞が初期化して多能性を持つ「STAP現象」がアメリカの研究者により発表されました。」 2015年12月10日、小保方晴子さんへの不正な報道を追及する有志の会
一言で言うと、デマである。そもそも、小保方氏の論文は、データ捏造等多々の問題により撤回されている。つまり、小保方氏はなにも発見していない。なにも発見していないのに、「発見は真実だった」ということにはならない。
さらに細かいことを言えば、今回の論文が掲載されたのはNatureではなくて、Scientific Reportsという学術誌。
また、上記「有志の会」のエントリには論文の和訳が載っているが、その「Discussion 議論」の冒頭には以下のように書かれてある。
矛盾した結果が、様々なgroups9,10,11,12,13,14,15によって報告されているので、成体組織における多能性細胞様細胞の存在は、年間の論争の種となっています。しかし、研究は、これまで、そのような多能性幹細胞は、分化した体細胞組織から生じ得ることを証明していません。本研究では、細胞の再プログラミングが骨格筋を負傷しているときに発生する強い刺激することによって開始することができることを明らかにしました。このように、我々が負傷骨格筋から再プログラムさiMuSCsを単離することができました。
ここで、「様々なgroups9,10,11,12,13,14,15によって報告されている」のうち、13が小保方氏らによる論文。ただし、撤回されたNatureの論文ではなく、Tissue Eng. Part Aに2011年に発表されたものである。つまり、この論文の著者らは、当然のことながら撤回された論文は研究報告として認めていない。
さらに、この文章の後には、「しかし、研究は、これまで、そのような多能性幹細胞は、分化した体細胞組織から生じ得ることを証明していません」と書かれてある。元論文でこの部分は「however, no study thus far has proven that such pluripotent stem cells can arise from differentiated somatic tissues」となっている。つまり、STAP細胞を含めた過去の研究では、多能性幹細胞の作製に成功していないと述べているのである。この論文の著者らは「自分たちが最初だ」と主張しているわけなので、これを「小保方晴子さんの発見は真実」と解釈するのは、事実を歪曲していることになる。
より詳しい解説は以下のリンクを参照。
- 「米研究者が「STAP細胞」の再現に成功!?」 2015年12月13日 10:00 PM, Medエッジ
この論文には、確かに小保方氏らが2011年に『ティッシュ・エンジニアリング』誌で発表した論文への言及があります。STAP細胞を報告した『ネイチャー』論文へとつながるものです。しかし、その部分を翻訳すると、
成体組織中に多能性様細胞が存在するということは、何年も論争の話題になってきた。というのは、矛盾する緒結果が複数のグループから報告されてきたからだ。しかしながらこれまでのところ、そのような多能性幹細胞を体細胞組織からつくることができたという研究は存在しない。
となります。「複数のグループ」に9から15までの文献註が付いていて、13が小保方氏らの論文です。つまり著者らは小保方氏らの2011年の論文を「矛盾する緒結果」の1つとして紹介したうえで、成功したものとは認めず、明確に否定しているのです(撤回された『ネイチャー』論文については言及すらされていません)。
小保方氏が複数の図表を改ざんしたこと、STAP細胞と称されたものが実はES細胞である可能性が高いことは、理研自体も調査結果をもとに認めました。今回の論文には、このことを覆す要素はありません。したがって小保方氏や共同研究者、理研、早稲田大学の名誉回復にはまったくつながりません。
にもかかわらず、ソーシャルメディア上では、誤解が拡散したのです。「STAP細胞はあってほしい!」と思っている人もいるようです。残念ながらそうした願望は思い込みに変わりやすく、思い込みはデマを生みます。日本社会は2011年3月11日以降、デマの弊害を経験してきたはずです。ましてや、デマによって責任ある者たちが免責されることなどあってはならないことでしょう。
ドクター中松に叱られる
- 「〈速報〉Dr.中松、小保方氏に「まじめにやれ」」 2014年4月16日, 日刊スポーツ芸能速報 - 朝日新聞デジタル&M
科学者で、発明家として知的財産権に詳しいドクター中松(85)が16日夜、都内で行われた著書のPR会で、STAP細胞論文に関する一連の問題に「まじめにやれ」と苦言を呈した。
理研の小保方晴子ユニットリーダーの論文について「多数の人がかかわったことでミスが生じることは当然あると思うが、論文に妙な加工をしたり、ごまかしたり。もっとまじめにやってほしい」。自身の小学校から東大在学時までの発明や実験ノートを公開した著書「ドクター中松の発明ノート」を示し「特許に出さないものも含め、私は数十冊の実験ノートを書いてきた。書くことが証拠となる」。実験ノートが4、5冊という小保方氏との差を強調した。
陰謀論登場
- 「小保方晴子さんの「STAP細胞論文捏造疑惑」 アンチ勢力の陰」 2014.02.25 11:00, NEWSポストセブン(週刊ポスト2014年3月7日号)
「ノーベル賞級の大発見」と賞賛された小保方晴子さんの「STAP細胞論文」が急転直下、非難に晒されている。論文を掲載した英科学誌『ネイチャー』が17日、“捏造疑惑”について調査中であることを表明したことから、鬼の首を取ったような小保方バッシングが巻き起こっている。だが、冷静に論文を精査すれば、ごく些細な問題でしかないことがわかる。批判の大合唱の背後には何があるのか。全国紙科学部記者がいう。
「論文に対する異議はよくあること。より良い研究に発展させるために外部の人間が意見をするのは科学研究の常です。だから小保方さんの杜撰な画像管理は、批判されて然るべきです。
もっとも、これだけの騒動に発展した背景には、一定の“アンチ小保方勢力”の存在が見え隠れする。再生医療の分野には、出身学部を異にするグループが存在する。大きく分けると「医学部出身の研究者」と「それ以外(理学部、農学部、工学部出身など)」だ。ある医療関係者の話。
「医学部出身者の中には、遺伝子や細胞の分野とはいえ、人体を扱う医療分野で医学部出身者以外が実績を上げることを面白くないと感じている人は少なくない」
小保方さんの論文にケチがつくことによって得をする勢力があるとしたら、実に生臭い話である。
なんでも派閥抗争や利権がらみの陰謀論で説明できると考えるのは大きな間違いである。(『冷静に論文を精査すれば、ごく些細な問題でしかないことがわかる』とあるが、この記事を書いた記者はちゃんと『論文を精査』したのだろうか?)
本来これは純粋に科学的な論争であるべき。それなのに、理研は小保方氏の特異なキャラクターでマーケティングを展開、それに乗ってマスコミがリケジョやら割烹着といった科学的研究成果とは関係のない報道で騒ぎを煽った。そして、論文に不備が見つかると、またもや科学と関係のない連中が論争にあれこれ口出してくる事態に陥っている。
辛坊治郎
- 「【辛坊持論】信じますか?小保方氏騒動の「黒幕」の存在を…」 2014年12月29日6時0分 スポーツ報知
これは仮説です。「事件」の背景には、いまだに名前が出ていない「黒幕」がいます。関係者の多くは、その存在に気が付いているはずです。
以上の経緯を最も自然に解釈するなら、結論は一つです。それは誰かが意図的に小保方さんが作った「光る細胞」をiPS細胞かES細胞にすり替えて若山教授に渡したってことでしょう。
目的は二つ考えられます。一つは理研が成果を上げて国から多くの予算を獲得すること。もう一つは大スキャンダルを仕掛けて小保方さんや理研に大打撃を与えることです。その「誰か」こそが「事件」の本当の黒幕なんです。
どうです? この仮説、信じますか? 本来、われわれマスコミの責任はこの仮説を立証することですが、今の段階ではそれができず、すみません。来年にはなんとか「事件」の核心に迫れるよう頑張ります。というわけで本稿をもって、本年最後となりました。一年間ご愛読ありがとうございました。来年も引き続きよろしくお願いします。皆さん、どうぞよいお年を!((株)大阪綜合研究所代表・辛坊 治郎)
もし、2015年に辛坊治郎氏が『「事件」の核心』である「黒幕」の正体を暴けなかったら、彼も「無能なマスコミ」の一人ということでいいかな? なお、STAP細胞という成果をもとに、国から多くの予算を獲得しようとしたのは、理研そのものである。
武田教授参戦
武田邦彦氏も以下のように、なにやら陰謀論めいたことを言っている。
- 「STAP事件簿後日譚 論文の不備を誰がわかったのか?」 武田邦彦 (中部大学)
中心的な専門家4,5名が1年ほど綿密に見てわからないものを、関係外の人が1,2週間でわかるはずもない。
つまり、1月29日にSTAP論文が掲載されることをあらかじめわかっていて、またこの論文の不備や小保方さんの研究の欠点もわかっていて、あらかじめ指摘する準備を整えていたとしか考えられない。
いや、この世界にはあなたの想像のおよばないくらい優秀な人がいるの。あらかじめ指摘する準備を整えていなくても、あの程度の杜撰な実験や論文を見抜く研究者は大勢いるのです。
典型的な陰謀論
典型的な陰謀論の例としては以下のリンクを参照。
- 「STAP細胞は陰謀によって「封印」された 1万6000人が「いいね!」、ネットで拡散」 2014/12/22 18:26, J-CAST ニュース
- 「「STAP細胞を社会的に葬ろうとする破壊工作」には、間違いなく「邪悪で巨大なパワー」が関与している。上は山中伸弥(ノーベル賞受賞者)から、下っ端の片瀬久美子(ネットチンピラ)まで総動員体制だ。(飯山一郎)」 2014-04-23(00:52), 文殊菩薩
異常である。
小保方晴子叩き、STAP細胞ツブしは、論文発表から「破壊工作開始」の日まで、わずか6〜16日で開始されている。
武田邦彦の言うとおりだ。
「STAP細胞を社会的に葬ろうとする破壊工作」には、間違いなく「邪悪で巨大なパワー」が関与している。上は山中伸弥(ノーベル賞受賞者)から、下っ端の片瀬久美子(ネットチンピラ)まで総動員体制だ。
恐ろしい!
サイエンスライターの片瀬久美子氏が「邪悪で巨大なパワー」の下っ端のネットチンピラにされてしまっている…
飯山一郎氏については以下のリンクも参照。
- バッタもん日記
- 「腐った米のとぎ汁教祖の大放談 その1」 2013-03-15
- 「腐った米のとぎ汁教祖の大放談 その2」 2013-06-01
- 「放射線対策に「米のとぎ汁乳酸菌」 専門家から効果に疑問の声」 2011/7/28 11:38, J-CASTニュース
東京電力福島第一原発の事故後、放射線被害から身を守るためのさまざまな「対策」がインターネット上で紹介されている。その中の1つで、最近話題になっているのが「米のとぎ汁乳酸菌」だ。
ツイッターやブログなどでこの方法を提唱しているのは、乳酸菌の大量培養装置を手がける日本グルンバ総合研究所 所長の飯山一郎氏。発酵させた米のとぎ汁を飲むことで、培養された乳酸菌・光合成細菌・酵母が体内の放射性物質を排出するのだという。効果を報告する声も多数みかけるが、体調不良を訴える声も少なくない。
これに対し、理学博士(細胞分子生物学)の片瀬久美子氏は、ウェブマガジン「SYNODOS」で、「低線量被爆の害を避けようとして食中毒などになってしまえば本末転倒である。食中毒は命に関わる場合があり、その危険性は低線量被爆よりもずっと高い」と指摘。また、明らかな体調不良を「好転反応」として捉える傾向も悪質な代替療法に似ていると警鐘を鳴らす。ツイッター上でも食品衛生検査・管理者と名乗る人が「微生物って色々居て、人間に有益な菌は多くいますけど、有害なものも山ほどいます」と書き、週刊誌「SPA!」でも内科医のNATROM氏が「極めて危険」と発言するなど、専門家からは疑問の声が続く。
ということで、かつて飯山氏は、非科学的な主張を片瀬氏らに批判されたことがあるので、逆恨みしている可能性もある。
片瀬久美子氏に対するデマ・誹謗中傷
片瀬氏に対する似非科学関係者からのデマや誹謗中傷は以前からあったが、理研CDB副センター長の笹井芳樹氏の自殺をさかいに、エスカレートしていて警戒が必要である。
- 「片瀬久美子は笹井氏暗殺の首謀者?勝手に自殺と断定した極悪人?」 2014-08-08 08:21:03, Kataseのブログ
驚いた事に、私が笹井氏の訃報を知ってTwitterでつぶやいたツイートを巡り、笹井氏は暗殺されたものであり、それを事前に知っていた片瀬久美子がその首謀者であると主張する人が現れ、私への報復として「殺害予告」と受け取れるツイートまでされました。
- 「飯山某による片瀬久美子氏へのイチャモンの件」 by E-WA(いーわ)@ewa4618, Storify
これにヘンテコ陰謀論者のリチャード・コシミズ氏まで乗ってきた。
- 「笹井氏:死亡時刻より前に 自殺とツィッターに自爆コメント マスコミもグル」 作成日時 : 2014/08/07 05:07, richardkoshimizu's blog
山崎行太郎を名乗る人物も18:12 - 2014年8月5日や12:17 - 2014年8月5日といったツイートを繰り返している。
山崎氏は以下の記事にも登場する。
- 「【STAP問題】厳しい目、寛容さを失う社会を象徴か 騒動の背後に」 (共同通信) 2014/12/27 11:00, 47NEWS
文芸評論家の山崎行太郎(やまざき・こうたろう)さんは「まだ誰もやっていない成果を追い求めるのが科学者。断罪するようなことは絶対に良くない」と小保方氏を擁護。一連の騒動が、寛容さを失っていく社会の風潮を象徴しているように見えてならないと振り返った。
「正解しか許されない場所から、果たして世紀の大発見が生まれるだろうか」。今後多くの研究者が萎縮し、科学研究の現場に悪影響をもたらすかもしれないと危ぶんだ。
誰も「誰もやっていない成果を追い求める」ことを断罪などしていない。「正解しか許されない」のではなくて、「捏造は許されない」が正解。
山田宏明という人物もFacebookに以下のような記事を上げている。
- 「8月7日 7:40」 山田 宏明
・片瀬久美子
こいつについては何度か書いたので簡単に。人生観が捻じ曲がっている「性格異常婆」。自分の主張が「名誉毀損」に該当することにも気付かない。猛々しい主張には辟易とするが、訴訟でも起こされない限り、直りそうもない。「自分が狂っていることに気がつかない奴こそ本当のキチガイ」ということわざにピッタリ該当する。
- 「8月8日 11:28 」 山田 宏明
片瀬よ。お前の投稿や呟きが正しいかどうか、なんてどうでもいいのだよ。いてもいなくてもいい存在だ、ということに早く気付かないとダメだ。お前如きのために、地球が回っているわけではないのだ。害虫みたいな女だ。失せろ。そして2度と現れるな。
「性格異常婆」や「本当のキチガイ」、「害虫みたいな女」というのは誹謗中傷に相当する。
以下のリンクも参照。
- 「きのこ組 組長のツイート(保存用) 2014/05/13」 2014/5, Togetter
名誉毀損で刑事告訴
- 「名誉毀損で刑事告訴しました」 2014-10-29, warblerの日記
今年の4月半ば以降、「きのこ組組長」を名乗る人物から一方的な事実無根の中傷と罵倒を中心とする嫌がらせ行為が続いていました。
10月24日、「きのこ組組長」の家宅捜索と取り調べ。
10月28日、名誉毀損として刑事告訴状を提出し、受理されました。
警察に最初の相談をした4月後半から告訴状受理まで6ヶ月かかりましたが、その間、担当刑事さんは慎重に立件について検討し、法律に従った手続きにより被疑者の特定をして、刑事告訴にこぎ着けて下さいました。代理人となって頂いた弁護士さんの有用なアドバイスや警察側との交渉、的確な告訴状の作成など、有能なプロの仕事に感心すると共に感謝しております。
なお、まだ告訴状が受理された段階であり、起訴に向けてまだまだ手続きがあります。この件に関しては、今後の捜査等への影響を考えて、ここに書いてある事の他には言及しないつもりです。
完全なトンデモ
以下はほぼ完全なトンデモだろう。
そら耳アワー
- 「小保方さんの“無意識のメッセージ”が聞こえた! 驚愕の逆再生「リバース・スピーチ」」 2015.05.24、TOCANA
いくらなんでもバカバカしすぎるだろ?しかし、これがゆるぎないTOCANAクオリティ。
記者: 「なぜ元の画像データではなく、パワーポイントから画像を持ってこられたのか?」
小保方: 「そこは本当に申し訳ございません…… 何度も何度もパワーポイント内でデータをまとめ…… そこに載っているデータを安心しきって、論文のフィギュアの方に載せて、使ってしまいました。 ほんとにその時に元データをたどっていれば、[絶対にこのようなことにはならなかったので]」
・http://www.keimizumori.com/reversespeech/sounds/obokata2014/obokata-zenbumatomatta-f.mp3
【全部まとまったから、前のこんなの読む気なしです】
・http://www.keimizumori.com/reversespeech/sounds/obokata2014/obokata-zenbumatomatta-r.mp3
解説 自殺された理化学研究所の笹井芳樹氏が論文の共著者に加わり、その書き方を改善させたことでSTAP細胞論文は急速に説得力が高まり、 注目されるに至ったと考えられている。おそらく、小保方氏はSTAP現象を例証する写真を増やし、論理展開だけでなく、 視覚的にも説得力を高めるよう、工夫を促されたものと思われる。 そこで小保方氏は説得力優先で画像を探し出し、ひとたび論文に埋め込んでみると、うまくまとまったことから、 画像の出所検証は疎かにしてしまったことが窺われる。
小保方氏は超能力者?!
- 「【STAP細胞】小保方氏はサイキックだった!? 「選ばれし者しか実験が成功しない」現象とは?」 2014.04.14, 羽仁礼(はに・れい), 一般社団法人潜在科学研究所主任研究員、ASIOS創設会員, TOCANA
これを書いたのはASIOSリサーチ会員の羽仁礼。「小保方氏が超能力者である可能性」について語ることになにか意義があるとはとても思えないので、これは時事ネタのお笑い記事なのかもしれない。しかし、超心理学の主張がいかにダメかよくわかる記事なので、取り上げることにした。
科学の世界では、最初にその存在を主張した本人だけでなく、他の科学者も同様の結果にいたって初めて、それが事実と認定される。その意味で「小保方氏が関与した場合だけ作成に成功する」というSTAP細胞の存在は、今のところ科学的に実証されているとは言えない。
しかし、超心理学の世界では「ある特定の実験者が関与した場合だけ結果が、特に良好であったり、逆に否定的なデータが得られる」という現象が知られている。
だから、超心理学の論理は科学の論理ではないと言われてしまうのである。
逆に、チャールズ・ホノートンやディーン・レイディンなどは、良好な結果を得る研究者として知られており、彼らと同じ実験をほかの研究家が行っても、なぜかそれほど良好な結果が得られないという事実が確認されている。
これは「超能力的な実験者効果」についての記述だが、「誰某がやったらうまくいくが、ほかの人がやるとうまくいかない」というのは、要するに再現性がないということである。通常なら、ホノートンやレイディン(ラディン)が主観的な実験をやっているのではないか?とバイアスの可能性を疑う。
さらに、スイスのノーベル賞物理学者ボルフガング・パウリは、彼が実験現場にいるだけで器具が不調を起こすという、いわゆる「パウリ効果」で知られているが、これも実験者効果の一種といえるのではないだろうか。
パウリはけっこういいかげんな人物だったようで、実験が下手で装置をよく壊していたらしい。だから「パウリ効果」は単なるジョークである。
実験者効果の原因は、実験者の無意識のサイコキネシス(PK)によるものと言われている。今回のSTAP細胞作成に実験者効果が働いているとすれば、STAP細胞を作りたいという小保方氏の強い想いが細胞に働いたものと考えられる。
つまり、小保方氏は強力なPK能力の持ち主である可能性があるのだ。各種報道によると、小保方氏は思い込みの激しい性格だという、知人のエピソードもある。ちなみに、明治に起きた千里眼事件の主役・御船千鶴子や長尾郁子も、ある意味思い込みの激しい性格だったそうだ。
いやいやいや、その論理めちゃくちゃでしょ?小保方氏の論文は画像の改竄や使いまわし等の不正が疑われている。それをまるっきり無視して「STAP細胞が小保方氏にしか作れないのは、小保方氏が強力なPK能力の持ち主だからかもしれない」ってのは、いくらなんでも論理に飛躍がありすぎるでしょう?どうしたらそういう話になるわけ?
科学の長い歴史の中では、「再現性がなく消えていった悲しい実験」が山ほどあるので、そのすべてにこの論法を当てはめていったら、切りがなくなる。
PKで万能細胞(PK細胞)を作り出す実験はまだ行われていないが、「大麦の発芽を促進」「有害な細菌の生育を抑える」などの実験によって、PKが生物の細胞に影響を与える可能性はすでに指摘されている。PKで万能細胞が作成できれば、超心理現象が実在することの有力な証拠にもなるだろう。この機会に全世界の超心理学者がこの実験に着手することを期待する。
がんばれ、超心理学者!!
TOCANAはその後もおかしな記事を掲載している。
- 「STAP細胞、小保方氏の今後はどうなる? 科学ライター「一度のミスで科学界追放はおかしい」」 2014.12.20, TOCANA
すでに博士号が取り消された小保方氏だが、今後彼女が研究・活躍する場は残されているのだろうか? サイエンス・ライターの川口友万氏に伺った。
『博士号が取り消された小保方氏』?? いや、この記事が書かれた時点で早稲田大学はまだ小保方氏の博士号を取り消してはいないのだが?もうこの記事はこれ以上読んでも仕方ないことがわかる。
「科学評論家としての道を選ぶのもいいのではないでしょうか? でも、私はあえて言いたいのです。彼女のように、学位を取ったばかりの女性が、初めての大きな研究に挑み、少なくとも科学者なら誰もが驚くような『新しい理論と発想』を見つけたんです。もちろん、論文に不備はありましたし、科学者としてミスを犯しました。でも、科学者もミスはします。普通の人間と同じくミスはするんです。そして何より、彼女は経験が浅い若手の博士。そのような人物が1度ミスを犯しただけで科学界から事実上追放されるなんておかしくないですか? 私は小保方さんを犯罪者かのように叩いたマスコミも絶対に許せないのです。そして、彼女のミスを守れなかった理研や、若手の研究者がミスをする可能性を見越すことができなかった(見越していたのに、強行に彼女をリーダーとして推し進めた?)理研のその判断を責めるべきです。そして、STAP細胞の発想自体は、評価されていいはずなんです。
彼女の科学者としての道は険しいものにはなると予測されますが、どこかの企業に就職してまた研究できる環境にいられることを願っています。小保方さんを犯罪者のように叩いてきたマスコミには『恥を知れ、お前はミスをしたことがないのか!』と、言いたいです。『水着のグラビア本に出るのでは?』などと騒いでいるのも恥ずかしい! 彼女の失敗は『いい失敗か、悪い失敗か』といえば、科学者としては『いい失敗』だっと思っているんです。次のチャンスを与えたら、きっとこの反省を生かしてちゃんとやると思う。たった一回のミスで科学者としての道が絶たれてしまうのなんて、おかしい。弱い者いじめばかりする世の中は、本当にどうかしている」
川口氏の意見もおかしい。まず第一に小保方氏のやったことは「一度のミス」ではなく、彼女のデータは意図的に改竄されていた可能性が極めて高い。これは「いい失敗」なんかではない。研究者としてやってはいけないことだ。小保方氏を研究者として受け入れる機関はごく限られると思われるので、なにか別の道に進んだほうがいいだろう。科学とは別のことで幸せになればいいのである。
幸福の科学参戦
幸福の科学まで変なこと言いだした様子。
- ザ・リバティweb
- 「【会見レポート】小保方氏「STAP細胞はあります!」 この研究は「日本の宝」である」 2014.04.09
- 「夢の万能細胞STAP細胞の研究者 小保方氏の本心に迫る」 2014.04.08
そうこうしてるうちに野依理事長の守護霊が召喚される。コントか。
- 「STAP細胞問題で揺れる理研 野依理事長の守護霊が小保方氏に「反論」」 2014.04.15
こちらによると、すごい内容のようです。
- 「【幸福の科学】大川隆法、小保方晴子の守護霊を降霊wwwwwwww(画像あり)」 GOSSIP速報, 2014/08/10(日) 01:02:35.78
ラエリアンがスカウト??
- 「韓国が「小保方氏ヘッドハンティング」計画」 2014年04月19日 09時00分, 東スポ
「あまり叩かなかった理由は、小保方氏のスカウトです。日本で浮いてしまった彼女を高額でハンティングし、細胞バイオロジーの一大プロジェクトを立ち上げるといったものです。場合によっては、黄氏と組ませ、雪辱を果たそうという腹積もりかもしれません。もちろん、その場合、研究の成果は韓国が横取りし、彼女は研究ノウハウを提供させられて、あとはお払い箱ということも十分ありえますが…」
と述べるのは、『文筆人の但馬オサム氏』。一連の論文不正疑惑が報道される中、韓国が小保方氏を本当にほしがるかどうかは不明である。
だが、それよりも危惧すべきことがある。黄教授が学会を追われた後、ラエリアン・ムーブメントがスカウトに乗り出したとの報道があった。ラエリアン・ムーブメントとは「地球は宇宙人エロヒムによって創造された」と説くカルト団体で、疑似科学的な傾向を持つのが特徴だ。
但馬氏は「彼らは人間のクローンをつくり出すと豪語し、様々なプロジェクトを立ち上げ、これと見た科学者の一本釣りを続けています。こういう狂信的集団が、正体を隠して小保方氏に接近してくる可能性もないとは言えません」と、恐ろしい事態まで予想している。
実際にラエリアン側から小保方氏へアプローチがあったわけではなく、ただの「予想」のようだ。
コピペはいけません
常識的に考えてコピペはいけません。博士論文はもとより、普段のレポートでもコピペはしてはいけません。なぜなら、まず第一に、それは著作権侵害になりかねないからです。
『学位論文でコピペを否定していたら、多くの学生は学位が取れない』などというのは論外です。それは指導方法が完全に間違ってます。
現代においてコピペがなぜそれほど問題かというと、パソコン等のコピーペースト機能を使えば、簡単に他人の文章をまる写しできるからです。まる写ししただけで内容もちゃんと読んでないし、理解してないのであれば、レポートとして論外です。オリジナリティも一切なければ、なんの勉強にもなっていません。
これに対し、以下のように微妙な点もありますが、基本的にコピペに対しては慎重にならないといけません。
- 論文のイントロでは先行研究の紹介をしなくちゃならないので、どうしても似たような内容になってしまう。
似たような内容でもいいのですが、問題は先行研究の内容をちゃんと理解しているかです。その研究のこれまでの進行状況をどれだけ理解しているか示す重要なポイントなので、完全なコピペは論外です。たとえ似たような文章でも自分で噛み砕いて表現し、自分がその分野をどれだけ知っているか示す必要があります。
- 似たような実験の論文だと、実験方法の項目はどうしても似たような内容になってしまう。
自分の書いた文章を使うのなら、それほど著作権の問題はないのかもしれません。しかし、まるっきり同じ条件の実験をやっていて論文がいくつも書けるわけがありません。実験条件はまったく同じではなく、ところどころ違うはずなので、まるっきりのコピペにはならないはずです。
- 卒論・修論・博士論文は今までに発表した論文のまとめなので、どうしても論文のコピペになってしまう。
これも自分の文章なのでそれほど問題はないのかもしれません。しかし、学術誌で出版された論文は実際にやった実験をすべて書くわけではなく、重要な部分だけを抜粋したものです。卒論や博士論文が発表した論文のコピペをかき集めただけのものなら、研究室の財産にはなりません。論文よりも実験条件をより詳しく記述し、ときには失敗した実験に付いても記述し(普通、失敗した実験は論文として出版されないので)、その実験を引き継ぐ後輩の参考になるようなものに仕上げなければなりません。よって、この場合もまるっきりのコピペにはならないはずです。
- 英語で論文を書くとき、どうしてもネイティブの書いたものを参考にするので、似たような文章になってしまう。
この場合もできる範囲で自分独自の表現を考えるべきでしょう。そうでないと英語の勉強にはなりません。また、博士論文などは無理に英語では書かず日本語で書けばいいかと思います。自分の研究について自分が一番得意とする言語で詳しく書く機会も必要だからです。ヘタクソな英語で書いて他の人が詳細を理解できないようなことになるのは避けるべきです。
- 「卒論に絵文字&完コピで准教授涙目」 2015年1月18日(日)11時01分配信, ニコニコニュース
「他大学の学生の論文完コピとはいい度胸してんじゃねぇか。知ってる大学だし、なんなら本人お呼びして目の前で弁明してもらおうかな」
「行為自体も犯罪だけど、それをなんでこんなわかりやすくやっちゃうかなぁ・・・というか、これはテロか?自爆テロなのか?」
該当卒論は、「キレて返却した」そうだが、小林准教授は「コピペ」することは“思考もコピペする”ことになると指摘。現状改善のため「ゼミってなにか」について学生たちとディスカッションを始めたことを報告している。
はい、文系でもコピペはダメみたいですね。そのことをちゃんとキモに命じましょう。なお、小林准教授とは、高千穂大学経営学部で組織戦略論を専門とする小林康一准教授。
- 「コピペ防ぐ論文指導…STAP問題で関心高まる」 2014年06月30日 08時00分, 読売新聞
インターネットの資料などを引き写す「コピペ」(コピー・アンド・ペースト)の防止など、大学生への論文指導の必要性が指摘されている。
STAP細胞の論文問題を受け、学生の関心も高まっているが、指導する側からは、著作権法で認められる引用を行うことに加え、「自分の意見をしっかり持つことが大切」との指摘が目立つ。
徳島大で論文の書き方を指導する山口裕之准教授(43)は、ネットの文章を丸写しした新入生を注意したところ、「一生懸命調べてきたのに、なぜダメなんですか?」と困惑された経験が何度もある。
学生の話から浮かび上がったのが、小中高校の「調べ学習」の影響だ。「ネットで『答え』を探してまとめればよいと勘違いしてしまったのでは」と推測する。
山口准教授は昨年、「コピペと言われないレポートの書き方教室」(新曜社)を出版。文献などの出所を明示した「引用」とコピペの違い、信頼できる情報源の探し方、「根拠を基に意見を主張する」大切さを説いた。STAP細胞の論文問題で、「正しい論文の書き方を身につけようという意識が浸透すれば」と話す。
- 「論文盗用23本の教授解雇…名誉教授も取り消し」 2014年11月01日 09時49分, Yomiuri_Online
龍谷大(京都市)は31日、海外の研究者の論文を盗用したとして、文学部の菅山謙正けんせい教授(61)(英語学)を懲戒解雇処分にしたと発表した。
処分は10月7日付。盗用は、過去に勤務していた京都府立大と神戸市外大時代の分も含めて計23本に上るとしている。
菅山教授は故意性を否定し、「不注意で自分と他人の文章を混同した」と説明しているが、「迷惑をかけ、猛省している」と話し、処分は受け入れたという。京都府立大と神戸市外大は、菅山教授の名誉教授の称号を取り消している。
高橋真理子氏
- 「学位論文「コピペ当然」の風土をいかに変えるか」 立ちふさがる英語の壁と文章発信軽視の伝統, 高橋真理子, 2015年02月04日, WEBRONZA
まず一言言っておくが、「コピペ当然」の風土などというものは存在しないし、あってはいけない。
学位論文で、他人の文章の丸写し(コピー&ペースト=コピペ)が横行していることが、小保方問題で明らかになった。小保方さんに限らず、他の人の学位論文でも丸写し箇所が多数あることがネットで指摘された。学位論文を書いたことのない身としては「そんなにいい加減なものなのか?」と驚き、あきれたものだった。
ところが、先だって取材で有力大学教授に会ったときのこと。雑談のときにこの問題を持ち出したら「丸写しの部分が入るのは当然なんです」という思いがけない返事が返ってきた。「学位論文の序論では、これまでにその分野でどんな研究がなされたか、のサマリーを書く。そこは過去の論文のコピペになるのが普通です」というのだ。まったく悪びれるところがない。騒ぐ世間の方がおかしい、だが多くの大学教授は矢面に立つのが嫌でダンマリを決め込んでいる、というのがこの教授の見方だった。
先行研究の紹介はコピペではない。「丸写しの部分が入るのは当然」と言った教授がおかしいか、高橋氏が「先行研究の紹介」の意味をちゃんと理解していないかのどちらかだろう。
一方で、学位論文に対して「丸写しの部分があって当然」と考える教授がいる。建前として「コピペはとんでもない」といいながら、本音では「コピペやむなし」と考えている。それが大半の日本の大学教授なのだろうか。いや、「やむなし」というより、過去の研究成果をまとめるときは「引き写す」という一種のルールが存在するようにも伺われる。
『過去の研究成果をまとめるときは「引き写す」という一種のルール』などというものは存在しない。原則的にコピペは「とんでもない」ことである。しかし、時間の関係上すべてを詳細に調べることはできないわけで、コピペを見抜けないこともあるだろう。インターネットや電子文書が今ほど普及していない時代に比べて、パソコンによるコピペはいとも簡単にできるようになり、チェックが追い付かないという面もある。だからこそ「コピペを検出するソフトウェア」や「コピペ検索システム」が広く使われるようになったのである。
井上 久男氏
- 「小保方晴子氏を「犠牲者」にした独立行政法人・理研の組織的欠陥」 2014年04月05日(土) 井上 久男
この記事の内容にはあまり問題を感じないが、以下の匿名大学教授の発言は問題だろう。
そもそも日本では博士号を取得するために、博士後期課程の約3年間に3本程度の「査読論文(指導教官以外の外部の研究者による判定付き論文)」を書かなければならない。そして、その査読論文をまとめる形で学位論文として提出するのが一般的だ。ある著名な大学教授はこう指摘する。
「短期間で実験も重ねて論文を大量に書かないといけない中で、博士論文程度であれば、ある程度コピペしているのは仕方ない。そもそも学位論文は学んだことを書くべきもので、そういう意味からも先達の研究を学んでコピーすることを否定してはいけない。学位論文でコピペを否定していたら、多くの学生は学位が取れない。
そういう学生に博士号をやってはいけない。そもそもこの教授は今問題にされている「コピペ」(コピーペースト)の意味を正しく理解しているのだろうか?「先行研究の引用」と、pdf等の電子文書からパソコン上で自分が製作している文書へのコピペはまったく意味が違う。(小保方氏の場合、コピペしただけで誤字の修正もしていないことが指摘されている)「先行研究の引用」は自分の研究の新規性を明らかにするために必要不可欠なものである。学生の場合、自分の研究テーマをどれだけ理解しているかの指標にもなる。コピペですますのは、まったく勉強にならない。博士論文としては論外。査読論文にコピペがあれば、国際的にその研究室は恥をさらすことになる。
博士論文にコピペが横行する最近の背景として、無理に論文を英語で書かせるという風潮があるのかもしれない。国際的な学術誌に投稿する場合は英語である必要があるが、学位論文は日本語で十分だろう。そうしないと、学生が一番得意とする言語で自分の研究成果をまとめる機会を奪うことになる。
学生レポートのコピペ禁止は、将来社会人になってからの著作権侵害防止のための教育としても必要なものである。コピペを容認していると、その後「盗用」という犯罪に発展する可能性を忘れてはいけない。また、「データの改竄」はコピペではない。
- 「袋だたきの「魔女裁判」では救いがない!STAP細胞が存在するのか、小保方氏を再現実験に参加させよ」 2014年04月10日(木) 井上 久男
小保方氏を再現実験に参加させることが正しい判断かどうかはわからない。結局、当事者以外の第3者による追試が成功しなければ、再現性があることにはならない。
論文作成はあくまでアカデミックな世界の手続きでしかない。手続きが正しいから、新しい発見があるとは限らない。しかし、手続きで不備があると、研究者として失格の烙印を押されかねない。引用だらけの論文でオリジナリティが少ないものでも、手続きが正しければ、アカデミックの世界では認められる。
『オリジナリティが少ない』ような論文はNature誌には掲載されない。これも的外れな指摘。
しかし、世間は「論文」を求めているのではなく、「成果」を求めている。だから、STAP細胞が本当に存在しているかを確認して、それが再現できるかの研究を早く進められる環境を作った方がいい。記者会見で小保方氏は、「個人名は言えないが、すでに再現した人がいる」と説明。そして小保方氏自身が再現のコツを得ているとのことである。
アカデミックな世界で、成果は論文のみで評価される。論文に捏造があれば、そんな論文の成果は信用されない。当事者の話す「匿名の再現成功者」みたいなものをどうして信用しなくちゃいけないのか?
最終的に論文作成のプロセスに不正があったと判断されたとしても、「犯罪」をおかしたわけではないので、アカデミックの世界でそのルールに則って処置されればいい話だろう。
これはまったくその通りで、だから『メディアそして大衆までもが「裁判官」になったつもりで、犯罪者を裁くかのように小保方氏の行動を裁こう』としてはいけない。
そして、仮に不正があったと判断されたとしても、小保方氏本人が研究者を続けていく意思があるのなら、その再起を応援したい。一度失敗した人間ほど、人の痛みが分かるし、リカバリーのために社会のためになる研究をさらに意識するのだろう。国民が「オール裁判官」になって、若い研究者の潜在性を刈り取ることだけは止めたい。
しかし、これは単なる「失敗」ではなく、「改ざんに当たる研究不正」である。画像の使いまわし等は常習的に行われていたようで、虚言癖の可能性も捨てきれない。小保方氏が研究者としてアカデミックの世界で生き残っていくのはきわめて困難となってしまった。
以下はこの記事を書いた人物のサイト。
小保方氏のコピペに目くじら立てて、「学者にあるまじき行為」なんてぬかしている人は、永遠に科学者にはなれない。
ふ〜ん、誰が科学者になれるかわかるんだ。見る目がありますね。
もの書きを名乗ってるわりにはコピペに寛容すぎないか?小保方氏の博士論文の序章の"Background"や"References"の部分は他の文献からのコピペ、実験画像の一部はバイオ系企業のホームページからの盗用であることが疑われている。これが本当ならばかなり悪質なもので、決して許容できるものではない。今回の事件に関しては、こうした博士論文の不正を見抜けなかった指導教官の責任は重い。むしろ、コピペや剽窃に寛容な人物は科学者になってはいけない。
自分と対立する意見の人たちを「バカ」呼ばわりするのはいささか言葉が乱暴すぎないか?
その他の的外れな論評
上昌広氏
- 「STAP騒動から何を学ぶべきか」 iRONNA、上昌広
では、このような事件の再発を予防するには、どうすればいいだろうか。現在、理研はガバナンスの再構築について議論を進めている。ただ、この議論で抜け落ちているのは、「研究者も人間である」という視点ではなかろうか。人は欲もあれば、色も好む。皆さんも信頼する女性の部下が画期的なデータをもって来たら、どの程度、批判的に吟味できるだろうか。私には自信がない。
プロならば、仕事と色恋沙汰は切り離しなさい。 実験結果の公正な評価よりも色を優先させるのは、研究者として命取りになりかねない。
この人の言うことはやはりどこかおかしいと思う。
- 「小保方本で批判の若山教授、反論できない理由…責任取らず科研費の受領継続、管理能力に問題」 2016.02.11, 文=上昌広/東京大学医科学研究所特任教授, Business Journal
問題はこれだけではない。15年には、「絶滅動物の細胞再生および有用遺伝子回収方法の確立」というテーマで、基盤研究(A)として年間975万円の研究費を受け取っていた。小保方氏の研究不正について、若山教授には監督責任があり、文科省のガイドラインに準じれば、そもそも彼には科研費に応募する資格がない。なぜ、山梨大も文科省も、このことを議論しなかったのだろう。
共同研究者として若山氏にも当然責任はあるだろう。しかし、若山氏自身は捏造に関与していないと判断されており、この基盤研究(A)「絶滅動物の細胞再生および有用遺伝子回収方法の確立 」も2011年4月から需給されているものであり、STAPとも直接関係ないので、関係当局は問題ないとしたのだろう。
ちなみに、12年3月末、加藤茂明・東京大学分子細胞生物学研究所教授(当時)は、責任著者として発表した複数の論文のデータの扱いに不適切な処理があったことへの監督責任を取って、東大教授を辞職している。
なぜ、加藤氏と若山教授の扱いが、こんなに違ってしまうのだろう。それは、研究者、とくに管理職としての「矜持」だと思う。加藤氏は、この問題の責任を取った。若山氏には、まったくその気はない。このような背景を考慮すれば、小保方氏が「裏切られた」と感じるのもわかる気がする。
いやいやいや、若山氏と加藤茂明氏とでは悪質性がまったく異なる。いったい何を言っているのか理解できない。「矜持」等と言うのはナンセンス。東大分生研加藤研では捏造が常習化しており、論文33本でデータ捏造などがあり、当時の教員ら11人の不正行為なども認定されている。もう一度言うが、これは若山氏とは比べ物にならないレベルの悪質さである。
どういうわけか、過去にも上氏は加藤氏を擁護しており、そのことを批判されている。
- 「加藤茂明教授のこと」 Tue, September 10, 2013 06:30:34、takのアメブロ 薬理学などなど。
毎日JPの記事の決定的な違いは、上氏が論文の不正について、「殆どが『データを綺麗にして、説得力を増す』程度のものだった。」としているのに対して、毎日JPは、「判明した不正の大部分は、データを示した画像を改ざんしたり、別の実験データを使い回したりしたものだ。」としている点です。この点については、他のブログをみる限り、毎日JPの方が事実に近いと思われます。
上氏は、不正の大部分は「一部の助手」によって行われていたとして、この「一部の助手」を「彼ら」と呼んでいます。このことから類推すると、「一部の助手」は複数です。しかし、「一部の助手は、不正を指摘された研究が評価され、他大学の教授に就任している。」と書いている部分は、複数でも矛盾はしませんが不自然です。「一部の助手」が不正の大部分を行っていただけではなく、それぞれの研究を主導していたのでしょうか?しかし、加藤氏は責任著者(corresponding author)です。
加藤氏の研究室は大人数ではありますが、研究室の主催者で責任著者の加藤氏が論文の不正な箇所に気づかなかったとするのはおかしいと思います。もしも、上氏の言う「一部の助手」が実質的に研究を主導していたのであれば、「彼ら」を責任著者にすべきでした。上氏は指摘していませんが、このあたりに日本の大学研究室独特の問題があると思います。
脳科学者
- 「茂木氏、小保方さん報道に怒り」 2014年06月05日11時38分, news.livedoor.com
- 茂木健一郎@kenichiromogi 8:05 - 2014年6月5日 Twitter
あのさ、マスコミ諸君、マジで質問したいんだけど、小保方晴子さんの理研による採用が、通常と違うプロセスだったって、何が問題なんだよ? すべての採用者を同じ基準で選ばなくちゃいけない、という法律でもあるのか? 君たちのその報道姿勢が、日本のイノベーションを妨げているといい加減気づけ!
問題大ありだと思いますけど?通常と違うプロセスで選ばれた人が、論文捏造により日本科学史上最大級のスキャンダルを引き起こし、日本科学界の信用を著しく傷つけているわけですが?
福島民報
- 「【小保方さんの騒ぎ】オヤジたちが情けない(4月16日)」 あぶくま抄・論説, 菊池哲郎の世相診断, 2014年4月16日 (金), 福島民報
これもまた科学研究の方法論を知らずに批評している例。
遠目には、頼りなさそうだが頑張っている若者を、既得権益に凝り固まったようなオヤジどもが寄ってたかっていじめているようにしか見えない。論文の書き方のルールだとか、都合のいいデータだけそろえる科学者がやってはいけない初歩的心得違いだとか、得意げに既存社会の正しさを並べ立てている。登場するオヤジどもはほぼ全員、ケチをつけることに関しては一生それだけにかけてきたような技を駆使して、自己保身と未熟な若者つぶしに全力を挙げている。嘆かわしい限りではないか。
若者が頑張ってるからといって不正を見逃すわけにはいかない。大人ならば既存社会のルールを尊重していただきたい。ルールにはそれなりの意味がある。
要はSTAP細胞ができるかどうかだけである。科学論文として不正かどうかなど、どうでもいい視野の狭い研究者の内輪での話だ。せっかくそれなりに頑張って苦労して「できた!」と若人が声を上げたのだ。そうか、じゃあちゃんとできるかどうか、みんなでもう1回やってみようじゃないか、と前向きに励まし協力してやるのがオヤジの役割だろう。
「科学論文として不正かどうかなど、どうでもいい視野の狭い研究者の内輪での話だ」というのは論外。学術研究においては、STAP細胞の評価をするのも研究者であり、その評価の根拠は発表された科学論文である。世界中の専門家に評価してもらい、再現性を確認してもらうためには、国際的に標準な規定にそって論文を提出しなくてはならない。日本だけ独自のルールでやるというわけにはいかない。ましてやその論文に不正があれば、誰もその研究の成果を信用しなくなる。
(頑張ってる若者を応援すると言えば、理研は小保方氏のような若い人材をユニットリーダーに抜擢しているのであり、十分応援していたと言えないこともない。ただ、その抜擢の判断が正しかったかどうかは別問題である)応援するのなら、データの改ざんや画像の使いまわしなどせず、世間に注目されなくても地道に研究をこつこつ続けている正直な若い研究者を応援すべきである。
この記事に対する批判は以下のエントリも参照。
- 「STAP細胞「論文不正は内輪の話」というオヤジが若者をダメにする」 藤代 裕之, 投稿日: 2014年04月16日 16時38分, huffingtonpost.jp
- 「科学論文として不正かどうかなど、どうでもいい視野の狭い研究者の内輪での話だ」 2014年04月16日, n-styles.com
東スポ
まあ、東スポだからね…
- 「「STAP細胞」論文撤回の小保方氏 逆転あるのか」 2014年06月06日 09時00分
まー常識的に考えて、ないでしょ。
「彼女に同情的な世論もあるので、懲戒解雇ではなく、退職金も出る諭旨解雇(依願退職)になるのでは。サッカーW杯で盛り上がる最中に目立たないように発表されるともいわれています」(理研関係者)
世論に流されて処分内容を変えるようではいけません。理研はきちんと規定に沿って小保方氏の処分を決めるように。
日本に見切りをつけて海外で研究活動をすることになりそうな小保方氏が将来、米国民から喝采を浴びる日が来るかもしれない。
いやー、そんな日は来ないと思うぞ。
- 「“涙の会見”小保方氏の大人力を絶賛「合格です!」」 2014年04月11日 08時00分, 東スポ
いったいなにに合格したのだろう?
5日付本紙1面で、風が変わることを予知していたかのように「大人力では理研より小保方氏が上」と判定した“小保方ウオッチャー”石原壮一郎氏(51)は、今回の会見のハイライトに、意外なシーンを挙げ「すごい大人力だ!!」と改めて絶賛した。
「大人力」ていったいなんだ?
石原氏はこう評価する。ハイライトシーンはハンカチで目頭を押さえた場面ではなく、意外なポイントを指摘した。それは記者から「小保方氏以外にもSTAP細胞の作製に成功した人はいるのか」と聞かれた場面だという。
メディアやネットでも「名前を言えば有利になるのに」「言えないのはあやしい」と議論の的になっていたシーンだ。
「『名前を出せば証拠になる』と記者から追及されたことで、小保方さんが窮地に陥ったように見えました。自分が助かりたいなら名前も言えたでしょう。しかし、言ってしまえばその人に迷惑がかかり、(仲間を売ったと嫌われ)研究者の道が閉ざされてしまうかもしれない。追及に対し『そうですね』と肯定もせず、かと言って『それはちょっと…』と否定もせず、『なるほど』と中間でにごしたのは、高い大人力のなせる技です」
なぜ、追試に成功した人の名前を言うと「仲間を売った」ことになるのか?誰が「STAP細胞の作製に成功した」のか言わなければ、それが事実かどうかも確認のしようがない。研究が捏造だと断定されれば、どっちみち「研究者の道が閉ざされてしまう」わけだが?
肝心のSTAP細胞について石原氏は「あればあるでいいけど、どうでもよくなりましたね」。小保方氏は「STAP細胞は真実」と話していたが、そこは伝わらなかったようだ。
最後の一文はちょっと気が利いている。
- 「起こるべくして起きた「リケジョ」バッシング」 2014年03月13日 08時00分, 東スポ
本紙連載コラム「性と健康は表裏一体」でおなじみの動物行動学研究家で、同じ「リケジョ」の竹内久美子氏は「女性の研究者が論文を発表して注目を集めると、男性研究者からの嫉妬や嫌がらせがあるというのはよくある話です。私の友人の女性研究者も『ネイチャー』誌に単独名で論文が掲載され、周囲からの嫉妬などで精神的に参ってしまったことがありました」。
「小保方さんの研究は、その信ぴょう性はともかくとして、発表後に重箱の隅をつつくような“あら探し”が始まるであろうことは、最初から分かっていましたね」(竹内氏)
竹内氏が批判されているのは、その著書に非科学的な記述があるから。小保方氏が批判されているのは、その論文に剽窃や写真の使いまわし、改竄が見つかったから。リケジョとは関係ない。
ちなみにリケジョというのは講談社の登録商標であり、そのサイト「理系女子応援サービス Rikejo [リケジョ]」を見てみると、「事実に基づき合理的に考える」という科学教育とはほど遠い内容になっていることがわかる。
日刊ゲンダイ
- 「論文のイロハを知らない理系研究者」 【高橋乗宣】2014年4月4日 掲載, 日刊ゲンダイ
これはまったくお話にならない記事。
実験にのめり込んでいる理系の研究者の多くは、論文を書く機会が極めて少ない。そこが文系の研究者と違うところだ。文系であれば、論文を書き慣れているしトレーニングも積んでいる。どのように表現するのが適切かも理解しているから、この手の失敗は起こさない。
そもそも文系と理系では研究手法が違うから単純比較はできない。「理系の研究者の多くは、 論文を書く機会が極めて少ない」ということもない。そこそこの大学の研究室なら年間5報以上の論文は発表している。
小保方さんの論文は、博士論文と画像が酷似している点が「捏造」とされたが、論文の作成で引用は決して珍しいことではない。広く行われていることだ。ただ、誰の何を引用したのかは、きっちりと明記しなければならない。そのルールさえ守っていれば、他人の研究を自分の研究に生かすことは許されている。むしろ、いろんな研究を踏まえて研究しなければ、新しい扉も開けない。小保方さんは、画像の引用が必要だったのなら、論文の中で説明すればよかったのだ。「改竄」と指摘された画像の切り張りについても同じである。加工した理由を明記していれば、何ら問題にならなかったはずだ。
この文章も間違いだらけ。小保方氏は同じ画像を別のものとして使いまわししていたので、捏造とされた。これは引用ではない。また、コピペと引用も別物である。理系の論文では、引用は先行研究を紹介し、自分の論文の新規性を明確にするために行われる。過去の論文をコピペする程度では先行研究を正しく理解しているとは言い難いし、先行研究を正しく理解できていなければ新規な研究はできない。プロの研究者のやることではない。
この程度のミスを断罪し、研究者としての生命を絶とうとする調査委員会のメンバーも、理系の研究者を中心に構成されている。やはり小保方さんと同じで、論文のイロハを知らないのだろうか。あるいは知っていながらも、組織を守るために個人をバッサリと切ったのだろうか。
組織防衛のためのトカゲの尻尾切りみたいな理研の態度も問題だが、それとは関係なく小保方氏のやったことは科学者としての不正行為である。このことは調査委員会もちゃんと理解している。小保方氏の研究生命が断たれるとすれば、その原因は小保方氏本人にある。
この記事に対する批判は以下のエントリも参照。
- 「文系作文のイロハを知らない高橋乗宣」 2014年4月6日日曜日, ニュースの社会科学的な裏側
週刊ポスト
- 「「私を嫌いでもSTAP細胞は嫌いにならないで」の姿勢に感動も」 2014.04.21 07:00, 週刊ポスト2014年5月2日号
STAP細胞にまつわる疑義が持ち上がってから約2か月、4月9日に小保方晴子・理化学研究所ユニットリーダーが大阪市内で記者会見をしてからというもの、再び彼女に大きな注目が集まっている。漫画家の小林よしのり氏、作家・アイドル評論家の中森明夫氏、漫画家の倉田真由美氏が、小保方氏が会見で訴えたかったことについて語り合った。
ある意味すべてを超越してしまった会談…
- 「研究者が「小保方さんの立場も理解できる」と話す4つの理由」 2014.03.17 11:00, NEWSポストセブン(週刊ポスト2014年3月28日号)
「ノーベル賞級の発見をしたヒロイン」から「稀代の詐欺師」呼ばわりされるほどの急転落──。STAP細胞の“発見者”である生物学者・小保方晴子さん(30)は、画像流用や他者論文の無断盗用(コピペ)疑惑など、なぜすぐにバレるようなことをしてしまったのか。
相変わらずムチャクチャ。この記事が書かれた時点でまだ論文は撤回されていないし、理研も不正があったかどうかの判断を先送りしている。いったい誰が『「稀代の詐欺師」呼ばわり』しているのだろう?(マスコミか?)
「時間の制約のなかで、ある程度、杜撰に論文を作るというのは、実は他の研究者でもよくある話。今回、奇しくも明らかになったのは、他の研究者も論文の捏造について非常に詳しかったということだ」(同前)
小保方さんの疑惑が次々に明らかになったのは、他の研究者がみんな同じようなことをしているからこそ「パターンがよくわかっていた」(同前)ためではないかというから、本当であれば皮肉な話だ。
『他の研究者がみんな同じようなことをしている』?じゃあ、他の研究者もみんな「稀代の詐欺師」?登場するのも『40代の研究者』や『30代の研究者』と匿名ばかりなので、この記事がちゃんとした取材に基づいて書かれたと信じなければならない理由はない。
STAP細胞に関しては、にわか解説者みたいなのが大勢登場したが、その多くが、STAP細胞実在の証拠は発表された論文のみであり、その論文の内容が怪しくなれば、STAP細胞の存在自体が怪しくなる、ということを理解していない。
一研究者・教育者の意見?
- 「小保方さんによる再現実験に反対する分子生物学会の理事および他の皆様へ」 2014年07月09日、一研究者・教育者の意見
ブログ主は研究者であり教育者でもあるそうだが、このブログエントリにもいろいろ勘違いがある。
科学論文の世界では、”unpublished data”という形で、結果を引用することが許されている。勿論、論文の根幹に触れるような場合は公表を求められるが、”unpublished data”は可なのである。そしてそれは第三者による認定を受けていないが、「真実」であると著者は信じているから記載するのである。事実、J. Biol. Chem.を検索したら、町田先生も4報中で2回”unpublished data”を使っていた。
"unpublished data"(未発表のデータ)はなんの証拠にもならないので、基本的に無意味な引用である。その他、"personal communication"(私信)、"to be published"(発表予定)等といった引用もあるが、どれも証拠能力は低いため、現在では推奨されていない。「こういう実験もやったけど、たいした効果はなかった」という実験の場合、"unpublished data"として引用されることがある。(重要な結果ならpublishされるからそもそもunpublishedにはならない)"personal communication"は、個人的に実験のコツ等を教わった場合などに使われる。"to be published"はあくまで予定の話なので、発表されない場合もあり、本当に発表されたかチェックが必要。いつまで経っても発表されないのであれば、実験はうまくいかなかったのだろう。"accepted"(受理済み)として掲載予定のジャーナル名を書いて引用されたものであれば、まあ信頼はできる。
前にも述べたが、科学は「疑う」ということが基本だ。小保方さんについては、私は99%「捏造」という疑いを持っているが、一方で、保存されたサンプルの分析で「捏造」を100%認定できるかといえば、それも難しいと思う。理研の小保方さん不正認定決定の記者会見を受け、私は5月10日のブログで「記者会見では日経サイエンスの古田さんが、また毎日新聞の記事などでも指摘されているが、一般の人が理解し、納得できるようにするためには、小保方さんの残っているサンプルを分析し、そこに「不正」の証拠を見つけることが必須だ」と述べている。サンプル分析の重要性を早くに指摘し、その重要性を最もよく理解している一人として、小保方さんの実験参加を主張している。
『99%「捏造」』だと疑うのなら、普通の人は再現実験をやろうとは思わない。時間の無駄だから。こういうことを言うと、「だから大発見ができないんだよ!」というお叱りの批判を受けるかもしれないが、この件で優先されなければならないのは事件の全容解明である。捏造された結果の再現実験をすることは無意味である。
文科大臣や政治家の関与、いろいろな組織の陰謀説等はさておき、我々科学者はこの問題に対して原点の原理に変えるべきだ。それは「再現性」という原理だ。小保方さんの実験は、我々科学者がなによりも「再現性」を重視していることを示すことになる。そして、これから科学を目指す若い人にとってもよい教訓となると私は思う。
『「再現性」を重視』するのであれば、不正を行った本人に再現実験をやらすことの無意味さがわかるはずなのだが?本当の意味での再現は、利害関係のない第3者による再現のみである。
まず優先されるべきなのは、不正の全容解明である。STAP細胞がまったくのでっちあげならば、いまさら再現実験する必要はない。
なお、この一研究者は研究予算についてなにもわかっていないようだ。
- 「いくつかの質問に解答する」 2014年07月12日, 一研究者・教育者の意見
1.再現実験の費用について
第一段階の実験(Oct4-GFPが光るかどうか)は1回当り数千円、多くても1万円くらいだ。近藤滋先生が1年間に使っている研究費の3,000分の1程度で1回の実験が可能である。何回行うかは不明だが、「11月末以前でも実験総括責任者(この人に問題があるのは認める)の判断で終了」なので、常識的に考えれば5回程度か。
「ネッシーの捜索」などと、数百万円もかかるようなイメージを与えるのは一般の人をミスリードする。
再現実験が数百万円で終わるわけがない。本格的な「ネッシーの捜索」にはそれ以上の費用がかかるだろう。実験をやるには人件費や設備費がかかるということを理解していないようだ。
実際、以下の記事によると、理化学研究所がSTAP細胞事件関連の調査や検証にかけた一連の経費が総額8360万円に上った(うち、STAP細胞の有無を調べる検証実験には1560万円)。
- 「STAP細胞:理研、調査に8360万円 突出した代償に」 毎日新聞 2015年03月21日 07時00分(最終更新 03月21日 11時30分)
サイエンスライター?
- 「<STAP細胞問題>小保方氏らも参加する「学術シンポジウム」で決着を」 THE PAGE 10月4日(土)16時0分配信, Y!ニュース(粥川準二/サイエンスライター)
こうした科学的な論争に決着をつけるためには、より多くの専門家による批判とそれへの反論が必要です。理化学研究所は、これまでのような記者会見だけではなく、幹細胞科学の専門家たちが参加することを前提とする「学術シンポジウム」を開き、小保方氏と遠藤氏を――できれば若山氏や丹羽氏も――ともに登壇させて議論させるべきではないでしょうか。
サイエンスライターだそうだが、なぜ『「学術シンポジウム」で決着を』などというおかしな結論になるのだろう?いくら議論したってないものはない。STAP細胞の実在を証明したいのであれば、査読のある学術誌に発表し、世界中の科学者に検証してもらう以外に方法はない。論文が撤回された現在、STAP細胞は存在しない。
詐欺商法
- 「iPS細胞・STAP細胞の関連事業をかたった詐欺的トラブルにご注意!−話題性のある出来事に便乗して、高齢者を狙う悪質な手口−」 (2014年9月11日)国民生活センター
【事例2】STAP細胞の関連事業をかたった買え買え詐欺
大手証券会社を名乗る男性から電話があり、「STAP細胞の関連会社が貴市に進出する。その会社の社債を購入できる候補者1,000人の中にあなたの名前がある」と言われた。「興味がない」と断ったが、後日、再び同じ男性から電話があり、「興味がないなら、購入できる権利を当社に譲ってほしい。あなたにお金がかかる話ではない」と言われた。
テレビなどで見聞きした詐欺の被害者の話と同じだと思い、「返事ができない」と言ったら、乱暴に電話が切れた。どうしたらよいか。
(2014年6月受付 契約当事者:70歳代 女性 群馬県)