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STAP細胞事件 その3

STAP細胞事件

本論とは関係のないおかしな言説については「その2」を参照。


再現実験へ小保方氏の参加を要求する下村文部科学大臣

この人が一番ヤバいかもしれない。政治家がいちいち科学研究に圧力をかけるのであれば、それこそ研究機関の独立性の危機だろう。御用学者ばかりになったら科学としての客観性も失われる。

(2014年06月18日掲載WEBRONZA「そうだったのか!STAP問題」より)

 

下村博文文部科学相は17日の記者会見で「理研は小保方さんの活用を考えながら、一日も早くSTAP細胞を証明する努力をする必要がある」と述べた。「小保方さんでなければSTAP細胞を証明するのはより困難」とも語った。前日に若山照彦・山梨大教授が記者会見で「自分はいくらやっても再現できなかった。できるという人は小保方さん1人。小保方さんができることを証明していただかないと」と話したのを受けてのことだ。しかし、いくら理化学研究所の所管大臣とはいえ、いや、所管大臣だからこそ、これは言うべきことではない。現在、理化学研究所の懲戒委員会が検討中の事案について「横から」ではなく「上から」口をはさむ悪影響をどれだけ自覚しているのか。対等な立場の科学者が議論して進んでいくのが科学である。組織上、上位に位置する大臣があれこれ言うのは、しかも科学的な理解が乏しいままに言うのは、百害あって一利なしだ。

 

大臣が検証実験への小保方さんの参加の必要性を言い出したのはこの日が初めてではない。共同通信によると、小保方さんが論文取り下げに同意したことが明らかになった6月4日に「小保方さんが先頭に立って理研の中で再検証をし、自ら証明することを期待したい」と述べている。論文取り下げについては「適切な判断だった」と述べながら、「STAP細胞そのものが否定されたとは思っていない」と話し、「証明をする必要があり、それを小保方さんにお願いしたい」と言った。

 

3日の記者会見では、そんなことは言っていない。

 

「それは専門的な理研のスタンスですから、調査をするかしないかは、その内容によって理研が判断されることでありますけれども、ただ、いずれにしても、国民が納得できるような対応を理研はとっていただきたいということであります」(文部科学省の会見記録)と言っているだけだ。

 

だが、4日から小保方さんの名前を出すようになり、6日の記者会見では以下のように話した(文部科学省の会見記録)。

 

「まず、理研によると、御指摘のように小保方氏がSTAP細胞に関する2本の論文の取下げに同意したという報告がありました。研究不正が認められた論文については、既に理研により取下げの勧告がなされており、もう1本の論文についても、これまで著者間でのやりとりの中で取下げに同意されたものであり、適切な判断だと認識しております」

 

「今後、STAP細胞そのものの存在が否定されたということには、論文が取り下げられても、ならないと思っておりますので、是非、理研等においてSTAP細胞の検証について取り組んでもらいながら、同時に、この一連のガバナンスが理研に対してもやはり問われているわけですから、二度と研究不正が起きないような状況を、理研としてどう体制を作っていくかということも合わせて、是非、取り組んでいただきたいと思います」

 

「このSTAP細胞については、小保方さんがチームリーダーとして中心的な役割を理研で実際、担ってきたわけでありますし、御本人は200回も作っていると言われているわけでありますから、これはやはり再現を検証するという意味では、多分、小保方さんなしではなかなか年数がかかるということだと思いますから、やはり能力のある人にできるだけ協力してもらって、科学の部分からすれば、研究についてはベストの状態で検証するということが重要なことだと思います。その問題と、理研の小保方さんに対する処分の問題は、別次元で考えることが必要だと思いますから、再検証を小保方さんにしてもらうということが、処分について軽減するとかということではない整理の仕方で、理研がこれは最終的には考えるべきことだと思いますが、そういう整理をしてもらったら、一番、国民も理解しやすいのではないかなとは思います」

 

3日と4日の間に何があったのかといえば、理研「研究不正再発防止のための改革委員会」(岸輝雄委員長)の提言に「検証実験に小保方さんが参加すべきだ」という点が盛り込まれると大臣が知ったのだろう。改革委は12日に最終報告を発表、実際、「STAP現象の有無を明らかにするため、科学的に正しい再現実験を行うこと」を盛り込み、科学的に正しい再現実験とは「小保方氏自身が、熟練した研究者が監視役として同席したうえで行う」ことだと主張した。

 

6日の記者会見は、この内容を先取りして話したわけだ。だが、改革委や若山氏が「小保方氏が実験するしかない」と言っている意味と大臣が話すニュアンスは明らかに違う。「御本人は200回も作っていると言われている」「小保方さんなしではなかなか年数がかかるということだと思います」という発言から、大臣は小保方さんが実験すれば短期間でSTAP細胞ができると考えているのがわかる。そこが、「論文を取り下げたら発見は白紙」という科学の常識と異なるのだ。

 

そして、処分の問題にも言及している。改革委の岸委員長は記者会見で「小保方さんの実験参加と処分は矛盾するのでは」と問われ、「そこまで考える時間的余裕がなかった」と答えている。大臣は「理研が最終的には考えるべきこと」と言いつつ、「処分は別次元で考えて、再検証を小保方さんにしてもらう」と促している。しかし、小保方さんに再実験してもらうことを最優先で考えたら、処分を別次元で考えることなどできるわけがない。もし懲戒解雇になったら、小保方さんに限らず誰だって実験に協力しないだろう。懲戒委員会が処分を検討している最中に大臣がそんなことをいうのは、まるで裁判が進行している最中に法務大臣が量刑について口をはさむようなことではないか。

 

大臣発言は筋が通らない。

 STAP細胞論文問題で下村博文文部科学相は17日、「(理化学研究所研究ユニットリーダーの)小保方晴子氏がいなければSTAP細胞の検証をするというのはほぼ不可能に近い」と述べた。

 

 論文の共著者である若山照彦山梨大教授が16日、細胞の存在に否定的な解析結果を示したことに関連して発言した。

 

 さらに下村氏は「理研において小保方氏の活用を考えながら、STAP細胞を証明する努力をする必要がある」と指摘。理研の懲戒委員会が検討する処分については「(検証実験とは)分けて考えていくべきではないかと思う」と話した。

ほぼ真っ黒に近い捏造なのに、なんで文部科学大臣が小保方氏の肩を持つのか?今やらなくてはいけないのは、疑惑の全容解明と再発防止であって、存在しない細胞の検証実験ではない。そもそも「簡単にできる」はずだったSTAP細胞が「小保方氏抜きで検証は不可能」となった時点で論理破綻している。

下村文部科学大臣は国会内で記者団に対し、「研究の不正が指摘され理化学研究所も事実だという確証を得られないなかで、論文の取り下げは適切な判断だと思う。今後は小保方さんが先頭に立って理化学研究所の中で再検証をし、再実証することで、1日も早くSTAP細胞があるということをみずから証明することを期待したい」と述べました。

的外れなことをいうジャーナリストが大勢いるのはしょうがないとしても、文部大臣までこんなこと言ってるようじゃダメだろう。

 理化学研究所が進めるSTAP細胞の検証実験について、下村博文文部科学相は8日の閣議後の記者会見で「意義のあることだと考える」とあらためて意義を強調した。

 

 日本分子生物学会が、不正の実態が解明されるまで検証実験の凍結を求めたことに応えた。

 

 下村氏は、理研が論文の疑問点に関する新たな調査を始めたと指摘。小保方晴子研究ユニットリーダーの実験参加に対しては「科学界を含め、社会に対する説明責任を果たすために、透明性を確保し科学的に検証すると聞いている」と述べた

ここまでSTAP細胞の再現実験にこだわるのは、単に科学の方法論を知らないからではなく、なにか利権がらみの事情があるのかもしれない。

小保方氏を擁護する政治家

祈っても結果が変わることはないので、まともな政治家なら国民のために真面目に政策でも考えていた方がいい。参議院文教科学委員長がこのレベルでは日本の科学の未来は暗い。

 そして「従来より検証実験と小保方氏への処分は別に扱い、国を挙げてのサポート体制を築いたうえでの検証実験をすべきと政府、文部科学省などに申し入れてきたが、そのことがようやく実を結んだ感がある。小保方氏のおかれた状況を十分配慮して、良好な実験環境を作る必要があり、願わくばSTAP細胞の存在が証明されることを祈る」とも。

論文不正を行った人物を『国を挙げてのサポート』するそうだ。おめでたいにもほどがある。

 最後に「しかし、最も重要なことは、このSTAP細胞の財産的価値であり、国際知財戦争における、STAP細胞に関わる日本の戦力の発揮の仕方であろう。STAP細胞の検証実験を国としてもしっかりサポートしたうえで、その成果を日本の知財の輝ける成果(武器)として、世界に挑戦してゆくことこそが望まれている」と話していた。

捏造された実験結果に「財産的価値」などない。「国際知財戦争」に竹やりで立ち向かえと言っているのか?これで弁護士が務まることが驚き。「科学に無知」とかいう以前に若い女に騙されて尻の毛までむしり取られそうだ。

 「バッシングを受けているが、一生懸命やっているんじゃないか」−。自民党の町村信孝元官房長官は10日の町村派総会で、新型万能細胞「STAP細胞」の論文不正問題で記者会見した理化学研究所の小保方晴子・研究ユニットリーダーをこう擁護した。

 

 町村氏は、小保方氏に関する報道の過熱ぶりを心配したうえで「女性がどんどん働ける社会を作ることは本当に重要だ」と指摘。町村派出身の安倍晋三首相が女性の社会進出を成長戦略の柱に据えていることにも触れ「(女性の活用に)理解のある首相だ」と持ち上げた。

最初から「一生懸命」やっていれば、こんな問題にはならなかったろう。

今朝の「新報道2001」をご覧になったでしょうか?

 

 中谷元防衛長官と森本前防衛大臣が出演していたのですが‥そして、ここでも小保方氏の問題が取り上げられていたのですが、どうも雰囲気が違うのです。

 

 中谷氏は言いました。

 

 「それでも地球は動いていると言った科学者がいた‥コペルニクスかガリレオか‥」

 

 正解はコペルニクスではなくガリレオですが‥いずれにしても、だからと言って小保方氏の言い分を信用する訳にはいかないのです。

 

 森本氏も言いました。

 

 「STAP細胞の作製実験に200回成功していると彼女は言った。そこまで言うのだから、成功しているのだろう」

 

 でも、多くの人々は、彼女が200回も成功したなんて言うので、一層うさんくさく感じているのです。それなのに森本氏は、だから信用すべきだ、と。この人、本当に信用しているのでしょうか?

 

 中谷氏は、次のようなこともいいました。

 

 「もし、そうやって有能な人材が海外に流出するようなことになれば、国家として損失になる」

 

 しかし、それは、彼女が実験に成功していた場合の話であって、もし、彼女が錯覚をしているとしたら、或いは嘘をついているとしたら、損失にはならないのです。

 

 いずれにしても、ここに来てどうしてフジテレビは、小保方氏を擁護し始めたのでしょうか?

 

 私は、これは安倍政権が6月にまとめると言われている成長戦略と大きく関係していると思うのです。

 

 今年の1月24日、安倍総理は施政方針演説で次のように言いました。

 

 「超一流の研究者を集めるため、経済社会を一変させる挑戦的な研究開発を大胆に支援する」

 

 つまり、現政権は、優秀な研究者にはどれだけでも金を出す「特定国立研究開発法人」を創設し、それを成長戦略の目玉に据えようとしているのです。

 

 しかし、ご承知のとおり小保方氏の問題で理研にケチがついてしまった。つまり、ケチがついた理研を「特定国立研究開発法人」に指定することを世間が認めるのか、と。

 

 当初は、理研もそのような政府の考えを勘案して、早々に幕引きを図ることを考えた、と。もし、小保方氏が引き下がれば、最悪の事態は回避でき、理研が「特定国立研究開発法人」に指定されるであろう、と。

 

 しかし、小保方氏が反論に出たので、シナリオが狂ってしまったのです。つまり、理研の思惑も、そして、政府の思惑も外れた、と。そして、そのことによって一気に世間の関心が高まってしまったのです。

STAP細胞事件に纏わりつく利権の匂い

その謎を解くヒントが18日発売の「新潮45」(7月号)に載っていた。ノンフィクション作家の小畑峰太郎氏が書いた〈「STAP論文捏造事件」その金脈と人脈/小保方の書いた捏造論文は、一方でベンチャー科学企業を倒産から救っていた? 見逃されようとしている経済犯罪を告発する!」と題されたリポートだ。

 

それによると、問題の論文発表とともに株価が急騰したバイオベンチャー企業があるというのである。

 

その会社は1月に新株発行をしており、論文発表の翌日と翌々日にはストップ高を記録した。これに関して証券監視委員会がインサイダー疑惑の可能性もあるとして調査に動いているという。しかも、この会社を創立したのは東京女子医大副学長だった人物で、その愛弟子にあたる同大教授は小保方ULの指導教官としてして博士論文の指導にあたり、なんとSTAP論文の共著者にもなっている。そして、副学長も教授も問題のバイオベンチャー企業の株を保有していたと、同リポートは指摘する。

見方によっては、STAP問題は論文不正事件というよりは公金である研究費の「不正受給事件」と捉えることもできる。発表時の派手な演出はいったい誰が何を目的に考えたのか。それのよって理研が得ようとした利益は何だったのか。なぜ、小保方UL一人に全責任を押しつけようとしたのか。それは誰の発想で誰の指示だったのか。

 

理研はまた、「新潮45」が指摘するインサイダー疑惑にどう答えるのか。いずれにせよ、関係者は一刻も早くすべてを告白し、全容解明に務めるべきだ。その上で、責任を取るべき人が出処進退を明らかにする。それが、一般社会の常識ではないだろうか。【了】

 いま30歳の若い人は、いわば噛ませ犬みたいなもので、すでにいくつかの経済事犯については役割を終えているでしょう。いまだに「STAP細胞の存在が気になる」とか言う人は、まともな分別で事態をご覧になっていない、それだけだと思います。

 

 理化学研究所サイドが煮え切らない姿勢を見せているのは、産業技術総合研究所(産総研)と並んで長年苦労して準備してきた「特定国立研究開発法人」への改組という大事業を前に慎重になっている面があるのだろうと察せられます。

 

 そういう、中身を欠くビーュロクラシ―、官僚機構の歯車の自走ではなく、牧歌的かもしれませんが、本当にサイエンスを生み育てる予算、人事、組織管理であるべきです。その意味で、研究の中身がきちんと分かる人の手に、もう一度アカデミックガバナンスを取り戻さねばならないと言うべきでしょう。

 

 それにしても野依氏も10年余、竹市氏に至っては15年近く同一ポストにとどまって、形骸化した研究ガバナンスを繰り返した果てに、今回の事態が起きていることは指摘しておくべきかもしれません。

 

 対理研の提案書は、彼らの研究者としての功績や長年の努力にも配慮して、ソフトな表現を取っていると思いますが、米国ではすでに法的に禁止された「先端研究まわりの知財詐欺」を容易に呼び込んでしまうような大型国立研究法人であってよいわけがありません。

 

 極めて対症療法的には「架空の内容で特許などを出願・取得し、虚偽の学術内容を社会発信することで情報を混乱させ、株価などを操作して利得を得るインサイダー取引類を禁止する法律」など、米国にははるかに遅ればせながら、制度整備を急ぐのが第一であろうと思います。

共同研究者について

笹井芳樹副センター長

理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹・副センター長の態度については、東大医科学研究所の上昌広特任教授の以下の辛辣な批判が参考になる。

 会見の始めに、笹井芳樹氏が「私が参加した時点で実験やデータ分析は終了しており、私の役割は論文の仕上げだった」「論文の文章を俯瞰(ふかん)する立場だった」などと語ったことに言葉を失った。会見は完全に失敗だった。「私は翻訳家です」と堂々と宣言したようなものだ。

 

 笹井氏は小保方晴子氏とともにデータをまとめて論文を執筆し、研究を統括してきた中心人物だ。副センター長として、博士号を取ったばかりで実績がない小保方氏をユニットリーダーに抜擢(ばってき)した張本人でもある。山梨大に行った若山照彦氏の後を引き継いで、研究をプロデュースしていたはずだ。例えるなら、俳優が不祥事を起こしたら、プロデューサーが逃げちゃったようなもの。若手を抜擢し、競争させる。良い結果が出たら会見にも出席してPRするのに、悪い結果が出たら自分は翻訳家だと言って逃げる。これでは下にいる研究者は救われない。

 

 科学的な部分については、笹井氏の説明は正しかったと思う。「小保方氏に実験ノートを持ってこさせることができなかった」という説明についても、研究者同士ならあり得る話だと理解はできる。

 

 結局、「未熟な研究者」である小保方氏を抜擢した時点で、笹井氏には人を見る目がなかったということだ。若いうちから認められてきた笹井氏の経歴は立派だが、研究者としての能力と、人事権を持つ大きな組織の幹部としての能力は別。その責任を明確に認め、一研究者に戻って出直すと言えばよかった。

 

 一連の問題から理研が立ち直るのは難しいだろう。理研はSTAP細胞を再現する検証を続けるが、検証結果にかかわらず、信頼を取り戻すのは容易ではない。

 

 残念だが、こうした不祥事はどこの機関でも起こり得ることだ。ただ、研究者が不正を起こしたときに、責任者がきちんと責任を取ることが再発防止につながる。悪事はばれ、相応の報いを受けるとなれば歯止めになる。そうやって科学不正にひとつひとつ向き合っていくしかないだろう。

論文の共著者にはそれなりの責任を取っていただかないと、誰も納得しないだろう。

STAP(スタップ)細胞の論文問題で、理化学研究所がこの春神戸市に着工したビル計画が揺れている。計画を主導してきた理研発生・再生科学総合研究センター(CDB)の笹井芳樹・副センター長(52)は、小保方(おぼかた)晴子・ユニットリーダー(30)とともに論文を執筆。処分されれば、計画がつまずきかねないからだ。関係者は気をもんでいる。

この件にはこうした利権がからんでいることも事実のようだ。

5日午前8時40分ごろ、神戸市にある理化学研究所発生・再生科学総合研究センター=CDBの笹井芳樹副センター長(52)が、CDBに隣接する先端医療センター研究棟の4階と5階の間の踊り場で手すりにひもをかけて首をつっているのを職員が見つけました。

笹井副センター長は病院に搬送されましたが、午前11時すぎに死亡が確認されました。

警察によりますと、笹井副センター長は半袖シャツにスラックス姿で、そばには靴とカバンがそろえて置かれていて、関係者によりますと、カバンの中からはCDBの幹部と研究室のメンバー、それにSTAP細胞論文を執筆した小保方晴子研究ユニットリーダーに宛てた合わせて3通の遺書が見つかったということです。

最悪の結果になった。誰もこんなことは望んではいないし、自殺したからといってなにかが変わるわけでもない。結局、説明責任は果たされず真相の一部は永遠に闇の中となった。

 「笹井氏はCDBを守るために犠牲になった」という声を若手研究者から聞いた。STAP論文ができた経緯を深追いしない空気も出ているようだが、逆だろう。悲劇を繰り返さないためにも詳細な調査が必要だ。

 

(編集委員 安藤淳)

自殺を未然に防げなかった理研

 理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の笹井芳樹副センター長が5日に自殺した問題をめぐり、理研の対応に批判が高まっている。理研は自殺の約10日前、笹井氏が体調悪化で職務不能な状態に陥ったことを把握しながら、本人が希望していた辞任を認めず、心理面のサポートも十分に行っていなかった。対応の遅れで最悪の事態を防げなかった危機管理の甘さが問われそうだ。

 笹井氏はSTAP論文問題発覚後の3月、副センター長の辞任を申し出たが、竹市氏は調査中を理由に認めなかった。外部からの批判も強まり、笹井氏は現職にとどまることに強く責任を感じ、心理的なストレスで体調が悪化していった。関係者は「ずっと辞めたがっていたが許されず、精神が圧迫された」「7月下旬は負担を軽減する最後のチャンスだったのに、なぜ解放してあげなかったのか」と憤る。

 

 大学院生時代から笹井氏を知る元京都大教授は「研究者として自負心が強く、今後に絶望感を覚えたのかもしれないが、理研のガバナンス(組織統治)の欠如が彼を死に追いやった面は否定できない。懲戒処分の判断も早く下すべきで、決断できないまま、いたずらに苦しめた」と批判する。

 

 同志社大の太田肇教授(組織論)は「理研の対応は極めて不適切で認識が甘い。一刻も早く役職から外すべきだった」と話す。STAP問題の当事者で研究グループの責任者、センターの要職も務めていた笹井氏。「計り知れないプレッシャーに追い詰められたのだろう。研究者が危機管理職を兼ねる体制には無理があり、今後は危機管理の専門職を置く必要がある」と太田教授は指摘した。

 

 理研広報室は「再発防止のため、笹井氏への対応が適切だったか速やかに検証する」としている。

さて、理化学研究所の研究者の自殺が話題に上っていますが、海外のメディアが「詰め腹を切る」雰囲気で取り上げたりして(2014.8.5ウオールストリートジャーナル)、混乱している部分もあります。遺書があるので、そこに動機に関する何らかの手がかりがある可能性もありますが、プライベート領域なので全面的な公開は期待すべくもありません。

筆者は心理学や精神医学の専門家ではありませんが、メンタル疾患の労災申請や訴訟については日々関わっているので、そういう実務家の立場からいくつか確認しておきたいと思います。

報道によると、理化学研究所の研究者は、今年の3月の段階でストレスによる入院をしており(2014.8.6毎日新聞)、亡くなる10日くらいの間でも、服用していた薬の副作用で議論がままならなかったそうです(2014.8.5神戸新聞)。遺書には「疲れた」との記載や、謝罪文言があったそうです(2014.8.5神戸新聞)。また、理研の広報担当者は「疲労困憊(こんぱい)。心身ともに疲れていた」(2014.8.5産経)などとも述べています。もちろん、外野の素人である筆者が断定すべきではないですが、これらは、うつ病の症状のようにも見えます。

STAP細胞をめぐる一連の騒動ともいうべき経過からすれば、責任者的な立場にあった研究者が、すでに今年の3月から業務上のストレスを含むストレスにより、うつ病をはじめとする何らかのメンタル疾患(精神障害)を発症していた可能性はあり得るのではないでしょうか。そして、それは、労災である可能性もあると思います。

筆者が疑問なのは、この問題で渦中(火中)にあった研究者自身が、メンタル疾患も発症していた可能性もあるのに、なぜいつまでも責任者として火消しのポジションを担わされていたのか、ということです。薬の副作用で議論がままならないような状態で出勤させること自体が異常です。そういう意味で、理研の幹部が「痛恨の極み。もう少し、我慢してほしかった」(2014.8.5デイリースポーツ)などと述べるのは、メンタル疾患に対する理解を欠いているのではないかと思わざるを得ないのです。

いずれにせよ、自殺にも、決意の自殺や事実上強制された自殺の他にも、うつ病等の病気の症状としての自殺(自分の意思ではないので「自死」とも言います)があることは覚えておきたいですね。

 「精神的に追い込まれた部下に『我慢』を求める上司は管理職失格です」。田中氏は手厳しい。

 笹井氏の遺族代理人は、家族宛ての遺書に「マスコミなどからの不当なバッシング、理研や研究室への責任から疲れ切ってしまった」との趣旨の記述があったと明らかにしている。小川弁護士は「労災申請をすれば、笹井氏が業務上のストレスから精神疾患にかかり、職場復帰後も回復せずに自殺に至った、いわゆる『過労自殺』と判断される可能性もあります」と話す。

 理研はどうか。「論文が撤回されて科学的には白紙に戻ったSTAP細胞の再現実験を、理研はまだ監視付きで小保方氏にやらせている。科学的な疑義には答えず、ただ再現するから、と言っているようでは時間稼ぎとみなされても仕方ない」。時間稼ぎの中で笹井氏が苦悩を深めたとすれば、理研の罪は重い。

 

 理研広報室は自殺直後に「再発防止のため対応が適切だったか速やかに検証する」と約束した。だが、検証結果を明らかにする時期を尋ねると「状況把握は重要と考えるが、公表は予定していない」とにべもなかった。笹井氏を追い込んだのは、科学ではない別の何かである。

丹羽仁史氏

 論文の共著者で、検証実験の副リーダーとして小保方氏とは別に再現実験に挑んだ丹羽仁史氏は、周囲から入院を勧められるほど体調不良の中での実験参加だった。会見では今後、個人的に再現実験を続けるかという質問も投げかけられたが、「その考えはない」と即座に否定した。

入院を勧められるほど体調不良なのに実験を続けさせるって、理研は研究者をどんだけ酷使するつもりなのか? こうした理研のブラック企業体質を改善する必要がある。

小保方氏宛の遺書のリーク問題

マスコミはこれを「美談」にしたいようで、以下のように小保方氏宛の遺書の内容を報道している。

 関係者によると、遺書では「もう限界を超え、精神が疲れはてました」「もう心身とも疲れ、一線を越えてしまいました」と疲弊した状態を吐露し、「こんな事態になってしまい、本当に残念です」と謝罪するような表現も目立ったという。

 

 また、「一人闘っている小保方さんを置いて」とする記述があり、「私が先立つのは、私の弱さと甘さのせいです。あなたのせいではありません」「自分をそのことで責めないでください」と小保方氏を気遣った。

 

 その上で「絶対、STAP細胞を再現してください」と励まし、「それが済んだら新しい人生を一歩ずつ歩みなおしてください」などと締めくくっていたという。

誰がこんな内容をリークしたのか知らないが、これは論文不正の疑惑解明とは関係のないプライベートなものである。なぜ小保方氏宛の遺書の内容だけリークされたのだろう?そもそも実際の遺書が公開されたわけではないので、ここに書かれてある内容が本当かどうか我々には確認できない。

STAP細胞は存在しない可能性が高いので、「絶対、STAP細胞を再現してください」といったことを公にすると、小保方氏に変なプレッシャーがかかることになりはしないか?無駄な再現実験に時間をかけるよりも粛々と規定に基づき処分したほうがよかったのではないか?

7日放送の「デイ・キャッチ」(TBSラジオ)で、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDE)の副センター長・笹井芳樹氏の遺書をめぐって、遺書の内容が報道されていることについて弁護士が解説した。

荒川氏は、なぜ小保方氏に遺書が届いていないのか?という質問をすると若狭氏は、警察は笹井氏が自殺かどうかをきちんと調べるために遺書を預かっている節はあると説明。

 

そのうえで、自殺であることが明白であれば、速やかに小保方氏に渡すべきと、若狭氏が答えると、木曜日のデイキャッチャーを担当する山田五郎氏は「警察が事件性がないと発表しているようですが、それはつまり自殺と断定したということではないんですか?」と訊ねると、若狭氏は「そうですね」とし、遺書は速やかに小保方氏側に渡さなければいけないと指摘した。

 

荒川氏は警察が遺書の内容を公表する義務はあるのか?と質問すると若狭氏は「遺書というのは極めて内々の、秘密の内容もある」と言い、警察がマスコミに公表する義務はなく、捜査においても公表する必要性はあまり感じられないとし、公表するのは「行き過ぎ」だと解説した。

 

また、若狭氏は、人の信書や手紙を正当な理由なく、開けてはいけないという刑法(信書開封罪)にも触れ、警察に正当な理由がない場合、遺書を保管したままというのはよろしくないと付け加えると、山田氏は「ましてやマスコミにリークするのは大問題ですよね」と指摘した。

 

荒川氏が、遺書を公開した場合は、法に触れないのかを訊ねると「民事的には小保方さん側が警察に対して、秘密にわたることを勝手に公にしたという形で賠償を求めるということはあり得ると思います」と、若狭氏は説明。

 

最後に荒川氏が「これ問題にならないんでしょうかね、この先」と問題提起すると、若狭氏は、遺書の中に公にしても構わないと書かれている場合は別、としたうえで「遺書というのは本当に個人に宛てた最後の手紙・信書ですから、それを勝手にマスコミに公にするというのは警察の捜査としてはあり得ないこと」と、解説した。

チャールズ・バカンティ教授

彼の主張が一番信ぴょう性がない。小保方氏の研究スタイルは、彼のところで習得したのではないだろうか?

 STAP細胞論文の共著者のチャールズ・バカンティ氏が、論文撤回後もSTAP細胞作製に向け、研究を続けていたとの記事を米誌ニューヨーカー電子版が22日、掲載した。同誌の取材に対し「(STAP細胞は)正しいと確信したまま墓場に行くだろう」と話したという。

 バカンティ氏は論文の問題が指摘された後、2014年夏から1年間米ハーバード大を休職。大学は「復職後も再生医療の研究を続けている」としていた。

 

 記事によると、同誌は昨年7月にバカンティ氏に取材。共著者の小島宏司医師と実験を続けていると説明。

まだそんなことを言っているのか。まあ、見つかるといいね。

 細胞に刺激を与えることで、さまざまな種類の細胞に変化できる能力を持たせた新しい万能細胞「STAP(スタップ)細胞」を使い、米ハーバード大のチームが脊髄損傷のサルを治療する研究を始めていることが30日、分かった。人間の細胞を使った作製も研究しているという。

 

 マウスの細胞で世界初の作製を報告した30日付英科学誌の論文を理化学研究所チームと共同で執筆したハーバード大のチャールズ・バカンティ教授が取材に答えた。人工的に脊髄を損傷してまひを起こさせた複数のサルからSTAP細胞を作製し、移植に利用する実験を2011年から始めているという。

 

 現在は論文発表の準備をしているため詳細は明らかにできないものの、「驚くべき結果が出ている」と話し、回復効果があったと示唆。さらに「最近になって、人間の皮膚にある線維芽細胞からもSTAP細胞を作製してみたが、まだ十分に細胞の性質を明らかにできていない」と述べた。

 STAP細胞論文問題で、米ハーバード大のチャールズ・バカンティ教授と小島宏司准教授の共著者2人が15日、京都市で開かれている世界気管支学会議で講演した。報道関係者の入場が禁じられ、バカンティ教授らは講演前後も取材に応じなかった。来日中の日程なども明らかにしていない。

 

 講演を聴いた男性(38)によると、バカンティ教授はSTAP細胞を移植した動物実験の結果に触れ、「STAP細胞は存在する。(脊髄(せきずい)損傷で)歩けなかった犬が歩けるようになった」と写真などを示して報告したという。

 

 同会議組織委員会は1年以上前からバカンティ教授らに講演を依頼。ハーバード大側が「STAP細胞に関して一切コメントしない」ことを条件に講演を許可したという。【斎藤広子】

いまだ世界中の誰もSTAP細胞の再現実験に成功していないのに、バカンティ氏の研究室だけでは成功しており、しかも脊髄損傷したサルの移植実験で「驚くべき結果が出ている」とか「(脊髄(せきずい)損傷で)歩けなかった犬が歩けるようになった」とまで話している。これが本当だったら驚くべき成果だが、誰も追試できていない。

 【ワシントン共同】STAP細胞論文の撤回を受け、共著者の米ハーバード大のチャールズ・バカンティ教授は2日、声明を発表し「これまでに特定された多数の誤りが、全体として論文の信頼性を損ねることを懸念した」と撤回に同意した理由を説明した。

 

 ただ、STAP細胞の存在については「STAP細胞現象そのものに疑いを投げかける情報はまだ存在しない」と強調。

 

「下村博文文科相らがSTAP細胞の考え方を再現するのに十分な時間を与えてくれたのには勇気づけられる。私たちが仮説を立てたSTAP細胞の概念が理化学研究所やその他の人々によっていずれ立証されると信じている」と訴えた。

論文が撤回されたため、STAP細胞が存在する証拠は一切なくなってしまったのだが、それでも相変わらず強気なバカンティ教授。

さらに、バカンティグループの小島宏司准教授の論文にも画像流用疑惑が取りざたされている。

小保方氏がこういうグループに所属していたことが、今回の問題の根幹なのではないだろうか?

バカンティ退任

 ブログによると、バカンティ氏はメールで「複雑な気持ちで皆さんに私の決断をお知らせする」と麻酔科長の退任を表明。2002年に着任して以来の自らの業績を振り返り「私の将来の目標を達成し、試みの方向性を変え、最も楽しい事をする時間のために1年間の休暇を取るつもりだ」と述べた。復帰後は「再生医療の研究と、麻酔学の人材育成に力を注ぎたい」としている。

小保方氏の弁護団

小保方氏の弁護団は裁判には勝てると思っているのかもしれないが、なにかするたびに科学者としての小保方氏の評判を著しく貶めている。

 理化学研究所の小保方晴子氏(30)の代理人は大阪市内で28日、STAP細胞に関する2本の論文のうち「レター」と呼ばれる1本について、小保方氏が「取り下げには特に反対しない」との意向を他の著者にメールで伝えていたと明らかにした。

 

 代理人の三木秀夫弁護士は「レター論文は若山照彦・山梨大教授が責任著者で、若山教授が全て実験し、指導のもとで小保方氏が作ったものだ」と指摘した。もう1本の論文は撤回する意向はないとあらためて述べた。

この主張はひどい。責任を若山氏になすりつけようとしているようだが、それは通らない。この論文の責任著者は小保方氏、笹井氏、若山氏の3名であり、筆頭著者は小保方氏である。若山氏だけが責任著者ではない。こうした動きを見ていると、小保方氏と笹井氏のあいだで、なんらかの裏取引きがあったのではないか?と勘ぐりたくなる。実際以下のように理研から圧力があったという報道もある。

三木弁護士は撤回理由を次のように補足した。「今後、研究者としてやっていくにあたって、心しておいたほうがいいというようなさまざまな、陰に陽に、きつい言葉ややわらかい言葉で精神的重圧が彼女にありました。論文の取り下げに応じなければ、懲戒解雇で理研にいられなくなり、検証実験に参加したくてもできなくなる。解雇を避けるために不本意ながら論文の撤回に応じた可能性が高い」

小保方氏の処分は規定に基づいて粛々と行えばいいだけの話。こういう取引材料として使うべきではない。

この弁明書の内容も、とくに以下の「Science誌の査読者からの指摘」の部分がひどい。

1 このScience誌のエディターからのメールでは、論文がreject(リジェクト―却下)されただけでなく、再投稿が許可されておりません。再投稿が許可されているのであれば、レビューワーからのコメントを精査したうえ、それに対応して訂正して再投稿すると思います。しかし、再投稿が許可されていない場合に、レビューワーからのコメントを精査することは通常ありません。再投稿できないので、それを検討しても意味がないからです。

さらにその後に「(正確には、コメントを読んだ記憶がありません)」という注釈もある。

これに関してはバカじゃないの?以外の感想はない。小保方氏の態度は非常に不真面目であり、学生なら指導教官に怒られるレベルである。たとえ別のジャーナルに投稿したとしても、同じ問題点を指摘される可能性があるので、コメントを精査して論文を改善しなければ、受理される可能性は高まらない。科学の各専門分野は狭いので、同じレビュアー(やその関係者)に当たる可能性もある。

 STAP細胞の論文に新たな画像の誤りが指摘された問題で、理化学研究所の小保方晴子氏(30)の代理人を務める三木秀夫弁護士が22日、大阪市内で記者団の取材に応じ「(誤りが指摘された)写真は小保方氏ではなく別の著者の担当分野で、違っているかどうかも彼女には理解できない」と述べた。

 

 三木弁護士によると、小保方氏は新たな誤りについて報道で初めて知り「何ですかそれは」と話していたという。三木弁護士は「あたかも小保方氏が(画像を)ごまかしているようになっている点に憤慨している」と指摘した。

この弁護士はいったい何を言っているのか?この論文の筆頭著者は小保方氏である。「違っているかどうかも理解できない」というような人物が筆頭著者になってはいけない。

 STAP細胞の論文問題で、理化学研究所・小保方晴子氏の代理人を務める三木秀夫弁護士は9日、一部を公開した小保方氏の実験ノートの記載内容がネット上などで誹謗中傷を浴びていることに改めて反論した。

 7日に一部を公開した実験ノートの記載内容に関しては、マウスの手書き図面や、ハートマークの記載などが、意図せぬ形で注目された経緯がある。

 三木弁護士は「あれだけがノートと勘違いされている気がする。(研究不正の否定材料として)肝心なところだけを抜き書きしただけなのに『なんだこれは?』の議論が出ているのは本意ではない」と語った。

あれを「肝心なところだけを抜き書きした」と思うのなら、もう弁護はやめたほうがいい。

とても実験のプロが書いたノートには見えない。以下のリンクを参照。

小保方氏はこれまで実験ノートの公開を避けてきた。内容には未発表のデータが含まれているため、今後の論文発表への影響を危惧したためだ。それでも公開に踏み切ったのは、次の論文よりも現時点での疑惑の払拭を重視したためのようだ。代理人の三木秀夫弁護士は「証拠を何も出していないと言われたくない」と報道陣に述べている。また、小保方氏も「エア実験と言われるのは情けない。ちゃんと実験していることを示したい」と話し、公開に同意したとのことだ。

だが、いざノートの内容が報じられると、ツイッターでは専門家からの疑問の声やツッコミが相次いだ。ワシントン大学生物学部教授の鳥居啓子氏は、「絵日記のような実験ノートにびっくり。理科の観察日誌?」と驚きを露わにした。サイエンスライターの片瀬久美子氏も「2冊の実験ノートを見た時の調査委員に対する脱力効果も如何ばかりであったろうか…」、科学ライターの内村直之氏も「ものすごい破壊力である。理研は持ちこたえられるだろうか」とつぶやいた。

注目を集めているページの1つが、上部に「テラトーマ(編注:奇形腫)解析について」と書かれたノート75ページのコピーだ。マウスの絵が描かれているのだが、その下には「大量移植」「No.2が一番大きな〜」「薄切の後、染色」といった、曖昧な表現や情報不足の記述が目立つ。一般の人たちからの反響も大きく「2冊の他のページはどうなっているんだろう?」「実験ノートってあんなざっくりとした記述でいいものなの?」などと疑問の声が相次いでいる。

この75ページについては、理研の調査委員会が8日に発表した報告書でも「テラトーマがどのような細胞と方法を用いて作製されたかについては記載されていない」と指摘し、小保方氏の主張を退けている。また、このページには日付が書かれていないために、小保方氏が言う日付に実験が行われたかどうかも確認できないとしている。